ザ・グレート・展開予測ショー

西条キヌ、美神雪之丞、六道忠夫  (前編)


投稿者名:ギャグレキスト後藤
投稿日時:(02/ 4/18)

リンゴンと、鐘が教会を照らすように左右に揺れてるの。
なんだか、夢を見てるみたい。

眼の前には、タキシードを決め込んだ輝彦さんがいる。
タキシードからはみ出るシャツが、輝彦さんのネクタイと唇を煌めかす。
カッコいい。
カッコマン!
もうもう、その輝彦さんの2枚目姿がまぶし過ぎるぐらいなの。

ヒューヒュー!
美神雪之丞が、口笛を吹かしてる。
あとで横島さん……ううん、ちがった、六道忠夫さんから聞いた話なんだけど。
実は、婚姻届と書類を間違えた美神さんと雪之丞さんの2人のサインが入ってしまったまま
市役所に回ってしまったんだって。
面倒くさいから、そのまま籍を入れる代わりにこき使ってるんですって。

六道忠夫さん。
それは、六道家に婿入りした横島忠夫さんのことなの……。
母親の女史【メミ】さんが、横島の家系と縁談を持ちかけてのことだったの。
なんでも、六道家と親戚の関係にあったことを突き止めたんだって。

でも、美神さんから聞いた話じゃ、元々は式神を使うのは陰陽師だけに、
横島と親戚であってもおかしくはないそうなの。
さらにおどろいたのは、忠夫さんと美神さんの前世同志が結託してたこと。
こんなこと聞いたときには、はじめビックリしたけどね。

「てめー西条、ぜってーおキヌちゃんをなかすんじゃねえぞ!」

忠夫さんは、最後の最後まであたしの心配をしてくれてた。
それが、その言葉だったの。

「勿論だよ、横島クン…いや、今は六道クンだっけ。」

おたがいをあたしの旦那と手を握って誓い合ってた忠夫さん。
美神さんの行く末をお互いに見守ること。
男同士での闘いあうこと数年、交換条件みたいな感じで決めたことだって。

その闘ってるときの忠夫さんは、カッコよかった。
でもそれ同様にカッコよく見えた人がいたの。
それは勿論、輝彦さん。
思わず、顔を青森県産リンゴを抱え込むように手で頬を包み込む。





「ヌ………ちゃ………」

あれ?
思わずあたしは目を舞わしたの。

「おキヌちゃん……朝だよ。」

思わず、ううんと目を擦りかける。
やっぱり、夢だったの。
あの時の事が夢の中に引きずり出されていたってことになるわけ。
輝彦さんは、優しく声をかけてくる。

「今日はいつになく可愛い寝顔してたよ。いい夢見てたの?」
「うん…あの時のこと………。」

あたし、思わずとっさに口から「あの時」と言っていた。
忠夫さんの歯がきらりと輝いてたから、新婚の頃と10年経った今とダブっていたの。
あたしってば、どうも未だ慣れてないように一瞬ばかり顔をしかめる。

「僕はこれから除霊に行くから先食べちゃったけど。」

輝彦さんは今日は食事当番なの。
なのに、仕事も兼ねる。
大手の場所だから、早く出かけると昨日言ってたけど。
にも関わらず、気の効いたことが出来なかったのが悲しい。
いつもなら玄関まで送り届けるところだけど。

無理しないでとばかりに、あたしに掛布団を掛け直してくれる。
もう少し寝てていいのかというと、いいの。
妊娠5ヶ月だから。
冷やしちゃ、せっかく生まれる子供に影響を与えかねないって。
5年間という年月、2人で確かめ合ってから子供を設ける予定だったし。
そうなの。
今年が、確かめ合った結果を出す日。
で、忠夫さんたちとの約束の日でもあったの。
証拠を見せなくちゃ。
輝彦さんは今日は止む得ない除霊だけど、仕方ないの。

国家認知の除霊稼業もついに不況になっているの。
霊に悩まされていても、直ぐに依頼が来るわけじゃない。
年々の不況に比例し、強大な霊が生まれつつある事。
悩みも深刻化してるわけ。


約束の時間は、昼は2時。
場所は確か……昔の美神除霊事務所のあったところ。
シャングリラビルの取り壊されて新しく出来たビル風の喫茶店。
名前は、プティックドロンボーていうの。

「じゃあ、とりあえずは元気にやってるのね。」
「うん。」

美神さんは雪之丞に犬の首輪をはめていち早く連れて来ていた。
いっそうばかり顔色が若返ってる。
どういう人なのかは追及しないほうがあえて良いと悟ったの。
せっかくのクロマティ…もとい、落ち合いなんだから。

そこへ、丁度良くトンヅラーがカップを持ってくるの。

「はいオマターーー!ご注文の青汁ミックスフローズンコーヒーやで。」

ばばっきい!
そのトンヅラーって人に、美神さんよりいっそうケバいお姉さんが
頭に蹴りを食らわすの。

「スカポンタン!そんな飲み物あるわけないでしょ。」
「すいまへんドロンジョ様。つい調子に乗って…」
「そうよそうよ。注文どおり、ブラックコーヒーにしときなさいよもう。」

最後の声はボヤッキーなの。
子供の頃、見てて憧れたあの3人を眼の前に会話出来るなんて感激。
笹川浩さんと師稲高志さんも結託してたみたい。

「にしても、あのバカ相変わらず遅いわね。」
「仕方ないじゃないですか。
 イギリスから久しぶりに帰還したから、時差ボケがあるんですよきっと。」

そうなの。
忠夫さんは、冥子さんと一緒にリヴァプールはストロベリーフィールズにて
豪邸を貰い受けて、生まれた娘の盟菜さんと一緒に住んでいるの。
過去ログの「The Ballade of Tadao and Meiko」を読めば分かります。

しばらくして、トンヅラーとボヤッキーが軽めの食事を持ってくるの。
サンドイッチを。
わざわざ、再生させたダイドコロンメカにのせて……

「さんど」
「いっちに!」
「三枝の」
「いっちに!」

と妙な声をかけながら。
思わず苦笑するにしかなかったの。




(中編に続きます)



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