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【リレー小説】『忠夫の結婚前夜』18 〜廻愛〜


投稿者名:遁譜村
投稿日時:(02/ 4/26)

さる場所である。
 不味いな。猿と牛が本気になったら・・
 秩序が崩れるのは目に見えている。
 それよ。確定しない未来が為にあの二人を本気にしては・・
 世界の崩壊はまだ先のはず。この惨劇を収拾出来るのは、奴等しかいまい。
 うむ。既に一人、心を読む者には指示を出した。
 ・・・。もう一人も自主的に目的地にむかっている、
 重畳。解決も近いな。
・・・・・・・・・・・・・・・
妙神山が燃えようが、凍えようが、車で1時間の場所にあるバス停ではなんとも無い。
=おっ、前になったのか=
奴はバスの乗車券を持っていたが、客員数の理由からか、前方の座席へと変更された。
「ハロー、ウエァ・アーユ・フロン?」
隣になったアメリカ人女性はかなり未成年ながらの魅惑的を持った者であった。
=おや、こやつは、別の歴史であの男と・・・=
そんな事実を知りながら、
「アイム・フロン・イタリー・ヴァチカン」
と、答えたそうである。
あるバス停でそ奴は降りた。
待ち合わせなぞしていなかったのだが。
「御久しぶりね」
ヒャクメと、もう一人が出迎えている。
そ奴が口を開いた。
「久しいな、ヒャクメ。そうか俺の心を読んだのか」
「そうよ。だから私も行動が移せるのよ。未来を知る貴方の心を読めばね」
「では、解るだろ?先ずしなければならない事は」
「当然。だから過去(現在の美神達)の助っ人には帰ってもらったわ」
「重畳」
そしてもう一人ヒャクメが先回りしてこの事件を解決する事の出来る妖魔を連れている。
妖魔といえば仰々しいが。日本人には耳慣れた妖怪である。
-雪女-
さて、妙神山はどうなっているのか。
御存知の通り火の山である。
そして、敵側という表現はともかく、人間に敵対しているのは、牛魔王である。
配下に美智恵隊長と、ひのめがついている。理由は前項に廻そう。
そして、旧アシュ軍の先鋒、メドゥーサと愉快な仲間たちである。
敵仲間入り混じっての攻防は修羅も真っ青であった。
そこに一台の車が停まった。
「馬鹿騒ぎはやめろ」
そやつは厳かに言った。
もう語るまでもあるまい。神魔両トップですら恐れるそ奴である。
一番最初に気付いたのは精神感応を得意とするタイガーであった。
「!集まるのじゃ」
皆集まってきた。負けじと敵軍も集合する。孫悟空と牛魔王を除いて。
二人は最早人間の世界で無い、どこかで戦っていた。
だからこそ、妙神山は山火事状態となっているのだ。
頃合だな。とそ奴はつぶやいて。
「やれ」
雪女に命じた。
雪が降った。
頭が冷えた両軍であった。
「みんな聞いて。ね」
ヒャクメがなんとも言えない表情になった。
「・・。この騒動はね。横島クンの娘なんか関係ないのよ」
「どういう事、なワケ?」
エミである。
「この騒動で最も力を持っているのは?」
牛魔王である。
「でもね。東洋妖魔がどうして、まだ産まれてもいない娘に興味を持つと思う?」
「それは、横島クンの娘が・・」
「くくく。ではこの騒動、『若しかして』から、生じた事なのか?」
あたりが雪が降り積もり、更に冷静さが増す。
「・・・そう。一つは女のヒステリーなの」
この場にいる女は少なくない。だが、ヒステリーを起す理由が思い当たるとすれば。
「ちょ、ちょっと待ってください。ヒャクメ様」
唐巣神父である。
「思い当たるのは、令子君だけ。いくら納得していたとは言え、しかし・・」
まさか今は亡き美智恵隊長が、とも幾人かは思ったか。
「いいえ。意外中の意外かもしらないけど。牛魔王をそそのかした本当の首謀者は?」
ヒャクメの言葉は人神魔を問わず、ある者に視線がいった。
そやつは、それこそヒステリックになった。
「な!何を言ってるわけさ。こ、この私がぁ?」
だが、何時もは冷静沈着なその女がうろたえている事実。
「・・・。無理だな。どんな未来が予想されようと、願いが叶う事は・・無い!」
未来をしる者の、冷酷なまでの事実である。
「消えろ、メドゥーサ。今命をとる未来は無い。貴様が・・」
この場から消えればな、とは口にしなかったが、誰もが理解できた。
訂正しよう。女性であれば、頭ではなく、体で、心で、女として理解出来た。
「・・撤収」
その目に涙が溢れていた事は全員が納得していた。
それに連れられてか、若しくは白けてしまってか、戦闘意識が無くなった頃。
「何をいってやがるんだ。おらぁなぁ、騒げればいいのよ!」
雰囲気を知らぬ物が一人、ベールゼブブ。
「はん、蛇のメスも甘ちゃんだねぇ。てめぇ一人惚れてる奴をなんとか出来ないんだから
