ザ・グレート・展開予測ショー

命の『選択』?21


投稿者名:運値
投稿日時:(02/ 8/14)

一時限の体育。普段は、楽しい雰囲気のこの時間。しかし、今日だけはぎすぎすとした殺気が溢れていた。理由は、あの人望厚いおキヌが倒れた原因、横島忠夫である。どんな訳があるのかは分からないが、乙女達の第六感がこいつが悪いと告げている。特にその殺気の中心は、おキヌの親友弓と魔里であった。

「弓…分かってるな、あいつを殺るぞ…」
「言われるまでもありませんわ……氷室さんの気持ちを踏みにじった代償は、美神お姉様に代わって私が晴らさせていただきます!!!」
「へへ!!!いっちょ、やってやろうぜ!!!」
「…無事でこの学院からは返しませんわ…」

いまだ保健室で寝ているおキヌのことを思い決意を新たに物騒なことを言う二人。タッグ戦で恨みを晴らすつもりでいる。
そんな中、横島とタマモが、鬼道に連れられてやってきた。

「お前等、今日の体育は先ほどの理事長の話し通り、模擬戦してもらうで〜」
「「「はーーーい!!!」」」

生徒たちの怒りの篭った返事に、たじろぐ3人。特に横島には刺すような視線が注がれている。
「横島〜〜、お前何かやったんか?」
「し、知らん、俺は何も知らん!!!」
「でも、生徒達はヨコシマを睨んでる様だけど…覗きでもしたの?」
「今回はしとらんわ!!」
「今回は?」
「い、いや別に…」

おキヌが倒れたことを知らない2人は訳が分からず戸惑う。

「それじゃ、最初にやりたい者は手を挙げろ……よし、弓と魔里お前等からだ」
「「はい!!!」」

勢いよく立ちあがる2人。目には物凄い殺気が篭っている。

「…弓、横島の実力はよく知らないけど、タマモには気をつけろよ」
「あの男なんて楽勝ですわ。大方、GS試験も運だけで取ったのでしょう!!!将来のGS業界の為にもあんな奴は排除して差し上げますわ!!!」
「へへ、同感だな。おキヌちゃんは奴を買かぶり過ぎてるんだ。ここらでいっちょ、アタイ達が目を覚ましてやろうぜ」

魔里達生徒は、先の大戦での横島の活躍を知らない。何故か、雑誌・メディアは横島でなくピートの写真を掲げ、さらに、おキヌに詳しく聞こうとすると何故か悲しげな顔をする為詳しく聞くことも出来ず、横島はただ、敵地に潜入したことしか知らない。
比較的に美神に近い彼女達ですらそうなので、一般の生徒達は言わずもがなであった。

「う〜〜、何か嫌な予感が…タマモ、お前先に行くか?」
「…嫌よ。まだ死にたくないもん」
「…う、ぅぅ…胃が痛い…」

タマモと横島がそんなことを話していると、鬼道が横島に話しかける。

「そうそう、横島は文殊なしちゅーことで、宜しゅうな」
「は?それは俺に死ねといってるんですか?」
「何言っとるんや、そんな物無くっても、お前は強いやないか」
「嘘やーー、これは何かの陰謀やーーー!!!」

そんな横島を、楽しそうに見て鬼道は言葉を続けた。

「ま、お前は自分を過小評価し過ぎとるよーやが、見る者が見たらそれなりなんやで。もっと自分を信じや…それじゃ、両者、結界の中心へ」

(う〜〜、この世で自分ほど信じられるねーもんがあるか!!!)
横島がそんなことを考えてトボトボと、反対に魔里が胸を張って勢い良く登場する。この場にいる生徒は全て魔里達を応援している。そんな中、魔里が横島に言い放つ。

「さて、横島…言い残すことはないか?」
「へ…どう言うことで」
「お前だけは許さないということだ!!!」

魔里が叫ぶと同時に試合開始のゴングが鳴る。

「死ねーーーー!!!」
「ヒィーー!!!お助け!!」

魔里の拳を転げながら避ける横島。

「避けるなーーー!!!」
「そんな理不尽なーーー!!!」

魔里は横島目掛けて何度も拳を振るう。しかし、逃げ足の速い横島に一向に攻撃が当たらず、次第に霊力が落ちていく。さらに、横島に対して最初から手加減なしにいった為、疲労度はかなりのものになっていた。

「く、くそ卑怯者め…ハアハア…」
「卑怯で結構、コケコッコー!!!死ぬよかマシじゃ!!!」

その様子を見ていた周りの生徒達は横島に一斉にブーイングする。

「な、なぜじゃーーー!!!」

横島が叫ぶ。その間に遂に疲労度が限界に達した魔里が

「く…、弓交代だ」
「分かったは、貴方は休んでいなさい」
「わりいな…ハアハア…クソ…」

弓は魔里と交代すると、横島を睨みつける。

「最初っから本気でいくわよ!!!」

そう叫ぶと、切り札である水晶観音を身に纏う。

「私は一文字さんほど単純じゃなくってよ!!!覚悟しなさい!!!」
「な、何故じゃーーー!!!」
「自分の胸にお聞きなさい!!!」
「知るか!!!タマモ交代してくれ!!!」

