犯罪組織シロバニアU
投稿者名:NGK
投稿日時:(02/ 3/ 1)
第一話:始動せし闇の影
「一条理絵・・・貴様ほどのエージェントが
まさかあのような行動を起こすとは・・・な」
男が立っている。三十代半ば過ぎだろうか?
「・・・お前がやったことはこちらには筒抜けだ!
本来の任務を忘れて何をやったか分かるな?」
「・・・任命されたことはちゃんとこなしております」
理絵は片ひざをついて述べた。
かつて”シロバニア”という名の犯罪組織があった。
その組織は世界征服を目論みその最大の難敵と思われる美神令子を始末しようとした。
しかし、最高幹部の裏切りと美神令子らの活躍によって組織は壊滅した。
一条理絵はその犯罪組織の黒幕であった。
「あれだけ美神令子には手を出すな、と言ったはずやけどな・・・」
「しかしおかげでさまざまな表情が撮れたのではありません?」
「!?」
空から声が降ってきた。
ややあって女性が飛び降りてくる。
「氷雅!今までなにを・・・」
「私も忙しい身で・・・」
・・・どうだか
理絵はこの女性が苦手であった。
年の差ということもあるだろうが自分をからかってくることがあり、
なにか馬鹿にされているような気がするからだ。
「どうです?この任務は私のほうが向いていると思いません?」
「ふーむ・・・」
男は考え込んだ後、
「そうやな、第一級エージェント・氷雅!お前に美神令子の観察を命ずる!」
・・・何を考えている?
理絵は口には出さずにそう毒づいた。
「なぜかって?面白そうだからよ」
理絵の問いに氷雅はあっさりと答えた。
「これは、私の任務だったのに・・・!」
「まぁ、そうかっかしなさんな理絵ちゃん。あなたに協力してやろうと言うのに」
「・・・?」
「あなたはシロバニアを使って美神令子を襲撃しなさい。
私はその様子を記録するから・・・」
「でも、あの御方がそれを許してくださるか・・・」
「大丈夫よ。もしだめなら、あなたの暴走を認めるはずが無いもの」
「・・・わかった・・・あなたの言うとおりにする・・・」
ふ・・・
こんな面白いことになるなんてね・・・
「ふふふふふふ・・・」
かつーん かつーん がちゃ
「さがしたわよ・・・Drカオス・・・」
闇の中で理絵は腕を組んだ。
カオスは理絵を見ずに作業を続けている。
そして・・・
「ふぅ・・・出来たわい・・・」
”それ”は一見してもよく見ても人間そのものだった。
ロボット・アンドロイドにある人工的な要素は少なくとも見た目には見当たらない。
「これを四号機・・・いや・・・これは、すべてのアンドロイドの始まり・・・
”イヴ”と名づけよう・・・」
「ちょっと!カオス!聞こえているの!?」
カオスは理絵を見た。
「お前さんはワシのスポンサー!」
カオスの研究費を肩代わりするかわりにその開発したものをシロバニアに貸し出しする。
その約束が交わされていた。
「むぅ・・・しかし、この”イヴ”は貸すことは出来んぞ・・・」
おそらく役にも立つまい。
いや、役に立つのは身の回りの世話などであって理絵が欲するものではない。
これは各アンドロイド開発会社に売り渡す予定になっている。
今の世はアンドロイドの開発にやっきになっているが、
人間的な思考を有することはまだ出来てはいない。
その点、カオスの開発したアンドロイドは人工知能に
人工霊魂をインプットすることによって人間的な思考を有するようになっている。
そして各種兵器を排除し、幾人もの人間の思考パターンをインプットした
”イヴ”は間違いなく今の世が欲したアンドロイドであるはずだ。
と、カオスは思っている。
「それは別にいい」
そう言うと理絵は札束が入ったアタッシュケースをカオスに手渡した。十数億ある。
「それより”テレサ”を再び作り直して頂戴」
理絵は傍らに置いてあるテレサの頭部を見た。
中にはテレサのデータが入っているはずだ。
「あと、平行して三号機の量産を進めてほしいわね・・・」
このディーテは一号機”マリア”、二号機”テレサ”に比べ、
戦闘能力・コストははるかに劣るもののそれでも三号機”ディーテ”は
基礎能力で人間をはるかに凌駕している。
「テレサか・・・あれを再び起こすのか・・・」
「マリアを取り戻すためよ」
今、マリアは美神令子に奪われている。
「そして、シロバニアの栄光のために・・・」
次回予告
「目覚めよ・・・テレサ!我がお前のマスター・一条理絵!」
理絵は魔術師の格好をし杖を天にかかげた・・・
「ふふふ・・・私が再び世に出るときがきたわけか・・・」
小屋の中で呟く・・・モノ。
次回 「犯罪組織シロバニアU」 第二話:復活のシロバニア
お楽しみに!
今までの
コメント:
- 続編書くといいながらこんなに時間かかってしまってすみません。
この二ヶ月、ずっとチャレンジしていたんですがうまく書けなかったんで・・・
矛盾しているところがいくつか出てきそうですがまたよろしくお願いします。 (NGK)
- カオッさんの悪事は上手くいったこと無いんですよね〜。
上手くいったら美神の抹殺は良い事ってことですかね?(汗)
それにしても、あの部分が…(苦笑) (魚高)
- うわ、妙に親しげに理絵さまに話し掛ける氷雅さんが怪し(トスッ)う。
……いいえ、氷雅さんはとっても素敵な方ですね。何しろ大失態をかまして任務を補されて落ち込んでらっしゃる可哀相な理絵さんに、何の忌憚なく自ら全面的に協力を申し出ているのですから、何てお仲間思いの優しい女性なのでしょう、ホホホホホ……あれ。 (Iholi@ あやつり影武者)
- 取りあえず、財力はあるシロバニアみたいね。 (トンプソン)
- えー、シロバニアの諸君。
君達はもーちょっと「懲りる」という言葉の意味を学ぶべきだと思います。 (黒犬)
- ああ!カオスじーちゃんが再び悪の道に!
でも、テレサちゃんの復活は賛成です♪ (猫姫)
- 何てこった……! バビッチが真の敵ではなかったのか……! 何か氷雅さんまでもが組織入りしてるし、これから何が起こるのかな? (ロックンロール)
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