動き出した歯車〜第三話〜
投稿者名:アハト
投稿日時:(05/ 5/ 8)
動き出した歯車
第三話『敵の正体』
横島が襲われた直後ピートは、タイガーと別れて単身放送室へと走っていた。
もちろん、ドアには鍵がかかっていたが躊躇無く霧になると内部に侵入した。
ピンポンパンポーン
『除霊委員からのお知らせです。校舎内にいる人は至急避難してください!
繰り返します。校舎内にいる人は至急避難してください!』
ピートの放送により校舎内から、人が激流のように流れ出て行った。
一方タイガーはタイガーで、職員室から美神に電話をかけていた。
今、横島が何者かに襲撃を受けているのだと言う電話を。
もちろん、美神は、事務所にいたのですぐに向かうと返してくれた。
タイガーは、横島の元へ帰ろうとも思ったのだが、けが人を抱えていたためとりあえず保健室に向かうことに決めた。
「……あかん。腰が抜けてたてん。」
一方横島は、何とか生存できたようではいずるようにして屋上の扉の前まで来ていたのだが。
横島が目の前にいる状態で扉が勢いよく開いた。
「横島さん!大丈夫ですか!?」
「ぐはっ!?」
扉で顔面を強打した横島は、顔面を血だらけにして、地面に突っ伏した。
それを見たピートはおもわず
「っく、一足遅かったか。すみません、横島さん。」
こんなことを言ったのだが。
横島は、まだ意識があったらしく弱々しくも反論をした。
「か……勝手に殺すな。」
「よかった!生きてたんですね!」
そんなピートに横島は、思わず殺意に似た何かを感じたが実行に移すほどの気力はもはや無かった。
かくして、横島はピートに連れられて怪我の治療のために保健室へと向かった。
こうして三人と他一人は諮らずとも保健室に集まることになった。
「ピートさんに、横島さん!無事だったんじゃの〜!!」
「とりあえず。横島さんの出血を止めないと……」
そういって、横島をベッドにねかせると包帯をあさり始めるピート。
そんなピートを見てタイガーは一言。
「横島さんに、そんなものが必要なんかの〜」
「……それも、そうかな?」
ピートもいつもの横島の怪我の状況を見ているのでそんなことを口走った。
もちろん、横島にもその言葉は聞こえていて。
「お……お前らな、俺だって、人間だぞ!」
「でも、血止まってるじゃないですか。」
血が止まっている以上、横島の意見は説得力に欠けていた。
横島は、ベッドに座りなおし頬杖を着くと不機嫌な顔になった。
タイガーとピートは、そんな横島を見て、思わず苦笑いを浮かべるのであった。
一方、学校に着いた美神他二名(おキヌは学校のため出動できず)は、いぶかしい顔をしていた。
学校に着いたはいいが別段異変などは感じられなかったからである。
「……別に問題は無いみたいだけど。」
「あっちで、なんか集合してるみたいでござるよ。」
「あ、ほんとだ。」
シロが指差したほう(グランド)に大勢の人がいるのを見た美神一行は、近づいて事情を聞くことにした。
見回していると、横島のクラス担任の先生がいた。(仮称山田太郎)
「どうかしたんですか?」
「いや、除霊委員から避難するように放送がありまして、ここに避難してるんですが。」
山田先生から詳しいことを聞くと美神たちは校舎内に入っていった。
「……保健室の方に何か強いのが一匹いるわね。」
見鬼君片手に校舎に入った美神は、そんなことを呟いた。
「何でまたそんなところに?」
「わからないわ。でも行ってみるしかなさそうね。」
美神たちが、保健室の前まで来ると、横島たちの談笑が聞こえてきた。
美神としては、折角助けに来たのにもう何もすることが無いというのは、虫の居所が悪くなるくらいのことで
「横島ぁ!!こんなところでなにやっとるか!!!」
「み、美神さん。何でここに!!」
「わ、わしが呼んだんじゃ。」
一同は、美神の剣幕に気おされて思わず後ろに下がった。(横島だけは、条件反射で土下座)
「何かわからんけど、堪忍してください!!!」
土下座をする横島を尻目に美神は、後ろを振り返りシロとタマモをみると
「シロにタマモ外にいる先生たちにもう安全ってことを伝えてきてくれる?」
シロとタマモは無言で頷いた。
美神は、シロとタマモが頷くのを見ると扉を勢いよく閉めた。
美神は、扉を閉めると土下座をしている横島に近寄って
「横島君、一体何があったのか説明しなさい。それとそいつは誰?」
美神は、説明を促すとともにベッドで気を失っている仮面を被った人を見て尋ねた。
布団を被っているため翼は隠れているが、美神からしてみれば人でないのは一目瞭然である。
「そいつは、俺が襲われる前に屋上に落ちてきたんっすよ。」
「それで、わっしがここまで運んできたんじゃ。」
横島が、できるだけ詳しく襲撃の件を話していった。
しかし、魔族が出てきた直前まで話すと話すのをためらった。
「どうしたのよ。あんたが生きてる以上なんか起きたんでしょう?」
横島は、ピートたちに話したところまで話してためらった。
美神がここにくるまでに今と同じようなことがあったのだが結局話さずじまい出終わっていたのだ。
だが、相手が美神とあっては隠しとおせるはずも無く
魔族との一部始終を話した。
一ヶ月前の魔族の交渉のときに自分が
”お前たちに手をかしたらアシュタロス戦のようなことが起きるんだろ?
そんなことをしたら、あいつを裏切ることになるからな。俺は、手をかさない。”
こういって、交渉をつっぱねたことも
「……なんで断ったの?」
「何でって言われても。今、言ったとおりっすよ。」
美神としては、横島が交渉を断ったことが不思議だったのだ。
アシュタロス戦の後いつもどおりに振舞っていたのだが、時折夕日を見て上の空になっていることがあった。
そんな、横島を見ていた美神にとっては、横島が確固たる信念を貫くなど考えられなかったのだ。
「あいつらに手を貸したりなんかしたら。俺が、あいつに怒られちゃいますからね。」
「……それならいいわ。」
美神がそれだけ言うと、いったん室内は静まり返った。
そんな時、遠慮がちに保健室のドア静かにが開いた。
「は、入ってもいいでござるか?」
おそらくは、じゃんけんなどで負けたせいではじめにはいるはめになったのだろう。
保健室に顔だけ出して様子を伺っている。(タマモは、シロの後ろに隠れている)
「いいわよ。さっさと入ってきなさい。」
美神としては、なぜ入らないのか不思議に思うところだが他の三人から見れば、当然の事である。
入れと美神に言われたシロは、後ろにタマモを従えるような感じで入ってきた。(タマモは、シロを盾にするように入ってきた)
「……なんの話だったの?」
「後で話してやるよ。」
シロとタマモは、とりあえず横島の隣まで歩み寄って、タマモは横島に先ほどの話はなんだったのか尋ねた。
「とりあえず。場所を移しましょ。」
「わかりました。学校は、早退っつうことで。」
お前らはどうすると横島は、ピートとタイガーに視線を送るが二人は、とりあえず授業に戻ると言った。
「一応、一段落したみたいですし。後で、話を聞かせてください。」
「わっしは、今日補修授業があるけぇいけないんじゃ。」
二人は、そういうと自分のクラスに戻るために保健室の扉を開けて出て行った。
「ところで、場所を移すって、どこにいくの?」
「あら、天使とか神様とかいう関係ならうってつけの場所があるじゃない。」
美神の言葉に横島は、苦笑いを浮かべた。
横島一行は、唐巣神父の教会まで来ていた。
唐巣は、美神の顔を見た瞬間顔色が変わった。
「先生こんにちわ♪」
「……美神くん。何の用事かね?」
明らかに落ち込んだ表情ではあったが、美神に用件を聞いた。
「ちょっとベッド貸してほしいのよ。怪我人がいてさ。」
「……その程度ならいいだろう。入りなさい。」
「先生、ありがと。」
唐巣はほんの軽い気持ちで招き入れたのであろうが、横島が背負っている人を見て怪しんだ表情になった。
横島が背負っていたものが、顔を仮面で覆っていて体がシーツのようなものでくるまれているものだったのだから仕方ない。
「み、美神くん?それは一体……」
「だから、怪我人よ。怪我人。」
美神一行は、そのまま奥の部屋に向かっていった。
唐巣も美神を招き入れたことを少し後悔しつつ美神たちのあとを追った。
横島は、背負っていたものをベッドの上に下ろしさっさとシーツをとってベッドの上にまた寝かせた。
「とりあえず。事情の説明を頼むよ。」
「横島君。お願い。」
横島は、美神に促されて事情の説明をした。
唐巣は、驚きを隠せない表情だった。
流石に、神魔界の勢力は知っていたが現に天使が横島を襲うなどとは思っていなかったようだ。
「……とりあえず。そこの人が回復してから詳しい事情を聞いたほうが良さそうだね。」
「そうね。もう傷はふさがってるし、気がつくのを待つだけか。」
とりあえず、一同は天使が目覚めるまでの時間をつぶすことにした。
美神は、天使がいる部屋とは、別の部屋を借りて寝た。
横島は、シロとタマモの相手をしていて、間違えて家庭(教会)菜園へと足を踏み入れてしまい野菜の大群に追われることとなって徒労を重ねた。
空が茜色に染まるころ、おキヌが下校帰りに教会へと寄た
前もって事情説明をしていたためあわてることは無かったが、横島の顔を見て改めて安心したのは言うまでも無い。
「タマモちゃん。美神さんは?」
「どっかの部屋で寝てる。」
タマモがそう答えたときちょうど美神がおきてきた。
