BOY MEETS A GIRL その六〜ダブル・フェイク〜
投稿者名:魚高
投稿日時:(02/ 3/ 3)
横島の予想に反して、意外と早く朝の訓練は早く終わった。
小竜太は「朝は軽めの運動でいいんだよ。」等と言っていたが、
横島はこれには何か裏があると受け取った。
突然、小竜太が足を止めた。
「なぁ、横島…」
来た!横島は心の中で身構えた。
「な、なんですか?し、師匠…」
その割には最悪の反応である。声は上ずるし、ドモルし、顔も引きつっている。
「その…なんだ、人間界では…人間の女性は、
運動して汗をかいた後って何するものなんだ?」
「そりゃあ、大体はシャワーを浴びたり風呂に入ったり…じゃないッスかね。」
横島は、質問の意図が解らなかったので、素直に思いついたことを答えた。
「ほう…まぁ、全く関係が無いがこの妙神山には天然の温泉が有る。
これは、美容にも良いらしく、姫様も気に入ってる。」
――――――まさか!?
「そして姫さまはこの時間帯は、自己の鍛練を欠かさないそうだ。」
だんだん話が核心に近づいてきた。要するに…
「剣客たるもの、隠密行動もできんでは男が廃るよなぁ。…どう思う横島?」
「師匠!不肖ながら、横島忠夫17歳、覗き二級!お供させて貰います!」
横島が敬礼する。今、始めて師と弟子の心が一つになった。
「馬鹿野郎!覗きじゃねぇよ!これも、修行の一貫だ!」
そう言いながらも小竜太の顔はニヤけていた。
嗚呼、これも妄想狂故に起きた悲劇の始まりだったとは。
―――――――――――――数分後――――――――――――――
風呂場の前まで来ると、小竜太は辺りを見渡した。
「まいったな…」
消え入りそうな声で小竜太が呟く。
横島の脳裏に一抹の不安がよぎる。
「どうしたんですか?何かトラブったんスか!?」
「あぁ、此処ってもしかして改装とかした?」
「――――!?」
アシュタロス事件の時に一度、妙神山は断末魔砲によって、壊滅状態に陥ったことが有る。恐らくそのことだろう。もしくはその前の…まぁ、いいや。
「以前、俺が掘った隠し通路がねぇな…」
「え!?じゃあ、まさか!?」
緊急事態発生だ。ここまで、期待させといてお預けを喰らうなんて…
「それが、無くても何か方法があるんでしょう!?そんな、そんな、ここまで来て…
この溢れる愛(欲望)を何処にぶつければいいんだぁーーーーっ!!」
「ちょ、一寸落ち着け…すまねぇが、文殊をアリッタケ出してもらえるか?」
「アイアイサー!」
そんな事ならお安い御用とばかりに横島は霊力を集中させる。
次の瞬間、横島の右手には七つの文殊が握られていた。
「二の、二の、二の、…七つか、結構あるな。」
「足りますか!?」
「あぁ、十分だ。一寸貸してくれ。」
横島はためらうことなく文殊を差し出した。
小竜太はそれを、受け取ると二つ残して懐にしまう。
「どうしちゃったんですか?」
小竜太はその問いには答えずに文殊に霊力を込める。
文殊に『眠』の文字が浮かぶ。
「お休み、ベイビー」
ガラにもなく小竜太はそう呟き、横島の額に文殊を当てる。
横島がハメらえたことに気づいた時にはもう遅かった。
その瞳には漆黒の闇が宿り、意識は急激に遠のいていった。
「やはり、コイツも姫様を狙っていたか…風呂のことを教えたのはまずかったかな?」
完全に熟睡している横島を見下しながら、独り言のように呟く。
「後は、この文殊で記憶を消しとくか…」
そう言って横島に背を向け、『忘』と念を込め…
その時だった。
横島が跳ね起き、小竜太に延髄蹴りを喰らわす。
「いてっ!てめぇ、なぜ!?」
「うるせーっ!純情な少年をもて遊びやがってっ!!」
横島はサイキックソーサーを投げつける。
小竜太は、それを頭で受け止め…頭!?
「え?」
思わず、間の抜けた声が漏れる。
横島、本人ですら当たるとは思っていなかったのだから。
「くっ…姫様…………どうか、ご無事で…」
大声で小竜太はそう言うと力尽きた。
姫様…!?
