ザ・グレート・展開予測ショー

横島君が逆行するお話です。 -第2話-


投稿者名:目玉焼き
投稿日時:(02/10/11)


 茜色の光が差込む保健室の中に、寝台に横になり微動だにしない少年とその傍らに佇む腰まで伸びる艶やかな黒髪を持つ少女の姿が見える。その少女は今だ起きる気配の無い少年の顔を見詰めながらポツリと洩らす。



「・・・授業中に突然錯乱して失神するクラスメートに、それを看病する女の子・・・、これも青春よね―。」

 ・・・実に幅広い青春の定義を掲げながらその少女、愛子は机に腰掛け何やら嬉しそうに横島の看病をしている。





「・・・んー、・・・?。」

「あらっ?、横島君起きた?」

 朝、自分の本体とも言える「机」によってノックアウトして以来、揺すっても殴っても全く反応を示さなかった横島が身じろぎしながら呻くのを聞いて、愛子は少し驚いたように問い掛ける。

「・・・・・・・??。」

 取り敢えず意識は回復した横島だが、「ベッドに横になっている自分とそれを上から覗き込むようにして見ている少女」と言う、今の状態に訳が分らず混乱していた。

「・・・?・・・横島君?」

 愛子の方も何やら尋常ではない横島の様子に、ちょんと可愛らしく首を傾げて見せる。



(・・・可愛い、・・・だれ?・・・、あれっ?・・・、えっと?・・・)

 今現在の「横島」と二万年後の「ヨコシマ」との記憶が混ざり合っている為か、今いち思考がまとまらない様だが時間が経つに連れ徐々に、ぼやけていた輪郭が形を帯びていくように意識がはっきりとして来る。





「・・・愛子・・・か?」

「愛子か?って、大丈夫なの、なんかまだボーっとしてるみたいだけど。」

 目の前にいる少女が、前に自分の通う学校で大騒ぎを巻き起こし、そのまま生徒として居付いた机の妖怪だったと言うことを思い出した横島だが、今だ焦点の定まらぬ目で愛子を見つめている辺り、まだちょっと混乱しているようだ。

「・・・あー、えーっと、あれ?、ところで俺、何でこんな所に居るんだ?」

 ふと疑問に思った事を口にしてみると、

ギクッ。

 何故か愛子がびくっと反応して、わたわたと手を振りながら説明してくれる。

「あ、えーと、それはね、あっ、そうそう、横島君ってば授業中に急に倒れたんだよ、だから私が保健室まで連れてきてあげたの。」

「そ・・・そうなのか?」

「そうそう、それで、今さっきまでずっと看病してあげてたんだよ。」

「あ、ああ、そうなのか、ありがとうな。」

「どういたしまして。」

 愛子はそう言ってにこっと笑う。

 その時、

ガラガラガラ。

「ん、横島君、起きたの?」

 今までどこかに出掛けていた保健室の主、辻村恵子が帰って来た。

「あ、今起きたんですよ。」

 横島の代わりに愛子がそう答える。

「・・・・・・。」

 何故か沈黙する横島、と言うのも彼の脳みそは保健室に入って来た恵子を見た瞬間、ある公式を導き出す為にフル稼働していたのだ。ちなみに導き出された公式と言うのは、

      患者(自分)+女医(保健の先生)=愛 

 ・・・つまり、
  
「センセー――。」

ガバッ。

ドスッ。ガゴンッ。

「ぐはっ!!。」

 脳内で、どこをどうやったらそういう答えに行き着くのか全く持って意味不明の公式を一瞬の内に作り上げた横島だが、恵子に抱き付く前に、鳩尾に決まった膝と、後頭部に襲い掛かった机に、敢え無く床との熱い抱擁を交わす事となった。

「それだけの元気があれば大丈夫でしょう、もう遅いしさっさと帰りなさい。」

「・・・・・・ふんっ。」

 とっても冷たい目で見下ろしながらそう言い捨てる恵子と、何やら不機嫌な愛子の様子にたじろぐ横島だが、ふと恵子の言葉に何かが引っ掛かる。

「・・・?もう遅いって、・・・いま何時なんすか。」

「?、五時よ。」

「・・・ごっ、ごじ!?。」 

 簡潔に答える恵子の答えを聞き固まる横島、その脳裏には傲慢で我侭で金に汚いナイスバディーな美女の姿が過り、

「あっ、あかんっ、かんっぺきにチコクじゃー。」

 そう叫びながら、脱兎のごとくその場から走り去って行った。





「・・・・・・何なのかしら?。」

「・・・さあ?。」





 つづく?



 後書き・・・と言うかお詫び

 どうも、目玉焼きです。
 ・・・短い上に内容が無いですね、・・・すみませんもっと精進します。
 あ、そうそう、kitchensink様、ブリザード様、マサ様、感想ありがとう御座いました、この場をお借りしてお礼申し上げます。
 もし宜しければ、また感想などお願い致します。

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