ザ・グレート・展開予測ショー

狐連れ狼!!


投稿者名:ちくわぶ
投稿日時:(05/ 5/23)


(注意:このお話は私ちくわぶが黒犬さんのリクエストを受けて制作した時代劇パロディです。深く考えたりせず、かる〜く読むことをお奨めします)







 これは江戸時代のお話……






 多くの人で賑わう江戸の町。
 そんな往来に看板を出す茶店『氷室』がある。
 優しく腕のいい夫婦が切り盛りし、明るくかわいい1人娘が給仕をしていることで評判の店である。
 名物はぷるるんとして、冷たくおいしい『わらびもち』




 だが、そんな『氷室』の家族に危機が迫っていた!!
 


 ある日突然店の中にズカズカと入り込んできたのは、町でも有名なゴロツキの大男『虎吉』と、金髪ジゴロの異国人『ピート』
 そして2人の後から、高そうな着物を着たやや背の低いツリ目の男『越後屋(雪之丞)』が不敵な笑いを浮かべて席に腰掛けている。


 そしてしばらく店の中から言い争いの声が聞こえ、うら若い娘の悲鳴が響き渡る。
 看板娘のおキヌが、虎吉の肩に抱えられ、連れ去られようとしていたのだ。

 
「どうか、どうか娘だけはお許しください越後屋様!!」
 すがりつく店主を蹴飛ばし、越後屋はお茶を飲み干し湯飲みを放り投げる。
「うるせぇ!!氷室さんよぉ、この店を開くときに投資した金をまとめて返してくれるってんなら、俺達もこんな事しなくて済むんだよ。わかるだろ?」
「借りた分は返しました!!それなのに、どんどん利子がふくらんでいって…これじゃ詐欺ですよ!!」
「あ〜?金貸しが利子を付けて何が悪い?とにかく、娘は借金のカタにもらっていくぜ。」


「くっ…娘を返してくれ!!」
 堪忍袋の緒が切れた店主は虎吉に体当たりをするも、彼の巨体はビクともしない。
「がっはは、かゆいノー!!もっと腰を入れんシャい!!」
 虎吉の張り手が炸裂し、店主は机をなぎ倒しながら吹き飛ばされてしまう。
「そんだけ元気があれば安心だ。せっせと働いて、早く借金を返してくれよ氷室さん。はっははははは……!!」



「お父さーん!!」
「おキヌー!!」









 こうして、看板娘おキヌは悪徳高利貸し越後屋にさらわれてしまった。
 店主が店先で悲観に暮れていると、そんな彼に声をかける者がいた。







「もし……そのように悲しまれて、一体何があったのでござるか?」



 声の主は、変わった形の乳母車を押す見目麗しい侍(シロ)であった。
 乳母車には幼い娘(タマモ幼年バージョン)が乗っており、縁を両手で掴んだまま冷めた目で店主を見つめていた。



「あ、あなた様は……?」
「これは失礼。拙者は狼一刀(おおかみいっとう)と申すが、知り合いからはシロと呼ばれております。これは我が娘のたまもでござる。」
「……ちゃん(まったくやる気のない声で)」


 狼一刀(以後シロ)の髪は透き通るように白く、腰下に届くほど。
 前髪から頭頂部へかけてはクセによって毛が立ち、燃えるように赤く染まっていた。
 その一軒奇抜な髪型はあたかも、誇り高い狼のたてがみを連想させた。
 細身の体に不釣り合いな剛刀『胴太貫』を差し、凛としたたたずまいを見せる。


 娘のたまもも、美しい金色の髪が後ろで九つに束ねられ、子供ながらに不思議な雰囲気を漂わせていた。



「聞いて下さいますかお侍様…じつは……。」



 氷室の主人は、下の娘おキヌが越後屋にさらわれたいきさつを話した。




「そうでござったか…非道な……。」
「ああ、このままでは娘は遊郭に売り飛ばされてしまう…私はどうすればいいんだ!!」
「行き先に心当たりは無いのでござるか?」
「越後屋は娘をさらうと、いつも裏でつるんでいる代官に味見をさせるとか……この代官がまた助平で、むしろ代官が娘をさらわせているという噂もあるほどなのです。ああ、おキヌ……!!」
「……その助平代官の名は?」
「確か横島と……。」



「!!」


 
 横島という名を聞いた瞬間、シロの表情が険しくなる。



「その……助平な代官の話に間違いはないでござるか?」
「はい、この町に住む者なら誰でも知っております。今までにも多くの娘がその毒牙に……。」



 シロは目を伏せ、ゆっくりと呟く。



「……店主殿、そなたの娘は拙者が連れ戻すでござる。安心召されい。」
「ほ、本当でございますか!?」
「拙者、その代官には因縁があるのでござる。代官の屋敷の場所を教えてくれぬか?」
「は、はい!!なにとぞよろしくお願いします!!」




 ぺこぺこと頭を下げる店主を脇に、シロは1人遠くを見つめていた。


(やっと見つけたでござるよ……)



















