ザ・グレート・展開予測ショー

がんばれおキヌちゃん! 全国除霊道派選手権!!!(その13)


投稿者名:ギャグレキスト後藤
投稿日時:(02/ 2/19)

ひらひら
霊力化されていた花びらが光に透かされつつ舞い落ちる。
決して洒落ではない。
照射されつつ霊力が撒かれている姿のユリ子選手。

『おおっと、どうしたのアルかユリ子選手!
 あまりに早すぎて全然見えなかったアルよ!』

厄珍の解説がリング状のロープを一瞬震わす。
いや、キヌが同時にロープへぶつかっていたのだ。
ゆれるロープがキヌの弾力ある体を見事跳ね返しながら。

キヌの構えたネクロマンサーの剣が、元の笛の形に戻る。
剣と化している時間が一定のレベルを超えたのだ。
ヴィデヲの再生をスローもしくは一時停止にさせた時の効果と似ている。

「ウソ、剣が・・・・」

キヌはこの時、恐らく膨大な霊力をぶった切った反動だと早とちりしていた。
元は笛。
笛だって固体の一種。
その為、物理的耐性の法則は適用される。
しかしそうではなく、ネクロマンサー自体の変形していられる時間である。
そのことは未だに気が付いていないのだ。
これが、暫くのキヌの劣勢状態になることは間違いはなかった。

ぴゅっぴゅっ!
2人の霊力計が今読上げつつ換算され、固定表示された。
ユリ子選手は59マイト。そしてキヌは5.1マイト。

      ☆            ☆            ☆

『うーーん、ユリ子選手を取り巻く霊力が10数マイトアル。
 対して、キヌは1マイトも使ってないアルね。』
「これはどういうことでしょうかねえ大樹さん。」

ハヌマンの横に座る大樹に、マイクが手渡される。
その大樹が言うには――――

「おそらく、瞬間的に霊力を使用しているのであろう。
 それも、計測計に読み取れないほどの素早さで・・・・・・だ!」
『なるほどそうアルか。以上、地上最強のゴーストスイーパー横島大樹のお話でした。』

大樹に渡したマイクはそのままにする。
そしてマイクひとつを解説とナレーターの2人で兼用することにしたのである。

「では、リング上に戻しまして―――――――」

      ☆            ☆            ☆

というわけで、リング上では熱戦が始まる寸前だ。
ユリ子選手とおキヌちゃんはにらみ合って動かず、眼前で火花が散る。
そこへ何故か突如、抜作先生が乱入してきて――――――――

「ダイナマイト!」

BOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOMMMB!
リング上は火花が火付けとなったダイナマイトが大爆発して塗れた。
煙がもうもうと巻き上がる。

ユリ子選手はこういうシリアスに不慣れらしい。
煙の中でコホコホと咳をしていたためだ。
だが、キヌは逆に一瞬霊力でバリアーを張って同時に抜作をリング上から払い落とした。
流石はギャグパロディーの世界に居ただけあったのだ!

「チャンス!」

と、キヌは先に飛び上がった。
飛び掛ったのではなく、反動をつけて足の爪先より上に飛んでいた。
そしてリング真上のライトと重なってキヌの姿がライン毎輝いた。

「しまっ・・・・・」

言葉を濁したユリ子は、「しまった」とは言い切る寸前。
それは、ユリ子の体めがけて幽体をボディーから切り離して飛び掛るところだった。

「眩し・・・・・!朝日が目に染みて・・・・」

びっっっったああああん!
リング上にズッコケ落ちて這いつくばされたキヌ。
この手のギャグに思わず反応してしまったのは情けなく、逆にユリ子選手がヘッドロックへ持ち込んでいた。

『危ない、おキヌ選手ーーーー!
 さぁ、彼女は立ち上がれるのかぁーーーー!?』

手に汗握るナレーターのアナウンスはキヌの脳裏に刻まれる。
同時、ユリ子の腕力は強まってキヌの首を締め上げていく。
だが締め上げている途中で思わず馬鹿笑いを始めるユリ子。
何やらユリ子の後ろに見えたのだ。

