美神SOS!(15)完結
投稿者名:竹
投稿日時:(05/ 5/ 9)
敵陣営のボスの居る部屋を目指して、長い階段を上っていく横島とおキヌちゃん。
「美神さん!」
「横島くん、おキヌちゃん!」
階段を上りきったところで、探していた美神はあっさりと見付かった。……何故か半裸で。
「美神さん……! よかった……、無事で、よかったですっ……」
「何言ってるのよ、おキヌちゃん。私が、こんなところでくたばる訳ないでしょ?」
「ぐすっ……、もう、美神さんたら……。心配……したんですから……」
駆け寄ったおキヌちゃんを抱き留めて、美神が発するのはいつもの強がり。もう、大丈夫だ。そう思って、おキヌちゃんは涙を拭った。
「ぶはぁ!」
「横島さん!?」
「何、どうしたのよっ」
一方、横島は鼻血を出して倒れた。
「……いや、何か煩悩が……溢れ出て……。だって、半裸に白衣ってエロ過ぎますよ、美神さん……。こっちは、何かもうルシオラやら何やらでいっぱいいっぱいだってのに、そんなの見せられたらもう……。跳び掛かろうとした瞬間に煩悩回路がショートして、ぶち切れちゃいましたヨ……」
仰向けに倒れ白目を剥いた横島は、鼻から流血と共にエクトプラズムを出しながら、うわ言のように呟いた。
「だ、大丈夫ですか、横島さん……」
「て言うか、煩悩回路って何よ……」
美神が誘拐された事による自責やら心配やら、高位の魔族と相対する恐怖やら不安やら、加えて予期せぬ恋人の復活とその記憶喪失やらで、横島も色々疲れていたらしい。不死身の彼にも限界と言うものは来る訳で、そうなったら案外もろい男である。そこに来て扇情的に過ぎる美神の格好に遭遇し、何かがキレてしまったらしい。
血の海の真ん中で、ぴくぴくと痙攣する横島。せっかく増幅した(煩悩パワーで)霊力も、鼻血と一緒に垂れ流しである。
「……ちょっと、マジで大丈夫?」
「横島さはぁ〜〜ん!」
流石の美神も、ちょっと本気で心配になってきたようだ。おキヌちゃんに至っては、既に涙目である。
「ええっ、美神さんが俺の心配をしてくれるなんて! そんな馬鹿な、あの冷血非道のクソ女が俺を心配してくれるなんて都合のいい展開が、現実であるなんて有り得ない! これは夢か? ……はっ! さてはお前、美神さんに化けた偽者――ぐぼびゃっ」
「誰が、冷血非道のクソ女だーーーー!」
と、これまた何故だか自分を心配する美神を不審に思った勢い(?)で復活した横島だったが、すぐさま美神の本気の右ストレートを顔面に喰らい、再び血の海に沈んだ。
「うう……、このパンチ、間違いなく美神さんだ……」
「み、美神さん、熱はありませんか?」
「って、おろおろしないでよ、おキヌちゃん! 何よ、もう、二人して。いいわよ、いいわよ。どうせ私は、儲ける事しか頭に無い、金の亡者よ……」
おキヌちゃんにまでアレな反応をされて、いじけてしまった美神。流石に、幾らか思うところもあったようだ。
「あああ、ごめんなさい」
「み、美神さんは優しい人ですよ。みんな、分かってますって!」
「……いいのよ、気を使わなくったって」
ぐすっ、と涙を啜る美神は普通に可愛いとか思っちゃった二人だが、兎に角にも慌ててフォローする。美神が冷血漢でない事は、二人が一番よく知っている事だ。捻くれ者ではあるが、本当はお人好しな女性なのだ。……偶に、流石の二人でも信じられなくなる時もあるが。
早くも復活している横島は、何とか正常な状態に戻れたらしい。この男の正常は、常人にとっての不正常である。
「どうせ私が居なくなったって、誰も困ったりしないのよ……」
「そ、そんな事ないですってば! だってほら、俺ら美神さんを助ける為にこんな魔界くんだりまで来たんですから」
「……」
この状況だと果てし無く言い分け臭いが、しかし嘘ではない。純度100パーセントの真実だ。でなくば、わざわざ魔界の端にまで来るものか。横島たちにとっては、囚われたのが美神であればこそ、だ。西条辺りだったら、本気で放っておいたかも知れない。西条が魔族に攫われるシチュエーションが想定できないから、全く意味の無い仮定だが。
「そうですよ。シロちゃんやタマモちゃんだって……」
「……あの子たちも来てるの?」
「はい。それに、冥子さんやエミさん達も」
名を挙げるのをそこで止めておいたのは、おキヌちゃんの配慮だったか。確かに、純粋に心配してここまでやって来たのはその辺りまでだろう。後はまあ……、半分程なりゆきで付いてきたような連中だ。
本気で心配して、どうあっても美神を救い出そうと思ってはいたが、状況はその思惑を超え、あれよあれよと言う間に進んでいった。出来すぎな程に好転に好転を続け、正直こんなに早く美神に遇えるとは思ってもみなかった。だから、ここに美神と親しく彼女の身を案じている唐巣神父や西条が居ないのは仕方が無いし、それなのに魔鈴や勘九郎が居るのはあからさまにおかしいが、なりゆきと言うのは恐ろしいものである。本当にノリがいいと言うか、付き合いのいい連中である。
