三匹!?が行く プロローグ3 SIDE 妙神山
投稿者名:人生前向き
投稿日時:(02/10/22)
横島が訪れる(三匹!?が行く プロローグ1)前のはなしです
―妙神山にて
パピリオが床についたのを見計らい、ジークはハマヌンの元へ向かった。本来ジークは職務に私的な感情を組み込まない質だが、今回下った魔界からの命はあまりにも奇妙なものであったため、同じく神界の方でなにかしら動きがあるのか気になったのである。
ハマヌンの部屋の前で止まると、ふすま越しに敬礼を一つした。
「夜分遅くに失礼します老師様! 少々お聞きしたいことがありまして参りました。」
いつもに増し緊張した声にハマヌンは、ゲームのコントローラーから手を離しふすまの方を向くと足を正した。
「入ってくれ。」
申し訳なさそうにふすまを開け、ジークは部屋の中に入った。先程までゲームをしていた事は一目瞭然である。いつもは口を酸っぱくして注意をするところだが、ジークは気にも留めた様子もなく、老師のまえに一礼して座った。
「こんな夜更けに何事かな?」
ハマヌンは眼鏡の奥から射るような目で前に座るジークを見た。いつもは異なる彼の目からは、彼の戦歴がうかがえるほどである。
《やはり・・老いても獅子というわけですか》
ジークは胸の奥から沸き起こる恐怖と、それとは違う胸の踊る気持ちに駆られた。もし神族と魔族が絶対的に対立するものであるならば、その気持ちは魔族の血によるものだろう。
「小耳にはさんだのですけれども、話によれば神界から稀有な命が下ったと聞きましたが、それについて少しばかりお話を。」
もちろん神族の命など知るあてもない、しかし今回のような命が魔界の上層部から下ったということは神族も何かしら動きを見せるはずである。 そう今回の下った命令とは、たかだか人間一人にたいしてのことである。それなのにもかかわらず上級魔族からの下級魔族まで、魔界の隅から隅まで、しかも場末の部署にいる者にまで下った命なのである。神族が動かぬはずがない、かなりの確信でジークはハマヌンに問いただすような口調で言った。
「ぬはははは!まあよい、ワシも少し情報がほしかったんじゃ。 情報交換とまでいうほど情報さえ持っていないわしらだがな。」
すでにハマヌンに自分の嘘がばれているのを知り、ジークは慌てて頭を下げた。
「申し訳ありません。しかし今回のような奇妙な命令、魔族だけではなく神族でも同じ命令が下されたと判断してよろしいでしょうか?」
「そのとおりじゃ、しかもおまえさんと同じように理由は知らされとらん。 小僧に何があるか知らんが・・あの小僧の人生は波乱万丈そのものじゃな。」
「では、夜分遅く失礼しました。」
すっと立ち上がるとジークは音をたてずに部屋のふすまに手をかける、そして何か思い返したようにハマヌンに振り向くと、
「・・・・今晩、隠れてゲームを練習していたことを小竜姫殿には伝えておきますので。」
と言い、かすかに微笑んでふすまを閉めた。
「明日の予定は、小竜姫からの折檻とわ。」
ハマヌンはおどけた風に呟きながら体の向きを変え、机の上にあった今朝届いたばかりの書類と、本日六度目の上奏文を届け、やっとかえってきた神族上層部からの回答に目を通した。
そこには
『全ての神族は、人間・横島忠雄 に対しての必要最低限以上の接触を禁ず。』
『それについての理由は、君が知る必要がない。』
と書かれていた
「ここまでコケにされるとは、斉天大聖老師の威光もこれまでじゃな。」
ふっと息を吐き、これから不肖の弟子の身に降り注ぐものを想像しながら床についた。
「ワシがあと400年、いや300年若ければ力になれただろうに、すまんな。」
今までの
コメント:
- 相変わらず絵に描いたような軍人気質なところを見せるジークですが、最後の方では普段の彼「らしい」落ち着いた様子が窺えましたね(笑)。対照的に終始アットホームな雰囲気を醸し出していた斉天大聖老師ことハヌマンの様子も「らしい」気が致しました。横島クンに対してつれない態度を取った妙神山一行の背後には、神界・魔界双方に行き渡っている指令が影響していたのですね。一体何故に横島クンがここまで注目(?)されているのでしょうか? 次回も楽しみにしております♪ (kitchensink)
- いつもいつも コメントありがとうございます。
コメントをもらうって嬉いっすね。 (人生前向き)
- おもしろそうです。
続きがかなり気になる展開。
キーワードは横島…やっぱり面白そうです。 (Alice)
[ 前の展開予想へ ] [ 次の展開予想へ ]
[ 戻る ]
管理運営:GTY有志
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa