ザ・グレート・展開予測ショー

九尾物語 <3ページ目>


投稿者名:まぐまっぐ
投稿日時:(05/ 6/ 9)





「それにしても、なんだかんだいってここまで来てしまったがタマモはこれからどうするんだ?」

一通りの自己紹介を終えてから横島は私に聞いてきた。

正直私もかつてのシロみたいにここまで何も考えずに突っ走ってきたが、よくよく考えれば私は宿無しだったのだ。

「・・・分からない」

「分からないって・・・まさか、宿がないんでござるのか?」

「そういうことになるわね。なんたって、ついさっき私は目覚めたばかりだからね」

「さっき目覚めたばかりって、今まで寝ていたのでござるか?」

ハクが不思議そうに聞いてくるので、私はひとまずこれまでの経緯を話した。

経緯といっても、自らを封印した理由は話さずに適当に濁してただ封印が解けてからすぐにヨコシマとハクのところに来たというだけだが。

「なるほどな・・・それで、封印がとけてすぐにオレ達のところに来たというわけなんだな」

「そういうことよ。ヨコシマとシ・・・ハクの霊気にひかれてここに来たんだからね」

「ふ〜ん・・・そうだったのでござるか・・・」

思わずシロと言いそうになったのをあわてて言い直しながらもあえて少し事実とは違うことを言う。

だが、ヨコシマとハクはそんなことは気にせずにお互いうなりながらも何かを考えているようだ。

おそらく私の泊まるところを考えてくれているのだろう。

そう考えるとやはり嬉しくなってくる。二人が私の事を受け入れて自分と同じように考えてくれているから・・・

しばらく時間がたってから、ヨコシマはゆっくりと顔を上げて私のほうを見た。

「なあ・・・どこも泊まることがないんならここにしばらく泊まるか?」

そのヨコシマの一言を聞いて私とハクは同時にヨコシマを見る。

「泊まらせて・・・くれるの?」

「ああ。封印が解けたばかりなら一文無しだし霊気もそこまで回復していないんだろう?そんな状態でいたら飢え死にしてしまうからな。オレの両親は海外にいるし放任主義だから大丈夫だ」

かの煩悩なヨコシマはどこへいったのか、すごく優しい笑顔で私に微笑みかけながらもそういってくれた。

私への気遣いとその笑顔のせいで私の顔に一気に血が集まってくる。

(な、何を考えているのよ。確かにヨコシマはヨコシマだけど今のヨコシマは女だからこんなことはあってはだめなのよ!)

必死で自分に言い聞かせようとするがこういうときに限って以前の三人での熱い夜のことを思い出してしまいさらに顔が熱くなっていく。

「怪しいでござる・・・」

私が自分自身を抑えようと必死になっているところでハクはじ〜っとヨコシマを見ながらぼそっとつぶやく。

「あ、怪しいっていったい何がだよ?」

そう答えるヨコシマの反応がなんだかぎこちない。

「先生なら真っ先に優しくじゃなくて煩悩が先走るはずでござる。なのになんでそうタマモには優しいのでござるか?」

前言撤回。言われてみればそうである。

先ほどの校門の前での出来事でもヨコシマは私を抱きかかえて暴走していた位なのであるから明らかに怪しい。

「あ、当たり前じゃないか。タマモにはなんだか親近感が沸くし、どうしても放っておけないからな」

「本当でござるか〜?」

じーっという擬音がしそうなくらいハクと私はヨコシマを見る。

いっていることがものすごく妥当なのであるが、何度も言うがヨコシマがヨコシマである所以と反応がぎこちがないのがその疑いをいっそう大きくする。

そうはいってもヨコシマが嫌いなわけじゃない。むしろ命をささげてもいいというほど好きだ。

でも、やっぱりヨコシマが同じ女性だということを考えるとどうしてもちょっと戸惑いが出てしまう。

だって・・・やっぱり女性同士って言うのは・・・ねえ?

