ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(28)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 1/19)

 プルルルルル………
 俺は公衆電話からエミさんの事務所に電話をかけている。
「はい!小笠原エミGSオフィスよ!」
「あ!エミさん!俺です!横島忠夫です!!実は美神さんが大変なことに……」
 よし!エミさんがいた。
「分かってるわ!今何所にいるワケ?」
「失楽園遊園地ですけど……分かってるって……?」
 ……なんか嫌な予感がするが……
「おいらが何とかしてあげるから、心配しないで待ってるワケ!」
 おいら……あ!しまった!!忘れてた!電話回線はパイパーが張ってたんだ!
「てめえ!パイパーだな!」
「ホッホッホー!!その通り!バンパイアハーフのガキは片付けたぞ。次はお前の番だ!」
 その声とともに電話から笛の音が聞こえ始める。
 俺は受話器を俺とは違う方向へ向ける。
「ヘイッ!!」
 その声とともに、一般市民が子供になった。
「くそっ!俺としたことが……」
 俺は受話器を乱暴に叩きつけ、美神さんの所に戻った。


「タアッ!ヤアッ!エイッ!!」
「そこよ〜〜エイエイエイッ〜〜!!」
 俺が戻ると……美神さん達はもぐら叩きをしてました(泣)
「横島さん?」
「まずい!パイパーの奴、電話で待ち伏せしてやがった!」
 俺の言葉に怯えるおキヌちゃん。
「早くここから逃げますよ!」
 俺は美神さんを抱えようとするが……
「やだー!今度はあっちのゾウさんに乗るー!」
 美神さんは嫌がるが……あれだけ乗ってまだ足りないと言うのか……
「それどころじゃないっ!!あのパイパーとか言う奴が俺達を狙ってんですよっ!!」
「パイパー……!?それじゃ令子遊園地に行く!パイパーやっつけにゆの!」
「パイパーをやっつける!?ひょっとして、美神さんは遊びたいんじゃなくて何か理由があって言ってるのかも知れません!」
 おキヌちゃんが言う。
「こえでパイパーやっつけゆの!そしたら令子おっきくなるの!」
 美神さんは金の針を取り出し言う。
「やっぱり……」
 おキヌちゃんが確信した時……
「オッホッホー!やはり隠しもっていたのねー!」
 ちい!パイパーの奴、もう来やがったか!
「さーお嬢ちゃん。おとなしく金の針をよこしな!でないと今度は殺しちゃうわよ!」
「嫌よ!あっかんべー!」
 さすが子供になっても美神さん……挑発してます。
「ホッホッホー!おいらは素直で可愛い子供が好きなんだわさ。だから世界中みんな子供にして……楽しい世界にしたいのよ。そのためにはどうしてもその金の針が……要るんだ!!よこせ!クソガキ!!!」
 そう言って一直線に美神さんに向かってくるが……バカ?
「スキがありすぎだよ!」
 俺は横から草薙の剣でパイパーの胴を薙ぐ。
「ギャアアアアッ!!!」
「やっぱり単純だね!このロリコン野郎が!」
 俺は苦しんでるパイパーに向かって言う。
「だ、誰がロリコンだと……許さん!許さんぞーー!!」
 今度は俺に向かってくる……挑発に乗りやすいな……冷静さを欠いた奴ほどスキが出来やすいんだよ!!
 俺は真正面からパイパーに突っ込み、猫のぬいぐるみをパイパーの目の前に突き付けてひるんだスキに草薙の剣と霊波刀で滅多切りに切り裂く!
「冥子さん!アタックBです!」
 俺は着地して冥子さんに指示を出す。
「は〜い!アジラちゃん、サンチラちゃん!合体攻撃よ〜〜」
 冥子さんの声と共に、アジラ、サンチラが影から現れて、火炎と電撃を合体させた火炎
電撃をパイパー目掛けて撃つ。
 そして俺もついでに文珠「爆」を投げつける。
 ドコオオオオオオオオンンン!!!!
「ぎゃああああああ!!!!」
 バシュウン!と音を立てて、パイパーは消えた。
「やっつけたんですか〜〜?」
「いや、やっつけたのはパイパーの分身……本体を倒さない限り何度でも襲ってくる……だけど、今のでむこうは大分消費してるだろうし今日はもう襲ってこないでしょう!」
 俺は冥子さんの質問に答える。
 すると冥子さんはにっこり微笑み………
「それじゃ〜〜次はあれに乗りましょう〜〜」
「「だああっ!!」」
 ガクっとこける俺とおキヌちゃん。 
 ………冥子さん……俺は、もう呆れて何も言えません………




