ザ・グレート・展開予測ショー

横島君が逆行するお話です。 -第1話-


投稿者名:目玉焼き
投稿日時:(02/10/10)

 東京の、とある学校、その中の一つのクラスで朝っぱらから盛大な悲鳴が響き渡った。

「うわああああああああっ!!」

ガタン。

ゴン。

グサッ。

 ・・・・・・状況を説明すると、まず悲鳴を上げた男が机に突っ伏して眠っていた状態から机ごと後ろに倒れこみ、床に後頭部を強打、その後一緒に倒れてきた机の角が顔面に突き刺さった状態で活動を停止していると言った所である。

シ〜ン。

 空々しいほどの沈黙が支配している空間で、最初に再起動に成功したのはこのクラスの担任教師であった。

「・・・あ〜、では次のページを開いて田中、お前読め。」

「はい。」

 教室の一角でスプラッタ映画も真っ青な光景が繰り広げられているにもかかわらず、何でも無いように授業を再会する教師に生徒、どうやらこの面子にとってはこの程度の事は日常茶飯事であるらしい。

ガタンッ。

ガバッ。

「ここは?、俺は?、----は?、何が?、どうなった?・・・・・・・・

 突然今まで活動を停止していた男が立ち上がり、辺りをきょろきょろ見回しながら意味不明な言葉を発し続ける。

「・・・・・・愛子君。」

クイッ。

 担任の教師がある女生徒の名を呼び、何やら奇妙なジェスチャーをする。

コクッ。

 一方声を掛けられた女生徒の方は、それだけで何を言わんとしているのか理解したのか頷き、こっそりと男の背後に回り、おもむろに机を振りかぶる。

「えいっ。」

ガゴンッ。

 可愛らしい掛け声と共に繰り出された机が、男の後頭部を見事に直撃して物凄く痛そうな音を奏で、男の意識は再び旅立っていった。  

「誰かそれを保健室まで運んでってくれるか。」

 再度床に轟沈している男を指して、担任の教師が面倒くさそうにそう言い放つと。

「はーい、私が行きまーす。」

 先程男の後頭部に見事な一撃を加えた女生徒が元気良く声を上げ、手際良く男と机を担いで教室を出ていった。







ガラガラガラ。

 保健室のドアを空けて、机と半死半生の男を担いだ女生徒が顔を出す。

「失礼します。」

「あら、愛子ちゃん、貴女がここに来るなんて珍しいわね、どうかしたの。」

 暇を持て余していた保健室の主である辻村恵子は、入ってきた生徒を見るなりそう話し掛ける。

「あ、えーっと、私じゃ無くって、この人なんですけど。」

 愛子と呼ばれた女生徒がそう言って、肩に担いでいる息も絶え絶えと言った感じの男子生徒を指し示すと、その男子生徒を見るなり恵子は露骨に嫌そうな顔をし、とても医学の心得があるとは思えない台詞を吐く。

「・・・・・放っとけばその内起きるんじゃない。」

「まあ、そうだと思いますけどせっかく来たんですし。」

「・・・ふう、仕方ないわね、取り敢えずそれをここまで持ってきてくれるかしら。」

「はーい。」

 本当にしょうが無いと言う風に、恵子が治療用の簡易ベッドの所まで行きそう言うと、愛子が元気良く返事をして何やら嬉しそうに男を簡易ベッドに
運ぶ。

「それで、・・・何があったの。」

「えーと、授業中に突然錯乱して、暴れ出したので取り敢えず大人しくさせて連れて来たんです。」

「・・・そう、・・・遂に行く所まで行ってしまったと言う訳ね。」

 愛子の簡潔な答えに、恵子は憐憫の目で男子生徒を見ながらそう呟く。







 一方、どこか遠くの方へと旅立ってしまった男の意識は、何やら奇妙な空間で懐かしい顔との再会を果たしていた。
 ・・・と言っても別に死に別れたおばあちゃんが川の向こうで手招きしているとか、お花畑で昔飼っていたペットと再会したとかそう言う訳では無い。

