ザ・グレート・展開予測ショー

誰がために4


投稿者名:遊び歌
投稿日時:(02/ 2/17)

「昔、ワルキューレに聞いたことがある。魔界の実を食すことによって霊力を上げたり、変身できる魔族がいることを」
「こいつがそれか」
と、アドンの方を見る。
「そうだ。我輩は魔界の実を食べれば食べるほど強くなる。今のところ3粒が限度だが、そこまでいかずとも、十分だな」
と、攻撃に移る。
「くそ!」
 伊達が霊気の大砲を放ち間を取る。
「退くぞ!!このままでは部が悪い」
「仕方ないか」
 伊達が横島の元へ飛ぶ。
「逃がさん」
 アドンが追いかける。
 横島は文殊を四つ出し『瞬』『間』『移』『動』の文字を刻む。その瞬間、横島達は消えた。
「文殊か?!するとあいつがアシュタロスを倒した横島忠夫か!」

 西条はGメンで帰り支度をしていた。
「ふふふ。今日は令子ちゃんを誘って出かけよう。おキヌチャンの結婚がよほど効いたのか最近はあせり始めたという噂が・・・」
 嬉々して一張羅に着替える。
「花束も用意したし、プレゼントも」
と、机に目をやるのと空間が光りだしたのが同時であった。その時、無常にも花束とプレゼントの上から数人の男が降ってきた。あっさり崩れ去るプレゼント。
「な・・・」
 西条は驚愕の表情で、
「何の恨みがあるのだ?!横島クン。それに何だその連中は?」
と、声が止まり、
「お前らは、Gメンの」
「そういう事だ。詳しいことは自分で聞くんだな。じゃあ、これで」
と、伊達が説明し横島と部屋を出ようとする。
「待ちたまえ。横島クン」
 真剣な顔で横島を呼び止める。
「何だよ、西条」
「君は、令子ちゃんの事は、もう・・・?」
「わからん」
「そうか、なら・・・」
と、肩を震わせ、
「何で私の計画を邪魔する!!」
と、壊されたプレゼントの残骸と、花束に目をやる。すでに横島達は逃げた後だった。

 小竜姫は妙神山でまもなく沈む夕日を眺めていた。
「もうすぐね・・・」
と、その時、
「小竜姫!!大変よ!!」
「何よヒャクメ!」
と、振り返る。そこには数枚の資料を持ったヒャクメがいた。
「それが、大変なのよ!あの伊達さん達に任せた事件なんだけど」
「それが、どうしたの?って、ああ!!」
 振り返るが夕日は沈んだ後だった。
「どうしてくれるのよ?せっかくの・・・・!!」
「な、何よ?たかが夕日じゃないの。一体いくつになったと思ってんの?今まで数え切れないほど見てきたでしょうが?」
「でも、今日は見たかったの。違った気分で!」
「いいじゃない。明日も見れるんだし」
「そうよね」
『私ったら何変な事してるんだろ。昨日、横島さんに言われたからかな?』
「で、何が大変なの?」
「それがね。コスモプロセッサーよ!」
「アシュタロスが使った?」
「ええ。しかもそれを魔族たちが盗んでいったらしいの」
「相手は?」
「それが驚きなの。伊達さんたちの報告と照らし合わせてみると」
と、資料を渡す。
「カイン、アドン、それとこれはジュダ?!」
「アドンは魔界の実を食し霊力を増させる能力を持つ。ジュダは死者を一時的に蘇らせる能力を持つ。カインの能力は不明だけど」
と、資料に目をやる。
「彼は魔界でもトップのお方の側近を勤めたこともある。対神族戦では我々を最も苦しめたとも言われているけど、その能力はまったくの不明。 
 今の神族と魔族の関係に反対している者であることは確かね」
「彼の目的は、やはり戦い?そうなると、コスモプロセッサーを使って・・・」

 伊達と横島は事務所に戻り休憩していた。
「あの三人。かなりの厄介者のようだ」
 伊達がヒャクメからの資料を見ている。
「まあ、今夜はゆっくり休んで、明日考えよう」
「そうするか」
 横島は帰路に着いた。

