ザ・グレート・展開予測ショー

損な役職・例外編


投稿者名:never green
投稿日時:(05/ 5/22)

この作品を読む前に良い子はパソコンのディスプレイから30メートル離れて読んでね♪
・・・・・・じゃなくて、この作品はおやじの戯言様の作品『損な役職』の番外編です。ちゃんと本人から了承を得てここに投下しています。ちなみに『損な役職・1』は(05/ 5/ 3)に投下された作品なので先に読んでもらえるとうれしいです(前に二・三回戻るとあります)。読まなくても分かりますけど・・・。おやじの戯言様たいへんありがとうございます。この場を借りてお礼を言わせてもらいます。
では、本編へGO!








「な、何だこの腕はッ」

まず一言はそれだった。その太い腕はゆっくりこちらに手招きをしていて、暫く扉が閉められていたのか妙に霊気が充満している。それを見て女性ではない=男であることだけは判った。

「チッ、男かよ」

緊迫したムードの中でピートとタイガーは相手を警戒して顔が強張っているが横島忠夫は残念そうに呟いた。

「な、何言ってるんですか!」
「そ、そうジャー!」

二人は彼の呆れた発言に突っ込む。そんな言葉にさっきの緊迫した空気はどこかに流されてしまった。そもそもありがちなシチュエーションだからこそ警戒して臆してしまう。もし、ここに小竜姫がいたのなら『彼の言葉でピートさんとタイガーさんが持ち直しましたね』と褒めていたに違いない。しかしここは正真正銘の男子トイレ、来る筈がないだろう。
さて、空気が変わって一旦彼らはその腕をどうするかをトイレの入り口に戻り、愛子と供に作戦会議を行った。

『引っ張ったらいいんじゃない?』

第一意見は愛子からだったが、男性諸君は難色を示した。引っ張ったソレがとてもグロテスクだったら・・・と考えるとやはり触りたくなくなるもんだ。更にトイレということもあり、そのイメージが強くなってしまう。いろいろ話し合っている内にやはり攻撃を加えてみることに決定するが、誰がするかでまた揉め事になった。が、愛子の神(?)の一声が事件を解決へと導いた。

 ・

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 ・ 

「うぅうう〜何でワッシがこんな目に・・・」

やはりやるのはタイガーだった。まさしく損な役職―――損な巨体(←副題)。いや、彼だけではなくここに居る全員、つまり『除霊委員』という役職自体が損なのだ。
そして再び男子トイレに潜入した『損な役職's(男)』は隊長タイガーを先頭に一番奥のトイレの前まで到着した。先頭のタイガーの手に待たれたモノ、それはトイレの水詰まりに定番の吸盤みたいなあの道具―――正式名称『ラバーカップ』が握られている。
どうしようもなかったのだ。ここは公共施設であるためにモノに破壊してはいけない。よって、横島の文殊やピートのダンビールフラッシュもむやみやたらに使えなかった。そこで、愛子が提案したのはこれだった。

『じゃあ、トイレらしくラバーカップで引き抜いちゃえば?』

そこをマジでやろうとするところが彼ららしい。と、いうか本当にこれしかなかったのだ(彼らの中では)。決まってからは行動は早かった。トイレの掃除道具入れから必殺吸引兵器『ラバーカップ』を発動・・・持ってきて、便器のサイズまでは足りないので横島の文殊で拡大する。最後に操縦者を決めるのもすんなり終わった。この巨大な『ラバーカップ』を使いこなせる勇者は、巨大なタイガーしかいない。あぁ、損な巨体・・・。





「い、いくジャー」

三人は息を飲んで除霊作業―――まさしく誤字にあらず悪霊の“吸引”作業を開始した。タイガーは握っている勇者の剣を便器から伸びたその上に被せた。そして、下に押し込み吸引体制は整い、あとは引き抜くだけ。最悪の展開にそなえて、勇者の仲間は手に霊力を込める。

「うぐぐぐぐぐ・・・重いジャー」

吸引はかなり手こずり引き抜くにはタイガーだけでは足りなかった。もうここまできたら、と横島とピートもラバーカップの柄の部分を握り力を込める。そして三人の魂が一つシンクロしたときにそれはスポーンッと音を立て、三人は後方へと吹っ飛んだ。

『助かったよ君達』

反動と衝撃で三人は目を瞑って痛みに耐えていたが、その声を聞いてはっと目を開いた。目と鼻の先には魔族と思われる長身、長髪の男が突っ立っている。どうやら言葉が通じるらしい。

「!!? お、お前は何者だ?」

ピートは右手に霊気を込め戦闘体制に逸早く切り替える。続いて横島とタイガーも相手に対して構えた。

『いやぁ、ちょっともれそうで間に合ったのは良かったんだが、うっかり流されてしまってなぁ』

と、あくまでクールに返答した。

「どうやったら流されるんだよ・・・」

こういうときでも大阪出身の横島はツッコミを忘れなかった。と、ツッコンだ瞬間に横島達の背後から三人の女性が現れた。

『アシュさま―――探したんでちゅよ!』
『ああ、すまない。今行くよ』

魔族四人は何事もなかったようにトイレの窓から空高くへと飛び立っていった。残された勇者三人は何にも言葉が出てこず、ただただそこに立ち尽くすしかなかった。右手に握られた聖剣『ラバーカップ』と共に・・・。

その後無事トイレの事件は解決し、数ヵ月後にはもう忘れ去られてしまった。そして核ジャック事件が始まるのはもうちょっと先のお話。




そんなIFすぎるお話  (終われ)


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