 その奇妙な空間の中、

「少しは落ち着いたか?、ヨコシマ。」

 巫女装束の様な服を着込んだ年の頃12〜13歳とおぼしき少女が、男が混乱から回復するのを見計らって、外見とは裏腹に威圧的な口調で話し掛ける。

「・・・ああ、・・・しかしいったい何が起こったんだ?。」

「2〜3万年ほど時間を遡ったんじゃ。」

 「ヨコシマ」と呼ばれた男が少女の問いに頷き、次いで疑問に思った事を口にすると、少女は平然ととんでもない事を言ってのける。 

「に・・・、にまんねん!?。」

「うむ、・・・まあしかし、そんな事よりも問題は此れから如何するかと言うことじゃな。」

「そ、・・・そんな事よりって・・・。」

 何でも無い様な少女の物言いにかなりたじろぎながらも何とか反論しようとするヨコシマだが。

「何じゃ、過ぎてしまった事をうだうだ悩んでおっても仕方在るまい。」

「そ、・・・そらまあそうだけど。」

「そうじゃろう、故に此れから如何するかを考えねばならんのじゃ。」

「・・・はい・・・。」

 あっさりとやり込められてしまった。

「では、先ず状況説明からじゃな。」







「・・・まったく、相変わらず碌な事をせんな、あいつ等は。」

 少女から粗方の事情を聞き終えた後、ヨコシマがそう洩らす。

「同感じゃな、わしらに隠れて何をこそこそやっとるかと思えば。」

 少女の方も然りと言った風で特に反論は無いらしい。

「それで・・・、お前はこれからどうするんだ。」

「取り敢えずは、神界に戻って連中の動向を探ろうと思っておる。」

「・・・一人で大丈夫なのか?」

 少女の答えに対し心配そうにそう聞く。

「心配せずとも良い、どうしても危なくなったら全部御主の所為にして逃げるからのう。」

「・・・・・・まあ、それなら良いとして、俺はどうすれば良いんだ?」

 何やら気になる部分もあったが、それについては深く追求せずにおく事にした。

「御主はどうしたいんじゃ?」

「・・・俺としては連中をシバキ倒したい所なんだが・・・。」

「それはまずいのう、いくら御主と言えど、神界と魔界の全てを敵に回してしまえば袋叩きがオチじゃからな。」

 ヨコシマのその答えに、軽く笑みを浮かべながら少女がそう言う。

「まあ、そうだよなー。」

「取り敢えず何か動きがあるまで普通の人間として振舞っておれば良かろう、連中の事は暫くわしに任せておれ。」

「・・・そんじゃあお言葉に甘えてそうしよっかな。」

「但し、くれぐれも人間の枠を出ん様に気を付けるんじゃぞ。」

「だいじょーぶだって、俺だって袋叩きなんて嫌だからな。」

「・・・本当に分かっておるんじゃろうな。」

「そんなに心配すんなって、わざわざ連中に口実を与えるような真似はしないさ、それよりもお前の方こそ気を付けるんだぞ、場合によっちゃ俺なんかよりよっぽど危ないんだから。」

 そう言って少女の頭を軽く撫でる。

「むー、子供扱いするでない。」

 口ではそう言いながらも、少し嬉しそうに目を細めその手を退け様とはしない。





「では、そろそろ御主を体に戻すが、くれぐれも気を付けるんじゃぞ。」

「分ってるって、お前の方こそちゃんと気を付けろよ。」

 何度もそう念を押す少女に苦笑しつつそう答える。

「では、行くぞ。」

 少女がそう言い放つのと同時に、横島の精神体が虚空に消えていく。




 横島が去った後、一人残った少女が虚空を見つめながらポツリと呟く。

「・・・本当に、・・・大丈夫かのう・・・。」






つづく・・・のか?






作者の世迷言
 
 どうも、目玉焼きです。
 懲りもせずにまた投降してしまいました、感想、叱責等、御手隙でしたらよろしくお願い致します。

追伸
 前回ご質問の有ったシーやんですが、ある二つの神が一つになった物で破壊神であり創造神でも有るお方です、神話では別個の存在でありもう一人を加えるのですが、もう一人のお方はちょっと特殊な方なので別にしています。(○ン○ゥー教とは何の関係も無い事にしといて下さい、全人類の十数%を敵に回そうなんてまったく思ってませんので。)
 ちなみにアッちゃんも○ス○ム教とは何の関係も御座いません。

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