ザ・グレート・展開予測ショー

水使い(〜暗殺戦之一〜)


投稿者名:AS
投稿日時:(02/ 6/15)




 ー水使いー



 褐色の肌をした少女は一人たたずんでいる。
 纏う雰囲気は、黒光りするナイフのように、近寄る者の心を切り裂くように。身につけた黒衣も、禍禍しく映る。
 辺りの草木と同じく、冬はじめの陽光をその身に受けながら、その少女は暗く虚ろな闇の中に一人立ってるようだった。
 手をかざす。その眉一つ動かさずに、かざした手の先に在る大地に呪法陣が複数、組み立てられる様をただ見る。
 尋常ならざる妖気。そしてその妖気にはどこか底冷えする冷気も漂わせている。
『キキッ!』
 人間ならざる、歓喜の声。
 それに次いで、恨めしく聞こえる『亡者達』の『断末魔』の声が辺りに響き渡る。
 呪法陣から発せられる死の気配に、引き寄せられた亡者の魂が喰らわれているのだ。
 常人ならば(見えるのならば)目を閉じ耳を塞ぐ光景。
 しかし少女は気にした風も無い。漆黒の身をしたその小悪魔は『食事』を終えて、満足げに目を細めて少女に声かけた。
『キキ! なぁ、今回の標的のも喰ってイイんだよナ?』
 ピクリと、少女の眉が動く。
「好きにするワケ」
 しかし少女のその声には、嫌悪も悲哀も、何一つ感情は込められていなかった。
「ただし」
 少女の言葉は続く。
 やがて二台の車が、少女が見つめる先に現れた。
 後方の車のドアが乱暴に開かれ、男が二人飛び出してくる。

「アイツらを片付けてからね」

 闇の戦いが今始まろうとしていた。



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