横島君の愉快な人生 1
投稿者名:箱月
投稿日時:(05/ 5/ 4)
訂正
前回の注意で原作36巻が終わった後の話ですがと書きましたが
35巻の間違いです。まことに申し訳ございませんでした。
拝啓
お父様 お母様 どうやら忠夫は
警察のお世話になりそうです。
罪深き息子をお許しください。
敬具
第一話 「横島君の受難」
そんな事がふと頭の中によぎりながら絶叫を上げた状態で
固まっている横島だったが心の中では
まさにパニックを起こしている状態だった。
(や、やばい、やばいやばいやばい! どうしようどうしよう、こんな所誰かに見られたら
警察沙汰に、ま、待てよ、そうだ! これは夢だ、絶対に夢に違いない)
そんな甘い幻想にすがった横島は恐る恐る自分の頬を抓ってみた。
「い、痛い……」
そして幻想は脆くも崩れ去り現実が目の前に立ちふさがった。
(は、ははは、ゆ、夢じゃない、どうしよう? えーと、えーと、そ、そうだこんな事してないで
この子を家にお持ち帰りしてから考えよう)
少女が全裸だということを忘れ、横島が暴走していると、後ろから。
「ちょっと君? そんな所で何をしているんだい」
(!!!)
その声に驚きながらも後ろを振り向くとそこには
たまたま巡回中の警官が立っていた。
(や、やばい!)
と冷や汗をかき激しく動揺しながらも何とか平静を保って警官に話しかける。
「な、なんか御用でしょうか?」
「なんか御用でしょうか? じゃないですよ、これは一体どういう事ですか」
周りを惨状を見ながら横島に尋ねる警官、なお幸いなことに箱の中の女性は
横島が死角になって見えていないようだった。もし警官が箱の中を見ていたら
横島は問答無用で逮捕されていただろう。
そして横島は何とかして言い訳を考えているが。
(だめだ、どんな言い訳をしても箱の中を見られた終わりだ。
くそ、どうにかして箱の中を見られないようにしないと)
心の中でがんばっている横島に警官が歩み寄りながら。
「それと、その箱の中には何が入っているんだい? 少し見せてもらおうか」
まさにそれは横島にとって死刑宣告にも等しい言葉であった。
(くっ! このままじゃ終わる、こうなれば!)
歩み寄ってくる警官に横島はなんと。
「サイキック・猫だまし!」
「ぐわっ!」
両手にためた霊力を猫だましのように破裂させ、
閃光と音で警官の目と耳をふさいだ瞬間、横島は。
「退却ーーー!」
蓋を閉め、箱を担ぎ脱兎の如く逃げ出していた。
「ま、待てーー!」
警官の制止をまったく聞かず、横島は力の限り必死に逃げた。
そして数十分後。
警官の追跡を何とか撒いた横島はボロアパートの自分の部屋で
息も絶え絶えの状態で座り込んでいた。
「ハァ、ハァ、ハァ、……」
そして何とか落ち着いた横島は自分が持ってきた箱の中の少女について考える。
「さてと、一体何なんだ、どうして箱に入って空から降ってきたんだ?」
この少女についていろいろな事を考えるが、
「うーん? ま、考えても仕方ないか、この子が起きるの待つかな」
と横島がいった瞬間、音も無く箱の蓋が開き少女が起きてきたのである。
「なっ!」
そして箱から出た少女は周りを見渡すと驚いている横島に感情の
こもってない声で呟いた。
「……ここは、どこですか?……」
そんな少女の呟きを横島はあらぬ方向を見て聞いていた。
なぜなら。
(何で裸やねん! ていうかその体は僕には刺激が強すぎです)
そう、横島が言うように少女は全裸だったのだ、しかも美人といっても
過言ではなかった。身長は160cm位で、腰まで伸びる淡いピンク色の髪の毛、
整った顔立ち、すらりと伸びる手足、処女雪のような肌、抜群のスタイル、
どれをとっても一級品であり、そして、ひときは目立つのは少女の琥珀のような綺麗な瞳である、
その瞳には横島が見惚れる程だった、そんな美人が全裸で横島の前にいるんだから心の中は
暴走中であった。
(キ、キレイだったな、やわらかそうで……て、そうじゃないだろ!
ていうか、落ち着け俺!)
なんとか心を落ち着かせようとする横島だが、
(あ、でも少しくらいなら……)
とあっさりと理性が崩れフラフラと近づく横島に少女から先ほどと同じ感情の
こもってない声が降り注ぐ。
「どうかしましたか?」
「っ! なんでもございません!」
その声に正気を取り戻した横島はすぐに、少女が着れそうな服を探し出す。
(こんなことしてないで、服だ! 服!)
そんな横島の奇行を不思議そうに見ながら少女は今の状況の整理していた。
なぜ自分はこんな所にいるのか、ここは何処なのか、目の前の男は何者なのか?