「お前ら、オレになにか邪まな考えがあると思っているのか!?」

「「うん(はいでござる)。なんたってヨコシマだからね(先生でござるから)」」

見事にハクとはもって同じ事を言って頷きあう。

ちなみに、私は少しふざけて駄洒落を入れてみたんだが、ヨコシマははもって言われたことにショックを受けて隅にいっていじけだした。

さすがにちょっとやりすぎたと思って私はヨコシマのところまでいってその背中をなでてやる。

「でも・・・もしタマモがここに住み込むのなら拙者も一緒に住むでござる!」

しばらくしてハクはいきなりそういうことを言い出した。

「住み込むって・・・お前は男だからさすがにオレんとこに住むってなったらやばいだろう?」

「拙者はタマモを襲うつもりはないし、逆に先生がタマモと暮らすことのほうが何倍も危ないでござるよ!」

「確かにそうね・・・」

もっともなことだと思う。

まあ、気持ちの整理はつくまでは襲われかけたら狐火で撃退すると思うけどね。

「それは置いておくとしてもハクには家族がいるんだし、毎朝朝日が昇る頃にはすでにオレのとこまで来ているから全く変わらないだろう?」

一番置いておいてはいけないことを横におきつつもヨコシマはハクをなだめるようにいい。

「そういえば、ハクって今どこに住んでいるの?」

「それがこいつ、毎朝ここから30キロも離れたところから走ってここまできているんだぜ?」

「一時間も走ればすぐにつくでござるから丁度いいのでござるよ!」

「なんというか・・・やっぱり犬ね・・・」

「犬ではないでござる!狼でござるよ!!」

詳しく話を聞いてみると、今は制服で隠れているがやはりハクはシロの時と同じく人狼族であり、人狼の里に暮らしているらしい。

人狼の里といっても以前シロが住んでいたところではなくて別の場所である。

詳しい話は省くが、ここ200年で人狼と人間との交流も深まり、以前みたいに隠れて住むということはなくなったらしい。

「そういうことだからお前は住みこまなくてもいいだろう?それに、どちらにせよ週末は寝泊りするだろうが」

嘆いているハクに容赦なくでこピンをする。

さすがにハクも痛かったらしく、「きゅ〜ん」といいつつも額を押さえている。

でも、私は最後の言葉を聞き逃していなかった。

「ちょっとまってよ。週末に寝泊りするってどういうことなの?」

「それは、山よりも高くて海よりも深い事情があるでご・・・」

「オレとハクは週末にちょっとしたバイトみたいなのをしているからな。それで、一日ではすまないことがあるからハクにはここに泊まって貰ってるだけだ」

「なるほどね・・・」

確かに以前は美神さんのところでバイトをしていたわけだしここでもやっているのは当然といえば当然だろう。

とりあえず拗ねているハクは放っておいて更にたずねてみる。

「でも、バイトっていったい何をしているの?ヨコシマとハクといったらあまり思いつかないんだけど・・・」

「まあ、思いつかなくて当然だわな。一応ちょっとした除霊みたいなのをしているぞ」

「え!?除霊って・・・GSってことなの!?」

「まあな。外見からは分からないかもしれないけど一応はGSの免許を取っているからな。とはいっても、まだまだ駆け出しなんだけどな」

思わず私は驚きつつも聞き返してしまうが、ヨコシマは私の驚きを別の意味で捉えてしまったらしい。

確かにそれもないことはないが、ヨコシマ達だけでバイトとしてやっているということに驚いたのだ。

後で聞いた話によると、GS派遣会社たるものがあり、そこに登録することによってそのGSにあった除霊を会社から送られてくるらしい。

これも、先のアシュタロスの事件以降にGSの養成にもっと力をいれるようになった結果に出来たとのことだ。

あらためて時間の違いを思い知らされた。

「なるほどね・・・それで週末にバイトとして仕事が来るということなのね」

「そういうことでござる。だから拙者は今日から日曜日まで先生の家に泊まるでござるよ」

いつのまにか復活したハクは以前とはあまりかわらないたくましい胸板を張りながらも言う。

でも、今日からということは・・・

「今日ってもしかして金曜日なの?」

「ん?そうだが・・・そうか。タマモは時間の感覚がまだ戻っていないんだな」

ヨコシマは曜日を聞いた私を少し不思議そうにしていたがすぐに理解して納得してた。

「だったら私も一緒についていくわ。体を慣らすためにもいいと思うからね」

「え!?大丈夫なのか?GS駆け出しといってもかなりきついものだぞ?」

「そうでござる。拙者と先生でもぎりぎりなんでござるからな」

「心配しなくても私は伝説の金毛白面九尾よ?確かに体はなまっているけど普通のやつだったら一発よ」

そういって指に狐火を出してみる。

それを見てしばらく悩んでいたヨコシマだったが、しばらくしてから決心をつけたようにいった。

「そうだな・・・タマモを二日もここに放っておくわけにも行かないしな」

「先生!?」

「ありがとう、ヨコシマ♪」

それを聞いてハクは驚いたが私はうれしさのあまりヨコシマに抱きついてしまった。

昔にも抱きついたことはあるが今のヨコシマの体はそのときと比べて全く違って柔らかかった。

「どういたしましてだぜ。お礼として今日は一晩・・・」

「「それはだめっていったでしょ!(でござるよ!)」」

おもわず抱きついてしまった私に襲い掛かろうとしてきたヨコシマに私とハクのハリセン攻撃が同時に決まる。

ちなみに、私が気づかない間ハリセンを握っていたというのは内緒だ。

「いててて・・・ちょっとは手加減しろよな。普通だったら意識とんどったぞ!?」

「まあ・・・確かに先生の言うことはもっともでござるから、明日はよろしく頼むでござるな。足手まといは簡便でござるからな」

文句を言っているヨコシマのことは無視をしてハクは手を差し出してくる。

「こちらこそね。それに、そっちこそ私の足手まといになったらおいていくからね」

ぶっきらぼうに答えつつも私は手を握り返し久しぶりに握手をする。

こうして、私が目覚めて最初の日は無事にかどうかは分からないがおわっていったのである。

ちなみに、ヨコシマはというとしばらく無視されていたために再びいじけて、しばらくしてからそれに気づいたために機嫌を直すのが大変だったというのは内緒である。










あとがき

どうも、まぐまっぐです。
今までのんびりとした(?)会話が続いていましたが、次回からはGS美神らしい物語がかけるかもしれません。
そして、それと同時にこの物語もとある核心に近づいていく・・・かもしれません(ぇ)
どうなるかは分かりませんが次回をお楽しみにください。
それにしても会話文と地文との流れが難しいです・・・
前回と同じくかけなかった感想をかかせてもらいます。

>>Iholi様
再び返事をさせていただきます(笑)
>「薫=女横島説」は・・・
なるほど。そんなものがあったんですか。今までそんなものとはあるのが全くしりませんでした。
それにしても、改めて考えれば考えるほど忠夫と薫は似てますね(笑)
またどこかでねたで使おうかな・・・(ぇ)

>>コバト様
>しかし、ヨコシマは自分が女なのにも拘らず
>相も変わらず女に走っているんですねぇ。
やはりヨコシマは女に走らないとヨコシマじゃありませんからね(笑)
とはいうのは半分は冗談で、もう半分は少しした伏線になっているんですが、詳しいことは物語が進むにつれてわかるので楽しみにしていてください。

では、ここにて失礼します。

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