ザ・グレート・展開予測ショー

〜キ・ズ・ア・ト〜


投稿者名:ブラックキャット
投稿日時:(03/ 1/16)



「・・・・・・毎度の事だけど・・・よく生きてるね」
「言うな・・・」

今日も今日とて美神にシバキ倒された横島。
今日は珍しくタマモが文殊で回復している最中の横島に近付いて傷だらけの体をしげしげと眺める。
・・・いつもヒーリングしてくれているおキヌちゃんは生憎外出中だった。

「ねぇねぇ。この細かい傷痕は消えないの?」
「ん?あぁ・・・それは・・・今までの色んな除霊やなんかの・・・なんてーか、歴史・・・みたいなもんだからな。
あんまし消さないよーにしてんだよ・・・一つ一つに思い出があるからな」
「ふーん・・・そうなんだ」

興味があるのか無いのか今一判断の付かない視線で横島の体の傷痕を見るタマモ。

「タマモにはやっぱわかんないか?こういうの」
「・・・わかんくていーもん。そんなの・・・」

相変わらずクールなタマモに苦笑しつつ、回復が終わった横島は立ち上がり、しゃがみ込んでいるタマモを見下ろす。

「昼飯、どうする?おキヌちゃんも居ないし・・・きつねうどん。食いに行くか?」
「行くッ!」

きつねうどんと聞いた途端に、目の色を変えて立ち上がるタマモ。
そんなタマモに、やっぱ未だ色気より食い気なんかなー。と思いつつ横島は財布の中身を確認する。
うん。大丈夫だ。タマモにおごるぐらいは余裕がある。

「どしたの?早く行こ」
「わーってるって。そんないそがなくったってきつねうどんは逃げないよ。
美神さーん!昼飯いってきまーっす!!」

事務所の奥に居る美神に声を掛けて事務所を出る横島とタマモ。
うん。いい天気だ!

「ねぇ・・・横島?」
「ん〜?どうした?タマモ」
「こないだちょっと遠い所にきつねうどんの美味しいお店を見つけたんだけどさ・・・・・・」

ちょっとだけ身をかがめて下から横島を見上げるタマモ。
・・・・・・どこでそんな事を覚えたんだ・・・(汗

「じゃ・・・散歩がてら行ってみるかぁ・・・・・・」
「うんっ!」

タマモをじゃれ付かせつつ横島はシロとの散歩ではできない、ゆっくりとしたペースで歩く横島。
暖かい日差しに眼を細め、自然と歩みが遅くなる。
タマモもそれに気付いたが、あえて急かさずに横島の右腕にじゃれつつゆっくりと歩く。
こんな日もたまにはね。そう思ったタマモであった。

「でも・・・珍しいよね・・・・・・横島が連れてってくれるなんて」
「ハハハ・・・ま、たまにはな。タマモだっていつもはもっと急ぐクセに俺に合わせてくれてるだろ?」
「そっ・・・!それはっ・・・横島が居ないとお金が・・・そう!お金が掛かるからよ!!」

慌てて理由付けするタマモが可愛くて横島は優しい笑みを浮かべ見守る。
タマモはそれを見て何よ!文句ある?!っと言って拗ねてしまったが。

「あ!ここよ、ここ。ここのきつねうどんが美味しいってテレビでやってたの」
「ん〜、お姫様のお気に召すといいな?」
「・・・・・・そ、そうね」

からかう横島に少しだけ頬を染めつつ腕を引っ張って早く入ろう。と促すタマモ。
可愛いなー。とか思いつつ横島もいい加減腹が減っているので店に入る。
店の中は、割とこじんまりとしていて雰囲気のいい造りだった。
テレビでやっていた割りにすいていて、直ぐに席につけたので二人とも機嫌がいい。

