ザ・グレート・展開予測ショー

交差そのなな


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 6/24)

そうして、実際年齢十八外見年齢十三歳(推定)の少年こと藤吉郎は―
とにもかくにもこの場から離れて、オカルトGメンの本部に移動することとなった。
それは、この少年とトキヨミの末裔を引き合わせるためでもあり―この時代(世界といったほうがいいだろうか?)の一般常識も知らないひとをこの場においておくわけにはいかないという理由からである。

―と。いうことで移動中。
移動とするということは、この場合もちろん車である。
今回はワゴンタイプで定員は七人である。
(最初いつものスポーツカーでいこうとしたのだが、あいにく車検中だった為この車へと変更されている)
「うわああああああああ」
べったりと窓ガラスに張り付き藤吉郎。
流れゆく景色と見慣れない光景をまるで珍しいものでもみるかのように(実際藤吉郎にとっては珍しいのだが)眺めている。
「鉄の塔がたってる―うわっなんで人が壁にっ―ってなんだああこの音はっそれに街のひとがみんなけったいな格好してんぞっ!!!」
「木下さん、鉄の塔は『びる』で、壁にあるおっきな画面は『てれび』っていうんですよ」
ぴしっと人差し指をたてておきぬが訂正をいれる。
横島はなにやら面白い見世物でもみてるかのよーに楽しげに眺めている。
ちなみにタマモとシロはうんうんと―藤吉郎の反応に頷いている
(この二人もはじめて『都会』というものを見た時にたよーな反応を返したらしい)
こぼれそうなくらい目を見開き言う。
―その姿はどこからどうみても―田舎から出てきた子供である。
「びる??てれびー??それにこれっなんで鉄の固まりが動いてるんだっ」
ぺたぺたと車に触れながら藤吉郎。
うううううううっと唸りつつ、自分がいた世界(時代?)とのあまりの違いに頭をかかえている。
人間―個人の異常さには免疫があったとしても、こおゆう『時代』の異常さには慣れてないのだ。
いままで彼のいたところは、移動といえば馬ひとは、地に建物をつくり、住みかはこんなふうに鉄で覆われてなどいなかったのだ。
なのに今あるところは、土がまずない。
大地が鉄で覆われているわやかましい音が溢れているわ変な―見たこともないものばっかしだ。
しかも、こんなもの今までの藤吉郎の常識―いや想像ですらありえなかった世界である。
そして、彼は、人間一遍に大量の情報(しかも理解不能―いや理解し難い)を流されるとパニックに陥るという―定説を見事に証明していた。
そんな様子を同情の面持ちで眺めているおきぬは、さながら、幼稚園児に教える保母さんのように根気良くひとつひとつ説明する。
丁寧に、わかりやすく。
流石に混乱している頭でも、おきぬが自分を気にかけて説明してくれてることはわかるらしく―
「ありがとうござい―」
ます…と言葉を続けようとしたとき。
ぞわりっとなにやらものすごく嫌な違和感を―感じた。
寒気ではない。
言葉になどできない。
それでもあえて言うとしたら、ただ、ここにいては「いけないもの」がここにきたという感覚。
―世界にとっての異物。
身体を―いや空間を裂き、無理やりにここに―『来る』
藤吉郎はみっともなく叫びそうになり思わず喉を両手で抑えた。

つづく

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