 だから牛魔王をそそのかしたぁ?だからどうしたってんだよ。精神科医気取りの奴によ
 言い包まられて撤収だァ?ふざけてるじゃねぇか。なぁ。つーか、お前誰なんだよ!」
皆から恐れられている男の胸くらを掴もうとしていた。
「去れ、魔界の蛆蝿め!」
そ奴は対した力も、特別な能力も持ってない。だが、
目がうつろになったと途端に、蝿は魂を抜かれたと一緒だった。
「パンドラの箱に残った最後の災厄、『ラプラス』をしらないとは、アーメン」
敵とは言え、あまりにも憐れな蝿に、十字を切った。
「そうね。それにね。牛魔王がどうして加わったかも、教えるわ」
ヒャクメが口を開くと、
「うう〜〜ん。冥子ぉ〜〜解った〜〜〜、牛ちゃんわぁ〜〜〜、美智恵さんじゃなくてぇ〜〜
 合いたかったのはぁ〜〜〜、愛娘とぉ〜〜奥さんだったんでしょお〜〜」
その通りだ、とヒャクメは肯定の意味を含め首を下げた。
「・・。そうだな。あとちょっとで、ひのめとやらが戻ってくる。二人も馬鹿じゃない」
牛魔王と孫悟空、この二人が本気で戦えば世界は崩壊する。
「ふたりともね。そんな事は思って無い。それは私には読み取れる」
と、ヒャクメ。
「だからこそさ。あの二人にしては手を抜いた戦いになる。そして勝敗は猿、だが殺しはしない。諭すだけだ」
事実。如意棒をつきつけたハヌマンは、こういっていた。
「久しぶりにやんちゃな気分になったな」
「・・・強いな。猿」
「いや、お前は本気じゃなかったろ?ほら、いってこいよ、女房と愛娘の所にな」
だが、ひのめは現世に返して欲しいと言っていた。
「あぁ、俺は、女房にあいたかっただけさ、・・・ちっ、なんでかな?」
「愛があるが故さ」
その後、雪と共に、ひのめちゃんが降りてきたという。
「じゃあ、これで終り・・なのか?」
一際がんばっていた横島である。
だが、ラプラスの答えは違った。
「いいや。ほらもう一人、正確には、機械と一人・・そうだ。雪之丞とか言うの」
「あん?」
「その帽子を空中に、そうその方角になげな」
言われたとおりにすると、
「Drカオス!・皆さん・マリア・戻りました」
その腕に美神令子がいることは時間の差があれ確認出来た。
「オキヌちゃん。もういちど、よーく話して、ね」
「はい」
ケープの無いウエディング姿のオキヌちゃんと、その襤褸切れがどういう訳か、頭に絡み
ケープのように見える令子であった。
「さてと・・じゃあ私達は部屋に戻りましょう。二人だけにして」
ヒャクメが殿を務める形でオキヌちゃんを残して部屋に入る。
「ふぅ。これで私達の仕事は終りね。あらっ?何処に行くのラプラス」
「・・帰るだけよ」
「そう・・」
そういったヒャクメの目に物憂いげな気色。
「貴方も私も、見てはいけない物をみれる目を持っているだけ、なのに」
「いいや、似て非なる物よ。ヒャクメの目は心を読む。俺は未来を読む」
「そうね。だから・・貴方は・・私の心は知らない」
「同類相憐れむ、ってトコかな?」
「ねぇ。貴方に幸せの時間は・・まだ無いの?見えないの?」
「・・あぁ」
誰もみていなかったが、ヒャクメの目に涙がうっすらと。
「いいわ。あと100年。もうちょっと待つは。いい?」
「・・・ありがと」
「!!」
その一言にどれだけすくわれたかしらね。『ありがと』ですって。
そう。もう一度言うわ。この一連の騒動は愛だったの。
メドゥーサは横島クンに、牛魔王は羅刹女とその娘に。
でね。美智恵さんはどうしてももう一度だけ次女に会いたかったの。
もちろんひのめちゃんもね。
変な言い方だけど、出汁に使われたのは二人、ううん。三人ね。横島クンに、オキヌちゃん。そして美神さん。
私は心が読める。だから解る。二人とも同じぐらい横島クンを愛してるの。
横島クン?
彼も、同じよ。迷ってるの。今も。
当然、二人とも、って結果もあるわ。でもそれは選ばないと思う。
キチンとしたい。それが彼の心を大きく占めてるわ。ねぇ解るでしょ?ラプラス。
ねぇ・・・・。
そんな事は俺には判らん。心の思いなどはな。
だがな。この話も終結が見えた着たようだな。
一つ言わせてもらおうか。
歴史、ストーリーには始まりがあれば、終りも当然ある。どんな結果があろうとな。
それは、もう次で解るはずだ。
夢だとか、そんな事も存在するが、まさか。これは貴様等から見れば近未来の話よ。
何?これが絶対だって?
待ちなって、未来ってのは無限の可能性がある。その数と同等の俺がいる訳だがな。
どうしても、知りたいというなら、俺の知ってる歴史を語ろうじゃ無いか。
そう少し待ってくれ。
そう言ってラプラスは静かに目を閉じた。
・・・・。
そしてラプラスは一言。
=お前に、なったのか=

-タダ婚、クローザー、END-

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