横島がタマモに手を伸ばした。しかし、周りの生徒の雰囲気に気圧され、タマモ苦笑を浮かべ、額に冷や汗を垂らしてそれを拒否する。

「…ごめんヨコシマ。私悪役になりたく無いの…」
「裏切り者!!!!」
「タマモさん、良い判断だわ。さあ、横島さん!!!トイレは済みました?神様に命乞いは?結界の隅でガタガタ震えて命乞いする準備はOK?」

そう言って、6本の腕の指をゴキゴキ鳴らす弓。

「い、命乞いならナンボでもする!!!助けて、助けて…」

必死に土下座して命乞いをする横島。しかし、弓は冷ややかにそれを見る

「ふふふふふ、それで許すと…」
(何、こいつ?馬鹿じゃないの!!!あ〜あ、こんな奴の為になんでおキヌちゃんが…ここは、もう一生彼女の前に現れない様に…コロす!!!)

横島に侮蔑の視線を投げかけ、油断して弓が横島に近づいた瞬間

「サイキック猫騙しーーーーー!!!」
「く、目が、目がーーー!!!」

弓の一瞬の油断を突いて横島が、奥の手を振るう。それが見事に決まり、弓は目を押さえてのた打ち回る。横島は霊波刀を出すと、ピタリと弓の首に当てて

「これでチェックメイトだ…」

と言った。静寂に包まれる試合場に、鬼道の声が響き渡る。

「勝者横島・タマモチーム!!!」

(フ…決まった…これで女子高生の称賛は俺のもの…)

横島がカッコつけて結界を出た瞬間、生徒が横島の周りを取り囲む。

「ふふふ、君達、僕の華麗な……」
「「「この卑怯者ーーーーー!!!!死んじゃえ!!!!」」」
「な、なじぇーーーーー!!!」

ボコボコにされる横島。流石の横島も、周りを取り囲まれては逃げることも出来ず、命の危険を感じた。

「イタ、イタ、痛てーーーー!!!!し、死ぬ、助け……」
「「「女の敵!!!消えてなくなれ!!!」」」

そろそろ、やばいと思い鬼道が制止しようとしたとき、それを制してタマモが生徒達に冷たく言い放った。

「アンタ達、何でヨコシマにそんなことするの…?」
「な、何故って、コイツが卑怯な手段でかおりお姉様を落とし入れたからに決まってるじゃない!!!」
「…ハァ?…アンタ達馬鹿じゃない?」
「何よ!!!アナタ、こんな男を庇うの!!!」

生徒達が激昂してタマモを睨みつける。しかし、タマモはその視線を軽く流すと感情を全く排した声で言う。鬼道はタマモが何を言いたいか分かった様で黙って見ている。

「アナタ達は何でこの学校にいるの?」
「決まってるじゃない、美神お姉様の様な強くて華麗なGSになるためよ!!!」

生徒の一人が言う。周りの生徒も概ねその言葉に頷いている。しかし、タマモはそれを鼻で笑うと言う

「アナタ達はGSに向いて無いわ…。今すぐ、辞めるべきよ」
「何を言って…」
「でなければ、死ぬわよ」
「く、ふざけんなよ、妖怪の癖に!!!」
「別にアタシは、アナタ達がどう思うと気にしないわ。でも、一つだけ言えるのは、優秀なGSと言うのは、どんな卑怯な手を使っても生き延びる人達のことよ」
「妖怪が、知ったようなことを…」

タマモは少し辛そうな顔をするが、言葉を続ける。

「もし、低級霊だけならアナタ方でも何とかなるでしょう…、でも、この業界でやっていくにはそんな霊だけを相手にするなんてことは、まずない。悪霊は何時も正面から現れるなんてことは無いわ…カッコ良く戦いたいなら、俳優になって特撮ヒーローにでもなることね…本当のGSはもっと泥臭くて辛い仕事よ」
「……………」
「それに、あなた達はヨコシマを卑怯といったけど、もし、ヨコシマが敵だったらあなた達は皆死んでるわよ…ヨコシマはそれを教える為に、わざと…」

生徒達はピクリと肩を震わせる。皆タマモが本当に言いたいことに気づいた。

「…ごめんなさい、酷いことを言ってしまって」
「別に良いわよ…馴れてるから…」

タマモはにこやかに笑う。それを見て、生徒は口々に謝ると、横島を助け起した。

「タマモ、ありがとな。生徒達も一番大事なことに気づいてくれたと思うわ」
「…別に、これも仕事のうちよ」
「ほんまか、まあ礼を言うとくわ。それにしても横島、まさかそんなことまで考えて…」
「ふふふ、それは、嘘よ。全くの出鱈目」

盛大にずっこける鬼道。それを見てクスリと舌を出して笑うタマモ。
「…あんさん、美神さんによう似てきたなあ」
「ぐ…」

一瞬言葉に詰まるタマモ。暫し固まっていたが、気を取りなおして鬼道に尋ねた。

「そう言えば、何で、あの2人あんなに殺気だってたの?」
「いやな、何やらおキヌちゃんが倒れて保健室に運ばれたことに関係が…」
「え?おキヌちゃんが!!!」

横島とタマモは顔を見合わせて、急いで保健室に消えていった。

今までの コメント:
[ 前の展開予想へ ] [ 次の展開予想へ ] [ 戻る ]

管理運営:GTY有志
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa