ザ・グレート・展開予測ショー

一枚多い


投稿者名:コピーキャット
投稿日時:(05/ 6/ 8)

その給料日も、横島忠夫はトイレの個室に立てこもり、福沢諭吉様の肌触りを堪能せんと、給料袋を開いた。

「……!!」

もう一度、中身を確認する。

「!!!」

やはり、一人増えているのだ。
諭吉様が。
あの美神令子が給料の計算を間違えるわけがない。
それは、デタントが崩れ、黙示録が実現し、アルマゲドンが起ころうとも、あり得ない話なのだ。

「……こ、これは……」

横島の脳裏に、ピートの警告が浮かんだ。

曰く、イタリアのマフィアは殺す相手を油断させるために贈り物をする、と。

つまり、やばい事に巻き込まれるのか?



横島未来予測01――

令子に誘われた横島は、酒を飲みまくっていた。
適当に酔っぱらった頃合いを見計らい、美神は、一枚の紙を差し出し、サインするように言う。

「外泊証明書っすか?」

気楽にサインしたところで、自分が傭兵に売られてしまったことを理解するのだ。
しかも、中東などではなく、魔界に……
いつの間にか神魔界のデタントは崩れ、総力戦に突入していたのだ。

前線で戦う、横島。
前方に見慣れた顔が見える。
小竜姫やヒャクメが叫んでいる。

「横島さん、あたし達を裏切ったのですか!?」
「ひどいのね〜、あたし達、仲間だったのにね〜」

「横島、今は敵同士だ。敵であるものは全て滅ぼすしか無いのだ!」
後ろに控えるワルキューレ大尉。

「しっ、しかし、大尉っ!!」

「あたし達じゃ・ご・不・満?」

グラマン戦闘機……でなくほとんど水着にしか見えない、魔界軍制服を着たグラマラス美女が両脇から横島の耳に息を吹きかける。

一気に沸点に達する横島脳みそ。
神族に向かって突撃する横島。
人類は煩悩を超えられるか!?





「哀しいけど、これが戦争なんスっ!!」









戦争はさらに続く。

部隊を前に拳を振り上げて演説するワルキューレ大尉。
結構自己陶酔が入っている。
早い話がイッちゃってるのだ。





「忠勇なる魔界軍兵士達よ、神界軍は既に形骸である!敢えて言おう、カスであると!!」





なぜか、ワルキューレの背後に巨大な大砲が登場する。
しかも、横島の目には宇宙空間での巨大ロボット同士の戦争が見える。
ヒラヒラのワンピースを着て踊るインド人のねーちゃんも見える。
ついでに、脳内で塩味カシューナッツが水面で爆発する。
横島は新たなる覚醒を迎えたのか!?





「神族の無能なる者どもに思い知らせてやらねばならん。今こそ魔族は立たねばなぬ時であると!魔界は、諸君らの奮戦を欲しているのだっ!!立てよ、魔族!!」

恍惚と腕を振り上げるワルキューレ。


「ジィィィィーーーークッ!!ジ……































……ークフリード少尉、現在の戦況報告を」

ドンガラガッシャーン!

「?どうした、横島、地面に口づけなどして」
「……あ、あんた、流れを読んでくれっ!」










横島未来予測02――

横島が消えてから、一週間。
美神令子の様子は、何気ない風を装っているが、何か隠している事は、おキヌにも感づいた。
仕事の合間を縫って、独自に調べるおキヌ。
そして、ようやく横島を探し当てたのだ。



病院の廊下をおキヌちゃんが駆けてくる。



「横島さん、無事だったんですね。心配しましたよっ!保険金殺人にあったとか、臓器を売られたとか言われたからっ!」































「わからないっス、俺、三人目ッスから」










横島がトイレの中で、お札を眺めていると、手触りに違和感を感じて、引き出してよく見ると下半分が真っ白になっているのだ。
さらに、

『偽札注意。使ったら捕まるわよ』

と書かれているのに気づいた。

「え?」




事務所では、令子が多少の後悔していた。
さすがにちょっとやりすぎたのではないか。
毎回、横島がトイレに入って給料を確認するので、ちょっとしたいたずら心が働いたのだ。

「さすがに……ちょっとやりすぎかも……」

いつものセクハラの罰だ、と自分を納得させようとしても、

「怒るでしょうね……」

生活費の乏しさを考えれば……

「ま、あとで説明して、あのお金の分、何かおごればすむことだろうし……」




一方、トイレの中では……

「た、助かったー」

横島が安堵のため息をついていた。





その後、令子は偽札のことを説明しても、横島は別段気にすることもないことに、令子はかえって疑惑を感じ、警戒するようになったとか。







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