ザ・グレート・展開予測ショー

交差そのはち


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 6/26)

どくん!
心臓がおおきく警告音を鳴らす。
きいいいいいんんっ
甲高い音が鳴り、そして―その後一切の音が消える。
ここで聞こえるはずの、音が。
視界が消える。
さっきまで見えていた筈のものが全て―消える。
そして感覚が―なにもかもがそこで感じなければないらない、ものが全て、止まる。
さらにかってに動き出す―すべての感覚。
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、そして第六感といわれる―この場合は霊感いや霊覚とでも呼べばいいのだろうか?
普通の人間ならばこれだけだろう。
人間は普通第六感までしかない―これはいたってその通りなのだ。
数少ない例外を残して―
そして、間違いなく藤吉朗は、例外である。
その六つの感覚のほかに―もうひとつ『かれら』でしか持ち得ない感覚を有していたのだから。
すなわち、それ『時覚』
普通はありえないそれ。
ありえるはずがない感覚。
それら全てが―ここで感じなければいけないものを放棄して、あるものを察知しようと動いている。
本人の意思もなにも無視して。
目はどこかわからないものを見る
耳は、聞こえない
皮膚はここではないどこかを感じる。
鼻も舌もほかの全ての感覚がいままで感じていたものから離されてどこだかわからないものを感じさせられる。
唐突に、しかも何の用意もできず意思も無視してくるのだ
これが恐ろしくないわけが無い。
喉から―叫び声がでそうになるのを抑える
藤吉郎はぐっと喉にかける力を強くて
必死に。
それこそ死に物狂いで叫び慌てふためくのを抑えていた。
ここで冷静さを失ったら―終わりだ。
なぜならばこの感覚全てがすぎりだそうとしているものは間違えようもなくこちらに―いや「自分」に敵意をもっているのだから。
そしてそれに気付いているのは自分だけなのだから。
時々―時々だがこーゆうことはあった。
自分の大切なひとや自分自身に、なにかおきようとすると―わかるのだ。
予感―ではない『わかるのだ』
それが起きるのが、目が、耳がそこへと向かうのだ。
少しだけ先のところへ。
それはもちろん一瞬で、こんなふうに感覚全てが失われる事などなかった。
けれども―あったのだ。
だからこそ耐えれるのだろうが?
―と。
瞬間見えた。
視覚が―捕らえた。
それは
鉄の塔の天辺に―いるひと。
金の瞳に―純白の―髪。
年は十代後半で性別は男だろうか?
良く晴れ渡った空を背景に立っておりにこやかな―穏やかな笑顔である。
(ヒカゲに似てる)
もちろんその少年は性別は男だし、きているものも違う。
容姿にしてもヒカゲのように鋭い―感じはない。
だがその纏っている空気と―その目と髪のいろが同じなのだ。

その少年は笑ったままゆっくりと片手を掲げる。
手のひらにはなにもない。
そして―その手を無造作に下げる瞬間
口元が―かすかに動いた。
かぼそい声を耳が―それを捕らえる
『同胞よ』
という言葉。
瞬間―全てが元に戻った。
ぜえぜえと肩で呼吸をする。
まだ手のひらは固まったままだ。
「だいじょうぶでござるか?」
とシロが心配そうに見ているしおきぬもヒーリングをしてくれている
タマモも何も言わないが心配そうだ。
横島は三人から一歩引いたとこで「だいじょーぶか?」という。
「そ、そそんな場合じゃないですっ!!!ここに攻撃がきます!!!!離れないとっ」
がばっと顔を上げ藤吉郎。
真剣そのものである。
「敵??でござるか?」
「そんな事感じないわよ?」
「―そうですよね。見鬼くんも反応してないですしねえ?」
のんびりと三人。
「―けどっ」
そんな反応に尚も言い募ろうと、藤吉郎が声を上げた瞬間
びゅっと―空気が空間が引き裂かれた。

つづく

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