LONG TIME NO SEE 4 (
投稿者名:人生前向き
投稿日時:(02/ 6/17)
LONG TIME NO SEE
小竜姫様が来た次の日、おキヌちゃんと美神さん、そして隊長が数回目になるであろうお見舞いに来た。彼女たちはいろいろ俺に話しかけてきたが、俺のたどたどしい反応を不信に思い始めていた。
「どうかなさったんですか?」
おキヌちゃんは痺れを切らして心配そうにたずねてきた。彼女は多分、俺がルシオラのことを考えているのだと思っているだろう。美神さんもそうだと思う。アシュタロス大戦後、彼女達とした会話は、何か尋ねられたら返答するという、まったくもってあじけないものばかりだ。今まで気づかずにいたが、心配する人がいることは幸せということを痛感した。
「う〜ん。なぁぜだぁ〜〜〜!!こんなでかい病院なのに、美人な看護婦さんがいないんじゃぁぁぁ!!! 俺はハーレムを予想していたのに、こんなんだったら治るものも直らないっすよ。お願いします隊長、治療のためにもっと良い環境を・・・・・・・」
背筋が凍っていく、鳥肌がたつ、俺のシックスセンスがこの場を去れと告げている。しかし、傷を負っている俺が彼女たちから逃げることなど不可能だろう。
それならば!!
「な、なー―んちゃって!!冗談ですよ冗談。いやーー今日は天気がいいですよね」
これで大丈夫だ。明日の朝日はおがめる。頭の中で行った計算ではうまく回避できたはずなのだが、シックスセンス警報機はいまだ光っている。俺はおそるおそる横に座っている隊長を見たが、彼女は憐れみの眼差しをこちらにやり、首を横に振っているだけだ。
「いや・・その・・・そうそう!!ここがどこだか知ってます・・・・・・よね?」
その後はいつも通り、言葉にするのも恐ろしい夢を見さしてもらった。
《馬鹿なこと言うんじゃなかったよ・・・・》
俺は再び傷ついた体を引きずってヨロヨロとベッドに寝なおした。
「私たち仕事があるから帰るわ。」
「仕事の依頼がきたんすか?」
「そうよ!久しぶりの仕事よ、ひさびさにぼろ儲けしないと。」
美神さんはコブシを振り回しながら、勇み足で部屋から出て行き、その後を追いおキヌも帰っていった。
「じゃあ横島さん、また来ますね。」
ドアが閉められ、部屋にいるのはおれと隊長の二人となった。
少しの間、しょうもない話をしていたが、会話が途切れると隊長は、沈黙が続くのを避けるように次の話題を見つけだそうとしていた。
「あまりよくない話ですかぁー。」
さっきからの隊長の落ち着かない態度は、昨日の小竜姫さまとダブっていた。俺の言葉にはっとして隊長は俺の顔を直視するやいなや黙ってしまった。
「俺への今後の対応が国から発表されたんですか?」
「何故それを・・・・・」
「なんとなくです。」
テーブルの上にあったぬるくなったお茶を一気に飲み干し、やるせないような声で鞄から出した書類を、一文字一文字読み上げる隊長に顔を向けた。
「・・・・・であるからして、甲、横島忠夫を本日付でA級魔族とみなす。今後、甲は行動を制限され、すべての職務・教育に携わることを禁じ、戸籍から甲の名を取り除く。それに対し国は甲に、金銭面で多大な保証をすることをここに記す。」
俺を一番知っている俺自身でさえわからなくなってくる、俺の存在を。
いや、彼らが見る俺が本物なのかもしれない。俺から見る俺は自分を誇大しているだけなのだろうか。
そうかもしれない。
そしていつか、自分さえも自分の前から消え失せていくのだろう。
「あなたは強くなりすぎてしまった。」
隊長は書類を読み終え、彼女自身に訴えかけるような小声でつぶやいた。
「いえ、弱いからですよ。」
今、彼女と一緒にいたら、きっとまた昨日のように変なことを口走ってしまう。そう思い俺は、気にもしていないように、たんたんと枕の下に隠してあった財布を取り、彼女を一人残し病室から出ていった。
ナースステイションの前の、喫煙スペースにある自動販売機の前で立ち止まり、何種類もあるジュースのサンプルから、まるで嫌味のように売っている商品に目が止まる
「ははは・・【幸せのみず 桃味】か。」
俺は財布に入っている貴重な500円玉を自動販売機に与え、そのジュースを押す。
2・3回押しボタンを確かめると、売りきれの赤いランプがついていた。俺は溜息をつき隣にあるボタンを見もせず押すと、取り出し口に手を入れた。
「120円で買える幸せ、売り切れに注意ってな」
ほんの小さな出来事は、笑いを頭から誘い出した。
そして、涙を心から誘い出した。
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人生前向きです!!みなさん遅れてごめんなさい 私、つい先週まで入院してたもので・・・・・ にゃははははははは。見捨てないでくださいね――!!