「ご注文はお決まりですか?」
「「きつねうどん!」」

お冷を持ってきた店員に聞かれ、即座に声を揃えて答える横島とタマモ。
店員は仲がよろしいんですね、と苦笑しつつ伝票を付けて奥へ引っ込む。
仲がいい。と言われた横島とタマモはと言えば、互いに紅くなって視線を彷徨わせたりポリポリと頬をかいたりと、落ち着かない様子で残されていた。
暫らくして注文されたきつねうどんが運ばれてくる。
きらきらと光る黄金色の汁。
適度な太さでコシの強そうな白い麺。
そして・・・その上に燦然と輝く大きなお揚げ!
見るからに上手そうなきつねうどんに、二人の喉はゴクッ!と音を立てて鳴った。

「「いただきまーす!・・・ズルッ!・・・ズッ、ズズーッ!ズルズルッ!!」」

上手そうなきつねうどんに、溜まらず完璧にハモッて箸をつける横島とタマモ。
その動きは完璧にシンクロして、食べる動作、量まで同じになっていた。
・・・それを見ていた店員が、やっぱり仲がよろしいんですね。と言ったかどうかは定かではない。

「「ズズーッ・・・ぷはーっ!ご馳走様でした」」

食べ始めた時同様、まったく同じ動作で食べ終わる横島とタマモ。
その表情は幸せに満ち、その味を見るものにも伝えるであろう。

「美味かったなー・・・・・・」
「うん・・・そうだね・・・」
「タマモの舌が認めるんだ。かなりいい味だよな・・・」

ぼんやりと、きつねうどんの余韻を味わう二人。
タマモもかなり気に入った様で、顔が幸せそうにだらしなく歪んでいる。

「さて・・・会計済ませてくっから先出てな」
「うん。わかった」

暫らくして、いい加減余韻を味わうのも止めて店を出る事にした二人は席を立ち、タマモは先に店を出る。
外に出たタマモは、陽気な日差しと、美味しいきつねうどんから、気持ちがよくて思いっきり伸びをした。

「随分気持ち良さそうだな、タマモ」
「あ、横島。じゃ、帰ろ?」
「おう。帰るとすっか・・・」

来た時の様に、タマモは右手にじゃれ付きながらゆっくりと歩く。
ゆったりとした時間。
・・・そこには確かに幸せがあった。

「ね、横島・・・」
「ん・・・?」
「あのさ・・・・・・ちょっと、いい?」

急に立ち止まり横島を見上げるタマモ。
横島も何事かと立ち止まり、タマモを見る。
何も言わず、じ〜っと横島を見るタマモ。

「アンタの傷痕にさ、思い出があるって言ったじゃない?」
「ああ・・・それがどうしたんだ?」

おもむろに口を開き言うタマモに、横島は頭にハテナマークを浮かべる。

「今日の・・・これも・・・・・・思い出になるの?」
「・・・ああ。当然だろ?」
「じゃ・・・・・・証」

急に抱きつき、横島の首筋に噛み付くタマモ。
突然のタマモの行為に何も出来なくなる横島。口をパクパクと動かすが声を発する事は出来ない。
けれど、暫らくして落ち着いて来ると・・・思い出を求めるタマモが可愛くて小さな子にする様に頭を撫で始める。

「ん・・・・・・」

頭を撫でられて気持ちが良いのか、止め様とはせず、横島に抱きつく腕の力を強めるタマモ。

「ヘヘヘ・・・・・・消したらダメだからね?」
「・・・しゃーないなぁ・・・こんな事しなくたって忘れないって」
「いーの!・・・私が残したかったんだから」

横島の首筋には・・・タマモの愛らしい歯形がくっきりと残っている。
それを見て満足げに微笑むタマモは・・・横島が思わず見惚れてしまうほど可愛らしく、眩しかった。

「んじゃ、帰るか?」
「うん。帰ろっ」

又右腕にくっ付いて歩き出すタマモに優しい微笑みを向けつつ、ゆっくりと横島も歩く。
二人の間には絆がある・・・。
思い出がある・・・。
キズアトに込められた・・・二人だけの思い出が・・・。



――おまけ――
歯形に張ったバンソウコウが元で美神らにキスマークと勘違いされた横島は、又もボコボコにされたらしい・・・
おキヌも参加していた為、ヒーリングは横島が又も自分で行ったそうである。

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