ザ・グレート・展開予測ショー

帰ってきた横島 ―18前半―


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 2/ 7)

1年前、俺はここを去った。
誰にも告げることなく、もしかしたら全てを失うかもしれない覚悟で。
今俺は目的を果たし、再びここに・・・

―― 美神令子除霊事務所 ――

その場所へと戻ってきた。
そして・・・・・・




「お、来たな!」

タクシーから降りた俺たちを待っていたのは、事務所の前に雁首揃えて立っている連中だった。
誰も彼も、全員の顔に見覚えが有る。
冥子さん、マリア、カオス、唐巣神父、厄珍、エミさん、ピート、愛子、タイガー、雪之丞、西条、小鳩ちゃん&貧、一文字さん、弓さん、魔鈴さん、ひのめちゃん、銀ちゃん・・・
こんなに突然だったのに、みんな集まってくれたのか?
俺は胸に来るものを感じてしまった。

「令子ちゃ〜ん♪これから、パーティーするんでしょ〜?冥子楽しみ〜♪」
「美味いもん食わしてくれるんじゃろうな?」
「イエス・ドクター・カオス。横島さん見つかったから・パーティーする。沢山の料理が出てくる可能性・97.98パーセント。」
「クックックッ!ボウズを肴にして、今日はとことん飲むアルね♪」

みんなの心が・・・

「本当に横島だわ・・・やれやれなワケ。これで令子にも張り合いが戻ってくるってワケ。」
「おキヌちゃん!もう、コイツにヤキ入れたのかい?良ければアタシも手伝うぞっ!」
「なんなら、ワタクシもお手伝いして差し上げても宜しくてよ?」

ああ、みんなの心が・・・・・・

「けっ!いったい何処ほっつき歩いていたんだかっ!?散々心配かけやがってっ!」
「でも、無事で良かったですノー。」
「本当に・・・・・・無事で何よりですよ、横島さん。」

―― ホロッ ――

「出会いも別れも神の導き。それでもやはり・・・・・・無事であるのは嬉しい事です。お帰りなさい、横島君。」
「本当に。こんなに沢山の人たちを心配させるなんて、横島さんってイケナイ人ですね♪」
「まったくやで、横っち!こんなに仰山の女、泣かしよってからに!ホンマ、相変わらず鈍感なくせしておいしい所持っていくやっちゃ・・・」

くそっ!泣くなよ俺!かっちょわりーなぁ・・・・・・

「横島さん。小鳩、小鳩本当に・・・ウッ、心配したんです・・・ウウッ、ヒッ心配してたんですからぁ・・・・・・ウワァアアン・・・」
「ああっ?!泣くな小鳩っ!泣いたらアカン!銭の花は白い、せやけど・・・」
「はぁ〜・・・・・・もう、これ以上無いくらいの青春よね〜♪」

ほんと、俺って恵まれてたんだなあ・・・

「良く帰ってきてくれたね、横島くん。とても、心配していたんだよ?」

それは嘘だろう、西条・・・・・・相変わらずのエセ紳士ぶりだな?

「ハイハイ、みんな。色々と話も有るでしょうけど、ひとまず令子の事務所に入って頂戴。最初に横島君の話を聞いてもらって。その後で好きなように料理してね?もう、煮るなり、焼くなりバンバンやっちゃってね♪」

隊長〜・・・・・・そりゃ〜酷ぇっす。

でも、俺が蒔いた種だからな。ま、しょうがねぇか・・・

そして、成田空港から一緒にやってきたメンバーと、事務所で待っていたメンバー達は揃って美神除霊事務所の中へと入っていった。
しかし、流石に人数多すぎだ。許容スペースギリギリだぞ・・・




そして、俺は空港で話した事をもう一度全員の前で話していく。中にはシロ、タマモと同様に、アシュタロス事件の事を知らなかった者達もいたわけだが・・・

―― こいつらなら話しても良いよな ――

そう思った。弓さんと一文字さんはちと微妙だったが、おキヌちゃんの親友だし、雪之丞とタイガーの彼女だからな。
そんな訳でもう一度あの事を話したら、やっぱりアノ部分で泣かせちまった。
でも、全部を説明するには避けて通れない部分だからしょうがない。
俺も、成長したかもな。

―― この話が割りと何でもなく出来る ――

やっぱり蛍が産まれたからだろうか?
もう、あの時みたいなどうしたら良いか分からないって状況じゃ無いからだろうか?
俺がやることは、今はもうハッキリしている。

―― 蛍を幸せにしてやる ――

あの時は果たせなかった事・・・
果たそうとしても出来なくなってしまった事が、今の俺には出来る。
少なくともその為に努力する事が出来るからな。

―― だから ――

その為にも、もう一つ修羅場を越えなきゃなぁ・・・
せっかく穏やかになってきたのに、あえて火種を起こしてしまうのか。俺自身で。

―― ゾッとするな ――

俺は苦笑した。

「オイ、横島っ!」

と、そんな時に声を掛けられた。相手は雪之丞・・・・・・なのだが、後ろにはタイガーとピートも一緒にいる。

「ま、大体の話は分かったよ。誰にも内緒で行っちまった事情についても、まぁ・・・なんとか納得出きらぁ。でもよ・・・」

―― ポキ、ポキ ――

げっ!?何故指を鳴らす、雪之丞?!

「やっぱり、俺らに心配かけた分の落とし前はつけねぇと駄目なんじゃねえのかな?」

それは確かに・・・・・・ああ、なんだか展開が読める。

「ってなわけで・・・オラッ!!!」

―― バキャッ! ――

「カハッ?!」

雪之丞の右こぶしが、俺の顔面を捉えた。
しかも手加減無しかよー・・・
吹っ飛ぶ俺!

