じーえすよいこのえほん
投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(02/11/ 5)
「金のおんな、銀のおんな」
むかしむかしあるところに
みかみさんという、それはそれははたらきもののおねえさんがすんでいました。
みかみさんのしょうばいどうぐはじんつうこんというぶきと、あとよこしまくんでした。
あるとき、よこしまくんがおふろをのぞいていたので、みかみさんはおこりました。
「あんたにはこんりんざいおふろをつかわせないわ。
そとのいずみでみずあびしてらっしゃい」
みかみさんはとてもけんやくかだったのです。
うむをいわせずよこしまくんをいずみにたたきこみました。
けれど、1ぷんたっても2ふんたっても、5ふんたったのによこしまくんはうかんできません。
「いきがながくつづくことで、なにかもうけるほうほうはないかしら」
みかみさんはよこしまくんのいのちを、かみのけほどにもしんぱいしませんでした。
そのとき、ざざー、といずみからくろかみのおんなのこがあらわれてこういいました。
「あなたがおとしたアシスタントは、こちらの金のたまもですか?
それともこの銀のしろですか?」
「おとしたよこしまくんはあげるから、金のたまもと銀のしろをちょうだい」
みかみさんは、よこしまくんがどうなろうとしったことではなかったのです。
そんなことよりもやくにたちそうなアシスタントがみりょくてきでした。
「あなたはしょうじきものですね。たまももしろもよこしまもさしあげましょう」
いずみのめがみとみかみさんは、じんしんばいばいのざいあくかんなんかありません。
つぎのひ、いずみではひどいあつかいをうけたよこしまくん、とてもふきげんでした。
「あとちょっとでしぬところだったのに、いいめをみるのはいつもみかみさんだ」
けれど、よこしまくんは、ころんでもただではおきません。
そしていつも、ただでおきていればせずにすんだおおやけどをしてしまうのです。
さっそくよこしまくんは、なかよしのおきぬちゃんにきのうのはなしをしました。
「それでね、おれがおきぬちゃんをいずみにいれて、金と銀のアシスタントをもらうんだ」
そのアシスタントをえみさんというひとにうって、そのおかねをふたりでわけようといいました。
「それはいいですけど、ちゃんとわたしをたすけてくださいね」
おきぬちゃんはスゲーふあんでした。
よこしまはよくをかいてせいこうしたためしがなかったからです。
だけどおきぬちゃんはよこしまがすきなので、ことわりきれません。
さっそくさくせんかいしです。
おきぬちゃんはなにかデジャヴュをかんじながらにゅうすいします。
ほとりでまつよこしまのところに、やがてめがみがあらわれました。
「これでしょうじきにおきぬちゃんをおとしたといえばいいんだな」
よこしまはもう勝ったつもりでケータイでともだちにじまんしています。
「あなたがおとしたのは金の――
いちにちいちまんかい「スキ」といってくれるやさしいみかみさんですか?」
ぶぅっ
よこしまはからだじゅうのあなからえたいのしれないしるをこぼしました。
そしてむいみにかおがげきがちょうになってたりしています。
「み、みみみみみ…美神さんが一日一万回「好き」…?」
えほんであることもわすれてかんじだらけでふくしょうしたりもしました。
「それとも銀の――ほうきょうしゅじゅつずみのでぃーかっぷるしおらですか?」
ばぷちょっ
よこしまののうみそのけっかんがぜんぶいっせいにきれました。
「る、るるるるる…ルシオラがDカップ……!?」
よこしまは金をえらぶか銀をえらぶかでしぬほどなやみました。
せかいのへいわとでぃーかっぷだったらでぃーかっぷをえらんだにちがいありません。
もちろんこのとき、おきぬちゃんなんぞ「そんなひとしらないよ?」じょうたいです。
よこしまはおんなのひとにスキといわれたりでぃーかっぷをみせられるだけでほかのことをわすれてしまうやすいのうみそのもちぬしだったのです。
「金か……銀か…うぅ……両方手に入れる方法があったはずなのに…」
めがみがだいているふたりは、いっけんねむっています。
しかしよくみると「私を選べ」おーらでいずみのさかなもはらをうえにうかんでいます。
「す…捨て難い!!こんなのどっちも選べないッ!!!」
よこしまはひとりでいちびってもだえまくりです。
「きぎん」
よこしまはためしに、こごえでびみょうなはつげんをしてみました。
「はっきりいえ」
めせんがかくれためがみさまにれいたんなつっこみをくらいました。
「わかったよ!わかったからそれじゃあ……」
ちっともわかってないせりふでしたが、めがみさまはしんぼうづよくつぎのことばをまちました。
「女神様!結婚してくれ!!」
『えぇ!?』
みかみさんとるしおらとおきぬちゃんとめがみさまがいっせいにおどろきました。
しかしよこしまのけいさんなら、ふうふのしさんはふうふのものなのです。
4にんのびじょがまるごとてにはいるはずでした。
「むりだな」
またもめがみはつめたくあしらいました。
「そこをまげて!!」
「そうはいうが、わたしはうちゅうせんだからな」
ごーぐるをもちあげて、くろかみにはしんくうかんみたいなものがささっためがみはつげました。
「しょげええええええええ!?」
「はあああッ!!?」
ガバッ
目覚めた時、横島はアパートの自室にいた。ぐっしょりと寝汗を吸ったシャツを脱ぐ。
「ゆ、夢か……おそろしい…」
枕もとにあった読みかけの少年サンデーはちゃぶ台の上に移し、げっそり呟いた。
「あ、おはようございます」
キヌが輝かしい笑顔で挨拶するのだが、横島は疲れた調子で手を振る。
「あぁ、おはよー。悪いね。また掃除に来……え!俺今寝てたろ!?」
「はい。管理人さんに開けてもらいました」
「あ…なんだよそうかぁ……びっくりした」
落ち着いてみて、横島はキヌに顔を合わせづらい気分になった。
目覚めてみて思い出したが、おもいっきり彼女を見捨てていたのだ。
「あ…あのさー、たまには飯でも奢ろうか?」
「そんな、気を遣わないでくださいよ」
にこにこしながら手振りで遠慮する。ふと、横島は違和感を感じた。
「私より、うちうせんさんを誘ったらいかがです?」
バリッ
横島の身体のどこかに、致命的なひびが入った。
「ど…どこから……!?」
「タイトルコールの金の女、銀の女からです」
――全部じゃねーか。つか、寝言でタイトルコールすんな。
自分を罵りつつ、ガラスのような冷たい笑顔のキヌを眺める横島。
彼は、これからの「素晴らしい」一日について考えていた。
夢のお詫びだなんてロマンチック極まりないではないか――と。
おしまい
<おかあさまへ――
おこさまよりもむしろだんなさまにはなして聞かせてあげてください>
今までの
コメント:
- そこで何故セーリュートが出てくる!(爆笑)
でも俺は、「好き」というだけで行為無しの美神はパス!