 ここはお代官様の屋敷。
 あたりは日も暮れ、月が闇を照らしている。
 ろうそくの明かりに照らされた障子には、2つの人影が。


「それではお代官様、金の菓子をお納めください。」
「うむ、しかと。」
 そういって代官(以後横島)は、小判の包みを袖の下に滑り込ませる。
「ふふふ、儲かっているようじゃないか越後…いや、雪之丞。おぬしもなかなかワルよのう…。」
「へへへ、お代官様程じゃあございませんや。」



 お約束のやりとりをした2人は顔を見合わせ、ニヤリ。



「「わーっはははははは!!」」



 ひとしきり高らかに悪人笑いを響かせた後、横島は扇子を開いてパタパタと仰ぐ。
「ところで雪之丞……その、アレだ。例の……連れてきたんだろ?」
「お代官様も好き者ですなぁ。」
「お前だってこの後、お弓という娘のところにシケ込むんだろーが。」
「へへへ、バレてましたか。気が強い娘ではありますがね、アレの時は猫みてーにかわいくなるんですよ。」
「あーあー、腹ぁいっぱいだ!!なんかますますムラムラしてきたじゃねーか。」
「それじゃあぼちぼち……虎吉!!」



 越後屋(ここより以後雪之丞)が手を叩くと、おキヌを抱えた虎吉が部屋へ入ってきた。
 隣の部屋へのふすまを開けると、すでに布団が敷かれている。



 戦闘態勢は万端だ。
 ちなみに枕元には妙薬『倍櫓(ばいやぐら)』と、『ヤツメウナギの蒲焼き』がセットされている。
 「今夜は寝かせないぜ!!」という意志がビンビンに感じられる仕様だ。


 タイガーはおキヌを布団の上に下ろし「うらやましいですノー」と言いながら雪之丞と共に部屋を出て行った。





「さて……お前、名は何という?」
 横島は扇子をピシャリと閉じておびえるおキヌに尋ねる。
「あ、わ、私キヌと言います……。」
「おキヌちゃんか…時に、惚れた男なぞはいるのかな?」
「えっ?」
 ずいっ、と顔を近づける横島に、おキヌは顔を赤らめて目を逸らしてしまう。
「私、まだそういうの…よくわかりません……。」
 もじもじと恥ずかしそうに答える仕草に、横島の煩悩メーターが一気にMAX値まで上昇する!!


「よかろう!!この俺が男というものを教えてあげようじゃないかぁッ!!」


 素早くおキヌの腰帯に手をかけると、あっという間にほどいて引っ張っていく。


「あ〜れ〜〜〜!!」


 くるくると回転させられたおキヌは、あっというまに下着姿にされてしまう。
 横島はすかさずヤツメウナギを平らげ、倍櫓を数錠呑み込むと、ぷはぁ、と一声。
 そしてルパンダイブで押し倒す!!


「ああっ!?おやめくださいお代官様!!」
「よいではないか、よいではないか!!減るものじゃなし!!痛くしないから!!」
「っていうか、せめてもうちょっと前の色々な手順とか……あああっ!!」



 バァン!!


 抵抗するおキヌと布団の上でもぞもぞしていると、突然ふすまがものすごい勢いで開かれた。





「そこまででござる横島殿。」
「……ちゃん(やる気のない声)」



 そこにいたのは、たまもを抱いて鬼のような形相をしたシロの姿であった。
 背景に「ゴゴゴゴゴ……!!」と効果音が付きそうな程の怒りのオーラが発せられている。




「何者だ!?いいところを邪魔しやがって!!見張りはどうした!?」
「役に立たない番犬たちには眠ってもらっているでござるよ。」



「その声……お前……シロか!?何でこんな所に!?」
「ようやく見つけたでござるよ横島殿…いや、先生!!」
「バカな、誰にも過去のことは話してないはずなのに、なぜ居場所が!?」





 この悪代官こと横島、かつて山中で道に迷い、人狼族の里に迷い込んだことがあった。
 そんな横島を看病し、世話をしたのがシロである。
 横島はお礼にと剣術を指導し、いつの間にか2人はいい感じになっちゃった、というわけだ。
 しかし、ある日横島は別れも告げず里から姿を消してしまった。
 その後を追い、シロは里を飛び出してきたのだ。 




「先生の行動はまったく変わっていないでござる!!若い娘と見れば見境なく手を出しまくり、あの頃うら若き乙女だった拙者も……許せないでござる!!」
「い、いや、あれは確か合意の上でのことだったはずでは……?」
「拙者が怒っているのはそのことではなくて、何も言わずにいなくなったことでござる!!」
「俺はな、文明社会を離れては生きていけない体質なんだよ!!だから仕方なかった……。」
 そう言いかけて横島はギョッとする。
 シロの目にはいっぱいの涙が浮かんでいた。



「拙者が…どれだけ心配したとおもってるんでござるか……先生のばかぁ……。」



 横島はきゅーんとした!!(ドラクエ風に)



