黒き翼14
投稿者名:K&K
投稿日時:(02/10/16)
ドアが開くと同時に横島は姿勢を低くして部屋の中に飛び込んだ。そこは部屋の外と同じくあちこち
に破壊された家具の破片が散乱し、壁のいたるところに傷がついている。そして、無数の霊体がひしめ
きあっていた。
横島は右手に霊波刀を出し、いつ襲い掛かられてもいいように構えながら辺りの様子を窺う。だが、
霊達はただふらふらと漂うだけで、横島になんの関心も示さない。部屋の奥には白骨が服を着たような
、しかも上半身だけの霊体がいて、そのまわりを大勢の霊体達が取り巻いている。
(あいつが今回の除霊対象だな。)
自縛霊のごたぶんにもれず何事かぶつぶつと呟いている。確かにタマモの言うとおり、そいつからは
たいした霊気は感じない。周りの連中の霊気の方が強いぐらいだ。だが、横島はまるで飢えた虎の前に
裸で放り出されたような、得体の知れない戦慄を感じていた。やがてそいつは横島の存在に気付き、二
人の視線がぶつかった。
ゾワッ
いきなり部屋中に殺気が満ちる。漂っていた霊達が雪崩のように一斉に横島めがけて殺到した。
「うわああああああ!」
横島は悲鳴を上げると本能的に持っていた文殊を叩きつける。
キィィィィィィン!
澄んだ音と共に文殊が発動する。同時に放たれた閃光は普段の数倍の明るさで、危険だと解っていて
も思わず目を閉じてしまう。露出している顔や手の肌に無数の細い針が突き立つような激しい痛みがは
しった。
「横島ぁ!、ボサッとするな!」
美神の怒声に目を開けると目の前に霊体が迫っていた。まるで食いつこうするかの様に大きく口を開
けている。横島は反射的に上体を右に振ると、霊波刀を薙ぎ上げる。ねらったわけではないが、そいつ
は両断されて消滅した。次に襲ってきたやつは、右にステップして突進をやりすごすと相手が振り向い
た所を切りつけて消滅させる。文殊の効果なのか相手の動きが遅いのと、攻撃が単純なおかげで武術の
経験がない横島でも落ち着いてさばくことができる。周りをみると30体ほどを残して全て浄化されて
いた。文殊と精霊石の組み合わせは思ったより効果があったようだ。
余裕がでてきたので美神の姿を探す。その闘いぶりは凄まじかった。鞭状になった神通棍の一振りで
最低でも3体の霊体を消滅させる。それを数回繰り返すと彼女の前から全ての霊体が消えていた。
美神はそのまま一気に除霊対象に接近する。それに対し、相手はまるで美神を押しとどめようとする
かの様に右腕を上げるだけだった。
(この分じゃ、あと神通棍の一振りで終わりだな。)
横島が最後の霊体を切り伏せながらそう考えたとき、相手の手首あたりから美神の頭部に向かい、赤
い直線がのびた。彼女の身体がバタリと倒れる。それはそのまま反対側の壁に到達し、そこに小さな穴
を穿った。
「美神さん!!!」
横島は自分の全身から血の気が引くのをかんじた。
今までの
コメント:
- kitchensink 様
いつもこの様な駄作に目を通していただき、ありがとうございます。正直、だれも読んでくれなかったら投稿をやめようかなと思っていましたが、おかげで気力がわいてきました。この駄作まだまだ続きますので、もう暫く付き合ってやってください。お願い致します。 (K&K)
- ↑とことんまでお付き合いさせていただく所存でございます(笑)。しかも「駄作」と言うには余りに惜しいような良作だと思いますよ。本来なら大して力の強くないはずの自縛霊に、なぜか多くの悪霊を引き寄せる力があるのが不思議ですね。何とか除霊をこなしていった横島クンと令子ですが、マズイことになりました(汗)。令子が果たして無事なのか、次回も楽しみにしております♪(追伸:個人的にそれまでかなりの戦闘能力を見せ付けていた令子が「らしい」気がします。基本的には二次創作モノですと、どうしても横島クンの方が強いように描写されがちですから)。 (kitchensink)
- こんにちは、お久しぶりのりおんです。さて、美神がピンチに!横島君の真価が発揮されるような展開ですが(個人的に彼は追い詰められた時に強いタイプではないかと)、むむ・・・、あの美神令子がそんなに簡単にやられるのか、ということで次回が楽しみです。それと、貴殿の作品につきましては、コメントがついていないだけで、多くの方々がお読みになっているものと思われます。コメントが浮かばないときというのも多々ありますので・・・(自嘲気味)。もっと自作について自信を持っていただいて良いと思います。それではこのへんで。 (りおん)
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