ザ・グレート・展開予測ショー

時が過ぎ行くまで… 1


投稿者名:ひにゃ子
投稿日時:(05/ 5/ 1)

ダークシリアス(だと思います、違ったらすみません。)警報です。
苦手な方はご注意下さい。

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いつかあなたもきっと解るでしょう 本当の優しさを
だからわたしもきっと笑えるでしょう 約束したから
忘れないで 忘れないわ
それまでさよなら 時が過ぎ行くまで…

「横島さん…。」

アシュタロスが倒されてから数ヶ月が経った、とあるの日のこと。

その日は午前に1件仕事があっただけで、午後は依頼でもこなければ別段暇であった。
だから美神もシロもタマモも、皆、自室で寝ていた。
そんな中、応接室でのこと。
それは最近、よくある光景だった。
おキヌがじっと、ソファに座る横島を、立ったまま見つめる。
最近少しでも暇があればいつも、とあるCD聞いてる、そんな彼を。

−あの歌を知ってからずっと、横島さんは−

そのCDには今流行りの歌が収録されている。
横島はそんな流行など疎い、いや、余り興味を示さなそうなものだ。
例え流行に興味があったとしても、彼は薄給の身で極貧。
たかがCD1000円、されどCD1000円。
それに横島の性格や状況からしていつもならそれだけのお金があれば当面の食料か、あるいは好きな雑誌を買うはず。
しかもその歌はバラード。
彼が好きそうな音楽には余り思えない。

−ずっと…。−

けれど横島はそのCDを購入し、聞いていた。
CDを聴いているときの彼の眼は何時もの彼と違って暗く、
何も映していないようで見ていて痛くなるものだった。
単に横島を知るという者なら、傍から見ていても不思議な光景に見えただけだろう。
けれど彼を本当によく知る者には痛いほど解っていた。特におキヌには。
横島がそのCDを購入した理由。横島がその歌を聞き入る理由。
横島が…その歌を聴いている時に暗い目をする理由。

−ずっと…。−

いつかあなたもきっと解るでしょう 本当の優しさを
だからわたしもきっと笑えるでしょう 約束したから
忘れないで 忘れないわ
それまでさよなら 時が過ぎ行くまで…

歌の歌詞だ。
横島は歌の歌詞に彼のこころの傷を、彼の思い人を重ねてるのだ。

今はもういない、横島の命を救い代わりに死んでいった彼の思い人−。

−ルシオラさんのことだけ…−

おキヌは思う。
かつて幽霊だった時に沢山の人の生き死にを自分は見てきた。
だから解る。
彼のこころを癒すことができるものがあるとすればそれはきっと「時」。
だけど解らない。
彼のこころを癒すことができる自分がいるといえばそれはきっと「夢」。

おキヌは音楽をひたすら聴き続ける横島を見て時折悩んだ。
本当に彼のこころを癒せるものは「時」だけなのか?
本当に彼の心を癒せる自分は「夢」でしかないのか?
それは単に自分の決め付けではないか?自分にも何かできるのではないか?
横島に何度も声を掛けようとして手を伸ばしかけて押しとどまる。
彼に手を伸ばせば自分と彼との関係が全て壊れてしまいそうで。

おキヌはいつもそうして彼の後ろでじっと彼の背中を見ていた。
その日も彼女は横島の背中を見ていた。
今日もいつもと同じだろうと思っていた。
次の仕事が来るか、或いは帰る時間が来るか…
そうでも無い限りいつもと同じようにずっと
何も見ないで彼は音楽を聴き続けるのだろうと。
自分はそんな彼を何もせずにじっと見続けているのだろうと。
そう思い込んでいた。

けれど−

「え…?」

まだ次の仕事は入っていないのに。
まだ帰る時間でも無いのに。

その日は、いつもと違った。

横島が、振り返っておキヌの方を見たのだ。
そして…

「え…えっ、え!!?」

彼は、おキヌを抱きしめた。

おキヌは慌てて彼から離れようとした。

−どうしたの??横島さん、こんなことするなんて−

そうしているうちに彼女ははっとした
嫌な予感が…する。

そして悲しいことにそれは的中する。

「ルシオラ…。」

いつも暖かく感じていたはずの横島のその腕は、
今のおキヌには酷く冷たく感じられた。


いつかあなたもきっと解るでしょう 本当の優しさを
だからわたしもきっと笑えるでしょう 約束したから
忘れないで 忘れないわ
それまでさよなら 時が過ぎ行くまで…


続く。





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はじめまして。基本は横×ルシ派、時点横×キヌ派のひにゃ子と言います。
前々からココを見ててずっと一度は投稿してみたいと思っていました。
あの後普通に過ごしてた横島ですが、
何かきっかけがあればぷつっと切れてしまうこともあるんじゃないかな?
と思って妄想したらこんなことになりました。
横×キヌのつもりでおまけに続き物です。ごめんなさい。
最終的にはHAPPYにするつもりです。
下手糞ですが頑張ってみたいので宜しくお願いいたします。
なお、作中の詩は自作です。

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