オリジナル(30)
投稿者名:いたけし
投稿日時:(02/ 2/24)
つ・づ・き
「う〜ん順一、次の十字路を右に行って」
「えっ、なんで」
「いいから、いいから」
僕は渋々姉さんの提案を受け入れた
ただいま駅から家へ向かっている途中、そんな時に突然姉さんが訳の解らんことを言ってきた
「順一、次もまた右ね」
「はぁ〜?そんなことしたら駅に戻ちゃうよ」
「まあまあ、いいじゃない」
はぁ〜、と僕はため息を吐きながら次の交差点を右にまわる
「順一、右よ右」
「また〜、どうして右に行くの?最初に通ってた道に戻る道だよ」
「う〜ん、じゃあ帰ったら順一の好物のたまご焼きを作ってあげるから」
「よしっ右か〜」
僕の好物はたまご焼きだ、なぜたまご焼きかと言うと作り手によって味が変わるところである、あと美味しいし
「じゃあ順一、次も右ね」
「それって、最初に行った道なんだけど」
「まあまあ、右の道に行ってくれたらキスしてあげるから」
「・・・・・・・・」
僕は無言のまままっすぐ進もうとしたが・・・
「うげっ、苦しい、衿を引っ張らないでよ姉さん」
「ふふふ、じゃあ右に行かなかったら順一に・・・・・ふふふ」
「右に行かせていただきます」
なにか姉さんは良からぬことを考えたに違いない
はぁ〜、こんな姉を持つと苦労するよ
「はぁ〜、やっぱり」
「どうかしたの?」
「変な男たち三人が私たちを尾行してるの」
「えっ?」
僕はとっさに尾行している人物を確かめようと振り向こうとしたが・・・・
「ダメっ!!」
「えっ、どうして」
「相手が見たいのなら、私を見るフリをして横目で見なさい」
僕が姉さんの方を向き横目で尾行している人物を確かめた三人の男がいた
ひとりはなんか野生的な顔をしていて、残りの二人は端正な顔立ちをしていた
でも、なんか三人で話し合ってるし、ただ後ろを歩いているだけじゃないのか
「そうか!!だから姉さんはさっき1周したんだ」
「まっそういうこと、いくら何でも普通に歩るいているんだったらあんなとこ1周しないでしょ」
すっすごい、姉さんはいつから気付いていたんだ
「でね順一、私に提案があるんだけど」
「どんな?」
「尾行っていってもどっちがされてるかわかんないでしょ、だからこの道をさっきの交差点を越えてまっすぐ行くとY字路があるから二手に分かれるってのはどお、そしたら尾行されてる方は追いかけられるけど、されてない方は逃げれるでしょ、でその後逃げきれた方が警察に連絡と、どおいいアイディアでしょ」
すごい、すごいまともな提案だよ
「よしっ、その意見に乗った」
「じゃあ走るわよ、順一」
僕と姉さんが走り出すと後ろの三人組も走り出した
間違いない、あの三人組は尾行してたんだ
さっき右に行った交差点を越えてまっすぐ突き進む
「姉さん、見えたY字路だ」
「ちゃんと逃げるのよ、順一」
僕は左に姉さんは右の道を選びそれぞれの道を走っていった
「ちっ、どっちへ逃げた」
「オリジナルは男です、左側だと思われます」
「早く奴を殺し三階級特進したいものです」
男たちは左側に進路を取る・・・が、それは彼らの前にいる女によって阻まれた
「はぁ〜、順一は逃げ切れたらいいんだけど」
それは右の道へ走っていったはずのゆかりだった
「オリジナルといっしょにいた女か、バカなものをオリジナルが逃がされたと言うのに」
「曹長、こいつはどうします」
「くっくっく、スタン様から許可は頂いている『オリジナルを殺すのを邪魔するヤツは殺しても構わん』とな、ヤレ軍曹、伍長」
「イエッサー」
そう言うと端正な顔立ちの二人が前へ出る
「ふつ、人間ごときが神に逆らうとどうなるか教えてやる」
「神は絶対さ、そして僕たちが神だ」
前へ出た端正な顔立ちの男たちの姿が変わり、背中から白い翼の羽が現れる
服は神聖な感じの白い服、たがその手は剣が握られておりとても神聖とは言えない
「はっはっは、私たちは本当の神だ」
「人間が偶像を信仰しているのとは違う、本物だ」
「神族の二人よ、たっぷりと人間のメスと遊んでやれ」
そんな光景を見てゆかりは『はぁ〜』とため息をついた
「いい大人が『自分は神だ〜』って言ってコスプレする、普通」
