横島君的復讐―3日目 前半
投稿者名:丸々
投稿日時:(05/ 5/31)
―水曜日―
目が覚めた少年が飛び起きた。
「・・・・・あれ!?なんで俺寝てんだ!?
って、なんで玄関で寝てるんだよ!?」
まだ頭の方ははっきりしていないようだ。
「え、っと・・・・・何してたんだっけ。」
記憶を辿る少年。
『父さんは急ぎの仕事が入ってな。
これから出かけるんだ』
さり気なくゴムをスーツのポケットに入れ、
下着の中に香水をふる父親。
『たまには女子高生も悪くないな』
昼間に女生徒から渡されたアドレスを眺めながら
ニヤニヤしている父親。
「あんの畜生がァァァァァーーーーー!!!!」
全てを思い出し爆発しかけた少年だったが、ふと違和感を感じた。
問題の父親が部屋でいびきをかきながら眠っていたのだ。
「へ?、あれ??
何で親父が??
・・・・まさか、夢だった??」
思い出した内容と辻褄が合わない。
女に会いに行ったのなら今日は帰って来ないはず・・・・。
そうだ、あの見境のない父親でも、
流石に女子高生には手を出せなかったのだろう。
安心したのも束の間。
―――只今の時刻、午前6時―――。
「あ、朝帰りなのか・・・・?。
い、いや、流石にこの親父でも息子と同い年の女には
手を出さなかったッてことか・・・・?
・・・・え、やっぱり夢オチなのか???」
微妙な時間のため、どうとでも考えられる状況だ。
なら、父親に確かめてみれば、と少年の頭をよぎったが――――
「なんだ?昨夜何かあったかって?
あー、楽しんできたぞ。
やっぱ女は若い方がいいな!
初物だったし、言うことなしだったぞ!。
これから開発する楽しみがあるってもんだ!!」
得意満面でえらい事を暴露する親父の顔が浮かび上がる。
(あ、あかん、聞くのが怖すぎる・・・・。
もしそんな事になってたら、流石に立ち直れんかも。
相手のコに申し訳なさ過ぎる・・・・。
やっぱりここは、疑わしきは罰せずの精神だよな・・・。)
早い話が何も見なかった事にし、記憶から抹消するという事なのだが。
ヤブヘビを避けたとも言えるかもしれない。
(し、しかし、このまま放置するのも不安すぎる!。
何かこう、知りたい事だけ知るような方法はないのか!?)
知恵を振り絞るが、その間も時間は過ぎていく。
朝7時になり、目覚ましが鳴り出す。
父親がセットしておいたのだろう。
「おー、忠夫・・・。
もう起きてんのか?
えらい早起きだな・・・・。」
いたって普通の反応である。
「ああ、なんか悪い夢を見ちゃってさ。
目が覚めちまったんだよ。」
・・・少年は『全部夢オチでした』の選択肢を選んだようだ。
布団を片付け朝食を取る。
「ふぁ〜、昨日は『頑張り』すぎたか。
疲れが取れんな。」
ビクッ!、少年の肩が震える。
「・・・えーと、ナニを『頑張った』んだ?」
聞きたくはなかったが勇気を振り絞り聞いてみる。
「あー?。
仕事に決まってんだろ。
おめーの霊能力見るために
仕事を半日で終わらしたんだからな。」
「だ、だよな。
あははははは・・・・・・。」
少し安心しつつも笑い声は乾いている。
「まー、でも、お前の成長も見れたからな。
無理した甲斐があったってもんだ。」
父親がニカッと笑いかける。
(親父・・・・。)
少年は照れたのか、目を逸らしている。
「ま、流石に半日じゃ全部の仕事は片付かなかったけどな。
お陰で今日は残業になりそうだ。
下手したら今日は帰れんかもな・・・。
とりあえず、これで飯でも食っとけ。」
無造作に諭吉さんを息子に放り投げる。
「え!?
こ、これ、もらっていいのか!?
や、やっぱり、おつりは返さなきゃ駄目か!?」
給料日以外には見る事がない一万円札に、少年は興奮気味だ。
「おいおい、大げさなやっちゃなぁ・・・。
万札くらいで何をはしゃいでんだ?。
晩飯くらいなら食えるだろ?」
釣りも取っとけ、と当たり前のように付け足す。
晩飯が食えるどころか、少年が本気を出せば
一ヶ月はしのげるだろう。
「・・・・・!!」
感動のあまり、もはや言葉が出ないようだ。
「ま、頑張っちゃみるが、いつ帰れるかは正直わからん。
俺を待たずに好きにやってくれや。
鍵も持ってるから寝る時は鍵閉めていいぞ。」
「・・・・・・・!!」
いまだに感動から覚めないらしい。
違う世界に旅立っていった少年を残し
父親は朝食をすませ仕事に行く準備をする。
もちろん家を出る前に少年を小突いて正気に戻す事も忘れない。
「いつまでもボーっとしてんじゃねー!。
飯代取り上げんぞ!!」
次の瞬間、超加速なみの速さで学校に行く準備を終わらせる。
「んじゃ、行ってくるからな。
おめーもちゃんと学校行けよ!!」
「はい!お父様!!