えっとこれで 4話目かな。 忘れてしまった方 是非よかったらもう一度読んでくださいな! 初めて見る方 気に入ったら1話目から読んでくださいな!
えっと コメント頂けたら べらぼううれしいです
今までの
コメント:
- えっと ほんとにごめんなさい でも体調は大丈夫です(たぶん)
みなさんから頂いたコメントを読み返しまして・・・やっぱり うれしいですね!! にゃはははは
いままでコメントをくださった 人生前向きさん(って私やン) えーーーと kichensinkさん hazukiさん yoshiさん ロックンロールさん 斑駒さん 黒犬さん みっちーさん けいさん 3Aさん マサさん・・・・・・・・ これからがんばりますのでよろしくおねがいします!!!!! コメント無しで読んでくれた方も これからがんばりますので よろしくおねがいします!!!!!
(人生前向き)
- きゃらの中では 私はタマモが一番気に入ってるんですよね。
ってなにいってんだか。
(人生前向き)
- 人生前向きさん、お久しぶりです&退院おめでとうございます♪ 神族・魔族界から窮地に追い込まれてしまった横島クンに今度は人間側から似たようなことをされてしまってますね(汗)。本当なら誰かに助けを求めたくてしょうがないような状況にも関わらず、周りにそれを気づかせないためにムリヤリ「普段どおり」を装う横島クンが不憫ですね。神族・魔族からは記憶を消すことを強要され、人間界からは事実上「抹消」という処分を食らってしまった横島クンは今後どのような行動に出るのでしょうか?(小竜姫さまが指定した期限のこともありますし) ますます目が離せなくなってきました。次回を楽しみにしてます♪ (kitchensink)
- コメントどうもありがとうございましたkichensinkさん
(人生前向き)
- 横島の憂鬱な心を捉えていていいですね。確かに、横島は既に人間ではなくなっていますからね。危険性からして、それが分かりやすい分類の仕方を下までと言った感じでしょうか。つらい根〜。これからどうやって彼はこの状況を打開するのでしょう。目が離せないという表現が正にその通りって感じです!がんばってくださいね(おキヌちゃん風)♪ (マサ)
- 自販機の場面は、特に人生前向きさんのセンスの良さが出てますね。私には絶対こんな文章、書けません。いやすごい。
ストーリーは涙、涙。原作がギャグ混じってなければ、起こっていてもおかしくない状況ですしね・・・ホントに続きが気になります。 (けい)
- ↑×5 『タマモが一番』! それならば是非『展開予想会議』の方でタマモについて一言を! 現在、自己紹介の募集や、新歓企画もアンダー・ゴーイングです! 今すぐ『展開予想』トップページの中段『マリアのあんてな』をクリック!!
……以上、宣伝でした。ご復帰の段、なによりです。
『ここがどこだか知ってます……よね?』
――実に巧い表現だと思います。ちょっと不謹慎かもしれませんが、入院経験も芸の肥やしと言い得るかもしれませんね。
神・魔界に加えて人界からも危険視され、本人の意向を無視して『あり方』を決定されてしまう横島くん。
誰も、横島くんの人格なんて見てくれない。
何にもすがれない、120円の希望にさえも。
今後、横島くん自身は自分の『在り方』をどう決めていくのか。横島くんに救いの手を差し伸べる者はいないのか……続編を待ちます。 (斑駒)
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