ザ・グレート・展開予測ショー

魔人Y−24a


投稿者名:NAVA
投稿日時:(02/12/25)





 イライラとエレベーターの中でトランシーバーを見つめているのは美神令子。

 その爆発寸前の様子に声をかけられる勇者はいない。

 エレベーターで分乗したのは良いが、令子達のエレベーターは到着してもドアが開かない。

 その対魔・対霊処理が施されているドアは同時に戦車でも持って来ないと破れそうもないほど堅牢だ。

 仕方が無いので無事にドアが開いた美智恵達が先行している。

 美智恵達が外から操作でもして開けてくれるのを待つしかない。

 そんな胃がキリキリと痛む状況の中、やっとトランシーバーが鳴る。


 『ザザ・・・ザザ・・・令子?!』


 「ママ?状況は?!」


 『究極の魔体と交戦中!!
  悪いけど自力で脱出して!!

  ドーン!!!!

  というか、早く来なさい!!!!』


 そう言ってトランシーバーは返事を待たずに切れてしまった。

 「そ・・・そんなにやばいの?」

 美智恵の切羽詰った声などほとんど聞いたことのない美神は不安にかられるが、すぐに思い直し宣言した。

 「こうなったらこのエレベーターをぶち壊してでも出るわよ!!!」





 夜天光はただの一歩も動かずに、美智恵達を見下ろしている。

 「クッ!!!」

 「美智恵君!大丈夫か?!」

 美神との会話に気を取られた美智恵は敵の攻撃を避けきることが出来なかった。

 その傷は決して軽くはない。

 「このくらい大丈夫です!
  もう少しすれば、令子達も来ます!!!」

 言いながらも霊波砲で牽制して距離を取る美智恵。

 「究極の魔体・・・ここまで複製しているとは・・・・」

 唐巣が悔しそうに呟く。

 「天にまします我らが神よ!!!」

 敵の魔力砲の真っ只中で立ち往生しているピートに局所的反魔力結界を張る唐巣。

 同時に西条がジャスティスに霊力を上乗せして上段から切りかかる。

 「喰らえ!!!!!!」

 一時的に刃幅が3倍にも増幅されたジャスティスが眩しい光りを放つ。

 しかし、究極の魔体・夜天光を覆うフィールドを打ち破ることなく西条は弾き返される。

 タイガーは懸命に精神感応で制御ユニット北辰への干渉を試みるが、一向に成果は上がらない。

 冥子は西条やピートの傷を癒しつつ、夜天光の防御フィールド全体を攻撃する。

 「駄目〜。冥子の攻撃じゃ〜、部分的に弱い所なんて分からない〜」

 「良いから続けなさい!!!
  令子達が来てからが本番よ!!!」

 叫びながら美智恵は精霊石を煙幕代わりにと一気にばらまく。

 そして敵の視界を塞ぐと同時に神通棍に最大出力で霊力を込め、力ずくで切りかかる。

 夜天光を覆うフィールドが激しく光る。

 美智恵の援護とばかりに唐巣が神罰という名の雷光を美智恵と同じポイントに放つ。

 西条は先ほどと同じように強化したジャスティスで、やはり美智恵と同じポイントへ切りかかる。

 ワルキューレとジークは魔銃の点射で美智恵達と同じポイントを攻撃している。

 ピートはヴァンパイアミスト化して、光の屈折角度を調整、美智恵達の姿を覆い隠す。

 冥子は敵の撹乱を狙い、何箇所かに絞って最大出力の攻撃を行う。




 『多重攻撃による一点突破』




 オリジナルのデッドコピーである夜天光になら通じるかも知れないと、合図も無く行われたそれは確実に効果を上げていた。


  

 ビシッ!!!


 夜天光を覆う防御フィールドから鈍い音が響く。

 『イケル!!!』

 美智恵達がそう確信した瞬間、防御フィールドは反転し、蓄積された美智恵達の攻撃を巻き込んで、

 圧倒的な威力で美智恵達に向けて拡散した。














 ズーンッ



 エレベーターのドアをマリアで強制排除。

 おかげでマリアの主武装はすっからかんになったが、無事に脱出した令子達。

 ところどころこんがり焼けているのはご愛嬌。

 

 「美智恵さん達、随分派手にやってるみたいですね」

 おキヌが案外気楽そうに美神達へ同意を求める。

 しかし美神も、小竜姫も、ヒャクメも押し黙ったままだ。

 無言で足早に進む。

 「え?え?違うんですか?」

 見かねた小竜姫が答える。

 「おキヌさん・・・。
  究極の魔体の気配は健在です。
  そして先ほどの爆発以来、戦闘の音が途絶えました。
  あの分厚いドアで守られたエレベーターの中にすら聞こえてたのに」

 「それって・・・・」

 「分かりません。急ぎましょう・・・」

 タマモやシロも神妙な顔つきで付いてくる。

 あのドクターカオスですら何か考え込んでいる様子だ。

 おキヌはやっと事の重大さを理解した。







 「スコアは業界トップのGSが6人に、魔族が2人ですか〜♪
  初陣としてはまずまずだね♪」

 ヤマサキはご機嫌だ。

 美智恵達の荷重突破攻撃には肝を冷やしたが、北辰さんが上手く捌いた。

 夜天光も制御演算ユニットの北辰も完成度が高い。

 今のところ、計算通りの性能を弾き出している。

 「さ〜て、次はメインディッシュの登場かぁ〜♪」

 ヤマサキは手をワキワキさせながら、美神達が夜天光の前に姿を現すのを待った。








 扉を開いた先にはまず、究極の魔体もどき・夜天光が目に入った。

 部屋の広さは軽く500m×500mはあろうか。

 壁にはところどころに大きな亀裂が走っている。

 美智恵達との戦闘の激しさを物語っている。


 ギリッ


 美神は横たわっている美智恵達の姿を見て駆け寄る。

 酷い有様だ。

 肋骨の数本は楽に逝っている。

 「ママ?!」

 大丈夫と言わんばかりに自力で身体を起こす美智恵。

 「令子・・・動力源を探しなさい。
  正面から倒すのは不可能よ」

 考えてみれば、オリジナルの動力源は魂の結晶か或いはアシュタロス自身だった。

 それに準じるような動力源が簡単に確保出来るはずもない。

 あったとしても簡単に換えが効くはずはない。

 自明の理だ。

 「分かったわ。ママ。
  まだ先があるんだから傷を癒しておいて。
  業界トップの異名を持つ美神令子の力、見せてあげるわ!!!」

 そう言って立ち上がる娘の姿を美智恵は眩しそうに見つめる。

 ――――この子もこんな表情をするようになったのね。

 神通棍を片手に夜天光を見据える令子を頼もしく思う反面、寂しくも思う。

 だがそんな美智恵の感傷をどこ吹く風で令子は指揮を取りだした。

 「ヒャクメ!カオス!
  あの究極の魔体もどきの情報分析!
  動力源と防御フィールドの弱点を洗って!!」

 ヒャクメは千里眼モードに。

 カオスはマリアに何か指示を出す。

 「小竜姫さまとその他の神族!!
  とにかく時間を稼いで!!
  雪乃丞と私も加わるわ!!」

 黙って頷き、それぞれに愛用の武器を構えて突撃を始める神族達。 

 「シロ!タマモ!
  シベリアの研究所で見せたあの技!
  用意しときなさい!!」 

 2人は顔を見合わせて集中力を高める。 

 「おキヌちゃん!!
  ヒーリングで傷を癒してやって!
  まずは倒れてる先行部隊から!!」

 言われる前から既にヒーリングにかかっているおキヌ。

 
 そしておキヌ・シロ・タマモと怪我人連中を庇いながら、美神自身も攻撃に参加を始めた。



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