ザ・グレート・展開予測ショー

命の『選択』?19(後半)


投稿者名:運値
投稿日時:(02/ 8/13)

美神除霊事務所において、おキヌの朝は早い。朝6時には起きて、美神とシロの分の朝食を作り、2人を起して一緒に食事をする。

「ふんふんふん〜〜〜〜」

鼻歌を歌い包丁を使うおキヌ。手際良く朝食を作り、3人分のお弁当を作る。幽霊だった頃は、良く横島の為に家まで行って料理を作っていた。しかし、人間になってから中々そういうことが出来ず、少し寂しい。そんなことを考えつつ料理を作り終え、美神とシロを起しに行く。

「美神さん、シロちゃん朝食が出来ましたよ。起きて一緒に食べましょう〜〜」
「はいでござる!!!」
「う〜〜、もう少し寝せて…」
「美神さん、食べてから寝てください。片付けなくちゃけないですから」
「う〜ん、分かったわ」

人狼族であるシロは朝は比較的に強いが、美神は重度の低血圧で朝が辛い。そんな美神を起すのもおキヌの仕事であった。普通の人は、辛いと感じるこんな仕事も、おキヌにっとっては自分が今『生きている』ということを感じられる非常に充実した仕事であった。

2人がテーブルに着くと、お味噌汁を並べるおキヌ。今日の朝食は、ご飯と味噌汁と焼き魚、そしてサラダという和食中心のメニューである。

「おキヌちゃん、何時もありがとうね」
「いえ、好きでやってることですから…」
「今日のご飯も上手いでござるよ!!!」
「うふふ、ありがとうシロちゃん」

3人で揃ってご飯を食べる。これがおキヌの楽しみの一つである。本当の家族がいないおキヌにとって、この事務所のメンバーだけが本当の意味での家族であり、この暖かい雰囲気が好きだった。

3人が食べ終わると、片付けを始める。時計は7時半を指していた。急いで洗物を終えてカバンを持ち事務所を出る。

「それじゃ、いってきま〜す!!!」
「「いってらっしゃい」」

おキヌは急いで学校に駆けていった。それを見届けると、美神は溜息をつきながら呟く。

「まったく…あんな良い子ほっぽいて…アイツは!!!」
「しかし、美神殿…こればかりは先生の問題でござるから」
「……そんなこと分かってるわよ…ハァ…」
「…そうでござるな…ふう…」

2人は盛大に溜息をついた。事実、直ぐ帰ってくると思われた横島は、未だに冥子の事務所に居り、帰ってくる気配がない。近頃、美神の事務所は火が消えた様に寂しくなり、おキヌの落胆振りは見ていて痛々しい位だった。普段は明るく振るまっているが仕事が入ると、横島のことを思い出して溜息をつく回数が増える。何とかしてあげたいが、こればっかりはどうしようも出来ない美神であった。


「おはよ〜おキヌちゃん!!!」
「おはようございます、氷室さん」
「おはよう。魔里さん、弓さん」

校門前におキヌが着くと、丁度友人である弓と魔里が登校する所だった。

「でも、めずらしいわね…一文字さんが遅刻して来ないなんて」
「うっせーよ、今日は一時間目が体育だからな、へへへ」
「ふふふ、それじゃ、皆で一緒に全校集会にいきましょう」
「そうね、早く行きましょ」

3人は体育館に向かう。中には、もうかなりの数の生徒が並んでいた。急いで自分のクラスの集合場所に行く3人。先生の話しが始まるまで他愛の無い会話をする。

「それにしても、最近おキヌちゃん元気ないわね」
「そんなこと無いですよ」
「そーか?なら別に良いんだけど…、困ったことがあったら相談してくれよ?」
「…はい、ありがとうございます」
「あっといけね、もう直ぐ集会始まるな…」

六道女学院の全校集会。例え、GS育成のための学校といえど、何ら他の学校と変わらない普通のつまらない先生の話しが続いていく。おキヌが横を見ると、魔里は立ったまま寝ていた。
(もう、魔里さんったら…、でも、心配してくれてありがとう…)
おキヌがそんなことを考えていると、ちょうど理事長の話になった。おキヌが壇上を見上げると見知った顔が壇上の上にある。
(え…あれは横島さんとタマモちゃん!!!どうして…)
おキヌは理事長の話しに耳を傾けた。

「え〜〜、今日は〜〜皆さんに〜〜紹介したい人達がいます〜〜。今日の体育で模擬戦の相手をして下る、六道除霊事務所の所の現役GS横島忠夫君と〜〜タマモちゃんです〜〜それじゃあ、挨拶してね〜〜〜」

横島を知っている生徒たちは、横島にブーイングを行っている。その生徒達にとって横島は、愛しい美神お姉様の周りにいる悪い虫に過ぎないからだ。そのブーイングに横島は何故…と冷や汗を垂らしている。

「ぅ…冥子さん所の横島っす…、よ、よろしく…う、うう…やっぱこうなるのね…」
「タマモです。よろしく」

壇上の2人を見ておキヌは微笑む。
(元気そうで良かった…そう言えば、次の時間の体育は私達だ、久しぶりにゆっくりお話が出来る…)
そう考えるおキヌ。ふと、誰かが自分の脇を小突いているのに気付くと、弓が尋ねてきた。

「どういうこと!?あの人、確か美神お姉様の所の丁稚じゃ…」
「…丁稚って、まあ…」

おキヌは簡単に経緯を伝える。それを聞いて弓はニヤリと笑うと

「…そういうこと、おキヌちゃんも大変ねえ」
「な、何を言ってるんですか」
「そ〜か〜、ふ〜んそう言うことか」

何時の間にか魔里も起きておキヌをからかう。
そんなこんなで、暫く物凄い喧騒が響いていたが、理事長の一喝でこの場が収まる。

「あなた達!!!静かにしなさい!!!」

体育館がシーンとなる。理事長は滅多に怒らないので、その分生徒には強烈に映ったからだ。それから、理事長は暫く生徒を見まわしてにこりと笑ってこう言った。

「あと、この横島君は今日冥子と婚約したから、皆さん祝福してあげてね〜〜」

冥子の母がそう言い放った瞬間、静寂に包まれた体育館に誰かがパタリと倒れた音が響いた。

「あ、ちょっと!!!おキヌちゃんどうしたの?」
「弓、やばい!!!急いで保健室に運ぶぞ!!!」

弓と魔里は、急いでおキヌを運んで体育館を出て行く。そんな中、横島は…

「…ちょっと、横島?ヨコシマ!!!」

タマモが焦って名を呼ぶと、白く燃え尽きて、立ったまま気絶していた。

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