ザ・グレート・展開予測ショー

横島君が逆行するお話です。 第4.2話


投稿者名:目玉焼き
投稿日時:(02/10/13)

―つづき―


―第一次審査室―

「それでは、次のグループ入って。」

 試験官と思われる人物がそう言うと、GS試験の受験者の一団がぞろぞろと部屋の中に入って来る、その中には横島、ピート、タイガーの三人に加えドクターカオスの姿も見える。

「諸君の霊力を測定します、足元のラインに沿って並んで、合図があったら霊波を放出してください。」

 その言葉を聞いて、受験者達が横一列に整列して各々「気」を高め始める。その様子を横目で眺めている横島の脳裏に、ふとある疑問が首を擡げる。

(・・・・・・GS試験・・・か、精神だけが時間を逆行したって言う事は、俺は前にも一度同じ事を経験してる筈なんだよな?)

 今更ながらようやくそこに思い至ったらしい。

「・・・では、始めて下さい。」

 物思いにふける横島の事など当然知る由もない試験官がそう言うと、部屋の中に集まった受験者達の体から、何か圧力のような物が溢れ出て来る。

「15番、25番、42番、37番、・・・君らは失格だ、帰って良い。」

 試験官に自分の受験番号を呼ばれた者達が、肩を落としながらその部屋を去っていく、そんな中、横島はいまだ思考の渦中にいた。

(・・・・・・だめだ、全然覚えとらん、実は前の時は受けなかったとかそう言う事なんだろうか?。)

 何とか必死に思い出そうと試みているようだが、何と言っても二万年も前の、しかも前世の事である、覚えていろと言うのは余りにも無茶な注文だろう。

「13番のバンダナ、精神を集中させたまえ。」

 試験が始まっているのに何の反応も示さない横島に対して、試験官がマイク越しに話し掛けるが、

(そう言えば「アイツ」はこの辺の事も覚えてんのか?、任せとけって言ってはいたけど・・・うーん、・・・心配だな・・・。) 

 ・・・横島は己の内に展開した思考の海の中に潜り込んでしまっている為、まったく聞いちゃいない。

「何だあいつは、何の霊力もないぞ、さっさと失格にしましょう。」

「ふーむ、美神除霊事務所の関係者だと言う事だから、何かあると思ってたんだがな。」

「えっ、あの美神令子の?。」

「うむ、だが、まあしょうが無い。」

 かの有名な、「美神令子」の息の掛かった人物と言うことで何か有るだろうと思っていた試験官の一人だが、これ以上時間を引き延ばす訳にもいかず、ここで切り上げる事にした。

「・・・よーし、そこまで、7番、9番、28番、44番、君達は合格だ、二次試験会場に向かってくれ。後の者は失格だ帰って良いぞ。」

 試験官がそう言うと、合格者の中に自分の番号の無かった者達がぞろぞろと部屋から出て行く。


「ふうっ、・・・・・・あっ!。」

 ピートは、最初に呼ばれた合格者の中に、自分の番号が有った事にほっと安堵の息をつくも、自分のすぐ隣で未だ静かに黙考している人物の番号が呼ばれなかった事に思い至って、慌ててフォローをいれる。

「よ、横島さん・・・そんなに気落ちしないで下さい、また来年も有る事ですし。」

「・・・・・・えっ!?。」

 今の今まで物思いに耽っていた横島だが、ピートに話し掛けられる事でようやく思考の海からの帰還を果たした。しかし、帰って来たばかりでいきなり慰められても何の事だか訳が分からない。

「横島さんっ!!、横島さんを差し置いてすまんですノーっ!、わっしは横島さんの分まで頑張りますけん!。」

「・・・・・・はっ!?。」

 続いてタイガーからもそう話し掛けられ、ようやくもう既に一次審査が終わっている事に気づき・・・、 

「・・・・・・・・・・ああああーーっ!!、しっ、しまったーーーっ!!。」

 その脳裏を鬼のような形相の、ある女性の顔が過る。 

「やっ、やばい!!、美神さんにシバかれるっ、なっ、何とかバレる前に少しでも遠くへ逃げんと。」


 その様子を少し遠くから眺めていたウィッグと眼鏡を付け、チャイナドレスを着込んだ・・・つまり変装している美神令子は一つ溜息を付いた。

(・・・ふうっ、まあ、もともと期待はしてなかったし、・・・しょうが無いか。)

「ちょっと、そこの君。」

 そう言って美神は、いまだ錯乱して「中近東辺りに名前を変えて潜伏すれば暫くはバレんだろう・・・」などと、本気で考え出した横島に声を掛ける。

「はっ、はい。」

 いよいよ逃亡資金を何処から捻出するかについてまで考え始めていた横島だが、「女性」の声に反射的に答える。
 ・・・・・・もはや脊椎反射の粋に達しているのだろうか?・・・。

「二次試験の始まる前に、お昼ご飯にしようと思うんだけど、良かったら一緒にどう?。」

「えっ、・・・俺っすか。」

 横島は、目の前にいる美人に自分が話し掛けられたのが信じられないのか、心ここに有らずと言った風で問い返す。

「ええ、貴方よ。」

「はっ、はいっ、勿論ですっ、地獄の底までもお供させて頂きます!!。」

 どうやら、後に加えられるであろう雇い主からの制裁の事は綺麗さっぱり脳裏から消え去ったようだ。

「そっ、じゃあ行きましょうか。」

 変装した美神がそう言い、周りを飛び回り全身で喜びを表現している横島を連れてその部屋を出ていくと。


「・・・試験中に男を、しかも横島さんをナンパ・・・余裕じゃノー。」

「・・・よっ、横島さんをナンパ、しっ、信じられない・・・。」

 ・・・後には何気に失礼な事を呟く男二人だけが残された。



 つづく

 
 あとがき

 ・・・・・・・・ああっ、石は投げないで下さい。
 どうもすみませんでした、今度からはもっと考えて書きます。
 
 ・・・横島君・・・落ちちゃいました・・・ああっ、だから物を投げるのはやめて・・
 別に横島君の相手を誰にしようか困ったとか、そう言う訳じゃないんです・・・たぶん。
 
 御礼 kitchensink様前回の感想ありがとう御座いました。 

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