ザ・グレート・展開予測ショー

三匹!?が行く 


投稿者名:人生前向き
投稿日時:(02/10/25)




  タマモは目を擦りながら、体を起き上がらせた。一度寝たら朝まで起きないのが常な

のだが、今日は違った。時計の針は午前3時を示している。突然、タマモの目つきが一転

し、部屋の中に怪しい人影がないかあたりを確認する。その感覚は野生としてのものなの

だろう、異様な胸騒ぎがするタマモとは裏腹に、いまだ隣ではいびきをかいて幸せそうに

男、横島忠雄は寝ていた。部屋の中には怪しい気配はない、しかしタマモの中にある野生

として感覚は、彼女に青信号をだしていなかった。タマモは依然と五感を研ぎ澄ましたま

ま、そして、いつ何が襲ってきても戦える状態で事が起こるのを待っていた。







 一時間程たったのだろうか、それともまだ十分ともたってないのか。タマモの時間感覚

が徐徐に狂い始めていた。時計を見ようともその隙に襲われでもしたら、それほどタマモ

は見えない何かに警戒していた。ほんの一瞬も気を抜けない。頬に汗が伝う。緊迫した空

気が部屋中を覆い尽くしている。しかし、すでにタマモの精神力は限界に近づいていた。






《いったい何なのよ!》





心の中で毒づく。


 息さえあがってきた。タマモは額に浮かんだ大粒の汗をゆっくりと拭った。事に備え少

しずつ放出していった霊力は溜まりに溜まり、それに呼応した部屋の温度はすでに40℃

は超えているだろう。





《なんでこんなに暑いのに寝ていられんのよ!?》




一向に起きる素振りがない横島に、タマモは疑問を感じた。




《おかしい。ここまで緊迫した空気の中で寝ているなんて。普通の人でさえ起きるのに、通常より霊力を持った人間が起きないなんて・・・・・ハッ、まさか!?。》


 


 タマモは自分の間違いに気づくやいなや、隣で寝ている横島の体を揺さぶった。心臓は

動いている、息もしている。タマモは彼女の野生として感覚が、横島の異変を感じ取った

ものだということを気がつかず、てっきり彼女自身の身の危険を感じ取ったものだとばか

り信じ込んでいた。





「横島ー! ちょっと、横島ってば!!」



タマモは彼の体に馬乗りになると、思い切り頬を引っぱたいた。続けて反対の頬を、右、

左、右、左と交互に叩いていく。


パシィ、パシィ、パシィ、パシィ。乾いた音が連続的に響く。


「横島ぁ、ねぇ、ちょっと冗談はやめてよ!!起きてよー、横島ーー。」


パシィ、パシィ、パシィ、パシィ。


「横島ー。起きてよーーお願いだから!」


パシィ、パシィ、パシィ、パシィ。何遍も何遍もたたいた。


「よこしまーー!!」


パシィ、パシィ、パシィ、パシィ。両手の平に赤みが帯びてきた。



 
 タマモは横島の頬を必死に叩いた。しかし、横島からは反応らしい反応が返ってこな

い。なんだかわからなくなった、困惑した彼女は、彼の胸に顔を埋めると嗚咽を漏らし

た。もはや横島のことで頭がいっぱいの彼女は、自分の頭上に突如現れた黒い渦に知るよ

しもなかった。






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