ザ・グレート・展開予測ショー

交差じゅーに。


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/11/ 5)

ちなみに、その数秒前の車の中。

きききききいいいっ
耳をつんざぐような、ブレーキ音。
がこんっ
そして、衝撃。
ぶすぶすぶすと車は、煙を上げ、道路にはタイヤが擦れた焦げ臭い、ゴムを焼いた独特の匂いと、跡を残し、止まる。
どうやら、先程の、衝撃で車がいかれたらしい。
せめてもの救いといえば、車どうりの多い、区域をぬけ、必要以上の人に迷惑をかけずにすむことであろう。(いやこれまでの道のりで、充分すぎるほどに、迷惑をかけている説もあるが)
美神が、ハンドルをぐっと握り、いらだたしげに、言う。
「まったく……あのクソ業者っ!!!こんなボロ車貸し出してっ!!!保証金ふんだくってやるっ!!!」
みしっ とハンドルが悲鳴を上げ形が変わる。
恐るべき、握力である。
「美神さんっこんな、状況で保証金ですかっ?」
霊力を集める手を止めずに、横島。
若干の呆れが、その声音のなかに含まれるのは仕方ない。
だが、その声に、美神はぎっと睨み殺しそうなほど強い眼光を向ける。
その眼光の鋭さに、びくっと横島は身を竦めた。
「当たり前でしょーがっ!!!」
美神は、憤懣やるかたないと言った面持ちで言う。
この場合、むしろ金銭をふんだくると言うよりは、払わないといけないのだろうが。
「そんなことより、上の三人っ!!急ブレーキで大丈夫なんですかっ!!」
笛を口から外し、おきぬが、切羽詰ったように言う。
タマモ、シロはまだいい。
万が一振り落とされていたとしても、死ぬ事は無い。
だが、もうひとりの少年。あのひとは、ニンゲンなのだ。
たとえ、普通のではありえないとしても、100キロを越える車からもし、万が一振り落とされた日には、ひき肉になれること間違いなしである。
「「あ」」
忘れてた。と横島と美神。
見事なくらいのはまり様である。
「忘れてたじゃないです!!!」
ぷるぷると、身体を小刻みに震えさせ、おきぬ。
怒ってる、これはもう、本当に、怒ってる。
事務所内にある、触らぬおきぬには、なんとやらという格言をしみじみと実感している美神たちは、無駄に反論することもなく(というか反論した日には、三倍返し(?)されること必至である)車から出た。


そうして、その数秒後、車の上にて。
藤吉郎は、吹っ飛ばされる事なく、車の上にいた。
ぜえぜえと肩で呼吸こそしているが、どこにも怪我はない。
そうして、後ろを振り返り、「大丈夫ですかっ」という。
シロと、タマモはぺたんと、その車の上に座りこんでいるのだ。
「アンタ…いま何した?」
こわごわと、まるで見てはいけないものを見たかのような、口調でタマモ。
その声音には若干の、不穏なものも含まれている。
「大丈夫でござるが…」
一方シロも、どこかぎこちない。
「今のは…」
「今の…」
呆然と、いったほうがいいだろうか?
藤吉郎は、苦い─まるで、なにか諦めたような、顔で、笑った─。
つづく

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