ザ・グレート・展開予測ショー

その再会(とき)がくるまでに


投稿者名:never green
投稿日時:(05/ 5/ 5)




夢―――――――を見た。



昔はそうでもなかったが、最近よく見る。
目に手をやると泣いていた。
悲しいのかどうかでさえ、わからなくなりそうだ。
涙と一緒に、感情が何処かに流されてしまった。

しばらく布団の中でぼんやりしながら、上半身を捻り反対方向にある時計を眺める。
その日は五月というのに妙に暑く、自分の抱きしめているソレを退かした。

抱きしめているソレは彼女ではない・・・。




=== その再開(とき)がくるまでに ===




ほんの数週間―――――いや数日、季節が一つめぐる一瞬の出来事。
誰にも看取られず、一人の女の子がこの世界から消えてしまった。
六十億の人類から見れば、きっと些細なことだ。
でも六十億の人類という場所に、きっと俺はいない。

いないとしたら何処にいるのだろう。



あるいはいつか、此処に戻ってくることがあるのだろうか。
ずっと前に失くしたモノが、ある日ふと見つかることがある。
きれいな、昔あったままの姿で。
失くしたときよりも、かえって新しく見えたりする。
まるで誰かが、こっそりと大切にしまっていたかのように。

そんなふうにして、彼女の心はまたここに舞い戻ってくるのだろうか。



部屋を出る。一匹の何処にでもいるようなスズメが空高くへと飛び上がった。
合わせて、きれいで、雲一つない空を見上げる。
階段を一段一段ゆっくりと下り、見えない目的地まで歩きだした。



ときどき、夢なのか現実なのかわからなくなるときがある。
過去の出来事が実際に起こったことなのかどうか。



それでも歩き続けないといけない。

それはきっと忘れることはできないから。

だから歩き続けないといけない。














その再会(とき)がくるまでに



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