ザ・グレート・展開予測ショー

ばぁすでい!


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(05/ 5/21)


「原作では触れられすらしなかったし、ホントはいつだか知らないけどけど、ピート誕生日おめでとう!」
「ついでにタイガーもおめでとうっ!」

 ギリギリの発言でのお祝いの言葉とともに、乾杯の声が響き渡った。
 今日は、ピートとタイガーの2人の誕生日を纏めてやってしまおうという集まり。野郎の誕生日なんぞ一人一人祝ってられるか、という誰かさんの意見に賛成票が多数集まった結果だったりする。
 ちなみに場所はピートの関係、という事で唐巣神父の教会。当然ながら清貧というに相応しい生活スタイルの神父に栄養をつけてもらおう、という心遣い込み。
 メンツは主役2人と神父の他に横島、エミ、雪之丞、おキヌに弓、一文字とシロタマに愛子。
 学生2人の誕生パーティーという事で冥子、カオスらは遠慮したらしい。美神にいたっては、ピートの名前が出た時点でエミが来るだろう事を予想してパスした。
 ところで、さっき乾杯の声と述べたが…
 このメンツ。神父とピート、エミを除けば後は未成年だけのはずなのだが。
 何故か最初の乾杯のあと、各々のグラスに注がれて行ったのはワインだったりする。
 そして未成年だからと細かいことを言う面々でもなく、神父も今日くらいはとそれを見逃してしまった。
 そしてここに、酔っ払いどもの宴が始まる。

「ううっ…弓…弓〜!いっつも好き勝手に修行とか行ったりしててゴメンよ〜!」
「あらあら、解ってらっしゃるの?でしたらご自分の立場もお解りのはずですわよね?」

 何故か隅っこの方で、泣き上戸になって若干幼児退行気味の雪之丞と、憧れのおねー様のように女王様気味のオーラを纏ってそれをいたぶる弓。
 何か色々と約束させられているようだが、素面に戻った時、雪之丞は大丈夫なのだろうか?
 酔ってるくせに、しっかりとメモを取っている弓の尻に敷かれなければいいのだが。

「へっへっへ…魔理〜愛しとりますケンノー…」
「ちょ、やめろよタイガー。こんなトコで…」
「あ〜、も〜ワッシは…魔理が可愛くて可愛くて」
「ちょ、ちょっと…ちょっと〜!!」

 仮にも教会のど真ん中で、文字通り外見も含めて大虎と化したタイガーに迫られているのは一文字魔理。
 いつもとは打って変わって強引かつ積極的なタイガーの態度は嬉しいらしいのだが、さすがに知人らの前では恥ずかしいらしい。
 力と体格差もあって完全に拒否できないまま、抱きしめて色んなところを撫で回すタイガーの腕の中でもがく魔理。
 まぁ、タイガーは今のところそれ以上先には進まないみたいだから、頑張って耐えて欲しいところだ。

「ねぇ、ピ〜トォ♪私酔っちゃったみたい♪」
「だ、だめだよ美智恵くん!君には公彦君が!?」

 さっぱり噛み合わない会話をしながらも、密着するエミと神父。これはピートが吸血鬼の持つ邪眼<エビル・アイ>の魔力で催眠術にかけた結果だ。
 単にピートが神父を身代わりにした、とも言う。
 そして十字を切り、神に一応懺悔した後ほっと一息ついたピートが目にしたのは、誰が今日の主役だコノヤロウ、と言っちゃいたくなるような事をしている、横島の姿。

「センセェ…」
「くぅん…」
「横島君…ダメよ…こんな事はいけないのよ…」

 横島は長いすに腰掛け、シロタマを両脇にはべらせ、愛子を膝の上に座らせていた。

「いいじゃないか。みんな平等に、まとめて可愛がってやるから」

 今まで見たことも無かった種類の、余裕を感じさせる笑みを浮かべてそんなセリフを吐く横島。
 彼も、そんな事を言われて頬を撫でられうっとりする女性陣も、間違いなく酔っていた。

