ザ・グレート・展開予測ショー

魔女の過去[


投稿者名:NGK
投稿日時:(02/10/22)

「愚劣なる人間どもに殺された魔女たちよ・・・今こそ、復讐のときを・・・!」
ぼぅ・・・・・・
美しい女性が呪文を唱えると青白い幾多の光が現れた。
「これは、大いなる宴の前夜祭・・・」
―――それは幻想的な光景だった。
暗い夜空に輝く星。そして美しい女性とそれを囲む青白い光。
しかしながら、どこか違和感を感じる。
美しき女性からは禍々しい念を感じられ、青白い光はおぼろげながら人の姿を取りはじめる。
そして、青白い光が街中に散っていった。
―――ややあって、悲鳴が街中にこだまする。
そして美女は―――何時の間にか姿を消していた。


ドイツ:魔女協会本部
「・・・これで、五箇所目です、さらに各協会から鎮圧要請が」
主だったところはGS協会である。
その報告に長老は頭を抱えた。
ヴュルツブルク、バンベルク、アイヒシュテット、レムゴ、ゲルンハオゼンといった街で突如、魔女の亡霊が出現した。
いずれの街もかつて大々的に魔女狩りが行われた所であった。
「・・・そう・・・か」
生前は魔女だった亡霊たちは通常の亡霊と違ってその力が強い。
知能が無いに等しいのが幸いであったが、上記の町は幾数多の魔女亡霊の出現によって、その機能を停止した。
周辺の町では被害を受けた町からの難民で溢れかえっているとの報告もある。
「魔女の亡霊・・・か。よりによってドイツ中の魔女がここにあつまっている時にとは・・・」
誰がこんな事をしたか、想像がつく。

―――青い爪の魔女―――

「・・・やられた、な」
青い爪の魔女の目的は魔女主導―――端的に言えば自分主導―――の世をつくり上げることである。
手勢として魔女の亡霊を世に放ったのか。
それとも再び魔女が一般の人間と敵対するのを狙っているのか。
ともかく、このまま魔女協会本部に閉じこもっておくと一般人に魔女に対する認識を昔の世に戻しかねない。
それだけはなんとしても避けなければならない。
「即刻、鎮圧する、と伝えよ。幾数多の魔女たちを送って・・・な」
長老は、そう秘書に伝えた。
「魔女だって同じ人間なのだ。それが何故わからないのか」
長老は、この場にいるはずの無い青い爪の魔女に向かって呟いた。


ドイツ:バート・メルゲントハイム。
温泉地でワインの産地でもあるこの小さな町はかつてのドイツ騎士団の本拠地であり、
また、大規模に魔女狩りが行われた地でもある。
そして、街の郊外の山にに建てられている黒い十字架は”魔女の十字架”と呼ばれていた―――。


バート・メルゲントハイムにある警察署に、一人の東洋系の少女が拘留されていた。
「で、何故あんなところを歩いていたんだ、あ?」
強面の警官が東洋系の少女―――魔鈴めぐみ―――に詰め寄る。
「・・・あなたに答える理由はないわ」
謎の男との戦いのあと魔力、そして生命力をいささか使いすぎた魔鈴は数日間、まともに動けなかった。
そして、ようやく起き上がれるぐらいに回復したところで巡回中の警察官につかまったのだ。
そして翌日。この状況である。
ふぅ、面倒なことになったものだ。
口には出さずにそう呟く。
「なんだぁ!答えられないのかぁっ!!!」
・・・一度”あれ”を試してみるか。
魔鈴は、そう心の中で呟くと口紅を取り出した。


「ほう・・・この少女を探しているんですか・・・」
赤みのかかった黒髪にチョビヒゲ、スラリとした体型のナイスミドル35歳(推定)の署長がそう言った。
「ええ。まぁ、怪しげな少年でもいいですけど」
黒光りしているソファーに腰掛けたスーツ姿の美神美智恵(年齢不詳)は言った。
見る人が見たら彼女を大手会社の秘書や、やり手のキャリア・ウーマンと見るだろう。
―――勿論違うが。
どたどたどた・・・
「・・・何の騒ぎです?」
署長室は一般部署と距離が離れているはずだが、ここまで物音が聞こえてくる。
「いや、実は・・・ここ数日でドイツ各地で魔女の亡霊が大量に現れましてね。それが全て魔女狩りの大々的に行われたところでして」
署長は地図を広げた。
「まずはヴュルツブルク、続いてバンベルク、アイヒシュテット、レムゴ、ゲルンハオゼンといった順番で、出現してます」
署長は、そう言うと赤ペンで地図上に×印をつけた。
「・・・なるほど、このバート・メルゲントハイムも大々的に魔女狩りが行われてましたからね」
「・・・そう、何時出現するか分からない状態でして。しかし、なにか原因があるはず・・・」
だから、怪しげな人物を片っ端から捕らえているという。
「だから、その中に該当する、この少女がいるかもしれません」
ドタドタドタ・・・!!!
「署長!大変です!!
「なんだ?報告しろ!」
「はっ!実は・・・・・・」


「だぁぁぁ!離せ!逃げられるだろ!」
「離すものかぁ!!彼女のために俺は命をかける!!」
「邪魔だってば!」
「早く!早く逃げるんだ!!」
幾数多の警官がもみあいの格闘をしていた。
その中を魔鈴は悠々と通り過ぎる。
「ふぅ・・・意外と疲れるものね、魅了の魔法って・・・」
魔力の消耗が、ではない。精神的に、である。
「やっぱり、やりなれないことは、するものじゃないわね」
「なら、術を解いてもらおうか」
警察署の裏口の前に一人の少年―――西条輝彦が立っていた。
「怪しの者め・・・正体を現すんだな・・・!」
そう言うと側に掛けてあった剣を構える。
「・・・悪いけど、そこを通してくれない?あんまり無関係の人間には危害を加えたくないの」
「この事態を作って何を言う!!」
「(僕は、先生の足手まといなんかじゃない・・・!)」
通称:馬鹿猫との戦いで実戦経験の無さを露呈した西条は、この数日間、思い悩んでいた。
この先、美智恵先生の役に立てるのか―――と。
「(せめて、こいつぐらい、自力で倒さないと・・・)」
西条は、これまで、自分の力にそれなりに自信をもっていた。
”あの”美神美智恵の一番弟子。
そう言われて照れくさかったが、悪い気がしなかったのも事実だ。
それなのに・・・!
「(先生に恥をかかせてはいけない!!!)」
その思いが西条自身の震えを抑えていた。
「・・・引く気は、ない・・・か。あなた、後悔するわよ」
魔鈴は、その瞳に青い光を宿らせ、そう言い切った。




――――――続く――――――

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