はんたいのさんせい
投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(05/ 5/16)
ある日ルシオラが俺に言った。
「あなた、優しさが足りないわ」
俺はふざけて言い返した。
「地球と女の子には優しいっスよ」
彼女はため息をついて、ほらねとせつなく笑ってた。
いったいこの俺の何が気に入らないんだろうか?
ある日ヤクザの地獄太郎さんが、俺に近付きこう言った。
「ボウズ、これからはまっすぐな人になって行くんやで」
俺はビビリながら言い返す。
「ヤクザに言われてもなぁ…」
彼は笑いながら、俺にピストルを見せた。
俺は光よりも速く土下座して謝ったが、脅しでも撃つでもなく、彼はピストルをくれた。
……使い方をちょっと考えた。
ある日、カオスのおっさんが俺に近付きこう言った。
「ボウズ。これからは身なりを立派にしなければいかんぞ」
俺は呆れながら言い返す。
「年中コートのカオスに言われたかーないぞ」
「フ。この良さが解らんとはな」
言われればそんな気もする。
それに比べて俺は?俺も年中同じ格好だが、ジーンズの上下。それとバンダナ。
何とかしてみようか?
……財布と相談して諦めた。
ある日ヤクザの地獄さんが教えてくれた大切なこと。
まっすぐに生きる強さとは、間違いと弱さの中にある。
ある日カオスのおっさんが教えてくれた大切なこと。
己を貫いて流れに逆らう生き方も、結局流れの中にある。
じゃあ、ある日ルシオラの求めた優しさは、冷たさの中にあるものなんだろう。
冷静に、相手の身になって考えること。
相手のために何が一番いいのか考えること。
そこに自分の気持ちを入れたら、きっと判断を間違える。
ある日ルシオラの教えてくれた大切なこと。
相手のための優しさとは、実は冷たさの中にある。
「ほほぅ…だから、ヨコシマが甲斐性なしで朴念仁で女心のわからないバカなのも仕方が無い、と?」
「う、うん!」
「で、それが浮気の言い訳になるとでも思った?」
「な、なったらいいかな〜と、そんな都合の良い事をちょびっとだけ…………ダメ?」
「ダメに決まってんでしょうがぁ〜!!このヤドロクがぁ〜〜!!」
「ルシオラ、カンニンやぁぁ〜〜!!!!」
……幸せというのも、実は不幸の中にあるのかもしれない。
ボコボコにされつつ、嫉妬されている実感を感じながら横島はそう思った。
<完>
今までの
コメント:
- 横島君が気付いた、優しさの一つのかたち。それは以前の彼が持っていなかったもの……と気付いたのに、容易には変われない彼が面白かったです。
賛成に投じさせていただきますね。
では、投稿お疲れ様でした。 (Arih)
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