何も知らない人は変な格好をしてれば全てコスプレに見える
「コスプレだと、なら神の力を見せてやる」
伍長と呼ばれた神族は右手ゆかりの方へ向ける
「人間の分際で神を愚弄するなぁー!!」
そう言うと手に集中していた神通力をゆかりに向かって放った
ズバゴォォン・・・・
しかし、神通力はゆかりではなく、ゆかりがいた後ろの壁に直撃した
「女は・・・女はどこへ行ったぁ!!」
「どうやら狙いは私じゃないってことは順一みたいね、ふふふ、まあ順一を狙う者は私の敵だけどね」
伍長の目の前に突然ゆかりが現れる
「伍長どけろ、私の神剣で斬ってやる」
神族の軍曹がゆかりの後ろに回り込み神剣で斬りかかってきた
シュっ・・・・
しかし、その音と共に降り下ろされた神剣はゆかりの右手人指し指と中指に掴まれピクリとも動かないでいた
「順一に殺しはするな、って言われてるから殺さないけど痛い目には合って貰わないとね」
ゆかりが右手の人指し指と中指を少しずらすと神剣はバキッと折れた
そして、ゆかりは左手の中指を親指に引っかけて伍長の額へ持っていった
「デコピンってヤツよ」
バシンっ・・・・
「ぐはぁっ」
伍長の体が三メートルほど飛ばされる
「お次はこっちね」
今度は軍曹の額に右手を持っていく
バシンっ・・・・
7メートルは飛んだな・・・・
神族二人はあっと言う間に伸びてしまった
「くっ、霊力を使わずに物理攻撃のみで神族を倒してしまうとは、そうかお前は裏世界の人間だな、だから人間のお前でも神族を倒せたんだ」
「まあ、言ってることがよく解らないけど私はまだまだ抑えてるってことは確かよ」
くっくっく、と残った男が笑う
「ふん、だが魔族の俺には勝てるかな、行くぞぉ!!」
残っていた男の体がスッと黒い毛で覆われた体に変わる
「死ねや、おらぁぁぁ!!」
元々の姿に戻った曹長はゆかりに破壊力のあるパンチを放つ
「死なない程度に抑えてと・・・」
そういうとゆかりは自分の右手を握り締め。向かってくるパンチにパンチした
ベキ、ベキバキボキ・・・・・
「うぎぁぁぁ、うっ裏世界の人間がこれ程の力とは、それじゃあオリジナルなんて化け物じゃないか」
曹長の右手の骨はバラバラに砕けているに違いない
「ところで裏世界って何?」
「お前、裏世界の人間じゃないのか」
「自分では普通の人間だと思うけど」
全然普通の人間とは思えないが・・・・
魔族の曹長がゆかりの霊力値を目を凝らして確かめる
微妙だが確かに存在する、裏世界の人間ではないと言うことか
「それで、どうして順一の命を狙うのかしら、答えとその内容によっては・・・ふふふ」
ゆかりはオリジナルとは順一のあだ名だと解釈した
「けっ、オリジナルは隊長に殺されるんだ、隊長ならやってくれる、なんたって狙撃の名手だからな」
「狙撃!?」
それを聞いたゆかりは急いで順一に向かって走っていった
「くっくっく、俺たちは『もしも』のための駒に過ぎない、隊長がきっとオリジナルをやってくれるさ」
「曹長、それより我々はどうしたら」
復活した神族が魔族の上司に尋ねる
「帰ればいいんじゃ・・・・」
「お前たちがこれからのことを考える必要はない」
グサっ、グサっ、グサっ・・・・・
「なに!?ぐはぁ」
その声が聞こえた時には神魔それぞれの心臓に氷の刃が突き刺さっていた
「くっ、神族も混じっていたのか、所詮神も魔族などを殺している時点で人間が尊敬できる神では無くなっていると言うことだな」
氷の刃を放った男が神魔が生きているか確かめる
「死んだか、しかしオリジナルとか言ってたな、まさかもうカズヤが転生していると言うのか」
そういうと氷の刃を放った男はこの場から立ち去っていった
「はぁ〜はぁ〜、追ってこないみたいだ、狙いは姉さんだったのか」
あの三人組はなにか異質な感じがした
前にゆいを襲った人たちとは違う異質さをあの三人組は持っていた
いったい、僕の知らないところで何が起こっていると言うのだ
「オリジナルを見つけた、これよりヤツを殺す」
パンっ・・・・と何かが破裂する音が聞こえた
何かが僕の体に向かって飛んでくるのが見えた
銃の・・・実弾?
