ザ・グレート・展開予測ショー

動揺そのさん


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 2/26)

「ただでさえ変なのが、更におかしいと普通は正常に見えるらしいけど、横島くんに限ってはそれは当てはまらないわねえ」
しみじみと言葉をかみ締めるように美神。
ひどい言われ様である。
「………」
そんなにおかしいのだろうか?
横島は額に手をあてうーんとうなる。
まだ顔は熱い。
「ま、それはそうとして」
なにがそうなのかわからないが、美神はぐいっと横島の襟首を掴み引き寄せた。
(どわっ)
視界にひろがる美神の顔。
ここまででも心臓ばくばくものなのにいきなりの至近距離である。
息もかかろうかというくらいに近い距離。
目の前にあるのは誰よりも好きな女。
―これで平常心でいれるわけがない。
「理由をきこーか?」
そんな横島の葛藤に気付かずかきづいてるのかわからない美神は拒否を許さない強い眼差しで聞く。
「り、り、り、り理由?」
一方壊れたCDのように横島。
だらだら汗は流しているわ、声はうわずっているはさんざんである。
「そう、理由。ここ最近人を避ける割にはじっと見てるわひとりで錯乱してるわ、二人っきりになるのを必死で―と思うけど避けてる理由。」
口調はいつもと変わりない淀みないものだったが一瞬目の前にある瞳にかげりが見えた。
それは、こんな風に近くにいないとわからなかったと言えるくらいの微かなかげり。
じくりと心臓に痛みが走る。
鋭い刃物で切られたというよりも錆びた刃物で切られたような、鈍いだけど、奥のほうまで伝わる痛み。
こんな風に、一瞬でもそう自分のせいでそんな風にさせてると思うとなぜだか痛い。
しかもその理由が自覚できていないのだ。
だから近づけないでいるのだが―それで美神を困らせているなんて考えた事もなかった
はっきりとわかっているのなら言い様もあるだろう。
だがいまそれがわからないのだ。
「…すいません」
だからいえるのはこの言葉だけである。
目を伏せる。
「なにがすいませんなの?」
とは美神。
こころなしか声が剣呑になるのは仕方が無いだろう。
「いや、だから…なんつーか…わからないんですよ?すっげえ触りたいのに―触れなくてこーやって傍にいるだけで、心臓が煩くて―もちろんずっとそうだったんですけど、だけど、でも、なんかそれがひどくて、すっげえ近くにいたいのにいるとなんか落ちつかなねえし―ああもうわかんねえっ」
がしがしと頭を掻く。
「うまくいえないけど―いえないんですけどねなんか変なんです―だからすいません」
…なんというかといってもいいだろうか?
これは立派な告白である。
しかも本人が自覚症状がないだけに恥ずかしい。
聞いた本人―美神といえば耳まで真っ赤だ。
不意打ちなだけに始末が悪い。
くすり
と笑い声がもれる。
そして次にきた言葉は
「なにいってるの?ほんと馬鹿ね」
であった。
「ワタシなんか、そんなんでいったらずっと変よ」
「え?」
きょとっとめをみはり美神。
「そりゃそれだけワタシに夢中ってことでしょーが」
つづく

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