てか、美の女神から生まれたのが美神だったと思いますが(謎の苦笑)
これは、西条に聞かせてあげたらどうでせうか? (ギャグレキスト後藤)
- >「それはいいですけど、ちゃんとわたしをたすけてくださいね」
>おきぬちゃんはスゲーふあんでした。
>だけどおきぬちゃんはよこしまがすきなので、ことわりきれません。
ダテ・ザ・キラーさん初めまして♪
昔話でもやさしく純粋なおキヌちゃんにホロリと来ました・・・・ (ユタ)
- 「パパー、このおはなしこわ〜い(泣)」(挨拶) 何か、一見すると凄くほのぼのとしたまさに「昔話」風のお話なのですが、よくよく読んでみますとそこらじゅうに醜いオトナの確執が見受けられますね。絵本の中だけの話に終わらず、悲惨な夢オチにしてるラストが面白かったです(笑)。うわ言を聞いてしまったおキヌちゃんの対応がいかにも彼女「らしい」感じでした。投稿お疲れ様です♪ (kitchensink)
- 「パパー、このおはなしこわ〜い(泣)」(挨拶) 何か、一見すると凄くほのぼのとしたまさに「昔話」風のお話なのですが、よくよく読んでみますとそこらじゅうに醜いオトナの確執が見受けられますね。絵本の中だけの話に終わらず、悲惨な夢オチにしてるラストが面白かったです(笑)。うわ言を聞いてしまったおキヌちゃんの対応がいかにも彼女「らしい」感じでした。投稿お疲れ様です♪ (kitchensink)
- ↑久方ぶりにやってしまいました、2重投稿(汗)。どうもお騒がせしてスイマセン。出来ればどなたか余分な賛成票の一票を貰ってくだされば幸いです;よろしくお願いします(爆)。 (kitchensink)
- 「こらこら、こんなもの見ちゃダメだよ」「うん、パパ」(挨拶) kitchensinkさんの分は私が頂きましょう。以前の事も在りますし(爆)。途中から、おキヌちゃんを横島が見捨てた辺りで反対票を入れそうになりましたが、最後でのフォローが上手かったですね。この後、横島はおキヌちゃんが困るくらいになんらかの手段を講じるとは思われますが、それが目に浮かぶようで(笑)。 (マサ)
- ↑マサさん、賛成票を貰っていただきありがとうございました♪ いつかこの借りは返したいと思っております(笑)。それではまた! (kitchensink)
- すっごく面白かったです〜!!
キラーさんの発想力のすごさに、言葉が浮かんできません・・・(汗)
こういうお話もすごい方は作れちゃうんですね〜!
いや、ホント色々な意味で感動してしまいました!
ええ、余談ですが、キッチンシンクさん、マサ先生、賛成票の数が狂っております・・・(汗) (マリクラ)
- ↑×2 いえいえ、返させて頂いたのはこちらですよ。以前に逆のパターンがありましたので(汗)。 (マサ)
- ダテ・ザ・キラーさん初めまして。空のすけといいます。
昔話と言うよりは、大人の話では・・・
とにかく、笑えました。 (空の助)
- 久しぶりの登場に乾杯!!!!(誰の登場?/私)←死んでしまえ
とにかくスッゴイ面白かったです。
最初は画面に大規模な平仮名が現れたので「えッ、何!?まさかこのページだけ壊れてる!!?」などと思ってしまいました。(笑)
しかし、もぉ読めば読むほどツボですね!!!!
以前の真面目な戦闘シーンとかも好きでしたが、こーいう作品はもっと好きです♪(笑)
いやぁ、覗いてみて良かったですよvvv
それでは、またいつかどこかでお会いしましょう♪
(って言ったらキラーさんは絶対嫌そうな顔をするんだろうなぁ…。/泣笑) (みっちー)
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