因みに、美知恵隊長はひのめをGメンのオフィスに預けて海外に出張中である。西条が連絡をとったので美神誘拐の件は知っているが、帰国するにはまだ暫く掛かるそうだ。
「……そっか……」
「……。美神さん……?」
一瞬うつむいた美神は、口元に笑みを浮かべていた。当たり前の事だが、自分にも心配してくれる仲間が居る、友人が居る。渡る世間に鬼はなし、袖触れ合うのも他生の縁。……この世も、まんざら捨てたもんじゃない。
そして、満面の笑顔と共に顔を上げた。
「ま、何にしても助かったわ。ありがと、二人とも」
「え……」
屈託の無いその笑顔は、普段の彼女の印象からは少しばかりかけ離れた、気持ちの良い爽やかな笑みだった。
それは、捻くれ者の彼女が心を許してくれたシルシ。横島やおキヌちゃんにさえ、滅多に見せてくれないものだったから――
二人は、嬉しそうに大きく頷いた。
「――はいっ!」
「さあて、それじゃあ、いよいよ敵の親玉の部屋に乗り込むわよ!」
「って、逃げるんじゃないんですか!?」
勢い込んで拳を振り上げる美神に、今更のように驚く横島。
横島たちが玉座の間を目指して進んできたのは、他に当てが無かったからだ。立ちはだかる敵は排除せねばならないが、必要も無いのに喧嘩を吹っかける気はさらさら無かった。美神がどうやって助かったのか知らないが、せっかく拾った命をわざわざ捨てに戻るのも愚かだろう。
「逃げる? 冗談、この美神令子をこんな目に遭わせてくれた落とし前は、きっちりつけてもらわなくちゃ!」
「で、でも相手は魔神なんですよ? 勝ち目あるんですか」
そんな危ない橋なんぞ渡らずに、とっとととんずらこいてくれ。と言うか、そんなどうでもいい意地に自分達を巻き込まないで欲しい。と横島は思うが、その意味の無い意地を捨てれば、彼女は彼女でなくなってしまうのだろう。自分らしく生きる為には、それは美神にとって譲れない一線なのだ。
それは分かってはいるが、しかしそれにしても魔神と正面からガチンコは無茶すぎる。意地っ張りだが、横島と違って肝心なところは計算高い美神の事だ、何の考えもなしにそんな事を言い出すとは考えにくいが……。
それでも、横島は止めて欲しかった。おキヌちゃんも同感らしく、必死で美神を宥めようとしている。まあ、獲物がこんな部屋の前まで来ていると言うのに、敵のボスとやらがそれに気付いてない筈は無いから、このままUターンしたとして、無事に逃げ切れると言う事の方が考えにくいのかも知れないが。
「勝ち目なら、あるわよ。横島くん、貴方が居るからね」
「へ? 俺……っすか」
どう言う事だろうか。例え文珠で同期合体をしたとしても、魔神相手に大した戦果は望めないのは、アシュタロス戦で実証済みの筈だ。今回の敵とアシュタロスが同等の実力かどうかは分からないが、それにしてもそれだけで勝算とするには心許ない。それとも美神には、まだ何か策があるのか。
まあ、しかし。美神に頼られるのは、横島にとって嬉しい事だった。
「……美神さん」
「何よ」
「や、何か吹っ切れました?」
攫われる直前のような危うさは影を潜め、今の美神は至極すっきりとした顔をしていた。アシュタロス編が全部片付いた時よりも、もっと清々しい表情である。気高く、ふてぶてしく、あらゆる事への自分の勝利を確信しているカオだ。
「ん……、まあね。やっぱり、私はこうでなくちゃ」
その笑みだけで、きっと自分は死地にすら行ける……かどうかは分からないが。
けれど、美神がこう言うのだ、間違いはあるまい。彼女の言う事は、いつだって理不尽で、いつだって正しかった。信用はしていないが、信頼はしている。そんな、世間とは逆の認識が、自分達のいつものカンケイ。
これでこそ、我が師だ。これでこそ、我が上司だ。これでこそ……我が憧れのひとだ。
「さ、行くわよ!」
「は、はい!」
「頼りにしてるわよ? 相棒」
「……はい!」
そういえば、面と向かってパートナーだと言ってもらえた事は、今まで一度も無かったかも知れない。だからだろうか、あの一言だけで、こんなにも気分が高揚するのは。
美神の方も、それは同様らしかったが。
捻くれ者と捻くれ者の、捻くれた信頼。それが自分達の居心地のいい関係だけど、それだけでは不安になってしまう事もある。自分の気持ちは、言葉にしなければ伝わらない。偶には、素直になってみたい時だってあるのだ。
「準備はいいわね、横島くん、おキヌちゃん。魔神だろうがなんだろうが、極楽に行かせてあげるわよッ!」
魔界で言うセリフでもあるまいが……まあ、兎も角。
美神除霊事務所、発進!
観音開きの扉を開けると、中に居たのは豪奢な椅子に踏ん反り返った目付きの悪い少年の姿だった。
「え、子供……?」
だが、ここは魔界の隅に立つ魔神の居城、その最上階に一部屋しかないフロアだ。ただ一つのみの固定椅子は、即ち玉座。そこに座っている尊大そうな少年から漂ってくるは、溢れんばかりの魔力。目の前に居るだけで気をやってしまいそうな、圧倒的なチカラの示し。
――《ニニギ》である。
「よく来てくれたな、《アマテラス》、《オオクニヌシ》よ。脆弱な人間の身で、我が配下を一掃してしまうとは、なんとも素晴らしい。歓迎するぞ」
「私達は、そんな変な名前じゃないわよ」
そんなニニギのプレッシャーさえ歯牙にも掛けず、美神は対話をする姿勢を見せない。なにせ、自分を攫って実験道具に使おうとした男だ。情状酌量? 何だ、それ。話を聞く気すら起きない。
こう言うハッタリの罵り合いは、彼女の独壇場だ。相手のペースを乱してしまえば、勝利の目は見えてくる。魔神だろうがなんだろうが、それがどうした。我も人間ならば、彼とて一個の魔族に過ぎない。無敵のゴーストスイーパー、美神令子。負ける気はしない、負ける気は無い。
「おっと失礼、メフィスト・フェレスに文珠使いクン。いや、美神令子くんに横島忠夫くん、だったかな。まあ、何でもいい」
「よくないッ!」
「歓迎するよ」
が、敵も負けず劣らずマイペースな性格らしい。まあ、こんな魔界の隅っこで訳の分からない研究に血道を上げている男だ、どれだけマイペースでも驚きはしないが。
だが、自分達に危害を加えるとなれば看過できない。それで、何であろうとぶっ飛ばすと繋がるところが、美神の美神たる所以である。
「まあ、聞け。余の壮大な目的を聞けば、君達とて大人しく私の研究に協力したくなるだろう」
「ならないと思うけど……」
「そう、余が欲するは――」
「聞いてねえし」
美神たちのつっこみを華麗にスルーして、滔々と語り出すニニギ。彼にしてみれば、実験動物の鳴き声など、いちいち聞いていられないと言う事だろう。美神たちの意思など関係ない、それは殆ど独り言であった。彼も、オモヒカネと同じ科学者属性の性格なのだ。ただし、彼女より純粋であり、故に不器用で傍迷惑だったが。
威勢よく啖呵を切ったものの、実際問題として魔神相手に真っ向から行っても勝ち目は薄い。美神たちは、取り敢えず大人しくニニギの話を聞いてやる事にした。そう、“取り敢えず”。
「余の大いなる目的こそは、魔神アシュタロスの復活だ!」
「は……?」
“取り敢えず”……。
「眷属の生成、そして無より有を生み出すコスモ・プロセッサ……。殆ど独力で三界全土に反乱を起こしたその手腕もさる事ながら、アシュタロスの技術力は今の魔界の最先端技術よりも更に上を行っている! その知識と技術の粋が、このまま消え去ってしまうと言うのは、如何にも惜しい。そう思って関連資料を全て紐解き読み漁ってみたが、それだけではどうしても限界がある」
自信満々、得意げに持論を語るニニギだが、美神たちは彼の話にポカンとしてしまっていた。眩暈や頭痛がするのは、気のせいだろうか?
「はあ……それで?」
「て言うか、ぜんぜん大いならない……。目的、滅茶苦茶ちっちぇえじゃねぇか……」
「“関連資料”って、もしかしてコミックスの事じゃないですよね……?」
さて、どうだろう。少なくとも、早苗は一巻を読んでたけれど。
「戯けが。その小さな利益の探求が、次代を作る大いなる利益の母となるのよ」
「反政府運動家のテロリストが、なに言ってやがる」
「それでだ!」
「聞けよ」
自分の世界に入ると他人の声が聞こえなくなるのは、この手の連中の欠点だ。ニニギが熱くなればなる程、美神たちは冷静になれた。
大丈夫。全ては、こちらの思惑通りに進んでいる……。
「それで、余は思い至った。資料だけでは情報が足りないのならば、アシュタロス、彼本人に直接尋ねればよいのだと!」
「……」
「だが、アシュタロス程の魔神を甦らせるには、膨大なエネルギーが必要だ。並のやり方では出来るものではないし、余の魔力と科学力を以てしても普通のやり方では不可能だ。加えて、彼は最高指導者たちによって罪を赦され、輪廻の輪から外れている。実験として彼の眷属だった少女を復元するのには成功したが、同じ方法でアシュタロス本人を甦らせるのはちと難しい」
彼らの目的はサクヤから少し聞いてはいたが、実際に本人の口から詳しく理由つきで説明されると、矢張り呆れと共に怒りが湧いてくる。そんな事の為に――自分達に死ねと言うのか。
……と言うか、ルシオラは記憶を封じられていたが、アシュタロスがそうならないと言う保障はあるのだろうか。まあ、その為の実験体としてのルシオラか。
「故に、お主らが入用なのだ。膨大なエネルギーをその魂に溜め込める、メフィスト・フェレス。そして、貴様もアシュタロスの作品だ。貴様と言う巨大な器さえあれば、魂の牢獄より抜け出た魔神も呼び戻せるかも知れん」
と言って、その代償として供物にされた美神の魂はどうなると言うのか、想像に難くない。
「とは言え、余も魔神の端くれだからな。常に監視されていると言う訳ではないが、色々と制約が多い。故にあまり時を掛けたくはなくてな、作業効率と成功率を上げる為に、霊力のベクトルを自在に操作できる文珠使いを欲した。無論、文珠使いと言えば神界魔界でも有力者のみだ。連中は愚かで頭が固い、アシュタロスの復元に力を貸してくれと言っても、余の崇高な目的を解さずに一蹴する事だろう。だがしかし、アシュタロスの資料を紐解いていた余は、微力な人間の中にその文珠を生成する能力と言うものを分不相応にも身に着けている男が居るのを知っていた――そう、横島忠夫、貴様だ」
「……眠くなってきた……」
「駄目ですよ、横島さん」
アシュタロスの殺害と輪廻停止は、神界魔界の最高指導者たちの間で決められた事だ。そして当然、大罪人でもあるアシュタロスの復活などを企めば、それはそのまま両政府への反逆である。文珠を生成できるような実力者がその計画に賛同してくれる筈もないし、下手に話を持ち掛けて計画がばれてしまっては元も子も無い。とすれば、人の身でありながら文珠を生成する能力を持つ横島を、攫ってきて協力させた方がリスクが少なくて済むと言うのは、至極まっとうな結論だった。……彼の中では。
「分かったか。美神令子、横島忠夫、お前達と言う材料が今ここに揃った。さあ、来るんだ。今すぐにでもアシュタロスの復活を――」
「待って」
玉座から降り、美神と横島に手を差し伸べて力説するニニギ。その手を掴まずに、美神は腕を組んで彼に尋ねた。
――駄目押しの一手を積む為に。
「要するにあんたは、アシュタロスを復活させる為の道具に、私達を使おうって言う訳なのね?」
理由など、どうでもいい。お前の想いなど、知った事か。重要なのは……
「ああ、そう言っているだろう」
「あっそ……」
重要なのは、その事実。
「だってさ。――聞いた? ヒャクメ」
「!?」
……その言質。
『バッチリなのねー』
不意に横島を振り向いて、ここには居ない神の名を呼んだ美神。しかし、彼女の言葉に返事をした声は横島のものではなく、件のお調子者の女神の声だった――
「何……?」
ニニギの瞳が、驚愕に見開かれる。
役立たずの神様の声は、彼の計画の失敗を容赦なく告げた。
『こちら、神界政府諜報部。今の会話は、全部きっちり録音させてもらったのねー』
神界や魔界の指導部も、末席とは言え魔神の一角であるニニギの不穏な動きは、察知していたし警戒もしていた。ニニギが監視の目の届き辛い魔界の隅に陣取り、上級魔族たちを集めて“何か”を企んでいると言うのは彼らも掴んでいたが、一体何をしようとしているのかすら分からなければ対処のしようもなく、目を光らせつつも手を拱いているところだった。
そこに来て魔界軍特殊部隊のワルキューレとべスパから提出されたのは、“その身に不相応な力を身に付けた”下級魔族――ネイターの骸。能力付与は、ニニギの得意とするところである。案の定、ネイターの屍骸からは彼の魔力が検出された。報告されたネイターの死に様を考えると、矢張りニニギが何か良からぬ事をしようとしているのは間違いないとされた。
そして……
『そして、今の自白で決定打なのねー。アシュタロスの扱いは、知ってますね? 彼の復活を目論むなんて、考えるだけでも重罪ですよ』
ましてや、それを実行に移すなどとは。
当然、それ故にニニギはこれまでひた隠しに隠していたし、部下たちも足の付かない連中を選んで配した。慎重の上にも慎重を重ねてきた計画だったが、最後の最後で詰めを誤ったのは――結局“美神除霊事務所”を嘗め過ぎたからである。
「ほんと、でかしたわ、横島くん。ヒャクメに繋がる通信鬼を、まだ持ってたなんてね」
「あはは……お褒めに与かり光栄っす。……てか、“俺が居るから”ってそう言う意味だったんすね」
美神に褒められつつも、ちょっと素直に喜べない横島。美神が必要としていたのは、自分自身の力ではなかったから。しかし、兎に角にもこれでこの場が切り抜けられるとなれば、文句を付ける理由は無い。
横島の開いた掌の上に浮かぶ通信鬼からは、ヒャクメの講釈が更に続いている。
『この事は、直ちに上層部に報告させてもらうのねー。大方の事は神界魔界の上の方の人達も掴んでるから、私達が証拠を提出さえすれば、すぐにでも討伐隊がその城に駆けつけるのね』
城の位置は特定できているし、魔界政府軍にはすぐに動かせる部隊も用意してある。それでも目的から手口から巧妙に隠されていたから、攻める事も弾劾する事さえ出来なかったが(サッちゃんが詰問しても、しらを切るばかりだった)、堤も白蟻の穴から、と言うには少々穴だらけだったかも知れないが、ともかく崩れた。
後は、数と力の論理を以て、一気に踏み潰すのみだ。
「権力をバックに付けるって言うのは……、主人公の手口としてどうなんですかね……」
「いいんじゃない? 公権力ってのは、正当性の根拠とすりゃ一番説得力のあるもんだし。それを味方に付けるのだって、そうなるように整える力量が要る訳だしさ」
事前に知っていたとは言え、流石にちょっと引き攣った顔のおキヌちゃんに対し、隣の横島は平然としている。まあ、こんなもんだろと。周りの状況を自分の有利に動かすには、それだけの能力が必要なのだ。
そして、その美神はと言うと、いきなり追い詰められて呆然と立ち尽くすニニギに、退路を断つべく更に追い討ちを掛ける。
「ち・な・み・に! ここに来るまでの間に、私があんたの実験装置やら何やらを全部ぶっ壊してきてあげたから。討伐隊が攻めて来るまでの間に、アシュタロスを復活させちゃおうなんてのは出来ないからね?」