流石に寝すぎたのであろう、少し気分が悪げである。
「そういえば、まだ目覚めないの?」
「わからないでござる。唐巣神父に聞かないと……」
美神の問いにシロが答えている途中に唐巣が美神たちに、”天使が目覚めた”という知らせを運んできた。
その知らせに一同は、ぞろぞろと天使のいる部屋へと向かった。
「助けていただいてありがとうございました。」
美神たち全員が部屋に入ったとき、天使はそういった。
男のものとは違うトーンの高い声で。
そのことに皆(先ほどきたばかりのおキヌを除く)なぜか驚いたが、一番驚いたのは、横島であった。
「お、女だったの?」
「はい、そうですが、それが何か?」
横島が何もしないので、てっきり皆男だと思い込んでいたのだ。
横島は横島で、自分が気がつかなかったことにショックを受けていた。
「っと、仮面をつけたままでは失礼ですよね。」
そういって、仮面をはずせば、金色の細かい髪が零れ落ちてきて整った顔が外気にさらされる。
それを見れば、もちろん横島が行動を始める。
「美人のねーちゃん!!種族を超えた禁断のーッ!?」
「こんなときぐらい我慢なさいッ!!」
そして、もちろん美神によって脳天に肘鉄を受けて床に叩きつけられる。
もはや、いつものことなので美神は気にしないようだが
他の人は、横島を苦笑いを浮かべて見ていた。
「で、手っ取り早く話してもらうわよ。あんたが何者なのかを」
「……わかりました。お話します。」
美神以外の人は、ベッドに座っている天使が横島の護衛か何かだと思っていたので、美神の質問を訝しく思ったのだが、天使の話を聞いて疑問は消え去った。
天使が語ったことは、自分がいわゆる伝令兵であること
地上にいる神族にあることを伝えて回っていたということ
途中、横島を狙う一派との交戦に巻き込まれ負傷してしまったこと。
その三つを語った。
「……とりあえず。あんたが何者かはわかったわ。」
美神が、聞きたいことを察したのか天使は口を開いた。
「すみませんが、これは神魔族の問題ですので、人間の方には……」
「ふざけんじゃないわよ!!横島君が巻き込まれてるのよ!?少なくとも私たちには聞く権利があるのよ!!」
美神が、怒りをあらわにし天使を問い詰めた。(その他大勢は、美神の気配に気おされ、話に割り込めれずにいた)
天使は、美神の形相に気をされながら、美神の理屈に納得し話し始めた。
「わかりました。お話しましょう。今から話すことは、真実ですのであしからず。」
天使が話したことはこの場にいる者たちの想像を絶することであり、
それは終末の者ロキが戒めを解き放ち、姿を消したということだった。
あまりの事態の重さに一室は、静まり返った。(とは言ってもわかっているのは、唐巣と美神だけ)
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あとがき
今回は、いや今回も文章が不安なのですがご了承ください。
ところで、書いていて思ったのですが……見ている資料が北欧神話のものだった。
これって、OKなのだろうか……
今までの
コメント:
- 北欧神話はOKでしょう。各地の神話や伝承がごった煮っぽく配置されてるのが、原作の魅力の一つですし。
でも、ロキというと『ケンイチ』の“戦う参謀”しか思い浮かばない俺って……(単なるサンデーバカ)。 (すがたけ)
- 確かに原作じゃ、設定等はかなりチャンポンでしたからねw私も問題無しだと思います。 (帝)
- >すがたけさん。コメントありがとうございます。
こういう設定がOKならとことんつっぱしって行きたいと思います。
戦う参謀は、僕も好きだったんですが、眼鏡外しちゃったからね〜(サンデーバカがもう一人)
>帝さん。コメントありがとうございます。
設定資料ばらしたというよりロキを出した時点で最後が見えてしまうような気がしますが。これからも頑張っていきますんでよろしく。
では、また。 (アハト)
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