それは超スローモーションで飛んでくる、しかし避けられない、目は動くのに体が動かなかった
当たって・・・・・・死ぬ
僕はそう確信してしまった、その時弾とは違う何かが僕に向かっているのが見えた、そしてその何かは僕に飛びつき僕を押し倒した
ぶちっ、と肉に何かが突き刺さる音が聞こえた
僕じゃない、僕を押し倒した人が撃たれた
だれが、僕を助けてくれたんだ
「姉・・・・さん」
「順一、早く・・・逃げて、順一・・・・殺されるくらい恨まれることしちゃ・・・ダメよ」
姉さんの手からポタポタと血がしたたり落ちる、服が紅色に変わる
僕は立ち上がり姉さんを立たせる
「うそ・・・うそだよね、これもなにかの冗談だよね」
そして姉さんの腕を僕の首に回し姉さんを連れて逃げようとした
「ごほっごほっ、眠い、私ちょっと寝るから、順一は逃げ・・て」
姉さんの口から赤い液体が流れ落ちる
「寝るな、寝るな、姉さん」
姉さんの腕がガクっとうなだれ、首も垂れ下がって、姉さんの体重がずしっとかかってくる
僕は姉さんの体を揺らしながら叫んだ
「姉さん、姉さん、うわぁぁ!!」
ガラガラガラと音を立てて僕の日常が崩れていったような気がした
つづく
今までの
コメント:
- 黒犬さん
ゆかりは裏メインヒロインです(いたけしが好きだから)
と言っても所詮は姉弟、くっつかることは無い無い
とかいってますが、ちゃんと用意してますよ、ふたりがつっかることが出来る設定
ああっ、でも今回ゆかり死んじゃた〜
どないしよ
(いたけし)
- 猫の姐さん
『スケコマシ』ってなんだ〜
きゃーきゃー、間違えて使ったなんて恥ずかしい〜
スケコマシ=女たらし、だと思ってましたよ
う〜む、ゆいはね〜メインヒロインなんですけどね
順一にまったく気がないのでどんどん落ちていくんですよ
それ比べると真は気がありますからね〜
世代交代の時か!? (いた)
- 魚高さん
ゆかりは今回のことでも解るように
人間ですけど、少し変わった人間です
力も先天性のものだし (いたけし)
- JIANGはん
ナイスツッコミ
いや〜、相当常識的なことを忘れてましたよ
よくよく考えるとそうですね〜
普通無理、ですよね〜
女雪之丞と言うよりテレビやマンガの見過ぎなんです
いや〜、やっぱ自キャラが師匠じゃないと今後がきつくなりそうで (いたけき)
- Ihoの兄貴
怒涛の伏線ですか
多分大丈夫でしょう
でも、この伏線が全部解決したら本当におもしろいんでしょうね
ロックさん
あれは子供たちに危ないと言うことで町内会で切ったんです
と言いつつ、切ったのは事もなので子供(ゆかり)の方が危ないんですけどね、ぷぷぷ (いたた)
- ごめんなさい。
ゆかりさんはてっきり、ナメ○ク星人だと思ってました。
…って、そんなこといってる場合じゃない!!
地球が滅んでも絶対に生き残るのは美神さんじゃなくて、この人だと思ってたのに!?
――――でもよく読むと… (魚高)
- ↑ えっ、違うの?(笑)
所詮卵焼きで小飼いにされている順一くんの視点だとまあ、その、ねえ(苦笑)……いや、ここは彼ことオリジナルの活躍に期待しましょうか、ね。 (Iholi)
- 前々からそうじゃないかとは思っていたのですが、ゆかりさん、やっぱり『オリジナル』に関係する人物だったんですね。
さて、そのゆかりさんも凶弾に倒れ、残るは順一君ただ一人。……どうする順一! (ロックンロール)
- ゆかり姉さーん!!
おぉ、絶対に有り得ないと思われた展開にぃっ!!
どーする、順一! どーなる、ゆかり姉さん! (黒犬)
- さすがに、ゆかりさん、ヤバいですね。
順一くんも一人だけになってしまい、どうなるだろう? (G-A-JUN)
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