ザ・グレート・展開予測ショー

かぜのように


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(05/ 5/26)


 日が昇るまであと少し。澄んだ大気が肌には冷たいが、思い切り吸い込むと胸に心地よい。
 地面を蹴る足音がその澄んだ大気に響く。これも心地よい。
 風を切って、はしる。
 点々と照らす人工の灯りの他は、暗闇の中をまっすぐに。
 時折追い越し、すれ違う車のドライバーをビックリさせながら――
 そして何より振り返れば、大好きなあの人がいる。
 今の気持ちのまま、とびっきりの笑顔で話し掛けた――






















「高速道路を走るのは、やっぱり気持ちいいでござるな、先生!」
「少しは手加減せぇっちゅーとるんじゃボケー!!」

 しっぽをぶんぶか振って、ご機嫌なのを力一杯現すシロの問いかけに返って来たのは、横島の罵声。
 だがシロには通じない。なにせ力一杯ご機嫌なのだ。

「そんな事言って、文珠まで使って一緒に走ってくれてるではござらんか!先生やさしいっ!!」
「そーせんと俺が死ぬだろーが!!」

 ほんとうになんだかんだ言いつつではあるが、時折こうして付き合っているあたり、横島は優しいのだろう。
 断りきれない優柔不断さと、押しの弱さも兼ね備えているかもしれないが。



 そして後日。



「今日の除霊は首都高荒らしよ!」
「え?韋駄天さまがまた出たんですか?」
「生身で高速を走っていて、2体で追いかけっこをしてたって証言があるから、可能性は高いわ。さっそく今日から張り込みよ!」

 という会話が、とある事務所でかわされ。

「せ、せんせい…」
「黙ってろ、シロ。死にたくなかったらな…」

 という会話もひそかにかわされ。
 以降、高速道路荒らしは二度と出現しなかったという。
 そのせいで張り込みが空振りしまくり、不機嫌になった女性にシバかれた男性もいたが、まぁいつもの事なので。


 めでたしめでたし。

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