ザ・グレート・展開予測ショー

誰がために11


投稿者名:遊び歌
投稿日時:(02/ 3/ 2)

「さあ、横島さん。帰りましょうか。私の力でこの空間を脱出しましょう」
「そうですね。もうここには用はありませんし」
 横島たちは小竜姫に近づく。
「横島さん」
 小竜姫が横島に近づき耳元で呟く。
「約束通り、一緒に夕日を見ましょう」
「え?」
 横島は小竜姫の顔が赤くなるのを感じる。
『小竜姫様、まさか俺の事を・・・?まさかね』
 しかし、同じく横島の顔が赤くなっていた。
 その様子を傍らで見ていた美神は、不思議と昔のように腹が立たなかった。そんな事より今は肩に抱いている西条のほうが気になる様子だ。
『うーん。これで私の思い通りになったわね。横島クンは本気になった相手だと少し奥手になるようだけど、反対に小竜姫は意外と大胆ね。これは面白い!!これで、しばらくはあの子をからかえるわ!』
 ヒャクメは傍らで笑っていた。
「さーて。そこでラブコメしている二人。さっさと帰るわ・・・」
 そこで、言葉を切る。
『ま、まさか・・・』
「どうしたの、ヒャクメ?」
「小竜姫。先に帰っていて。ちょっとここの空間に興味があるから少し調べていくわ。伊達さん。一緒に手伝って]
「はあ?別にいいが・・・」
 伊達はヒャクメに近づく。
「じゃあ、小竜姫。後はよろしくね」
「ええ。貴方もすぐに帰るのよ」
 小竜姫たち四人は消えた。

「さて、何を調べんだ?」
 ヒャクメは答えずに一つの場所を眺めていた。
「出て来たらどう?カイン。私の目は誤魔化せないわよ!」
「何?」
 伊達もその場所を見る。
「さすがだな」
 そこからカインがゆっくりと姿をあらわす。手には文殊の『透』が握られていた。
「お前、まだ生きていたのか。ついでだ。俺がとどめを!!」
 伊達が構えるのを、ヒャクメが制する。
「何で姿を消してたの?強い者と戦いたいなら横島クンを逃がしちゃダメじゃない」
「まず第一に奴から喰らったダメージは思いのほか重い。このまま戦っても私は勝てないだろう。第二に私はもっと強くなりたい。強くなってもう一度奴と戦いたい。そして、第三の理由だが、これは言わずとも解ってるんだろ?」
「え?」
 ヒャクメはキョトンとする。
「気づいているんだろ?横島忠夫と小竜姫に?」
「それが何?あの二人は私に面白すぎるラブコメを見せてくれるけど」
「なるほど、さすがのお前も気づかなかったのか。横島が『あの力』を使えるということは」
「ルシオラの転生の可能性が低くなったって事?」
「そうだ。しかしそれだけではない。問題はあの二人が結ばれて生まれた子供だ」
「子供?」
 しばらくヒャクメは考え、
「ま、まさか!横島クンはルシオラ、魔族の霊其を完全にコントロールした。体内の霊其の『人』と『魔』が同格になった。もはや同化したと言ってもいい。それではルシオラは生まれない。そして、横島クンの子供にはその両方の霊其が受け継がれる」
「そうだ。そしてもしそこに小竜姫の霊其『神』が加わり子供に受け継がれたら?」
「その子供は、『人』『神』『魔』の三つの霊其を持つことになり・・・」
「最強の戦士になる可能性がある。それこそ、横島忠夫や小竜姫すらも凌ぐな。
 そう。私はそいつに会ってみたい。そして、戦いたい!それが奴らを逃がした最大の理由だ。
 私はその子供が成人し、立派な戦士になるまで身を隠すとしよう。そして、私はもっと強くなる」
 手に文殊を二つ出す。そこに『忘』の文字をそれぞれに刻む。
「悪いが今のことは忘れてもらうぞ。その子供が生まれないと少々期待はずれなんでな」
 文殊をヒャクメたちに投げる。
「いいわ、私もあの二人には純粋に幸せになって欲しいし。野暮なことは忘れましょう」
 伊達と二人で文殊の光を浴び全てを忘れ去る。そして、カインは姿を消し、伊達たちは何故そこにいるのかも解らず顔を見合わせた。

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