魔女の過去Z
投稿者名:NGK
投稿日時:(02/ 8/14)
闇の中に一人の少女が立っていた。
「やはり魔力と生命力のバランスが不安定だな・・・」
本来の年齢である三十ほどの年齢とは大きく外見が異なっている。
だが、もうじきそれも終る。
その時こそ・・・・・・
「(まさか、これは・・・)」
男は目を閉じたまま開こうとしない。
一見すると隙だらけだが・・・だが―――。
「なるほど・・・やはり馬鹿では無い様だな」
男は、そう言うと目を開いた。
「魔法が使えるのは何も人間だけではない、ということだ」
五指に込められた魔法を解き放つ。
「っつ・・・・・・」
石つぶてを投げられたような痛みだが―――。
「私の目的は貴様の魔力を抜き取ることだ。何も殺すことではない」
そう言うと、再び五指から魔法を放つ。
「まさか・・・もしかして・・・」
「ふふふふふ・・・さすがに気づくか・・・」
わずかではあるが魔力が抜き取られている。
「・・・このままでは、終らない・・・」
「そうかな?」
五指から魔法が三度放たれる。
この魔法の速度はかなり速く、魔鈴の瞬発力や魔法では、とても避けきれるものではない。
だが―――。
「(一気に決着をつける・・・)」
そのためには―――生命力を魔力に転化させる。
魔鈴だけがあみ出した、と言う訳ではないだろうがそうすれば魔法の威力は飛躍的に高くなる。
魔鈴は魔力を込めていく。
その間、四度・五度、攻撃をくらうが魔鈴は気にも留めない。
「(どういうつもりだ・・・こいつ・・・?)」
男は場所を移し、距離をとりながら魔法を放つが薄気味悪さを感じていた。
「(何を狙っている・・・?)」
そして七度目の魔法を放った時、巨大な光線―――魔法―――が男に襲いかかった。
「!!??」
ドヴァ!
あたりのビルが倒壊していく。
「やった・・・・・・?」
避けようがないはず・・・だったが。
「ち・・・まさか、これを狙っていたとはな・・・」
ばさっ ばさっ
すと
黒い羽が辺りに舞い落ちる。
「避けれるかどうか際どいところだったがな・・・」
そう言うと懐から銃を取り出す。
「予定変更だ。お前を殺す。十分とはいえないが魔力は奪い取ったから―――な」
キラッ
男の指にはめられている指輪が光った。
「・・・あれが避けられるなんてね・・・」
魔鈴の顔が苦痛にゆがむ。
「死ね」
男が銃をかまえたその時。
ドゴッ
「っつぅ・・・なんだ!?」
上からの衝撃だったが・・・
男が上を見上げると先程の魔鈴の放った魔法―――少年に避けられた球体状の―――がある。
「死ぬのは―――貴方の方よ」
一瞬の油断が生死を分ける。
男が気がついたときには魔鈴の放った魔法が目前と迫っていた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
魔鈴の放った魔法によって男の姿は消えていた。
男がいた場所には指輪が落ちている。
「魔力が込められた指輪だから消滅しなかったのか・・・?」
指輪に魔力を込めると、奪い取られた魔力が魔鈴に戻っていく。
「ふぅ・・・」
ドッ!
魔鈴の身体が崩れ落ちる。
「まずい・・・生命力を・・・・・・使いすぎた・・・・・・か・・・・・・」
そして魔鈴の意識が途切れていった・・・。
「ちいっ・・・右腕が・・・!」
先程までいた所からわずかしか離れていないところに男はいた。
「危なかったが―――なんとか避けられたか・・・」
そう呟きつつも男の息は荒い。
よく見ると右腕の肘から先がない。
「撤退するしかないな・・・」
ここにいれば先程の魔女に見つかってしまう。
青い爪の魔女の元に戻って傷の手当てを受けなければ・・・
男が闇に戻ると一人の少女が一人たたずんでいた。
まるで―――何かを待っていたかのように。
そして少女の爪は青い。
「で、如何だったの?」
少女は一言、男に聞いた。
「は、魔女は見つけましたが馬鹿猫がやられ私も・・・」
報告しながら男は地面に落ちている”モノ”を見た。
それは、青い爪の魔女の使い魔たち―――梟や蛇、蝙蝠や蛙など―――のナレノハテであった。
「!?!?!?!?!?!?!?!!!!!ナ・・・・・・!?」
本能的な恐怖感が――――――アフレダス。
「ま、まさか・・・そんな・・・!?」
男は思わず後ずさりする。
「・・・ふふふ・・・あなたたち使い魔は私の役に立つことを主任務としているでしょぉ・・・」
「(考えろ・・・考えろ・・・俺は・・・他の使い魔たちより頭がいい・・・)」
だが、ソノ答えは、一つだった・・・
シュッ
青い爪の魔女の指先が男に迫っていく―――。
・
・
・
じゅるじゅる
青い爪の魔女は男の身体から流れ出る血を飲んでいる。
いや、正確に言えば”魔力”と”生命力”を吸収している。
「あははっはっはっはっはっはははははははははっははははっははは・・・・・・」
肉体が――――――変化していく。
高濃度ノ魔力ト、ソレヲ維持シテイク生命力ニヨッテ魔力ガ身体ヲ構成シ人ヲ超エル。
即ち―――大魔女。
確かに歴史上、大魔女になった”人間”はいない。
魔女といえども人間であることは間違いない。
しかし大魔女になると人を超えた存在になり――――――。
魔女協会は知らない。
大魔女が意図的に歴史上から消されていることを。
そして、その事実を青い爪の魔女が見つけていたことも。
「くっくっくくくくっくっくううくくくくくっくっくううくっくっくっくくっくっくく・・・・・・」
青い爪の魔女は、ただ笑っていた。
――――――続く――――――
今までの
コメント:
- 割合、早く続きが出せてよかったよかった(^^) (NGK)
- 何とか青い爪の魔女の使い魔の男の来襲を破った魔鈴ではありましたが、それが精一杯だったようですね。そして遂に使い魔たちの魔力および生命力を吸い取ったことで完全なる大魔女に変化してしまいましたし(汗)。今回は特に男と魔鈴との緊迫感溢れるバトルシーンが光っておりました。次回では大魔女と魔鈴、あるいは西条&美智恵ママがどんな戦いぶりを見せてくれるのか楽しみです♪ (kitchensink)
- 前回の馬鹿猫にせよ、今回の「男」にせよ、使い捨てにされる使い魔達に憐れみを覚えます。
ついに、目覚めてしまった大魔女。魔鈴たちは果たして対抗できるのでしょうか? (ヨハン・リーヴァ)
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