ザ・グレート・展開予測ショー

憑依魔の逆襲。


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(02/11/ 6)

「嫌な感じ」
一昔前にもなるダイヤル式に内臓された呼び出し音は何時もと変わらない。
だが、美智恵にとって何か不吉な響きに感じたのは事実である。
電話の相手はオキヌちゃんだった。
偶々、遊びに来ていた唐巣神父にも半狂乱の悲鳴が聞こえる。
瞬時。
「大丈夫ですか?美智恵君!」
電話を握り締めながら崩れていく身を片手で支える。
あいた片手で電話を取る。
「どうしたんですか ?オキヌちゃん」
『横島さんが・・横島さんが!!!』
一度報告した事が起因するのか、名前しか繰り返さない。
「オキヌちゃん落ち着きなさい。一体横島クンに何があったんだい?」
だが電話口で無き咽ぶオキヌちゃんである。
すると、
か細い声を発したのは美智恵。
「・・憑依悪魔が・・」
神父も事の次第を大体掴んだようである。
美神令子の事務所に向かう途中に、息を整えたオキヌちゃんから、報告があった。
あまり褒められた事ではないが、
横島はいつもどおり?覗きを敢行していたが、結局見付かってしまった。
バスタオル姿の美神に折檻されている最中である。
特に機嫌が悪かったらしく通常の1.2倍の力であった。
当然の事ながらその程度で死ぬ男ではない。
地べたにへばりながら許しの懇願をするため、手を伸ばしたが、
はらり、と枯葉が舞い降りるが如く、バスタオルも地に落ちる。
「きゃっ」
流石に色っぽい悲鳴を出し、横島に背を向け、思わずしゃがんだ時、
「あれっ?美神さん背中に傷跡が・・」
その傷跡がゆがみを見せたとき、とっさに触ったが最後。
「・・・!!うがっ」
苦しみを迸った横島がうつぶせになった時、洋服の背中が溶け、
『きーひゃははは!やったぜ、やったぜ!!』
美神も神父から聞いていた、自分のおばあちゃんをボロボロにした悪魔。
「・・・チューブラーベル!」
そう呟いた後、目の前が真っ暗になったのも当然である。
「いいかい、オキヌちゃん」
と、運転しながら電話をする神父。
「チューブラーベルは、霊力を吸い取るタイプの悪魔だ」
『はい』
「でね、令子君に取り付いていたのは意外な出来事だがありえない訳じゃない」
20数年前、完全に退治したと思われていた悪魔の禍根は残っていた、という事だ。
それが今になってよみがえった理由は色々と考えられるが・・、
「そんな事はどうでもいい。問題は横島君の体だ」
『そうなんです。一秒一秒、衰弱していってて』
「あぁ、横島クンは能力はともかく霊力はそんなに無いんだ」
車でたとえるなら、とてつもなく燃費のいい車体だが、ガソリンに破損が生じた、という奴か。
「最悪の事態は横島クンの霊力を吸い取って・・」
横島という意識を絶命させて、体を乗っ取る事になる。
「・・・公彦氏の比じゃないヤバさだよ。彼の能力は神魔に匹敵する」
今はシロやタマモの霊力を分ける作業。それも手を触れずにすることが第一である。
「・・疲れるで御座るよ・・」
弱音を吐くシロに対して、タマモは既にへばっている。
「な、なんて霊力の吸われ方よ!触れようとしただけで、疲れちゃうわ!」
戯言さえも言えなくなった今である。
「しかし・・どうする」
車中で呟く唐巣神父の声は美智恵に届いたかは謎である。

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