いろいろな事を考えてみるが、しかし。
(わからない?)
そう、わからないのだ、どんなに考えても頭に浮かんでこないのだ。
(なぜ?)
先ほどまで研究所にいたはずの自分がなぜこんな所にいるのかまったく覚えが無いのだ。
(どうして?)
そんな風に少女が悩んでいる時、横島が、
「ね、ねえ君、この服を着てくれないかな?」
と押入れから引っ張り出してきたYシャツとGジャンとGパンを彼女に渡し
すぐに後ろを向く。しかし、そんな横島に少女は、
「必要ありません」
と感情のこもってない声できっぱり断った。
そんな返答に後ろを向きながら横島は慌てて聞き返す。
「え! ひ、必要ないって、あんた恥ずかしくないのか?」
「はい、私にそのような感情はありませんので」
「あ、ありませんって! ちょっと待て! うん、ちょっと待ってよ?」
少女のあまりな発言に混乱しつつも横島は何とか少女に服を着せようと説得する。
「いやいやいや! あんたには必要ないかも知んないけど俺にとっては必要なことなんだ、
だから服を着てくれ」
「なぜですか?」
しかし、帰ってきたのは冷たい返答だった。だがそんなことではめげない横島は
さらに説得する。
「ああ〜、そんなこと言わないで頼むから服を着てください!」
そんな横島の説得が効いたのか少女は、
「……わかりました」
と彼女は仕方ないといわんばかりにしぶしぶと手渡された服を着始めた。
そしてようやく服を着た彼女に横島が尋ねる。
「ふ〜〜さてと、あんたの名前は何て言うんだい?」
そんな横島の問いに彼女は。
「ありません」
平然とそう答えた。
「あ、ありません……て、わからないんじゃなくてないのか?」
「はい、私に名前などありません」
人形のような表情でそう答える。
そんな彼女の答えを聞いた横島は考える。
(名前が無いだって、どうして……なんなんだこの子は?)
そんな自分の中で生まれた疑問を口に出す。
「君は、何者なんだ?」
その疑問に少女は淡々と言う。
「私ですか? 私はただの兵器です」
「へ、兵器だって、ま、待ってくれよどういうことだよ?」
「ですから、私はただの兵器です」
「そんなはず無いだろ、何処をどう見てもただの人間にしか見えなじゃないか?」
「いいえ違います、私は遺伝子工学とオカルト技術を用いて造られた兵器です」
表情一つ変えずに答える少女に驚愕する横島
(ま、まさか……この子は)
そんな少女に横島はさらに疑問をぶつける。
「じゃあ……君は何処で生まれたんだ?」
先ほどから変わらない人形のような表情で答える。
「研究室の試験管の中で生まれましたが」
そんな答えを聞いた横島はある考えが頭をよぎる。
(やはり、この子はグーラーや……あいつらみたいな……となると)
そして横島は少女に聞く。
「あんたはこれから行く当てはあるのか?」
その問いに少女は淡々と答える。
「残念ながら、私は研究所の場所を知りません、故に行く当てはありません」
「そっか。」
(どうすっかなーー?)
心の中で彼女の今後について考える。そして横島は彼女を見て決意する。
(まっ、乗りかかった船かな)
「なあ、おまえこれから行く当てないんなら家に住まないか?」
そんな問いに少し驚きながら少女は聞く。
「よろしいのですか?」
「ああ、別にかまわないよ、少し部屋が狭いけど、
女の子一人ぐらい何とかなるしね。」
自信満々の横島に少女はさらに聞く。
「なぜですか?」
そんな少女の問いに横島は嘘偽りの無い本音を口にする。
「別に、君が困ってそうだから、ただそれだけだよ。」
そんな横島の本心を聞いた彼女は礼を言う。
「感謝します」
「べ、別に大した事じゃないよ」
彼女の言葉に少し照れつつも話を進める。
「そういえば何で箱に入って空から降ってきたんだ?」
しかしその問いに少女は、
「誰がですか?」
「誰って、君だけど」
「私が、ですか?」
「何も知らないのか?」
「はい、私は気付いたらここにいたので」
「ふ〜ん、ま、いっか」
とあっさりと諦めた横島は少女に言った。
「そんじゃ、君の名前を決めようか」
「私の名前をですか?」
不思議そうな少女に横島は。
「そっ、だってあんた、名前がないんだろ、だったらまずは名前をきめなくちゃ。
そうそう、なんか希望の名前とかあるかな?」
「ありません」
平然とそう答えた少女に少し怯みつつも横島は。
「いや、そんなキッパリと言わないでも、何か無いの?」
「ありません」
「あ〜〜。」
このままでは埒があかないと思った横島、
「じゃあ、俺があんたの名前を決めちゃうけど、それで良いかな?」
「はい、それではおねがいします」
と了承する少女。
そして少女の了承を得た横島は考える。
(うーん、どんな名前が良いかなー。)
そんな風に考えながら横島は目の前の少女の目を見る。
(綺麗な目だなー、そうだ!)