更に言えば、その装置を作ったオモヒカネは、既にこの城を離れている。今から実験装置を整えるとして、討伐隊の襲来までに間に合う筈が無い。とすれば、美神を連れて逃亡するか? 否、それも――不可能である。
「そう、私達の逃げ足も確保してあるから、悪しからず」
そう言って美神が取り出したのは、『雷』の文珠。時空移動能力に目覚めた美神なら、横島やおキヌちゃんもろとも、これで何処なりへと逃げられる。その場合、城に残される事になるシロたち(現時点、下の階で美神たちを探索中)を人質に取られる可能性もあるが、それがどうした、すぐに討伐隊が来るのだ、逃亡するにしてもシロたちを連れて行くのに全く意味は無い。
つまり、これで――
「チェックメイトよ」
それから一月後、妙神山修行場。
「おや、横島くん。いらっしゃいませ」
「おー、ジーク。久し振り……でもねぇか」
「はは……」
門の前で掃き掃除をしていた魔界留学生のジークフリート少尉と話しているのは、修行者ではなく、ここでの最高メニューをこなした筈の横島忠夫。
「んでよ、“あいつら”居る?」
「居ますよ。……どこへいける身分でもないですから」
そんな事を話しながら、二人は扉を開けて修行場の中へ入っていった。
「ジーク殿が来てから、儂らの負担が減ったのう、左の。門前も常に綺麗に保たれておるし……」
「ほんにのう、右の。ずっと留学しててくれれば、よいのにな」
「――で、ニニギと名乗っていた例の魔神ですが、結局あの後すぐに身柄を拘束されました」
「あー、そうなんだ。俺らはメドーサとかが一緒に居たから、魔界の軍隊の人達とかお偉いさんと直接顔合わせるのはまずいとかっつって即行とんずらこいちまったからな」
「それで彼の今後ですが……取り敢えず極刑ものなんですけれどね。まあ、彼は末席とは言え魔神ですからね、すぐに同じ存在として転生する事でしょう。尤もその場合、一応生まれ変わると言う事で記憶やら性格やらもリセットされるので、再び美神さんや横島さんを狙う事はないでしょうね」
「ふーん」
「……まあ、美神さんや横島くんのように転生しても似たような性格になってしまう可能性も無きにしも非ずですが、上層部も彼には監視の目を強めていますし、まあ、少なくとも今の人生では危ない事はないかと」
「へー」
「ただ、今回の事であなた方の有用性が知れ渡ってしまいましたからね。時空移動能力の危険性は言うに及ばず、美神さんにも注意を促しておいて下さい。……って、横島さん?」
「? 何だよ」
「聞いてますか……」
「き、聞いてるよ、聞いてるよ。ただ、あんま興味のねぇ話だったから」
「興味が無いって……貴方ね」
「もう終わった事だろ? どうでもいいよ……」
「……」
ニニギのその後に関する報告をジークから受けながら横島が目指しているのは、修行場の奥にある宿泊用の部屋。ここに居る“彼女”に、横島は会いに来たのだ。
ジークに呆れた顔をさせながら、部屋の襖を開いた。
「……あ、横島さん」
「こんちは、サクヤちゃん。元気してた?」
「いや、《サクヤ》って、私の本名じゃないんですけど……」
あの後、ニニギと共に討伐隊に捕らえられたサクヤだったが、横島たちに情報提供をし、ニニギ摘発に功があったとされ、罪一等を減ぜられて、まだ若年だと言う理由で妙神山へ預けられる事となった。身寄りが無く、他に行くところが無かったと言うのもその理由の一つだ。
と言う訳で、今はパピリオと共に小竜姫の弟子と言うところに落ち着いている。
「どうよ、新しい生活にもちょっとは慣れた?」
「ええ、まあ……。小竜姫さまもパピリオも大聖さまもジークさんも鬼門さん達も、みんないい人達ですし。それに――」
「それに?」
「……いえ……、ごめんなさい、何でもありません……」
そう言って、サクヤは控えめな微笑を浮かべた。あれからまだ一ヶ月、流石にまだ少し肩身が狭い思いなのだろう。サクヤのように、真面目で必要以上に周囲を気にするタイプであれば尚更だ。
ここに居られるのも、元はと言えば“彼女”のついでと言う事であったし……。
「ところで、あいつらは?」
「えっと、今、修行場の方に行ってます。もう、帰ってくると思うんですけど――」
と、横島が口にしたお目当ての“彼女”。背後から聞こえてくる足音は、噂をすれば影が差すと言う奴か。
「ポチ! 来てたんでちゅか、なら声の一つも掛けて欲しいでちゅよ!」
「いや、今、来たとこだったし」
妙神山の変に中華な修行服を着たパピリオが、満面の笑みで横島の背中を叩いた。
「ま、いいや。元気そうだな、パピリオも。サクヤちゃんとは、仲良くしてるか?」
「勿論でちゅ。なんてったって、パピリオは“先輩”でちゅから!」
「ははは……」
誇らしげに胸を張るパピリオに、曖昧な笑いで返す横島。いや、そこは褒めて欲しいんんだって。と言う事は、子供は好きでも教師志望でも保育士志望でもない横島には分からなかったらしい。自分で話を振っといてそれと言うのも酷な話か、案の定パピリオは頬を膨らませてしまっている。
「ところで、パピリオ。“あいつ”はどうしたんだ?」
「え? 変でちゅね、さっきまで一緒に居た筈でちゅけど……」
困った横島は、話を逸らした。それに応じて、パピリオは背後を見渡した。“彼女”は、先程まで自分の後ろを付いてきていた筈だが……はて?
「あ、あそこ……」
見付けたのは、サクヤだった。
“彼女”は、襖の陰にバツ悪そうに隠れていた。
「あ、何そんなとこで隠れてるんでちゅか、ルシオラちゃん。折角ポチが来たって言うのに!」
「え……あ……、うん……」
“彼女”は、ルシオラは、横島から目を逸らしたまま襖の陰から出て来た。
「ルシオラ! 何だよ、隠れなくてもいいだろ」
「……ヨコシマ……」
上目遣いに横島を見上げて、消え入りそうに小さな声でルシオラは彼の名を呼ぶ。どこか、居心地悪そうに。
「仕方ないですよ。ウズメさんは、まだ記憶が戻ってないんですから……」
「ルシオラちゃんは、そんな名前じゃないでちゅってば! せっかく生き返ったったって言うのに、ポチの事どころか、パピリオやべスパちゃんの事まで忘れてるなんて〜」
重く沈みそうなぎこちない雰囲気を何とか取り成そうとするサクヤと、その雰囲気が純粋に気に入らないパピリオ。態度は正反対だが、横島やルシオラを心配するその気持ちに違いは無い。
あれから、横島は最近ちょくちょく妙神山を訪れていた。それこそ、殆ど週末になる度に。赤貧の横島が、交通費に自腹を切ってこんなところにまでやってくるのだ、パピリオやサクヤにも、そしてルシオラにも、彼の気持ちは痛い程に伝わっていた。
「ま、仕方ないって。俺も記憶喪失になった事あるし、そのうち思い出してくれるって」
そう言って笑う横島だが、期待はしていなかったとは言え、落胆は隠せない。
ドクターカオスに相談してみたりと打てる手は打ってみたのだが、何分オモヒカネは行方不明の上、ニニギに話を聞く訳にもいかず、更には彼女を復活させるのに使った装置(科学的・呪術的なもの含めて全て)や研究資料をも全て美神が壊してしまったから、どうにも手が出ない。結局のところ、自然に記憶が戻るのを大人しく待つしかないと言う事で、横島達も納得していた。
「ポチも、記憶喪失になった事あるんでちゅか。どうやって思い出したんでちゅ?」
「ん? ああ、えっとな……」
美神の裸を見て――とは……流石に言えない。
「ま、まあ、何でもいいじゃん。何とかなるって」
「?」
まあ、たぶん横島の裸を見たところで記憶は戻らないだろうから……。
「……ヨコシマ」
そんな苦笑いの横島に、話題の中心であるルシオラが歩み寄った。
「……ごめん、悪いけど……まだ何も思い出せないの。パピリオの事も……貴方の事も」
「あ、ああ……いいって、気にすんなよ。その内に思い出してくれりゃいいからさ」
本音を言えば、出来る事ならすぐにでも思い出してもらいたいのだが、横島とて流石にそんな事をストレートに言うほど野暮ではない。申し訳なさそうな表情で自分を見上げるルシオラを前に、彼女の罪悪感を刺激するような事など言える筈が無い。幾ら欲望に忠実だとは言っても、彼にはそんな度胸は無かったし、一応の常識や良識は持ち合わせているのだ。
「そうね……、前の記憶を取り戻したら、きっと貴方の事も好きになれるんだろうけど……」
「ルシオラ……」
「ほんとにごめん……、私の為に色々やってくれてるのは有り難くも申し訳なくも思うんだけど……、今の私は、やっぱり貴方を好きとは言えないわ。私の居場所を奪った、貴方を……」
本当に申し訳なさそうに目を伏せつつも、こちらははっきりと言い切るルシオラ。実際――今の彼女には、横島やパピリオの好意は辛かった。彼らが見ているのは、親切にしてくれているのは、自分ではなく昔の自分に対してであるから。
「……ここに居るのが、辛いのか?」
「そう言う訳じゃないけど……」
そう、そういう問題ではないのだ。しかし、自分の知らない過去の自分も、矢張り自分ではある訳で……。彼らの言に拠れば、前の自分も今の自分と同じような性格だったらしい。それが尚更、彼らの郷愁を誘うのだろう。そしてそれが、尚更ルシオラの心情を辛くする……。
「ただ……、本当にごめんなさいってだけの話で……」
「なに言ってんだよ、そんなん、仕方ねぇって。ルシオラが気に病む事じゃないよ」
「ええ……」
彼らは純粋に、自分を必要としていてくれる。自分と言う、一個の魔族を。道具として、実験材料としてしか必要としてくれていなかったニニギ達とは違う。
けれど……それでも……
「こらー、パピリオ! 修行場の掃除をしときなさいと言ったでしょう!」
ルシオラの思考は、遠くから聞こえてきた小竜姫の怒声に中断された。
「やばっ! 掃除をさぼったのが、小竜姫にばれたでちゅ。ほんとに目聡いでちゅね。ジークと言い小竜姫と言い、どうしてここは小姑ばかりなんでちょうか。全く、その観察眼をもっと別のところに……」
「パピリオ!」
「はいはーい!」
近付いて来る小竜姫の声に、パピリオも観念して出頭していった。
「あはは……もう、パピリオったら。すぐばれるのに、どうしてさぼろうとするのかしら」
少しリラックスしたような表情で笑うサクヤ。いつもの事、のようである。
「ったく、しょーがねぇなー、パピリオは。なあ、ルシオラ」
「え、ああ……」
そう言って話を振る横島は、もう既に自然体だ。そこには、気負いも何も感じられない。
そう、自分は、この一ヶ月でパピリオがいつも修行場の掃除をサボろうとするのを知っている。自分は、彼らとこの話題を共有できる。彼らは……今の自分を見ていてくれている。
気負う事など、何も無いのだ。後ろめたく思う事なんて、何も無い……。
「そうね」
ルシオラは、横島に笑みを零した――
美神除霊事務所の門は、鈴女の働きによって既に修復されている。
『いらっしゃいませ、横島さん』
「おう、人工幽霊一号。お疲れさん」
『皆さん、お待ちですよ』
「げ、まーた美神さんに怒鳴られっちまうかな」
人工幽霊と何気ない挨拶を交わしながら、横島は事務所の扉を開けて、廊下を通って応接間に向かう。そこには、既に職場のみんなが勢揃いしていた。
「おっそーい。また遅刻か、横島。いい加減にしなさいよ」
「ま、まあまあ、美神さん。仕方ないじゃないですか、横島さん、妙神山まで行って来たところなんですから」
顔を見るなり口開一番お説教の美神と、それを宥めるおキヌちゃん。いつもの光景だ。
「せんせー、お土産とか無いでござるか」
「あぶらげっぽいのはー?」
「……すまんが、俺にはそんな金は……」
「如何わしい本とかビデオとかに手ぇ出すの、止めたらいいじゃない」
「それでも、交通費を捻り出すのが精一杯なんだよおぉぉお! 親父やお袋も、殆ど学費と家賃で消える程度の金しか出してくれんし!」
シロにタマモ、同じく職場の仲間。彼らにとっては、家族にも等しい存在。
「……美神さん。いい加減、横島さんのお給料もうちょっと上げてあげた方がいいんじゃ……」
「う……いや、まあ……その内……ね」
「……そんな、恥ずかしがる事もないのに」
「何か言った?」
「いえ、別にっ」
いつもの喧騒、仲間達の笑顔と怒声。
「ま、それは兎も角。フルメンバー揃った事だし、早速仕事行くわよ!」
「へーい」
「はいっ」
「了解でござる!」
「面倒臭いけど……ま、世話になってるしね」
普段と変わらぬこの場所が、やっぱりそう、幸せの在り処。
美神除霊事務所。
「さあっ! 今日も、バリバリ稼ぐわよッ」
『美神SОS!』 fin.
今までの
コメント:
- 終わったぁあああぁぁぁあ!
……よね? 伏線、全部回収した……筈……だよね……?
と言う訳で、漸く最終回まで漕ぎ着けました。ここまでお付き合い下さった皆様に、まずは感謝を。
まあ、色々と煮え切らない最終回ではありますが、自分の中ではもうこれしかないと言う感じなんで。特にラスボス戦(戦ってないけど)……何かまだ穴があるような気もしますが、強引に納得しておいて下せぇな。
ルシオラの扱いは、こんな感じに。ルシオラ生き返ったよー、横島とラブラブだよー、じゃちょっとおかしい気がしたので。かと言って、完全に戦線離脱も変なので……。やっぱり、横島には特別な存在なのでしょうし。
何にしても、取り敢えずメインの三人はきちんと書けたから、よしとしますかな。叱咤激励、お待ち申しております。 (竹)
- この作品には初めてコメントするアースです。実は初めから拝読していましたが、今までコメントしていなかった不届き者です。黒幕の魔神の名前が気になっていたのですが、結局名前は出ずじまいですか・・・・目的を明らかにした途端、すぐに逮捕とは・・・実に哀れですな。
私は黒幕の魔神は七十二柱の誰かだろうと勝手に思ってました。(魔神と出てくると何故か七十二柱の連中だろうと思ってしまいます)
ルシオラの復活に対し、素直に「おめでとう」と言いたい気分です。 (アース)
- 魔神をたった一話でどう倒すかと思えば、横島が原作でも言ってた「力で力に対抗するなんてバカ」「情報を制する者は世界を制す!」ってやつですね。実にGS美神らしい反則技でした。こういうのには慣れてますね。
ルシオラの記憶に関しても安心してます。記憶喪失なんて死んでるのと比べれば軽い軽い。要するに二重人格になって前の人格が寝てるとかいうふうに考えればいいんですよね。だいたいおキヌちゃんも横島も記憶喪失経験者だし。
横島たちがあんまり心配してないのも納得です。せいぜいちょっと気まずいって程度ですね。
美神さんも立ち直りましたし妙神山は賑やかだし。原作で最終回やる前に最後の長編やってこんなふうにルシオラが復活してればもっと気持ちよく終われたんですよねえ。そういう意味では最も展開予測にふさわしい作品だったの思います!完結お疲れ様でした! (九尾)
- ここまで長篇展開(思わせぶりな敵の手下、謎の黒幕)できておいて、短篇的オチ(実はへっぽこボス……いや、陰謀の規模や悪党としての器が小さいと謂うわけでは非く、たったの一話で片付いてしまう程度の、と云う意味)で一気に収束……す、すっかり予想を裏切られたっ!(ちょい悔しいらしい)
ここまで風呂敷が拡がった(あいつの復活のおまけつき……いや、近年の食玩なみか? もしくは『ビッグ・ワン』か)のなら、もー一暴れして極楽へいかせて欲しかったというのも正直な所。いやはや、お約束な純正少年まんがノリは嫌いではないですし、前半部分でやけに勢いがついてしまったばかりにソッチを期待してしまうのはまあ人情ってヤツで……つーか、こんなに早く終わるだなんて想定外でしたよ、うう。おいらも「修業が足りない@Try my heaven」。
てなワケで、最終話のみの判断では中立って事で。
全体を通してみると、あいつの復活はあるわ、サクヤは気の毒&オモシロだわ、原作ギャグの引き移してんこもりでニンマリだわ、大胆な原作解釈も満載だわ、ノリが良くて全体的に明るい雰囲気だわ……実にイロイロと楽しませていただきましたので、総じて大きな賛成です。
竹さん、連投ありがとう&お疲れ様でした! (Iholi)
- 「わははははははっ!そー来るかいっ!!」
読み進んでの一言はコレでした。まさかラスボスが笑いと共に片付けられるとは……さすがはGS世界、といったトコです。
それにしても、両陣営から小突き回されて転生させられることになった“ニニギ”って……同情はするけど、それ以上に腹の底からこみ上げてくるこの笑いは一体なんだ(なんか爽やかな笑み)!?