小竜太がそう呼ぶ者は小竜姫しかいない筈だ。…ということは
ゴゴゴゴゴゴゴ……
恐る恐る横島は後ろを振り返る。
「横…さん?…にやって………すか?」
予想とは当たって欲しくない時ほど当たってしまうものだ。
そこには怒りに声を震わせる小竜姫が立っていた。(もちろん服は着ていた)
「いや、ちがっ、違いますよ!!の、の、の、のぞ、
のぞこーとか…そうゆーんじゃなくて…」
必死の弁解だが、あまり効果があるとは横島も思っていない。
だが、やらないよりは遥かにましだろう。
「それでは、その文殊はどう説明しますか?」
「え?」
またも、間の抜けた声を出す。そして、小竜姫の指差しているほうを見ると。
『覗』と書かれた文殊が横島の足元に転がっていた。
「え!?いつの間に?え!?なんで?」
横島は混乱するとメチャクチャ脆い性格である。
弁解も忘れ、ただ、うろたえているだけだった。
「姫様…だめだ、覗かれ…」
何故、気絶している筈の男が寝言を?しかも、声でけーよ。
だが、そんなことは小竜姫も、頭に血が上っているので少しも疑問に思わない。
「覚悟は出来てますね。」
本気になった小竜紀は美神の1.24倍くらい(←魚高の勘)恐ろしい。
「カ、カンニン…いやーーーーーっ!!」
そいて横島の意識は絶叫と共に暗い闇の中に…
今までの
コメント:
- お久し振りです。
休載中に正式に魚高さん(私の命の恩人が経営している仕出屋さん)から
魚高を名乗る許可もらいました。
皆さん、魚高とかいてある店を見かけたら寄ってください。
しかし、まだテスト終わってないんだよなぁ〜(爆)
とゆーことでコメント返しは少し遅れるかもしれませんが堪忍を… (魚高@3Aさん、本当にごめんなさい)
- 美神さんの1.24倍って恐ろしいですね。
やはり怒らせると一番怖いのは小竜姫でしょうね。 (3A)
- コイツ『も』狙っていたか…(挨拶)
つながった師弟の心は相手の行動まで「手にとるよ―にわかる」んですよね♪ でも今回横島くんは自身のひたむきな情熱ゆえに敗北しました。え? だって、ホラ。よく言うじゃないですか「最後まで生き残った人が勝者だ」って♪ (斑駒)
- 雑魚兄貴が勉強中だから私パロ@船が代わりにお礼いいます
3A様 斑駒様 コメントどうもありがとうございました (パロ@船(風邪がやっと治ったとおもったら鼻炎でまたゴミ箱がティッシュで溢れそう…) )
- 小竜太の人物像に『卑劣』の二文字が加わりました(笑)
ダメじゃないか、小竜太。少なくとも、横島は覗きが見つかった時でも、良いわけはしても他人に罪を擦り付けたりはしなかったぞ(笑) (黒犬)
- 3A様
そうでしょうか?怒らせて一番怖いのは、おキヌちゃんでは?
温厚な人間ほど怒らせた時、怖いものでしょう?
斑駒様
最後まで生き残ったら…ね。
…まぁ、それはともかく今回、小竜太は横島をハメるために
卑怯な男を演じたのと僕は信じたいです。
…だってほら、私の分身ですから(笑)
黒犬様
横島は人に譲ろうとしませんでした。ですから、罪をなすりつけるも何も
いっしょに運命(さだめ)を共にする悪友がいませんでした。
小竜太は人をハメてまで覗こうとしたのでしょうか?
まぁ、そんなところはともかく次回は人物像に『不潔』
でも加えてみようかな。(苦笑) (魚高)
- えーと。群馬県の伊勢崎市に『魚高』とゆーお店がありますが、違いますよね?(笑)
小竜太君、ズルイですよ(笑)神様なんですから、悪いコトしたら、ちゃんと叱ってもらいましょう(笑) (猫姫)
- 猫姫様
残念ですが、私の言ってる魚高は埼玉県の秩父市にあります。(宣伝しちゃってスンマセン)
そうですよね、悪いことしたら叱られて当然ですよね。
バレてなくても、横島クンと共犯ですよね。罪は罪、それ相応の罰を与えるべきであります。…しかし、先生!!いくらテストがアレだったからって部活停止は無いでしょう?(泣) (魚高)
- ↑×8 あ、仕出屋さんだったんですか。僕はすっかり魚屋さんかと(単純)。
さてさて我等が小竜太さん(主犯)、何が「お休み、ベイビー」だか(笑)。その割には煩悩全開の横島には敵わなかった処がお茶目ですが……命知らずの困ったオッサンだこと(苦笑)。 (Iholi)
- Iholi様
『我等が』って…(汗)
まぁ、剣客=武士ですから。命よりも使命(覗き)が優先でしょう。
それよりもIholiさんの短編すごい楽しみにしてます。 (魚高@いぢわる)
- 劉ちゃん……この回に限っては、何だか君が西条とダブって見えるよ……うーん、程よい卑劣さ(爆)。伊達に長生きはしていないということかな? (ロックンロール)
- ロックンロール様
劉ちゃん…なんていい響きだ…
たぶん、おそらく、きっと…
『今回に限って』ではすまされないでしょう。(泣)
彼のせいで神族全体、もしくは竜神全体の
イメーじダウンにならないことを祈ります。 (魚高)
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