悪夢ふたたび(10)
投稿者名:3A
投稿日時:(02/11/ 4)
『…俺は…』
あの時はそうするしかなかった。そうしなければ彼女は喜ばなかっただろう…
でも…それでも…わかっていても…
『ルシオラ………』
守ると約束した。あの時守ると…しかし守れなかった…自分のせいだ…
『弱い…弱い…弱い…俺は弱いんだ…』
「さて…そろそろ…」
横島の体を奪ったアンは宙に浮いた。そしていつのまにか大きな城が宙に浮かんでいた。
アンは一瞬でその城の中に移動した。そして椅子に静かに座った。
「ガルスビ…生まれ変わってもこのわしを邪魔しおって…しかし…お前の体をのっとり心を消滅させる…」
気味の悪い笑みを浮かべながら言った。
「…!?」
後ろを振り向くと小柄な女が剣をこっちに向けていた。
「…ほほう…小竜姫どのかな…」
「横島さんになにしたんですか!?」
剣を首に近づける。
「これは驚いた…!まさかあの霧を抜けてくるとは…なかなか……やりますな…」
「答えなさい!!横島さんに…」
「別にこのまま首を切り落とされても構わんが…あんたにできるかのう?」
「………」
「あまいんじゃよ…あんたもこの横島というやつも…とくに横島がな…いつまでも死んだ女のことを思いよって…嫌な記憶、思い出を使えばすぐに壊れた。」
アンは笑いをこらえながら言った。
「………な…なんてひどいことを…」
「ひどい?いつまでも引きずっているこの横島がいけないのだ。」
小竜姫はこの男を憎いと思った。この男だけは許せない。
「まあそのお陰で文殊の力が手に入った。そしてガルスビの体をのっとればもうこの体にようはない…もちろん文殊の力はいただくがのう…」
「………」
「さて…あんたみたいな雑魚を相手にするのはいやじゃが…準備運動の相手ぐらいにはなるじゃろう。」
アンは立ち上がり文殊で剣を作り出した。
「横島の剣とは威力が違うぞ…」
また不気味な笑みをし、剣を構えた。
(剣の腕も…私より上のようね…)
小竜姫はそう思った。隙のない構え。自分にはまったく勝機がない。
「どうした?かかってこないのか?ならこっちから行くぞ!」
ドゴー――ン!
物凄い音が時天上からしてきた。
「うわああああああ………」
そして悲鳴をあげながら一人の男が落ちてきた。
「…ああ…こ…こわかった…」
男の顔は青くなっていた。
「さ…阪上さん!?」
「………あれ!?………小竜姫さんじゃないですか?いったいどうしてここに………?」
頭をボリボリかきながら阪上は言った。
「いや〜よくあの黒い霧を抜けれましたね。あれは悪夢を見させるというものでしてね………」
「いままでどこに行ってたんですか!?美神さんたちはすっかり眠ってしまってるし…あなたはいあなくなっていて…」
「…まったく…本当にすごいですね…やはり神様なだけに心も鍛えてらっしゃるようで…」
まったく小竜姫の話しを聞いていない。
「…き…きさまら…許さん!!」
「……………ん!?」
その不気味な声がして五秒後に阪上は下のほうからだと気付いた。そして自分はなにかに座っていることに気付いた。そして下のほうに首を向けると…
「……………おや、横島さ…じゃなかった。アン………なんで僕の真下に…」
床にめり込んでいる横島(アン)の上に座りながら阪上は言った。
「なんで貴様が…グラスは!?」
アン(体は横島)は立ち上がった。
「………いて。」
その勢いで阪上は床に頭をぶつけ三秒後に痛さが頭に伝わった。
「貴様がどうしてここにいる!?グラスが行ったはずだ!?」
アンは信じられなかった。ガルスビはもう動けなかったはずだ。そして虫の息のところでグラスでウルフを殺しガルスビを連れてこさせるはずだった…
「このペンダントがね…俺の傷を治してくれたんだよ…」
阪上は赤いペンダントを見せた。
「そ…それは…」
アンの表情が変わった。
「やはり見覚えがあるよな…俺があんたと一緒に自爆したとき俺は別世界にいった。そして若い頃のお前と会った…」
阪上は剣をだし構えた。
「…そうじゃよ…わしは別の世界のものじゃった…お前の前世とシルクが世界を作っていた。そしてわしはお前の前世を殺し世界をのっとろうとした…しかしあの女はお前を逃がした…まあお前はすぐに死んだようだがな…」
「なるほど…しかし生まれ変わった俺が来たんだな…そしてお前をシルクの強力でたおした…」
阪上は睨みつけながら言った。
「お前とはずーと戦う運命のようじゃ…そうわしは負けた…しかし体は消滅したが魂は残った…そして今の神界にたどりつきなんとお前を育ててしまった…」
「いい加減にその運命から離れたいね…」
「心配するな…貴様の体を奪い、魂は食わせてもらう。」
するとアンの手から文殊が現われた。そして『爆』の文字が浮かびあがった。アンはその文殊を阪上に投げた。
「うわ!?」
阪上は結界を張ったが文殊の威力に耐えられなかった。そして壁に激突した。
「阪上さん!………なんて…威力…」
小竜姫は剣を再び構えた。
「小竜姫どの…分かってるはずだ…勝てる見込みはないということを…」
アンは小竜姫の方を振り向き近づいた。
「どうだ?仲間になるというなら命は助けてやろう…」
「嫌です!!!」
小竜姫は剣をアンに向けた。
「………そうか…残念じゃ…」
バキ!!!
「………っぐう…」
アンはよろめいた。
「横島さんの体から離れろ!!」
阪上は手に霊力を込めアンを殴った。
「………この横島という奴の体は本当に素晴らしいからの………嫌じゃな!!」
アンは剣をだし阪上に飛び掛った。阪上も素早く剣で攻撃を防いだ。
「…一つ聞きたい…」
アンは阪上に攻撃しながら言った。
「………」
阪上は答える暇が無かった。剣の攻撃を防ぐだけで手一杯だった。
「しょうがないの…」
アンは阪上から離れた。
「まったく…これ程度の攻撃で話す余裕がないとは…」
「ウルフとグラスはどうした…貴様ではあの二人を倒すことはできなかったはずじゃ…」
「…突然グラスがウルフを襲い…同士討ちを始めた。そして…ウルフは突然暴走し…グラスを殺し…どこかへ消えた…」
阪上の赤い瞳から少し涙がこぼれた。
「暴走!?そうか!そうか!」
アンは大声で笑いはじめた。
「なにがおかしい!?」
「力を与えすぎたかのう…グラスが死んだか…まああんなデカ物はいなくなっても構わん。」
アンは笑いをやめそして阪上を睨んだ。そして阪上も睨んだ。
「ウルフは…ウルフは…もうこの世界からいない…暴走し…空間がゆがみ…消えたんだ!!一生苦しむことになったんだ!!死ぬよりつらい…」
「だからなんだ?」
阪上は心の奥底からアンが憎いという気持ちがこみ上がってきた。
「許さん…」
今までの
コメント:
- 久しぶりの投稿です。
そろそろ終わりに近づいてきました… (3A)
- 小竜姫さまが何とか駆けつけてきたものの、横島クンの体をアンが支配している現状ではどうにも出来ないですね(汗)。そんなシリアスなストーリーの中でも、ちゃっかりギャグをかましている余裕のある(?)阪上クンが凄いです(笑)。仲間を仲間とも思っていないような所業を繰り返すアンですが、果たして彼に対抗できる術は残っているのでしょうか? そして横島クンは支配されたっきりなのでしょうか? 「終わりに近づいてきた」そうですが、ますます今後の展開が気になってまいりました。次回も楽しみにしております♪ (kitchensink)
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