 横島はシロをそっと抱きしめ、涙を拭いてやる。

「すまなかったシロ…だからもう泣くな。」
「先生……。」
「ところで……この冷たい視線を俺に浴びせかけるこのコはいったい誰なんだ?」
 2人の間に挟まれてイヤそうな顔をしているたまもを見て横島が尋ねる。



「拙者と先生の子供でござるよw」
「……ちゃん(やる気のない声で)」


















「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」



 それから数十秒間の間横島は固まったままだった。
 どう考えても計算が合わないとか、これからどうしようといった思考が凄まじい勢いで回転し、そして……


「ふ、ふふふ……ははーっはははー!!」


 壊れた。




「せ、先生?」



「ふふふ…いままで失敗したこと無いのが自慢だったのだが…認めたくないものだな、若さゆえの過ちというものは。」

「あの、一体何を……?」

「こうなりゃーもう、1人だろーが2人だろーが同じじゃーい!!」

「先生、なんだか下腹部にカタい感触が……。」

「たりめーだ!!ヤツメウナギと倍櫓でパワーアップしたところを中断させられたおかげで、俺の『欲棒』はもうえらいことになっとるんじゃあ!!どう責任取ってくれる!?」

「責任って…まさか先生、ここでは……しないでござるよね?」

「2人まとめて相手したるわ!!君と僕とでヤ○マーだぁっ!!」




 完全にプッツンした横島はタマモも押し倒し、本能にインプットされた動きで手早くシロの着物を脱がせにかかる。




「ここじゃイヤー!!子供が、子供が見てるぅっ!!」
「へっへっへ、子供には何のことかわかるまいて。」


「……ちゃん(心底イヤそうに)」




「そういうわけで、2人ともいっただっきまーす!!」



「「きゃー!!」」(おキヌとシロ)







 どげしゃぁっ!!






 突撃しようとした瞬間、突然何者かに後頭部を殴り飛ばされる。
 横島はその勢いで壁にめり込み、死にかけた蛙のようにピクピクと痙攣していた。




 横島を殴り倒した主は、栗色の長い髪に、ぼんきゅっぼん!!のナイスバディのお姉様。
さっきの怒ったシロが可愛らしいマスコットに思えるほどに怒りの炎を燃やし、まるで鬼神のごとくである。


「あ、あなたは……『暴れん坊お姫様』の異名を持つ、美神令子姫様!?」
 とつぜんのVIPの登場に、おキヌは思わずひれ伏してしまう。


「よ〜こ〜し〜ま〜ぁっ!!!!」
「み、みかみひゃん……なんでここへ……。」
 横島はずるずると壁からずり落ち、ひっくり返ったまま美神を見上げる。


「ほんっと〜に偶然だったんだけど、全部聞かせてもらったわよ。」
 その瞬間、横島は全身の血が確かに凍り付くのを感じた。


「せっかくお忍びで会いに来てやったら、3人同時プレイな上にオプションまでこさえやがって……パシリの分際で派手にヤってくれたわね……!!」



 わなわなと震える美神の手には、神通棍がバチバチと音を立てて激しくスパークしていた。



「あっあああ、これはその、話せばわか……うぎゃああああああ!!!!」
「本当の意味で極楽にいかせたるわぁぁぁぁ!!」




















「……はっ!?」
 横島がふと目が覚めると、そこは美神所霊事務所のオフィスであった。
 自分は今、ソファーで横になっている。
 ……そうだ、俺は確かシロの散歩に付き合って燃え尽きたんだっけ。


 頭を振って辺りを見回すと、すぐそばのテレビで時代劇がやっていた。
 そして画面に釘付けになってしっぽをぱたぱたさせているシロの姿が見える。


 シロはいつものボーイッシュな姿で、着物姿ではないことに安堵のため息をつく。
 そういえば、衛星放送で時代劇特集があるとかで、シロが楽しみにしてたっけ。


(しかし、なんちゅー夢だ……)


苦笑いしながら体を起こすと、シロが横島に飛びついてきた。



「おわっ!?こら、俺の上に乗っかるな!!」
「やっと起きたでござるか先生♪ずっと寝てばっかりだったから、退屈だったでござるよ〜散歩行こうでござる散歩……ん?」

 言いかけたシロは、自分の下腹部に当たるカタいモノに気が付いた。

「先生、なんだかカタいモノが出っ張っているでござるよ?」
「だあああっ!?コラ、さわるんじゃないっ!!これは寝起きと疲れの時に起こる男の生理現象だ!!」
「へ〜面白いでござる♪」
「やめんかあああっ!!お前ホントに子連れ狼になりてーのかっ!!」
「どういう意味でござるか?」


「わかった、散歩でもなんでも行ってやるから離れてくれぇぇぇぇ!!俺は、俺は決して失敗せんからなぁぁぁぁっ!!」




こうして、今日も2人ののどかな1日が過ぎていくのでありました





おしまい

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