「決まりましたか?」
「うん、決まった、琥珀だ」
満足気な横島に対して、少女は不思議そうに呟く。
「コハク、ですか?」
「そっ、あんたの瞳が宝石の琥珀みたいに綺麗だから
琥珀てつけたんだけど、嫌かな?」
少し不安そうな横島に少女は、
「いいえ、私にとって名前など意味を為さないのでどうでもいい事です」
と淡々と答える。
その答えを聞いた横島は。
「そっか……」
と苦笑する、その時。
「あっ」
何かに気付いたように声を上げる横島に少女は。
「どうかしました?」
「そういえば俺の名前を言ってなかったね?」
自分が自己紹介をしてないことに気付いた横島は言う。
「俺の名前は、横島、横島忠夫、まあ、好きなように呼んでくれ。」
そして笑顔で自己紹介をした横島に対して少女は。
「横島、忠夫・・・。」
困惑した表情と呆然とした声で呟やいた。そして考える。
(横島忠夫……どこかで聞いたような?)
そんな少女に横島が心配そうに声をかける。
「どうかした?」
「いえ、何でもありません」
その答えを聞いて安心した横島は笑顔。
「そっか、じゃあ、これからよろしくね、琥珀。」
それに対して少女、いや琥珀は淡々と。
「はい、よろしくお願いします、忠夫。」
それは、一人の男と一人の少女の麗らかな春の昼下がりの出会いだった。
とこのまま終われば良いんだがそうは問屋が卸さない、
なぜなら横島はとてもとても大切なことを忘れているんだから。
続く
あとがき
二度目の投稿をした箱月です。
今回の作品も未熟な物ですが楽しんでいただければ幸いです。
今までの
コメント:
- こんにちは、箱月さん。
おもしろくなってきましたね。兵器としての琥珀の実力が気になります。
この後、横島が琥珀を自宅に泊めているのが美神達に発覚しそうですね。
バイトはどうなるんでしょうか?気になります。
最後に質問なんですけど、これって元ネタありますか?私の知ってるマンガに少し似てるもんで・・・。 (never green)
- never greenさんコメントありがとうございます。
それと元ネタについてはマンガのタイトルを教えていただくと
有難いのですが。 (箱月)
- すいません、題名が思い出せません。
確か普通の一人暮らしの男子学生が日本語も知らない裸の美少女を拾って家に泊めて、その後その主人公の学校に転入するというやつです。メロンパンが好きだったような・・・。
○ャンプや○ンデーでは無かったと思います。えっと、題名はカタカナ(or英語)です。
分かったらまた書き込みします。ちなみに最初は○終兵器彼女と思ってみたり・・・。
次のコメントの方分かったらバトンパス! (never green)
- >メロンパンが好きだったような・・・。
似てるかどうかは微妙な所ですけど、それはDearSですね^^
まだプロローグで、なにも物語りは始まってませんので中立です。 (Syla)
- あぁああぁっ!Sylaさんその通りです。助かりましたホントに。 (never green)
- never greenさん Sylaさんコメントありがとうございます。
DearSについてはまったく知りませんが○終兵器彼女については名前だけ知っていますがそれはアニメではないのですか?
あと書き忘れましたが一応自分で考えました。 (箱月)
- 初っ端でまず吹きました(爆笑
はじめまして〜かぜあめと申します〜よろしくお願いしますね。
>>少女が全裸だということを忘れ、横島が暴走していると、
すごく大切なことを忘れてますね、横島くん。
琥珀さんが可愛い可愛い…(笑)敬語なのがポイント高いです(個人的に)まさにボーイミーツガールって感じですね〜
次回の展開が気になります〜箱月さん、頑張ってくださいませ〜 (かぜあめ)
- おおっ、基本だ……落ちモノの基本だ!
基本にとても忠実な上、やはり各所細かい動機付けがちょっぴり物足りなく想いますので、今回の評価はちょい保留です。が、しばらくは見守っていく所存ですので頑張ってください。
『最終兵器彼女』も『DearS』も双方原作はマンガで、アニメ化等多方展開している作品です。前者はサンデー的には『きみのカケラ』の高橋しん先生による、いわゆるセカイ系の代表作品。後者はPeach−Pit先生原作の典型的落ちモノSF(『一番湯のカナタ』も含む)。
で、本作、ぼくとしましては『エルフェンリート』(これもマンガ原作・U系アニメともに継続中)を想い出します。ピンク髪全裸兵器彼女なトコとか(そこかい)。 (Iholi)
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