ザ・グレート・展開予測ショー

THE DARK SIDE OF THE MOON 〜Act2.5


投稿者名:Cultivate Flat
投稿日時:(02/ 6/13)


 ―――――――――――――THE DARK SIDE OF THE MOON――――――――――――

 Act.2.5 奇妙な果実

 マザース製薬本社……。創業僅か30年にして、一大製薬会社になったその会社は本社を世界連邦の首都にかまえている………。そのそびえ立つビルの内部を急ぎ足で歩く、腹の突き出た小柄の男がいた……。

男「(ハァハァ……ッ)急がなければ……!だいぶ時間に遅れてしまった……。」
 その太った男の名はポンティ。マザース製薬販売部長である。彼は新製品についての会議が行われている会議室へと急いだ……。彼は会議室のドアを勢いよく開け、
ポンティ「(ガチャッ!!)もっ、申し訳ありません!少々時間を食ってしまって……、」
ザッパ「遅刻は厳禁だよ、ポンティ君?まぁ、いい。座りたまえ……。オハーン、説明を続けろ。」
オハーン「ハッ……。」
 ポンティはすぐに席に着いた。そしてオハーンというその眉毛の濃い、一重の男は説明を続ける。
オハーン「………というわけで、今回、我が社の新部門、食品部門としての第一号のバイオ食品として発売する予定なのが、この『ストレンジ・フルーツ』です。」
 会議室の円卓(といっても、楕円に近いのだが)の全員の席の上には、グロテスクな色の皮がついたピンクとオレンジと白色の果実の切り身がそれぞれ置かれた。その奇妙な果実を見て、周囲はザワついた……。
ポンティ「……こんなものを……?売りに出すんですかね、ねぇ、テューネスさん?」
 と、ポンティがこれをかけたのは隣の席のテューネス営業部長。
テューネス「ウゥム……。それにしてもグロテスクだな……。」
 まじまじとその果物を見るテューネス。周囲の反応も同じようで……、まず、文句を言い出したのはヨーマン常務だった。
ヨーマン「こんなグロテスクなモノを売りに出すつもりかね?私にはとうてい売れ無そうに見えるが……?」
 と、ヨーマンが文句を言うと、続いてシャーウッド専務が………、
シャーウッド「その通りだ。まさか、このグロテスクな果物が売れると思っているのかね?」
 続いて、マン総務部長が言った。
マン「第一、この果物の味は保証できるのか?何かあったら、ウチの信用はガタ落ちだぞ?」
 と、様々な不平不満が飛び交い、まとまらない会議室……。すると、プレゼンテーション役のオハーンが……、
オハーン「皆さん、お静かに………。では、この食品について、我が社の顧問科学者である、Dr.フェイゲンにしていただきます……。では、ドクター、お願いします。」
 すると、現れたのは額が広く、人間離れしたギョロッとした目に軍人のようなオール・バックの髪型をした顔が長方形の男。その白衣を身にまとった男は、壇上に着き説明を始めた。
フェイゲン「………では。今回、開発したこのバイオ食品、合成の過程の都合上、このような色をしていますが、味の方は保証いたします。この果物は、現在ある果物エキスを研究し、今までの果物にない甘みを引き出すことに成功しました……。また、非常に長持ちいたします。おまけに、何日か熟成させておくと、皮の色が変わり、味も又変わります。皆様方の皿には二日おいたモノ、7日おいたモノ、そして14日おいたモノがあります……。どうぞご賞味下さい……。ククク………。」
 説明し終えるフェイゲン……。そして再び、オハーンが立ち上がり、
オハーン「それでは皆さん、試食会を兼ねて、どうぞ味を確かめてください。」
テューネス「まさに、『奇妙な果実』ってわけか……。(パクッ)」
ポンティ「ウゥ……。エェイ、抵抗はあるが、ものは試しだ!!(パクッ)」
ヨーマン「フンッ。こんな物、ウマイわけが……。(パクッ)」