 東京シティホテル……
 コンコン!
 813号室のドアにノックの音が聞こえた。
 俺はゆっくりドアに近づき……
「合言葉、悲しき恋!」
「蛍!」
 俺の言葉にドアの向こうのおキヌちゃんが答える。
「よし!」
「お使い行って来ました!」 
 俺はドアを少し開けるとおキヌちゃんが入ってきた。
「おキヌちゃんお帰り〜〜お土産は?」
 美神さんがおキヌちゃんに聞く。
「そんなの無いですよ、全国の遊園地ガイドを頼んだだけですから……」
 俺が言うとおキヌちゃんが俺に遊園地ガイドを渡し……
「はい、お土産!」
 と言って美神さんに絵本を渡す、おキヌちゃん。
「わーい、わーい、わーい!」 
「わあ〜〜白雪姫だわ〜〜!私も何回も読んだことある〜〜と〜〜っても面白い本ですよ〜〜」
 ……もういいや……さっさと遊園地探そう。 
 俺は遊園地ガイドを見る。
「え〜と……どれだったかな……」
 東京デジャブーランドじゃないし……これも違う、これもこれも……
「よこちま!絵本読め!」
「ん?今、忙しいから後でね……」
 俺は視線をガイドに戻す。
「おねがい、絵本読んで……」
 う!……美神さん……その上目使いは反則じゃ……
「横島さ〜〜ん、読んであげましょうよ〜〜」
 うぐっ!冥子さんまで上目使いで見ないで!!
「……分かりました……むかしむかしある所に……」
 結局、俺は二人の上目使いに負け、読むことになった。
 しばらくして……
「……白雪姫と王子様はいつまでも幸せに……っと寝ちゃったか……子供の頃の美神さんって本当に可愛かったんだな……」
 俺は美神さんの寝顔を見る……そして……
「むにゃむにゃ令子ちゃん〜〜冥子おなかいっぱい〜〜」
 すやすや寝ている冥子さんの幸せそうな寝顔も見る。
「冥子さん……信頼してくれるのはいいけど俺も男だぞ……俺が襲うとか考えないのか?……ああもういいや!……寝よう……」
 俺は自分のベットに入り寝た。



「横島君!横島君、起きて!」
 ん?なんだ、もう朝か?
 俺が目を開けると、大人バージョンの美神さんがいた。
「あれ!?なんで美神さんがここに?」
 俺はベットの上にいる子供の美神さんと大人の美神さんを交互に見る。
「テレパシーよ!脳が子供になっちゃってあのとーりだけど、今なら魂で直接が出来るわ」
「あ〜〜!令子ちゃんだ〜〜」
 冥子さんもどうやら繋がったらしい。
 そして冥子さんは美神さんに抱きつく。
「だあああ!もう冥子!あまり時間が無いのよ!」
 美神さんは冥子さんを引き剥がす。
「要点だけを伝えるわ!よく聞いて!いいこと、あのピエロはパイパーの本体じゃないわ。いわば分身よ。あいつを何度倒しても霊力を消耗させるだけで倒せないわ!」
「それじゃ〜〜パイパーの本体は何所にあるの〜〜?」
 冥子さんが美神さんに聞く。
「N県にある『バブルランド遊園地』にいるわ。広大な敷地と莫大な予算をかけて建設中だったけど、バブル経済がはじけちゃって工事が中断……業者が夜逃げしてそのまま放ったらかしになってる所よ。ニュースで聞いたことあるでしょう?」
 あ!そういえばニュースで言ってたな……
「先月、別の業者がそこを買い取る計画を立てて、スタッフを下見に行かせたんだけど、全員子供になって発見されたの。……で、私に依頼が来たわけ。すぐにピンと来て金の針を取り寄せたら……」
「金の針って〜〜あの時の〜〜?」
 袋の中に入っていた針のことでしょうね……
「そう。その昔、奴がヨーロッパを荒してた頃、一人の僧侶が奴から奪いとったものよ。奴の魔力の源で、あれを手にすればまとめて数万人は子供にしてしまえる。逆にうまく使えば唯一あいつの息の根を止める武器にもなるの。最大の弱点を人間に握られてこの何百年か隠れてたけど、私がシッポを掴んだ以上、地獄に叩き落して賞金も報酬もいただくつもりだったのよ。だけど一人だと戦力的に不利だから冥子を応援として呼んだわけ」
「令子ちゃんが〜〜私を頼ってくれて嬉しかったわ〜〜」
 冥子さんは喜ぶ。
「ま、まあ横島君とおキヌちゃんがいるから何とかなるかな?……と思ったからよ……で話しを戻すけど、冥子に電話した後にパイパーに襲われたの、どうやらパイパーは私が金の針を取り寄せることを読んで私を監視してたらしいのよ。とっさにありったけの精霊石をぶつけてその場はなんとか撃退したんだけど、私は子供にされて記憶や経験を一部奪われちゃったってわけ」
「それであいつ唐巣神父やエミさんの情報を……」
 俺は腕を組んで言う。
「そういうこと。でも金の針を握ってる以上、まだ私達が優勢よ。なんとかパイパーに捕まらずに私をバブルランドにつれてって!行けば私が本体の場所に案内出来るから……いいわね!?」
「は〜〜い!」
「了解ッス!」
 俺と冥子さんは返事をする。
「……それから……冥子、横島君……遊んでくれてありがと……」
 美神さんがそう言った瞬間、俺は意識を失った。
「はっ!今のは……」
 俺は朝の日の光の眩しさに目を覚ます。
 そして俺の横のベットには……
「むにゃ……めいこ、よこちま……たのんだかやね……」
「令子ちゃ〜ん……まかせてね……」
 ……なんで寝言で会話なりたってるんですか……
 俺は二人の寝言を聞いてそう思った。

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