ザ・グレート・展開予測ショー

横島君が逆行するお話です。 閑話休題


投稿者名:目玉焼き
投稿日時:(02/10/12)

 ―TOKYO CITY HOTEL―
 そのホテルの一室に、その魅惑的な肢体を豪奢なソファーに沈める妙齢の女性と、その女性に付き従うように佇む大柄な男の姿がある。

「いよいよですね。」

「・・・はい。」

 女性が話し掛けると男が答える、その声からは女性に対する恐れのような物も感じ取れた。

「私の愛弟子達が一人でも多く合格する事を祈っていますよ。」

「お任せ下さい、必ずや貴女様のお望みのままに。」

「気が向いたら応援に行くかもしれません、・・・昔馴染みに挨拶もしたいのでね。」

「・・・では、行って参ります。」

 男が恭しく一礼しその部屋を後にすると、そこには、獲物を睨み付ける蛇のごとき鋭い眼光を持つその女性だけが残された。



「・・・・・・・・・・っ!?。」
 
 暫くの間、黙してただ静かに虚空を見詰めていた女性だが、突然背後に現れた気配に驚き振り返る。そこには何時の間にか糸のような細い目をした白髪の青年が現れていた。その青年は女性と目が会うと、芝居がかった口調で話し始める。

「邪魔なGS達を駆逐するのでは無く、自分の側に取り込んでしまおうと言う訳ですね、いやあさすがで御座いますね。」

「・・・誰だ?」

「始めまして・・・、ゴルゴン三姉妹の末姫・・・メドーサ様。」

「私をそう呼ぶなっ!!。」

 女性の問いかけに対して、慇懃に礼をしながら男が答えると、その台詞を聞いた瞬間、「メドーサ」と呼ばれた女性が激昂して叫ぶ。しかし、その怒気を受けた男は些かもそれを気にした風でもなく、相変わらずのその態度を崩そうともしないでさらりと返す。

「これは大変失礼致しました、御姉様方とは仲が宜しくないので?。」

「・・・あいつらの命令で私を始末しに来た・・・って訳じゃ無さそうだね。」

「まさか、ステンノー様方にはお会いした事も御座いませんよ。」

「・・・それで、・・・まさか世間話をする為にここまで来たって訳でもないんだろう?」

 その話はこれ以上したく無いと言った風にメドーサがそういうと、ようやく男が本題と思われる事を話し始めた。

「ええ勿論ですとも、本日はご挨拶と、我が主様のご意向を伝えに参った次第で御座います。」

「・・・主様?、・・・誰なんだいそいつは?。」

「申し訳御座いません、私にはその問いに答える事は出来無いのですよ。」

「胡散臭いねえ、・・・正体を隠したがる奴に碌なのは居ないからね。」

「ええ全く、仰る通りだと存じますよ。」

 男が口元のみに笑みを貼りつけてそう賛同の意を唱えると、メドーサは気に入らないと言った感じのまま、再度男に問い掛ける。

「・・・それで、あんたの名前ぐらいは教えてもらっても良いだろう。」

「そうですね、私の事は「クロウリー」とお呼び下さい。」

「!!・・・魔術師「アレイスター・クロウリー」?、まさか本人・・・じゃあ無さそうだね。」

 男が名乗るのを聞いて僅かに驚愕するメドーサだが、目の前にいる男がその名を持つ者で有るはずが無いと思い直し、態度を元に戻す。

「申し訳ありません。」

「まあ良いさ、それで、あんたのご主人様の「ご意向」とやらは何なんだい?。」

「ええ、それがですね、・・・・・・」

 そう言って、「クロウリー」は主からの伝言を語り始める・・・。



 話を聞き終えたメドーサは閉口一番、

「・・・嫌だね。」
 
 そう言って捨てた。

「そ、そこを何とかしてもらえないでしょうか?、・・・それとですね、実はもう一つ有りまして・・・。」

 有無をも言わせずたった一言で「主」の頼みを切って捨てられた「クロウリー」が、ちょっと額に汗を浮かべながらも食い下がる。

「もう一つ?、まだなんか有るってのかい?。」

「えーっとですね、「この頼みを聞き入れてもらえるのならば、使いの男を好きに使うが良い。」だそうです。」

「・・・使いの男?。」

「私です。」

「・・・・・・役に立つのかい?。」

「ひ、酷いですね、こう見えても結構出来る奴だって評判なんですよ。」

「・・・・・・何処で?。」

「・・・さあ?。」

「・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・。」

 辺りに痛い沈黙が流れる。



「・・・さっさと帰れ、・・・」

「あああっ、待ってくださいよ、このまま手ぶらで帰ったりしたら「あのお方」に何されるか分かった物じゃないんですから、助けるとおもって、ね?。」

「ああっ、鬱陶しい纏わり付くなっ。」

 さめざめと涙を流しながら縋り付いてくる「クロウリー」の顔面を足で押しやりながらメドーサがそう叫ぶ。すると、突然、今まで泣き真似をしていた「クロウリー」が突然姿勢を正し、何かを思い出したように手をポンと叩いて、何処からとも無くその「何か」を取り出す。

「あっ、そうそう、そう言えば、主様からお近づきの印にってこんな物を預かっていたんでした。」

 それは、禍々しい装飾の施されている鞘に収められた、一本の剣であった。

「なっ、・・・そいつは、・・・フラガラッハ!?。」

バッ

ヒョイッ

「・・・引き受けて、貰えますか?。」

「・・・ちっ、・・・分かったよ。」

 面倒くさい頼み事と、目の前に有る「それ」とを天秤に架けた結果、どうやら「それ」の方に傾いたらしい。

「では、これをどうぞ。」

 その剣を受け取ったメドーサは、こう言った物に深い造詣でもあるのかその剣を鞘に収めたまましげしげと眺めている。そのまま恍惚とした表情でそれを眺めながら、何気なく一言洩らす。

「・・・本物なんだろうね?。」

「・・・・・・・。」

 その問いに対する答えは沈黙・・・。

「・・・おいっ。」

「さあっ、時間も無いことですし、早く参りましょう、試験会場に行くんですよね?、先に行ってお待ちしておりますね。」

「ちょっ、待てコラー―。」

 男がそう早口に言い放ち、返事も聞かずに光陰の勢いで部屋から出て行ってしまうと、後にはメドーサの怒声だけか空しく響き渡っていた・・・。



 つづく・・・

 
後書き
 ・・・あ・・・あれ、何でこんな物書いてるんだろう・・・
 ・・・・・・ご、ゴメンナサイ、進行早くするって言ったのに・・・
 はあ・・・、あ、後ですね、これまでのお話も含めまして何か話の流れ的な物でも、文法的な物でも良いので、ここが読みにくいとか有りましたらご指摘下さい、参考にさせて頂きます。
 御礼・・・kitchensink様、ブリザード様、闇の愚者様、ハッカ様、感想どうも有り難う御座いました。

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