―― ガシッ ――

「えっ?!あれ、ピート・・・おまえ、さっきまで雪之丞の後ろに・・・」
「横島さん。僕も雪之丞の言い分に賛成なんです。」

俺が吹っ飛んだ先には、いつの間にかピートが待ち構えていて、俺が倒れないように抱きとめた。
そしてにこやかにそんな事を言う。

―― ドギャッ! ――

「グハッ!」

と思ったら、ピートにも殴られてしまった。やっぱり手加減無し。
再び吹っ飛ぶ俺。

―― ガシッ ――

「えっ?」

今度も倒れる前に捕まえられてしまう。相手は・・・

「そんな訳ですけん、覚悟してつかぁサイ横島さん。」

半ば予想したとおりにタイガーだった。これまた浮かべている笑顔が怪しい位にまぶしい。
ああ、この流れはやっぱり・・・

―― ボゴッ!――

「グヘェッ?!」

やっぱりこうなるのかー!!
流石にタイガーのパンチは効く。そして今度は、誰にも抱きとめられる事無く・・・

―― ドガンッ! ――

部屋の壁にぶち当たった。痛ぇ・・・

「オイッ!横島っ!!」
「くっ!痛っ・・・な、なんだよ雪之丞?!」

壁に持たれかかった格好の俺に、雪之丞がまた怒鳴る。俺は痛みを堪えながら返事を返した。

「ったく、心配掛けやがって・・・・・・でも、まぁ・・・その、なんだ・・・」

と、途端にさっきまでとは違う表情の雪之丞。人差し指でポリポリと頬を掻いて、なんだか顔が赤い。

「無事に帰ってきて良かったぜ。お前は俺の、その・・・・・・・・・ライバルなんだからな!」
「プッ!相変わらずだなぁ、雪之丞は。でも・・・そう言う事ですよ、横島さん。僕達の落とし前は、それぞれさっきの一発ずつって事で・・・」
「後はわだかまり無く、また親友同士じゃけえ!」

なっ!?ク、クサイぞお前ら・・・

―― ポロッ ――

あれ?馬鹿!なんだよ俺?!こんな安臭いモンで無く奴があるかよっ!!あー恥ずかしい!くそっ!暫く、こんなコミニュケーションが無かったからなぁ・・・
涙腺が脆くなってていかん。
でも、まぁ・・・

「おかえりって奴だな・・・・・・横島。」
「おかえりなさい、横島さん。」
「おかえりですけぇ、横島さん。」

悪い気分じゃ無いよな。

「・・・・・・・・・ただいま、サンキュー。」




「やれやれ・・・相変わらずクサイ事が好きなんだから、アイツは・・・」
「まぁ、そう言うなって弓。アタイは結構好きだぜこう言うの・・・・・・友情だよなぁ。」
「は〜・・・・・・青春ね、貧ちゃん。」
「せやの〜、小鳩。」
「それ、私の台詞〜・・・」




―― シャキーン ――

「どあっ?!あぶっ!?なっ、何さらすんじゃ〜コラッ!!」

そんなちょっと良い気分でいた俺に、突然振り下ろされた一振りの剣。こんな事をする奴なんて分かりきっている。

「何の真似じゃ、西条〜っ?!!」

そこにいたのは、にやついた笑みを浮かべる西条だった。手には抜き身の聖剣ジャスティスを持っている。

「いや、何・・・彼らの落とし前は決着が付いたみたいだからね。今度は僕の番で良いだろう?なあに、僕も一発殴らせてもらうだけさ。」
「だったら何故そんなもん抜いとるーーーっ!!?」

西条、てめえ・・・

「はっはっはっ!安心したまえ。みね打ちだよ。」
「西洋剣にみねはねーーーーっっ!!てめえ、殺る気だなーーっ?!」

ジリジリとにじり寄って来る西条を目線で牽制しつつ、俺は少しづつ体をずらしていく。

「往生際が悪いぞ、横島君!僕に心配をかけた分、きっちり受け止めたまえ!」
「だかぁしゃー!!嘘付くんじゃねーごるぁっ!!貴様は絶対、俺の心配なんかしとらんかったろーーーっ?!」

―― シャキーン ――

西条の剣が俺の頭をかすめ、髪の毛が数本刈られた。
こいつ本気だっ!?
上等じゃ、西条〜!今までの俺と思うなよっ!?
何しろ俺は一児の父!可愛い娘の為にも、こんな所でむざむざ殺される物かっ!!

―― ブンッ ――

俺は霊波刀を出して応戦する構えを見せた。西条がニヤリとする。
はっ!覚悟有りかっ!?だがしかし!!所詮、貴様は家族のいない男っ!

―― 子を持つ親の強さ、思い知れっ!! ――

俺と西条は、示し合わせたように各々の剣を振るう。
速さはほぼ互角。後は打ち合い時の強さっ!!

―― ボウッ ――

「ぐあぁあっっ?!!」
「ぎゃおわぁおわあーーっ?!」

まさに打ち合う寸前。俺と西条は巨大な炎の渦に飲み込まれた。こ、これは・・・

「ダァ・・・めー・・・・・・あぶ・・・」

ひ、ひのめちゃんか?
ああっ!?何故、念力封じのお札を外してるんですか、隊長?!

「こんな所で暴れちゃ駄目だってひのめが言ってるわ。横島君も西条君も、その辺にしておきなさいね?」

そんなにこやかな顔して、酷い事せんで下さい・・・
あ、西条はもう意識が無い。


<中半に続く>

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