いや、お腹一杯になりました。圧倒的過ぎます、竹さんは。 (すがたけ)
- まずは完結おめでとうございます。
最後にサイキック猫だましでかわされたような感じで、思わずニニギのあごがカクーーンと落ちている絵が目に浮かびます。
そして、絶句以外にただの一つも弁明させない容赦のなさが、なんとも椎名作品らしくて(笑)
ま、そんなことよりも、ラストでなお、わだかまりを抱えているルシオラの心情がよかったと思います。
竹さん自身があとがきに書かれているように、生き返ってラブラブな終わり方だったら興ざめだったかもしれません。
また次の作品を楽しみにしています。お疲れ様でした。 (赤蛇)
- 完結おめでとうございます。そして、お疲れ様でした。完結を受けてまた頭から読み返したのですが、緩急も効いた構成と、ここまでなったお話を収束された事に、まず頭が下がります。
で、お話の展開、内容についてですが、純粋に楽しませていただきました。
ニニギとの対決については、この底意地の悪さと言いますか、悪知恵の冴えと言いますか(どっちにしろ悪か)が、実に美神らしいなあと(笑)。追い討ちをかけてる辺りなどは、原作の美神の「良い笑顔でドきっぱり」な絵柄が浮かびました。
ルシオラに関しても、素直にラブには転ばず、それでいて将来を予感させる終わり方は、良かったと思います。
では、次回作も楽しみにしております。 (臥蘭堂)
- 完結おめでとうございます。
楽しませていただきました。
ギャグとシリアスの切り替えに戸惑うこともありましたが、全体を通して見ると、やはり安定して高レベルを維持している良作だったと思います。
今回は、大山鳴動して鼠一匹という言葉を適用したくなるボスキャラには笑いました。
まあ、鼠といっても本当はミッ○ーも真っ青なデンジャラス鼠で、それをただの鼠にしたのは美神の手腕(ギャグ含む)なのでしょうが。(笑)
何はともあれ、お疲れ様でした。 (キリュウ)
- 完結おめでとうございます。
読み返していたので、レス遅くなりました。
最終回、実に「美神」らしくてニンマリしちゃいましたよ。
んで、ルシオラとの関係も納得いく物でした。
作品を通してGSらしいご都合主義と底流には現実主義が混在していましたが、どちかかが破綻しているといった物ではなく、バランスが取れていたと思います。
しばらく長編は書かれないそうですが、新作楽しみにしています。 (とおり)
- 皆様、ありがとうございました!
>アースさん
ニニギやサクヤ達の本名は、結局考えるのが面倒臭……もとい、思い付きませんでした(笑)。七十二柱の何たるかは、申し訳ありませんがよく分かりませんで、平にご容赦を。
>九尾さん
取り敢えずは、ハッピーエンドって事で。それなりに上手く閉められたのではないかと思っております。
>Iholiさん
拍子抜けの感は、矢張りあるかと思われます。ただ、ラスボスは何かハメ技っぽいので呆気なくと言うのは初めから決まってた事で、そう感じて頂けたなら、ある意味計算通りと言う事に……(笑)。
>すがたけさん
ラスボス戦は、どうしても納得のいく展開が思い付かなくて、GW中ずっと悩み通してこの形になりました。ええ、僕がヒャクメイトだから、彼女を出したかったとか言う訳じゃありませんよ?(笑) (竹)
- >赤蛇さん
ヒャクメ登場以降ニニギが一言も喋ってないのは、自分も書き上げてから気付きました。変になっちゃうかなと思いつつそのままでいったんですが、思いの外うまく機能してくれたようで……。ルシオラは、やっぱり少し唐突過ぎましたかね。
>臥蘭堂さん
わざわざ読み返して頂けるとは……! 感謝感激。試行錯誤の後が見え見えで、ちょいと恥ずかしいっす(汗)。
>キリュウさん
ギャグとシリアスの切り替えは難しいっすね。と言うか、ギャグ自体が難しい……。それでも敢えて二次創作を書こうとするのは、やっぱりGS美神が好きだからなのでしょうね。
>とおりさん
こちらも、読み返して頂けるとは……有り難き幸せ。現実主義と言う訳ではありませんが、最低限の原作準拠は意識してキャラや能力を縛りました。――いえ、ご都合主義ですけどね?(笑) (竹)
- 長編連載お疲れ様でした。
言いたい事はほとんど他の皆様がおっしゃっておりますので、素直に一言。
ありきたりな予定調和やヘタなラブラブに走らず、ほんのりとした爽やかさを感じるラストに満足の2文字でした。
本当に面白かったです。 (ちくわぶ)
- 遅ればせながら、ありがとうございます。>ちくわぶさん
過分なるお言葉、ありがたく頂戴致します。 (竹)
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