 横島は昔と違い、マンションを購入し一人で住んでいた。
 鍵を開け、中に入ろうとする。
『ん?誰かいる』
 横島は自分の部屋に気配を感じ取っていた。
 念のために手に霊力を集中させ恐る恐るドアを開け、中に入る。そこには、
「あ、おかえりなさい」
 小竜姫がいた。
「な、何してるんですか?ま、まさか・・・」
 横島は頭を全力回転させ妄想の世界に入ろうとするが、
「残念ながら違います。そういう所はは昔と同じですね」
と、冷たく突っ込みが入る。
「じゃあ、何の用です?」
「横島さんお腹空いてるでしょう?良かったら食べません」
と、荷物から弁当を取り出す。
「あ、ありがとうございます」
と、蓋を開ける。そこには、純粋な和食が並んでいた。
「お、おいしいっすよ」
「良かった」
と、小竜姫も笑顔で答える。
「さて、話は変わりますが」
と、真剣な顔になる。小竜姫は三人の魔族について説明をする。
「彼らの目的はコスモプロセッサーを使って、神と魔の戦争を繰り返させること。魔族の中にはそういう連中がいるのです。その代表格があの三人です。
 ここで、我々神族が手を出してしまえば駄目なのです。次はそれをネタに別のグループが戦争をさせようとするでしょう」
「つまり、小竜姫様たちは手出しできないと?」
「ええ。そういう事になります。残念ながら我々神族にも同じような考えを持つ連中がいますから、話はかなりややこしいです。
 我々が手を出してしまえば、即戦争という恐れもあります。
 つまり今回の件はあなた方人間に全てをお任せするしかないのです」
「わかりました」
 丁度、横島が食べ終える。
「女の人の手料理なんて久しぶりだな。美神さんとおキヌちゃんがよく作って・・・」
と、そこで声が詰まる。
「おキヌちゃん、幸せそうで良かった。やはり俺は・・・」
「ルシオラですか?」
「はい。忘れられないんです。たとえ、俺の子供に転生する可能性があるとはいえ」
「でも、また会おうと思えば、誰かと子供を・・・」
と、そこで顔が赤くなる。
『何想像してんだ?この人。神様なのに』
 横島は少し後ずさる。
「最近、美神さんとはどうなんです?」
「別に連絡取ってませんよ」
「取ってみてはいかがです?あの人もそれ相応の年頃ですし。結婚式でブーケをもらって喜んでいましたよ」
「・・・・はい」
「じゃあ。私はこれで帰りますね」
「はい」
「がんばってください」
 小竜姫が去った後、
「美神さんか。あの人でも結局は駄目なのかもしれない」
 ルシオラを失ってから横島の心には小さな穴が空いた。その穴は年々大きくなった。人を愛しても、結局は失う怖さが出てくる。
 その頃から美神やおキヌと会話していても、ルシオラを愛していたような感じにはなれなくなっていた。
「何か変だな俺。昔ではこんなセリフ思いもつかなかったんだろうな」
 美神の助手をしていた頃は、あの人のそばにいられるだけで幸せだったはずだ。しかし、今では。
「まあ、いいか。
 それにしても小竜姫様って意外と料理上手だな。また来てくれないかな」
 美神やおキヌに対するのと別の感情が小竜姫に対して生まれた事を横島自身は気づいていなかった。

「ただいま」
 妙神山の門を潜ると、ヒャクメが出迎えに来てくれた。
「何処いってたの?」
「横島さんの所」
「ふーん。弁当作って?」
と、細い目で見る。
「べ、別にいいじゃない。今回の件は厄介なんだし、栄養つけてがんばってもらわないとね?」
と、慌てふためく。
『うーむ。どうやら、そういう感情は無きにしも非ずね』
 ヒャクメの眼にはそう移る。生憎と心は読ませてくれない。
「まあ、いいわ。彼らに期待するのは私も一緒だし、明日は私が差し入れにでも行くわ」
「い、いいわよ!私の方が暇なんだからやっとくわ」
「あ、そ、そう」
 あまりにもの迫力にヒャクメは後ずさる。
『昔の美神さんを見ているようで面白いわね。でも、本人には言わないでおこう。そっちの方が面白そうだし。横島クンの方はまだまだのようだし』
「何がおかしいの?」
「え?今笑ってた?」
 知らず知らずのうちに顔がにやけていたらしい。

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