慟哭
投稿者名:与作
投稿日時:(02/ 8/16)
美神「あ〜んたがノロノロやってるから失敗したんでしょ!!」
横島「じ、自分だって しまった! とか言ってたじゃないですか!!」
美神「ああん!? 言い訳してんじゃないわよ!!」
横島「自分の事棚に上げて何言ってるんですか!!」
美神「ハア〜ッ!!」
それはある仕事での失敗が原因だった。お互いに責任を擦り付ける2人におキヌは
呆れていながらも、止める事も出来ない状態だった。
美神「だいたいあんたはね! どうでもいい時はチャンとして、何で肝心な時に
ヘマをやらかすのよ!!」
横島「あんただって大切な時に金に目が眩んで失敗して後悔するじゃないですかー!!」
美神「なんですってー!! クソがきー!!」
横島「俺は悪くありませんっ!!」
美神「いいやっ! あんたが悪いの!」
横島「俺やないねんっ!」
美神「あんたよっ!」
2時間ほど経ち、お互いがクタクタになるまで言い合って、ようやく静かになった。
美神「ゼエゼエ 憶えておきなさいね〜 師匠の私に立てついた罪は重いわよ・・・。」
横島「ゼエゼエ 師匠もクソも関係ないですね。俺は悪くないですから!」
美神「何ちかっ〜!! くそ坊主〜!!」
おキヌ「ちょ、ちょっと落ち着いてください!!」
限界が来た為か、たまらずおキヌが割って入る。
美神「おキヌちゃんは黙ってなさい! コイツに天の裁きを〜」
おキヌ「そ、そうじゃなくて・・・もう仕事の時間なんです!」
あっという間に時間が過ぎてしまった事に唖然とする美神。急いで準備をする。
横島も荷物を背中にしょって、玄関へと急ぐ。
美神「あんたのせいで遅刻しちゃうじゃないの!」
横島「自分が悪いんでしょう?」
美神「ああん!?」
おキヌ「は、早く行かないと間に合いませんよ!!」
通常車で約30分かかる道のりを、10分足らずで到着させてしまった。
その間、何台の車が犠牲になったのだろう・・・。
派手な到着の仕方と、鋭い眼光の除霊屋を見て、目の前にいる幽霊よりも
除霊屋の方が怖かったと、後に依頼者は語った。
イライラで爆発している美神と横島の前に、幽霊は5秒と居続ける事は出来なかった。
正に瞬殺であった・・・。
事務所に帰ってからも、2人の間の重く・息苦しい空気は消える事は無かった。
会話も無く、目も合わす事も無い。たまらずおキヌが、
おキヌ「ね、ねえ、夕飯何にしましょうか〜?」
返事は無い。
おキヌ「ね、ねえ〜」
おキヌ「「も、もうダメ!! 耐えられない!!!」」
そう思うと、早足で自分の部屋へと戻る。もはや尋常じゃ無い様子。
おキヌが部屋へと戻って行った事を確認すると、美神が口を開いた。
美神「やっと邪魔者は消えたわ。さっきはおキヌちゃんに助けられたけど、
今度は誰もあんたを助ける者はいないわよ〜」
横島「別に助けてもらった訳じゃないですよ。」
美神「ほお〜。強がってもダメよ。ここらで素直に負けを認めなさい。」
横島「別に勝負をしている訳でもないですよ。」
美神「負け惜しみを言ってるんじゃないわよっ!!」
横島「さっきから言ってる通り、俺は悪くないです!!」
美神「あんたが悪いのよっ!!」
横島「だいたい何で俺が悪いんですか!? 俺が悪いって言う証拠はあるんですか?」
美神「ああんっ!!」
証拠など何も無かった・・・。美神も責任を負うのが嫌で、横島も負われるのが嫌
だっただけだから・・・。
言いたい事を言い尽くしたというか、これ以上言葉が思いつかないというか、
ぶつぶつと独り言を言うかの様な喋り方をする美神。横島もこれ以上は何も言わず
ただ黙り込んでいた。ところが、何かすっきりしない美神が、とんでもない言葉を
言い始めた。
美神「あんた。自分の立場を分ってるんでしょうね?」
横島「なっ!?」
美神「どうなるか分ってるでしょうね!」
横島「ちょ、ちょっと! それはないんじゃないですかっ!!」
明らかに卑怯だ。雇用者と従業員の地位を悪用しようとする美神。
横島「何でそっちの方向の話になるんですか!!」
美神「あんたが素直に謝らないからよっ。」
横島「それとこれとは話が違うでしょう!!」
美神「あんたがいけないのよっ!! そ〜らどうすんの? もう言い訳は出来ないわよ」
横島「くっ!!」
くるっと回転して美神に背を向ける横島。8分目だった怒りがすでに爆発した状態だった
美神「ほらっ! どうしたの! このままじゃ〜ココに居られなくなるわよ。」
尚も追い詰める美神。言い返す術が無く黙り込む横島。だが美神も実は焦っていた。
悔しさのあまり言ってしまった言葉に、引っ込みがつかなくなってしまっていたのだ。
その為か、段段とおかしな話に変わっていく。
美神「あんたみたいなのを雇ってくれるところなんて何処にも無いでしょうね〜。」
横島「・・・・・。」
美神「ココ以外、あんたなんかを・・・
横島「い い か げ ん に し ろ っ ! ! !」
大声で怒鳴った横島の声は、自分の部屋に居るおキヌまで聞こえる程だった。
この言葉に全ての怒りを詰めて放った横島は、ただ呆然と口を開けたまま立ちすくんで
いる。美神も目を大きく見開いたままその場に立ちすくむ。しかし、
直ぐに大粒の涙が頬をつたって流れ落ちた。
我に返り振り返る横島。泣いている美神の姿を見て唖然とする。そっと美神に
近づくと・・・
美神「な、なによっ・・・・あんた・・・なんか・・・」
もう、そこにはさっきまでの強気な美神はいなかった。号泣している、
一人の女性がいた。それだけだった。
平常に戻った横島。もう怒りという言葉は存在しなかった。
横島はそっと美神の肩に手を掛けようとするが、勇気が湧かない。
でも、思い切って・・・・
チュッ!!
これが精一杯の出きる事だった。
ゆっくりと重ね合わせた唇を離し・・・・・
横島「スミマセン・・・・」
−−−−終わり−−−−
今までの
コメント:
- やはり、無理がありました。もはや展開予測では無くなってしまってすいません。 (与作)
- 昔の映画であったな。「うるさい女(レディー)を止めるには最善の方法さ」
なんて気障な台詞と共にね。
キスの『価値』の『勝ち』ってか。 (トンプソン)
- わぁ〜〜〜(爆)一時はどうなるかと思いましたが、最後にチュッ♪が来ましたかぁ〜〜(爆)面白かったです!最後にキスしちゃうなんて、横島くん、やるわねっ!(笑)号泣しちゃう美神さんも、かわいかったです♪ (姫桜)
- 最初はいつもどおりの除霊事務所内でのドタバタ、そしていつもどおりに令子が横島クンをあらゆる手を使って組み伏せてしまう展開かと思いきやラストが意外でしたね。個人的に好きな展開ではありましたが(笑)。飽くまで意地を張りながら実は人一倍繊細な令子、同じく意地っ張りながら結局は自分の優しさに負けてしまう横島クンが本当に「らしい」気がしました。お疲れ様でした♪ (kitchensink)
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