「チッ」

 はんさむぼぉいな自分を差し置いて横島がモテているのが気に入らなかったのか、凄い舌打ちをして、横島を攻めるべく援軍を探して視線を彷徨わせるピート。
 だが、前述の通り使い物になりそうなメンツはいない。おキヌにいたっては、最初の一杯で酔っ払うのを通り越して潰れてしまっている。
 ピートは考えた。
 あの雰囲気と数に、正面から挑んでは自分が不利。ならば遠距離からの攻撃となるが、これは霊波砲を撃ち込むような類の戦闘ではない。横島がいつぞややっていたような呪いなどが有効だろう。
 しかし残念ながら自分はギャグキャラではない。どこからともなく釘とワラ人形を取り出すようなマネも、修行や訓練なしでそれを使いこなす非常識なマネも出来ないのだ。
 ならばどうするのか…
 考え込んでいたピートの耳に、横島の更なる言動が聞こえてきた。

「シロ。タマモ。愛子。お前たちの誕生日も今度祝ってやろう」

 素直に喜ぶシロと違い、口ごもるタマモと愛子。彼女らは妖怪であり、はっきりとした誕生日など自分では解らないのだ。
 だが、アルコールが血の巡りを良くした横島の脳は、普段とは違ってそれを見越していた。

「いいか?タマモ。愛子。俺と出会った日がお前たちの誕生日だ。だから、その日に一緒にお祝いしよう」
「なんじゃそりゃぁぁぁぁ!!!」

 ツッコんだ。
 渾身で。力の限りにツッコんだ。
 感激したらしいタマモや愛子が横島に飛びつくより早くツッコんだ。

「何をするんだピート」

 いつものようにギャグちっくに吹っ飛んだりせず、理不尽なまでの回復も無く。床に倒れこみ、口内を切ったらしく、口の端から血を流して横島はそう返した。

「何をするじゃないっ!!あなたはそれでも横島さんですか!?仮にもツッコミに対して、その冷静なカエシはありえないでしょうっ!!」

 エキサイトしまくるピート。というか、ツッコミどころはそこでいいのだろうか。

「何を怒って…ああ…すまなかった、ピート。今日はお前の誕生パーティだったな。ならお前をないがしろにしないで、祝ってやらないことも無いでもない」
「どっちだよ!てか祝え!!」

 ツッコミという単語に関西の血が反応したのか、ボケる横島。それにテンションを高めたか、血管切れそうな勢いでツッコむピート。

「いやいや、冗談だ。いくらタイガーとの合同のパーティーとは言え、お前だけ祝わないなんて事………アリか?」
「ナシだっ!!」
「なんだ、結局祝って欲しいのか?あさましいヤツめ」
「え?ボク?ボクが悪いんですか?」
「いやいや、悪いのは俺かもしれん……と思うんだが、どうだろう?そのあたり」
「フラフラ考えと話題を変えないでください!付いていくのが難しいでしょう!」
「あ〜、すまんすまん。どうやら俺は酔っているらしい。というわけで素直に祝おう。ピート、ハッピーバレンタイン」
「それもう過ぎましたよ!2回くらい!」
「はっはっは、バカだな〜ピート。バレンタインが2回も来たら、俺たち高校を卒業しちゃってるじゃないか」
「危険なネタを使うなぁぁぁー!!」

 2人の繰り出す即興漫才に、手を叩いて喜ぶシロタマ。愛子はいつもの青春トリップに入ってしまい、ここでリタイア。

「そーいや、クリスマスとか3回くらいやった気もするな…アレ?勘定が合わないぞ?」
「だから危険なネタを使うなぁぁ〜!!」

 この後、力尽きるまで横島とピートの漫才は続いたという。


 めでたしめでたし。





 ――ところで――


「弓…弓っ!」「ゆ、雪之丞…!」
「魔理!魔理ぃ〜!」「タイガー!」
「唐巣…しん…ぷ…」「エミくん…エミくんっ!」

 何やら名前を呼び合うバカップル(×3)が放ったらかしになっていたりするのだが…
 エミと神父も、どうやら催眠術が解けて、それでも続行したようだし。
 何やら幸せそうなんで……ま、いいとしよう。



 <完>

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