ザ・グレート・展開予測ショー

Coming her to HONG KONG(X)――邂逅――


投稿者名:ロックンロール
投稿日時:(02/ 2/19)

「だああああああああっ!! 放しやがれ畜生ッ!!」
「いいから大人しく住所氏名を言うんだよっ!! あ、コラ! 暴れるなこの容疑者っ!! 犯罪者っ!! テロリストーッ!!」
「俺は人呼んで伊達雪之丞だ!! ほら名乗ったからもういいだろっ!? 俺は急いでるんだよっ!!」
「うるせえ! テロリストッ!」
「テロリストじゃねえっつってんだろーがっ!! グダグダ言ってると本気でこの辺破壊して逃げるぞコラ!」
「よし! 記録係ッ! 今の言葉ちゃあんと記録したな!?」
「勿論ですっ! 警部っ!!」
「官憲侮辱罪と脅迫罪追加だ……貴様は死んでも監獄へぶち込んだるからな…………ふっふっふ……」
「だああああっ!! この街にはこんな奴しか居ないのかぁぁぁぁぁぁっ!? 日本へ帰りたいよママァァァァ―――――――ッ!!」


「うわあああああああああああああああああああっ!?」
 ポケットの中から、それでも闇を圧する程の光が漏れいでている。……最初は淡く……そして、激しく。……闇に慣れた眼は、完全に視力を失った。
(……何……だ?)
――『護』……!
 数秒後……涙でぼやける視界が、だんだんと開けてきた。……身構える。本来ならば、自分は今の隙に殺されていなければならないはずだ。……何故?
 結界。
「っ!? な……!?」
 明飛の身体は、小さな局所結界に覆われていた。霊団が自分に手出しできなかったのは、これが原因なのだ。……いや、『これ』は……
(この……『珠』の力なのか……?)
『護』。その『珠』には文字が浮かび上がっていた。……そして、再び淡い発光を取り戻した光……。結界と同じ色の光……
 これが自分を『護』ってくれたらしい。
(防具か……何にせよ……これで少しは時間が稼げるか……な?)
 この結界は強力だ。……自分には霊能の知識などは(少ししか)ないが、この結界が先程の簡易結界などとは比べるべくもない程強力なものである事ははっきりと分かる。
(よし……これで時間を稼いで…………稼いで……ええと……)
 手段其の一。破魔札乱れ撃ち。……却下。
 手段其の二。ピンチになると主人公には力が目覚めるもの。……却下。ていうか目覚めてしまっても困るし、そもそも主人公って……
 手段其の三。助けを待つ……
(……誰の?)
 却下。
 手段其の四。
 ……………………戦術的撤退。
「結局あんまり意味ないじゃん……」
(伊達サンに怒られるのはおんなじだろうしね……)
 師といえば、何処へ行ったのだろうか? 携帯に電話しても、電源を切っているらしく呼び出し音すら鳴らないし、事務所に電話しても……
(……いかん……錯乱してる)
 しかし武器すら使えないのでは、逃げる他に生き延びる術はない。……自分は決して間違った選択をしようとしているわけではないのだ。
「くそっ!」
 明飛は霊団に背を向け、全速力で体育館の入り口へ向かった。


『定期連絡。……こちら……パトロール七号車。……ホシは見つかりません。引き続きパトロールを続行します』
「了解。……いいか? ホシは取調べ中に江警部にデコピンをかました挙句手足を縛って、額に『肉』とまで悪戯書きして行きやがった凶悪犯だ。……見つけたとしても絶対に単独で逮捕しようなんて思うなよ…… 応援を呼んでから確保だ。分かったな!?」
『了解……! では定期連絡を終了します。……このヤマ終わったら呑みに行きませんか? ストレスたまってるんでしょ?』
「後にしろ」
『了解。通信を終了します』
 ブツン。
 …………………………………………………………
「ダテ……ユキノジョウ。……絶対に逃がさんぞ。公安の誇りに掛けて!」


 全速力で走るといっても、霊団を刺激しない速度で、なおかつ全速力で走ると言うのは結構骨が折れる。
(ハァ……ハァ…………もう……どの位……走った……かな?)
 途切れそうになる思考を、懸命につなぎ合わせる。……幸いここは裏路地だ。夜間には殆ど人通りはない。
(伊達サンを…………探さなきゃ……)
 霊団は未だに自分を追ってくる。……どうやら、自分の纏っているこの結界はかなりの霊力量を持っているらしい。……時たま居るほかの通行人などにはわき目も振らず、自分だけを狙ってきてくれる。……嬉しくもあり、悲しくもあり。
 自然と足が向かっている方向は、事務所の方向だった。……事務所まで行けば除霊道具があるし、もしかしたら師が帰ってきているかもしれない。……それだけを信じ、走る。
 信じなければもう走れないであろうし……
(くそッ……!!)
 霊団は徐々にスピードを上げている。師から聞いたところによると、霊団なるものは周囲の霊を巻き込んでさらにスピードを上げるらしい。……刺激しないよう慎重に走っても、いずれは限界が来る。つまりは、早めに決着を付けたい所ではあるのだが……
(駄目だ!!)
 親玉が分からない限り霊団に致命的なダメージを与える事は出来ないし、仮に分かったとしてもその手段がない。……更には、自分を取り巻く結界の光が、心なしか薄れてきているような気がする……
(くぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!! ……って、え!?)
 前方に、信号機。……赤。……赤は『止まれ』の印。
「嘘だあああああああああああああああっ!?」
 叫んでいるうちに、色が緑に切り替わる。……安堵するが、そうしてばかりも居られない。
(くそっ!! ――ん?)
 向こうから歩いてくる、女性。
 脳裏に警戒音が走る。
「危なあああああああああああああい!!」
 その女性は、驚愕の表情で固まっている。
(南無三ッ!!)


 その後の事は、明飛には良く分からなかった。……ただ、前方で立ち止まった女性が、小さなハンドバッグから何かを取り出すのが見えた。
「弓式除霊術……水晶観音ッ!!」
 そして、霊団が爆砕した――


 現在時刻、23時30分。
                            ――To be continued――

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