ザ・グレート・展開予測ショー

交差そのきゅう。


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 6/28)

「!!!」
―と藤吉郎が言い始めると同時に、美神が何かに気付いたかのように―眉をぴくりと動かせ、きききいっとブレーキをかけた。
次いで、流れるようなハンドル捌きでUターンし―アクセルを全開に、あける。
これは―いってみれば反対車線に出るということである。
普通ならば、できるわけがない―まあこの女性に普通を求めるのは無理だろうが…
美神は、赤く色づいた唇を舐めそして笑みの形に歪めた―
その表情はどこか焦ったような―楽しんでいるようなものである―危険な状況に陥った時に彼女がよくする表情である。
そしてハンドルを見事なまでに操りながら
「横島くんっ!!!」
―と言う。
この状況、この声音、この台詞―これで今自分がやることが分からなかったらそれはもうプロではない。
幸い横島は辛うじて―ぎりぎりプロだったらしく言葉を交わすなどという無駄なことはせずに、手のひらから文珠を出しそして即座に『護』という霊力の解凍条件のキーワードを入れる。
きいいいいんっ
珠は白銀の光を放ちそして広がる。
この車を取り巻く―結界の完成である。
その一瞬後。
「うわっ」
ごおおんっ!!
という音とともに車が揺れた。
結界を張ってもこれである…あと一瞬遅かったら―考えるだけでも恐ろしい。
「ど、どおしたんでござるかっ!!!」
気配もにおいもしなかったでござるにっ!!
と悔しそうにシロ。
どおんっ!!!どおんっ!!!
立て続けに二発!!三発!!くる。
『走っている車』に正確に―同じ処へ。
「っておい…こんな何発もこられたら―たまったもんじゃないぞ」
結界もたねーってと横島。
「…でもおかしいわよ…これ??軌道がない―??まるでいきなり違う空間からきたみたいだわ」
腕を組みそして首をひねりタマモ。
「それに―これきっと霊力じゃないです―だってそんなの何も感じないですし」
とおきぬ。
ちなみに時速100キロの中の会話である。
しかも反対車線を走っているなか―どんな運転なのか考えたくもないだろう。
まあそれは慣れだろうが…(そんなことになれたくも無かっただろう)だたひとり例外というか今日始めて車に乗る少年は床へとつっぷしていた。
藤吉郎である。
脳みそがぐるぐると回っていそうな(ある意味回っているだろう)感覚や強烈な吐き気と―闘っていたりする。
…まあこの後藤吉郎が車に対してどんな印象をもったのかは―想像にかたくないだろう。
つづく

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