ザ・グレート・展開予測ショー

どようの深夜に


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(05/ 5/14)

 ※ このSSは、犬雀さんの「どようの夜」に発想を得て、うっかり書き上げてしまったSSです。 投稿の許可を頂いた犬雀さんに、感謝を込めて送ります※





「くっ…ね、眠れんっ!」

 ホー、ホー、とフクロウの鳴く声が聞こえる、山郷の、灯りの多い街とは違って闇の支配する夜の中。
 遅くなったから、泊まっていけ。という村長の勧めで泊まった、連れの一人で自分の弟子の家の中。
 寝床の中で一人苦悶する男がいた。
 昼間、日頃の食生活に対する恨みを晴らさんとするかのように、これでもか!これでもか!?いやまだだ!まだ終わらんよ!とばかりにウナギを腹一杯になるまで詰め込んだバカ野郎、横島忠夫である。
 普段ロクに食わない(食えない)日々を送っていて、いきなりそんなカロリーの高い食い物をカッ食らったら、嘔吐したり腹を壊すのだろうが……横島はギャグの世界に生きる者。その生命力のせいか、その点は問題が無かった。
 その点は。
 では何が問題だったのかといえば……ウナギだ。
 もう一度言おう。横島が食べたのはウナギだった。しかもヤツメウナギ。これは強請には持ってこいの逸品。
 普段の必要カロリーすら摂取できていない状態で、煩悩魔人とまで呼ばれる彼がそんなものを食べてしまっては…
 現在、彼はも〜しんぼーたまらんほどモンモンとしていて、なおかつギンギンだった。

「く……こーなりゃ、しゃーねぇ。一本ヌイとくか」

 猛るブツを静めようと、一人自家発電にふけろうとする横島。
 幸い、山郷だけあって気温は低め。
 同じ屋根の下に連れ2人、自分と同じく泊まっているタマモと家の主のシロがいるので、2人にバレないように布団を頭までかぶって発電開始。

「………………ん…」

 時折声は漏れるが、無言で実行。同時に妄想をスタート。
 普段はその対象は上司やらその同業者たち、同級生やお隣さんなどなのだが、この時は違った。
 彼がモンモンとしていたのはウナギを食べた少しあとからずっと。そしてその時、すぐ傍に美少女が2人。しかも、一人はミニスカート、一人は片足を大胆に露出したカットジーンズ。
 それで無防備にあぐらなどで座られた日には…!!しかも、何故か今日は2人ともベタベタしてきてたしっ!シロだけでなくタマモまでっ!!ああっ!?新鮮さが俺を惑わす!?俺はロリコンじゃない!ロリコンじゃないんやーー!!
 ………………で、でも……きょ、今日だけならいいかな?……うん、今日だけなら、いいよ…な?

 という具合に自分を誤魔化すことに成功した横島は、さっそく今日の記憶を頭の中でリプレイ&改竄。己の都合のいい妄想に変えて、本格的に発電を開始した。

「……くぅっ……シロ……タマモッ……!…」

 そしてしばしの後、彼は果て、被ったままの布団の中に男のニオイがこもる。
 無論そのまま耐えられるはずもなく、布団から頭を出して息を吸った横島の顔を、誰かがつかんだ。

「な?だ、だれだ!?」

 それに帰ってきたのは、濡れた声。

「拙者でござるよ…センセイ…」

 クゥン…と鼻で鳴きながら、横島にすりよって来たのはシロ。そしてそのまま布団にもぐりこもうとする。

「ちょ…」

 止めようとした横島の口に手を当てて黙らせ、シロはするりと横島の隣に入り込んだ。

「な、な、な…」

 動揺する横島。何だかんだ言って彼に経験は無い。いざこうなった時に、どうしていいのか解らないのだ。
 しかも相手はさっきまで妄想していた相手(の一人)、それを見つかった罪悪感やら恥ずかしさやらで、すっかり混乱してしまっていた。
 そんな横島にかけられたのは、やっぱり濡れたオンナの声。

「…センセイ…拙者、熱いのでござる…」
「そ、そうか!?だったらこんな事してないで外にでも…」

 はぐらかそうとする横島を、シロはぎゅっと力を入れて抱きしめて、離れまいとする。

「イヤ」
「い、いやって……熱いんやろ?」
「そう、熱いんでござるよ…拙者、下っ腹が熱くて、眠れないんでござる」
「な、な…」
「センセイも、そうでござろう?だから、さっきあんな風に…」
「う……!?」

 布団をかぶったくらいでは、犬神の耳や鼻は誤魔化せなかったらしい。
 恥ずかしい事実を指摘され、大声で誤魔化そうとした横島だったが、シロの手が彼の固くなった部分をつかみ、それを留める。

「拙者の名を呼んでくれて、嬉しかった…」
「そ、そうか…」
「でも…」
「う?」
「女狐の名まで呼んだのはどういう事でござるかぁー!!!」
「あいててててて!!痛い!痛いってー!!」

 急所を握り締められ、逃げることもいい訳すらもできない横島。

「こーなったら、この落とし前はカラダでつけてもらうでござるよ!」
「いやぁ〜〜!カンニンしてぇ〜〜!!」
「ははは、よいでわないか、よいではないかぁ〜!」
「あ〜〜れ〜〜〜!!」

 そして、おいしくいただかれてしまう横島と、その後キッチリ逆襲されるシロ。
 その一部始終を見聞きしていて、やはりモンモンとしていたのが限界を越え、仲間入りするタイミングを伺うタマモ。
 今、この3人に避妊にまで考えをやる余裕は無く。数ヵ月後には、玉のような赤子を授かる事となるのだが…
 まぁ、けっこー幸せっぽいのでいいのではないだろうか。


 <完>





 ところで――
 人狼の里少子化問題解決を謀った長とそのお付の一行が、窓の外からこっそり覗いていたりしたのは――
 まぁ、余談だろう。


 <こんどこそ完>

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