I Shall Return(10)
投稿者名:ベルゲパンター
投稿日時:(02/11/ 9)
ここで敵は、悪霊も率いていることが分かった美神だったが、所詮はザコ霊、いくら数が集まろうと烏合の衆に過ぎない。案の定、無数の悪霊が行く手をさえぎっていた。
「ふっ、時間稼ぎでもするつもりかしら?でもね、あんた達の相手してる暇はこっちにはないのよ。だから、遠慮なく行かせてもらうわよ」
と言っても、こんな連中に尻を追っかけられてもうっとうしいだけなので、美神はチームを分けることにした。本来はあまりいい戦法ではないのだがこの際しかたない。一方は目的地へ、もう一方は囮となって相手の気をひくこととなった。
「本当は兵力の分散は極力避けたいけれど、時間がないから・・・・・いい、私とおキヌちゃんは目的地へ行くから、横島君、シロ、タマモは囮を頼むわよ。あとできれば殲滅してほしいんだけど・・・・」
「囮だなんて殺生な・・・」
「殺生も何こういうことはあんたの仕事でしょうが!あまり文句ばっかり言ってると時給下げるわよ!」
「つらいでしょうけど、横島さんがんばってください」
「ああ、おキヌちゃんはええ子やなあ・・・・」
「このバカ犬とスケベ男と組まなければいけないのがしゃくだけど、この際仕方ないわね。」
「それじゃあ、ちょっくら行ってきます」
横島、シロ、タマモは悪霊の集団に攻撃を掛け、相手の気をよせつけたところで、美神とおキヌは目的地へと向かった。
その頃、美千恵は魔族過激派組織の幹部の調査を行っていた。人間が一人加わっていることが分かり、業界関係者の洗い出し、魔界ともコンタクトを取り、調査を依頼したりと、忙しがった。
そんなある日のこと、コーヒーをすすりながら書類に目を通していると、事務室の扉がノックされた。
「どうぞ」
「失礼します」
入ってきたのは部下の西条だった。
「業界で有名な関係者にひととおり当たってみましたが、特にこれと言った情報はありませんでした」
「そう、変ねえ・・・・欲の深い連中はからむだろうけど、そうでないとすると一体・・・?」
「それで気になったのですが、現在の奴らの目的は解体中のミサイル弾頭ですよね。しかし、あれを扱うには高度な知識を持った者にしか扱えないはずです。どうやら、兵器開発に携わった者が関与していると私は思うのですが・・・あと、隊長、弾頭部分は一体なんですか?そろそろ教えてくれてもいいのでは?」
「実はあれは核弾頭じゃないのよ。もっとも、使い方によれば、それと同等の威力はあるわ。・・・心霊兵器なのよ」
「心霊兵器ですか?」
「そ、だから・・・そうか!でもねえ・・・」
「どうかしましたか?」
「あれが、超極秘扱いで最近になってやっとその存在が業界の極少数で知られるようになったのは周知の通り、つまり、企業はおろか、他の各国も知らなかったのよ。さらに知られているのは存在だけで、製造法はまったく分からないわ。従って、奴らには製造に携わった人物がいるということだけど、外部に情報をもらすという勇気ある行動を取った人間はいないでしょうね。」
「しかし、それでは矛盾が生じるのでは・・・」
「だから、悩んでるのよ・・・・・ここ数週間悩みに悩んでるのに、ああああああああああもう!嫌になるうぅぅ!!」
「隊長、落ち着いて下さい、いくらここしばらく夫と顔も合わせられず寂しい生活を送ってるからってヒスを起こしては・・・」
「うるさいわね!!独身男に言われる筋合いはないわ!!!大きなお世話よぉぉぉ!!!!!!」
ドバキィィィ!!グシャア!!!
「ひ、ひまった・・・ふい、わらひほひたほとが・・・・・ひふんじゃなかった・・・・」
プルルルルルルルル
「はい、もしもし美神ですが・・・・・・えー、はいはい・・・え!!何ですって!!それは本当なの!?・・・・・・・・・分かったわ。それでは」
受話器を置いた美千恵の表情はただならぬものだった。
「西条君、大変なことが分かったわ」
「何ですか?」
変わり身の早いこと・・・・・・・・
「これはまだ極秘だけど、開発に一人日本人が加わっていたのよ。それも、心霊兵器の開発者なの。ちょうどリストがあるから見て」
デスクトップ画面に関係者のリストが映る。
「あ、この男は!しかし、こいつは令子ちゃんとの戦闘で死んだはずでは?」
「そう、実はこの男ミサイル開発後に死んでることになってのよ。どうせ、そっくりさんを身代わりに見立てて殺し自分は丸々成型して、舞い戻ったようね。」
「でも、2回目は確実に死んだのでは?」
「ええ、もちろん確認はしてあるわ。だけど、死体は回収してないわ。もっとも、あの状況じゃあ無理もないけどね。」
「まさか、あの後、何者かが奴の死体を回収して復活させた。だから奴は今も在るのか!で、それを行ったのが魔族の過激派だったわけか」
「当たり!魔界でも技術面に関しては人間界のそれに依存している場合が多いのよ。表では対立していても裏ではしっかりと結託している・・・・どうしようもないわね。とりあえず、今はあの子達が頼りね」
「ええ、でも敵の行動部隊もあなどりがたいですよ。奴ら東欧の妖怪を片っ端から集めて戦力化していますから。それにしてもあの当時のメドゥーサは色々と工作をして、我々を散々苦しめてきましたからねえ。今回の件もメドゥーサが起こした事の名残なのですね」
一方、敵の行動部隊は、A棟を制圧しつつも他ではおされ気味であった。
「中隊長、現在、他の施設で我が部隊がおされ気味であります」
「く、やるな。NSB(ロシア連邦保安局)の連中め。軍や、内務省のスペツナズは上層部の汚職により弱体化したが、こいつらはいまだに高い士気を誇ってるからな。だが、これ以上奴らは攻撃しにくくなるぞ」
「どういうことです?」
「この基地の幹部職員や科学者は何処に行った?」
「あ、そういうことですか」
「すでに、ここの中央制御室も抑えているし、人質もそこに集めている。言ってみれば、ここの基地のメインであるここを取ってしまえば、他の施設などどうでもいい。それにしても、手ごわいのは美神令子とその部下達だ。彼らの霊力は半端なものじゃないし、戦闘や武器の扱いにも長けている。さて、そろそろ上に報告しなくては・・・」
ルサールカは無線を手に取った。
《・・・・・そうか、で、ミサイルの弾頭を回収したか?》
「いいえ、これから早急に開始します。少々手間取るかもしれませんが、確実に回収いたします」
《頼んだぞ。とにかくあれがないと話にならん》
無線を切る。
「まったく、上は何を考えてるのだ。まあ、別にさほど興味はないのだかな・・・」
彼女は中央制御室へと足を運んだ・・・・
今までの
コメント:
- 今回の班分けは万が一にも横島クンにミョーな真似をさせないためのものでしょうか?(笑) 遂にミサイルの弾道が心霊兵器であることが判明しましたが、果たして魔族の過激派が血眼になってまで欲しがるその威力はどれ程のものなのでしょう(汗)。敵の中の人間の正体も判明しましたし、段々とストーリーの流れも加速してきましたね。次回以降令子たちと、横島クンのチームのそれぞれがどんな活躍を見せてくれるのかが楽しみです♪ (kitchensink)
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