ザ・グレート・展開予測ショー

三匹!?が行く 四話   「複雑な記憶と懐かしき声」


投稿者名:人生前向き
投稿日時:(02/10/28)

 


俺は・・・・。 俺はタマモとホテルにいたはずじゃ!?

いや、俺は・・・ダイの親父、バランにメガンテをかけ死んだはず!?





 目を覚ますと、まず最初に目に入ったものは、まだ年端もいかない少女の顔のであっ

た。何故かはわからないが、どうやら彼女の手を煩わしてしまったらしい。冷静に状況を

確認する。





「おとぉさん、おじいちゃん、おねぃちゃん! お兄ちゃんが起きたよ。」


 少女は慌ただしく部屋から飛び出していく。途中にあったタンスにぶつかり、上に置い

てあった木製の洗面器を落とし、中に入っていた水を床へとぶちまけてしまった。目が合

ってしまった男に彼女は、ばつの悪そうに舌を出し、後で片付けるからといい部屋から出

ていった。

 男は額にかぶせてあった濡れたタオルを手に取ると、体を起こそうとした。全身に激痛

が駆け巡る。




うっ!!




 痛みに耐え切れず男は再びベッドに横になった。しばらくすると、ドタドタドタとけた

たましい足音がこちらに向かってくる。再度体を起こそうとも考えるが、下手に無理をす

るのはやめ、首だけドアのほうに向けた。






「横島!」





 その声とともに勢いよく部屋に入ってきたのは、『金髪の少女』であった。さっきの少

女より年が上といった感じである、推定年齢15〜17あたりであろう。腰まである長い髪は

後ろで束ねられている。





「大丈夫、よこしまぁーー!?」






後、その男語る・・・・悲惨であった



 想像してください。先程女の子が洗面器にはいっていた水をこぼしてしまいました。そ

して後で片付けるといい、そして出て行きました。その次に勢いよく入ってきたのは『金

髪の少女』である。当然のこと彼女は床に水がこぼれているなど知りません。それを方程

式にすると簡単に答えを導かせられます。




(水がこぼれてあることを知らない) × (勢いよく入ってくる)



男は瞬時に答えを頭の中で出すが、口で出すのが遅かった。



(水がこぼれてあることを知らない) × (勢いよく入ってくる) =勢いよくすべる



 ここで注意すべきは勢いよくという行動です。普通に歩いてすべるのであれば、後ろ向

き、前向き、どちらか一方に『その場』ですべることでしょう。しかし、そこに大きな力

が加わると、大半がその向き・進行方向のほうへと力が流れるのです。





「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜」





 『金髪の少女』は、転びそうなのを必死で抑えようとしたが、それは叶わず寝ている男

の体に全体重をかける姿勢になった。





「〆ξ♀♂∞∴ゞ≠〆♀∞〆ξ♂∴≠!!???」←声にもならない叫び





――数分後


「ごめん。」


 
「おまえなぁーちょっとは、いてててて。」




「ほんとに反省してる。」




 男のベッドの横で、しょんぼりとうな垂れている『金髪の少女』、一本の線となってい

ない記憶の中で、一つの記憶は彼女のことを知っている。彼女はタマモ。狐の妖で金毛白

面九尾という。




「まったく無茶なことしやがって。」




 聞きなれた声が聞こえた。よく俺を罵倒する声。そう、もう一つの記憶にある。


 部屋の前には見るからに年老いた老人が立っていた。彼に気がつくと、タマモ警戒した

ように自分のお尻をおさえると、敵意剥き出しに、老人を睨みつけた。


その老人は彼の師匠・・・・。






 うまく繋ぎあわせない不安定な記憶、それに相対して自分の中に、確かに存在している

自分ではない一つの生命。男は彼女をはっきりと感じた。


よかった。


男は心の中で安堵の声を漏らした。



《大丈夫、もう触れられないけど、いつでも誰よりもあなたの近くにいるから。》



 懐かしい声が聞こえた。それは彼の心が求め創りあげた幻聴かもしれない、だけど、そ

れでも嬉しかった。

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