シャーウッド「まぁ、百聞は一見に如かずと言うしな……。(パクッ)」
マン「フンッ、何かあったら、タダじゃ置かないからなっ!(パクッ)」
 他の部長、重役達も試食をする……。するとどうだろうか。口の中には、この世のものとは思えないほどの甘さが広がった……。しかし、何故かザッパやフェイゲン、オハーンの3人はそれに口を付けていない……。だが、そんなことには気付きもせず、他の人々はその果実の味に驚嘆し、声も出なくなっていた……。だが、しばらくすると、それを食べた者達に異変が……。
食べた全員「…………」
 全員黙り込んだまま、ぐったりとしている……。すると、ザッパが……、
ザッパ「それでは、皆さん。会議はお開きだ。各部署に戻って仕事をしてくれたまえ。」
 ザッパがそう言うと、その実を食べた人々はまるでロボットが命令に従うように、その言葉に呼応し、会議室から出ていった……。
 会議室に残っているのは、ザッパにオハーン、フェイゲン、そしてザッパのボディガードとして横に立っていたククルーロだけだった……。ザッパは不気味な薄笑いを浮かべ満足げに言った。
ザッパ「フフフ………ッ。実験は成功のようだね?フェイゲン……。」
フェイゲン「ハッ。有難うございます……。あの実を食べると、予めプログラムされた主人に対してロボットのようになります。日常生活にはその変化はありませんが、その主人の命令は絶対で逆らうことは出来ません。また、霊感の強い人間には霊力を挙げる効果もあります。これもザッパ様から頂いたこの『悪の教典』のおかげでございます……。」
 そう言って、その古文書をザッパに見せる……。
ザッパ「アァ………、これか。私もこれをキミのような有能な科学者に渡せて良かったと思っているよ……。おかげで、ブランドXも作り出すことが出来たしな……。……………
いかがでしたかな、モニター室の玲一様?」
 そう言って、ザッパは防犯カメラを見る。モニター室には今までの様子を見ていた玲一がいた……。玲一は会議室のスピーカー越しにザッパに向かって話した……。
玲一『アァッ……、スゴイ効き目だな。これで大統領選の票や反対勢力を押さえ込み、世界が私の物になると言う寸法になるわけだな?』
ザッパ「まぁ、そういうことですな。」
 ザッパは座っていたイスに深々と座り直し、おどけてそう言った。
玲一『デキレースみたいで気にくわんが、まぁ一番の近道のようだな……。フフッ……。まぁ、いい。では、私は帰らして貰うぞ。』
ザッパ「では、また次回の打ち合わせの時のお会いしましょう。次期大統領閣下殿?」
 玲一が帰った後、オハーンがザッパに言う。
オハーン「あの者がそうなのですね………。そうは見えませんが?」
ザッパ「フフフ………。まだ、15%程だがな………。フェイゲン、あの薬の効き目の進行はあの速度のままか?」
フェイゲン「イエ、『悪の教典』によれば、まもなく二次変化が起こるはずです。」
ククルーロ「……………」
ザッパ「そうか………。計画も順調に進んでいるようだな。ハーハッハッハッ………!」


 その後……。ストレンジ・フルーツはテレビのCM等で大々的なプロモ−ションが行われた。
テレビのCM「ザッパ食品が送る話題の新食品、ストレンジフルーツ!!その極上の味はアナタをトリコにする……!!」

 (キイィィィィィィィィィィン………!!)

人々「!?………なんだかうまそうだな?今すぐ欲しいッ!!こうしちゃいられない、売り切れない内にスーパーに行かなくちゃ!!」
 その超強力な言霊を使ったCMによって、ストレンジ・フルーツは世界中で爆発的に売れてゆくことになる……。と、同時に大統領選のおける玲一の支持率も爆発的に上昇していったのだった……。

 続く……。






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