僕ももう出ます!!」
感動のあまり、性格まで変わってしまったようだ。
家を出た二人は別々の方向へ向かっていった。
緩みきった顔のまま少年は登校していった。
それを見たピートやタイガーが引きまくったのは
言うまでもない。
(ふう、会社に着く前に今日の予定を確認しておくか)
通勤ラッシュの電車の中で、真面目な顔をした男が
手帳を開いている。
8:00 忠夫が妙な動きをしないように牽制する。
食費と称して金を渡す。
渡した金をたてに学校に送り出す。
9:00 クロサキ君から今日予約しているホテルの詳細を聞く
10時までに本日の仕事は終わらせる。
10:00 問題なく仕事が片付けば庶務課のエリカ君と会社を抜け出す。
従順な性格だし、昨日の様子だと、恐らく問題なし。
11:00 順調に行けば、エリカ君とお楽しみ中。
12:00 エリカ君を会社に送り、新入社員の営業3課のサエコ君を昼食に誘う
13:00 昨日初めて顔を合わせたばかりなので、じっくり口説く。
14:00 上手く運べばサエコ君とホテルにチェックイン。
彼女と寝るのは初めてなので帝国ホテルのスイートを使う。
(もし上手くいかなければ総務課のミサ君で時間を潰す)
15:00 サエコ君か、ミサ君を会社へ送り届ける。
まだまだ後が控えているが、体力を温存する。
昨日の疲れを取るためにも自室で仮眠を取る。
やはり若いコは―――――――。
(↑インクが滲んで読み取れない)
16:00 仮眠中
17:00 赤マムシとスッポンドリンクを飲んで栄養補給する。
これで今日一日頑張れるだろう。
18:00 前回の帰国時から目をつけていた、
本日のメインディッシュの企画課のチアキ君に仕掛ける。
先月電撃結婚したそうだが、目を付けたのは
こっちが先なので気にしない。
仕事の話と偽って食事に誘えば断るまい。
19:00 ホテルのレストランで食事を取る。
『ホテル』という空間に抵抗を示す前に、先手を取って
「ここは自分が泊まってる所で、既に食事の予約をしてたから」
とでも言っておけば大丈夫だろう。
20:00 まだ食事中だろう。
この一時間で全てが決まるといっても過言ではあるまい。
いつも通り性格分析と情報収集に努める。
21:00 そろそろスカイラウンジのバーに誘える頃だろう。
それさえ成功すれば落ちたも同然。
22:00 以下未定。
チアキ君を落とせたならそれで良し。
万一しくじったなら、街に出て
見知らぬ相手と楽しむのも悪くない。
・
・
・
・
・
・
「・・・・今日は忙しい一日になりそうだ・・・・・」
呟いた男の顔は真剣そのものだった。
―後書き―
3日目に突入です。
うーん、結構順調なペースかな?。
とりあえず完結目指して頑張ります。
後半は大樹氏の視点で話が進んでいきます。
・・・・それにしても、ちょっと短かったかな?
でもちょうど区切りが良かったので、今回はこれくらいで。
今までの
コメント:
- 大樹ってパワフルだなあ・・・羨ましい。それにしても人間一週間くらい、不眠不休でも死にはしないけど色々な物を失いそうな気がする(思考力、気力、それに判断力とか)←今の私の状態。
この外道親父に鉄槌を下せる存在は居ないのか!? 「あのお方」・・・登場するんでしょうか? 取りあえず頑張れ、息子。凄いけど微妙に尊敬できない親父を超えるために。 (アース)
- すでに、非道!!!!!!!!
忠夫、奴は非道、非道の中の非道!!!!!!
目を覚ませ!!!!!
奴を叩き潰せ、いや滅ぼせ二度と転生できないように!!!!!!!! (太った将軍)
- 反抗期だけどやっぱり親は信じていたい息子と、大人気ない汚い大人の親父の遣り取り、そして対比がとても面白かったです。
可愛いけど、流石にちょっと可哀想に思えてきました、忠夫くん。けど、あの父親には勝てんわなぁ……と、手帳の超人的スケジュールを見て思いました。 (竹)
- なんだ、この外道極まりないスケジュールは!?貴様は島○作か!!
そんな外道親父に奢ってやりましょう……青酸入りのブラッディ・マリーを――(殺る気満々)。
クロサキ君がこんな外道親父に従う理由……どんな裏があるのか――やはり、裏であのお方が糸を引いているのか――楽しみです(どうしてもクロサキ君の行動は素直に見れない……当然か)。 (すがたけ)
- 横島くん、どんな手を使ってもいいからこの外道を抹消してくれ。 (いも)
- わ、コメント数新記録です(^^
コメントしてくれた皆様ありがとうございます(゚▽゚)
>アースさん
>凄いけど微妙に尊敬できない親父
いや、全くそのとおりですね(^^;
凄い事は凄いんですが・・・・尊敬できるかといわれると・・・・(汗)
>太った将軍さん
>奴は非道、非道の中の非道!!
もはや大樹氏が進むのは人の道ではありません(笑)。
・・・・・あえて言えば・・・・獣道??(常時発情してますしね)
>竹さん
>大人気ない汚い大人の親父
人は生きていく上で何かしら汚れてしまうものですが、
大樹さんは真っ黒です(所々ピンク?)。
むしろ彼の場合、汚れていない場所を探すほうが難しそう(笑)
>すがたけさん
>クロサキ君がこんな外道親父に従う理由……どんな裏があるのか
全ては後半で明らかになります(^^
私としては一番『彼らしい』と思える理由を選んだつもりです。
やはり、彼の主は2人ですからね。
・・・・皆が幸せになるのって難しいですよね。
>いもさん
はい。
このストーリーの最終目標が大樹氏の撲滅です(笑) (丸々)
[ 戻る ]
管理運営:GTY有志
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa