GS美神if極楽大混戦「エピソード0(その7)」
投稿者名:野見山
投稿日時:(02/ 8/18)
アシュタロスの姿が隠れた瞬間、おキヌはへたり込みそうになった。
気丈にも睨みつけてはいたが、先ほど視線が合った瞬間から、超常の存在に対する根源的な恐怖が沸き上がってきていたのだ。
(あんな恐ろしい敵と・・・!!)
南極で美神と横島は、たった二人で立ち向かったのだ。
それがどれだけ凄いことだったのか、今身をもっておキヌは実感していた。
だが、その存在が誰の元に何の目的で向かったのかを思いだし、おキヌは萎えそうな身体に力を込めた。
「美神さんが、大変!何とかしないと!!」
「あいにくね、アシュ様の命令を頂いた以上、その前に死んでもらうわよ」
マリアの方へ振り向こうとしたキヌの動きを、テレサの声が止めた。
自分を見下すような視線を送るテレサに、今の自分では抗すべき手段が見当たらない、おキヌの背中にじっとりと汗がにじむ。
だがそこに、おキヌを後ろにかばうようにマリアが割って入った。
「ノー・テレサ・私が・相手」
身を盾にしておキヌを守り続けたため、服を全て失い晒された素のボディもあちこち傷ついたマリアの姿に、テレサは嘲笑を浮かべ勝ち誇ったように宣言する。
「そんな状態でどうするつもり? 姉さん。
それに私のレーザーは姉さんごとその女も貫けるわ、一思いに両断してあげる!!」
同時に、テレサの右目に光が収束する。
「!!」
避ける間も与えず、瞬時に臨界に達した光の束が放たれるのと合わせるかのように、閃光がマリアの目前で炸裂した。
(!?)
自らを襲う衝撃を覚悟する二人、だがいくら経っても、レーザーは二人に届く気配がない。
その理由は光に眩んだ目が落ち着くと同時に知ることができた。目前で輝くのは、レーザーを遮る光の壁。
「なに!?」
驚くテレサ、だがおキヌは、壁の中心に光る玉の、間違えるはずもない正体を知っていた。
「二人とも大丈夫か!!」
そう、この声の彼のものだ。
(なんでこんなにいいタイミングで現れてくれるんだろう、まるで騎士(ナイト)みたい)
おキヌはそんな乙女チックな気分に酔ってみるが、当の彼は。
「えーい、よくもいいところで邪魔をしてくれたわね、ただの下っ端だった癖に!!」
「うわちちちち!!」
怒ったテレサのレーザーに追い掛けまわされていて、とてもナイトには見えなかったりするのだった。
「死ね!このっ!!」
「うわわわわ、ごめんなさいぃ!!」
尻に帆を掛けて逃げ回る横島と、それを追い掛けレーザーを乱射するテレサ。
だんだん横島の方に余裕がなくなりはじめ、ついにその身を熱線が捕らえようとした、その時。
「くあっ!!」
テレサの顔面を衝撃が襲った。
思わず右目を押さえた手の下から、小さく煙が吹き上がる。
振り向くと、ワイヤーアームがマリアの元に巻き戻されるところだった。
「こ、の!!」
横島のことなど意識の外に放り出し、怒りに満ちたまなざしで、マリアを睨みつけるテレサ。
姉妹の対峙に、緊張感がみなぎる。
「ありがとうマリア、助かった。おキヌちゃん、無事か!?」
その隙に、ようやく二人のもとに駆け寄った横島が、開口一番に発した言葉がそれだった。
「!! 横島さん、判るんですか!?」
自分を見てためらわずおキヌと言う横島に、驚く彼女。
「? だって、おキヌちゃんだろ」
逆に横島は、なんでそんなことを言われるのか判らないと言う顔をしていた。
「この身体、美神さんなんですよ」
「あ、あれ!?」
言われて、初めてそのことに気付いたように戸惑いを見せる。
おキヌはその様子ではっきりと理解できた。彼には、私の姿がはっきりと見えていたのだと、魂の色をしっかり感じてくれていたのだと。
「横島さん……」
涙があふれてくるのが止められなくて、それを見られるのがなんだか恥ずかしくて、おキヌは横島の胸に顔を埋めた。
(私も、特別に思ってくれてるって、自惚れていいですか?)
横島の温もりが、今とても心地よかった。
その横島の方は、どうしていいか判らずに、手を宙にさまよわせたまま、ただおろおろしている。
(こんな、抱き着かれるなんておいしいと言うかたまらんシチュエーションなんだけど。
な、何か美神さんに抱き着かれてるみたいで、落ち着かんというか。
でも抱き着いてるのはおキヌちゃんで、やっぱりおいしいと言うか。
ああっ、どう反応していいのか判らん!!)
頭の中は、こんなだったりするが。
その二人の姿に毒気を抜かれたテレサは、マリアに話しかける。
「あのー、続き始めていいかしら」
「ノー・テレサ。今・良いところ・です」
仕方なく二人のいちゃいちゃを見続ける、人のいいテレサだった。
(続く)
今までの
コメント:
- (その4)でまいたタネを収穫しました。
個人的には大豊作だと思うんですが、どうでしょう? (野見山)
- いいですねー。おキヌちゃんが可愛すぎです。テレサの人(機械?)の良さもまた彼女らしいというのか、それだけカオスの魔法科学によって生み出された人口霊魂の性能が良いのか…。やはり、原作でこれくらいしてしまうと完璧な『ラブコメ』にはいってしまって困るんでしょうね(笑)。初めに仰られた意味がよく分かります。あとはもう一寸おキヌちゃんの心の中を彼女らしくして欲しかったような…(『なんでこんなにいいタイミングで…、まるで騎士(ナイト)みたい……きゃーっ!私ってばっ私ってばっ!////』とか←轟爆) (マサ)
- 格好良いようで格好良くない横島クン、鈍感のようで女の子のこととなると人一倍「勘」が良くなる横島クン;一見矛盾するようなキャラですが、まさに彼「らしい」感じがいたしました。何とかテレサの攻撃からおキヌちゃんたちを守り抜き、そしておキヌちゃんといい雰囲気になっている(笑)横島クンでありますが、これかれテレサ相手にどう戦っていくつもりでしょうか? こうしている間もアシュはますます令子の魂に近づいておりますし(汗)。今後の展開が気になります♪ (kitchensink)
- おキヌちゃんが素敵ですね〜!
テレサが無事でほっとしてます(笑)
テレサとマリアの一騎打ちが見られるのでしょうか? (ヨハン・リーヴァ)
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