      ☆            ☆            ☆

「さすがはおキヌちゃんねーーー。とっさに幽体離脱するなんて。」
「まぁ〜〜〜、この試合〜〜〜霊力500マイト以外〜〜〜〜指定ないもんね〜〜〜〜。」

美神と冥子は二人してポップコーンを摘みながら試合観戦している。
その後ろには、なにやらゼイゼイと荒っぽい息が聞こえる。

「あら横島ク・・・じゃなかった、2世くん。」
「2世くんとは何だーーー!ルパン三世じゃあるまいし。」
「どこで何やってたのよ、もう10回戦始まってるわよ。」
「あ、あんたな〜〜〜〜!
 (罵苦笑して)宇宙送りにしたのはどこのどいつじゃい!」

美神は忘れていた。
(その11)で、横島2世に対して「おキヌちゃんの着替えを覗いた」ものと思い込んで宇宙へ殴り飛ばしていたのだ。
にしても、どうやって戻ってきたんだこの男は!?

「やかましいそこのナレーター!」
「ああ〜〜〜〜〜貞夫君ね〜〜〜〜〜〜!」
「・・・・冥子も、少し黙ってくれないか?!」

それはともかく再びリング上に視点を戻して・・・・・・・・

      ☆            ☆            ☆

「きゃ、きゃは、きゃはははは!止め、止めて・・・・」

完全に笑い顔と化したユリ子は、ヘッドロックを止めていた。
そしてその背後から、キヌの幽体が日比野 晴矢【ヒビノ ハレルヤ】仕込みのクスグリ地獄をお見舞いしていた。

「ぎゃはははは、ぎゃは、きゃ・・・・」

未だも擽りつづけること数十分。
キヌちゃんそっくりなところは、顔だけでなくどうやらボディーもそうらしい(笑)
そして会場中の所々で、パチリパチリとカメラのシャッターの音がする。
この悶え顔は全国1.3億のジャパニーズが見たいに違いない・・・が、

そもそもおキヌちゃんは、どういう技を習得したんだろうか(笑)

「きゃは、やめてぇぇぇ・・・・」と、ずっと笑い転げる隙を見て、再度飛び上がるキヌの幽体。
ヘッドロックから解けた体に幽体を重ねると元に戻った。
そして悶え苦しむ眼前で今度は霊体とはならない。
そう、体を素早く「死津喪Ver.」と「キヌ本体」の2つに分離させた。
更に空を転回する間に尚も念じる。

「那丹喪世範陀羅【ナニモヨハンダラ】、下丹喪脊範陀羅【ゲニモセハンダラ】、
 那丹喪世壇波羅【ナニモヨダンハラ】、下丹喪脊壇波羅【ゲニモセダンハラ】、
 那吏愈樹也波羅【ナリユキナリハラ】、成行成原【ナリユキナリハラ】・・・・・・」

すると、会場中がゆれ始める。
グラグラグラグラ、グータララッタッターーー!
霊的震度で言えば震度162、人間界では震度6もの揺れを引き起こしているのだ。
無論、殆どの人間は立つことすらままならないが、大樹は平然と立っている。
会場ではどよめきが立つ。

      ☆            ☆            ☆

「ほう、あの技を出すのか・・・これでもう決まりじゃな。」

ハヌマンはポツリともらす。
美神と横島2世はハヌマンに尋ねるまでもなく奇面組・・・・もとい腕組み。
冥子は地震の前に先に気絶していた。

      ☆            ☆            ☆

リングのマット上にぴたりと止まった瞬間、キヌ本体は、更に幽体離脱して3人に分かれた。
ユリ子選手は今もってまだもクスグッタク感じている体を無理してみた。
が、3人のキヌの前に、思わず焦った。
なんと、自分も含めれば4人の同じ顔が存在するのだ。
だが、これから披露するキヌの技を見れば、絶対の恐怖に刈られることは間違いない。

さてその技とは?
次回、必見だ!

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