ザ・グレート・展開予測ショー

魔女の過去X


投稿者名:NGK
投稿日時:(02/ 6/21)

―――見失った・・・
それもこれもあいつが目の前に現れた”好物”に我を忘れてしまったからである。
それを追いかけていったあいつに呆気をとられていたら・・・
「うぅ・・・・・・」
あいつもいない。
魔女もいない。
「みんなきらいだ・・・」
少年は、街を彷徨っていた・・・

闇。
その闇の中に薄く光る青い爪。
「いいぞ・・・だいぶ魔力が馴染んできた・・・」
全身が魔力で満たされた時―――
「私は魔女を超える・・・・・・!!」
その時こそ同族に復讐できるだろう。
大いなる力を持って。

「出て来なさい。隠れているモノよ」
美智恵はビルの陰に向かって呼びかけた。
隣では西条が霊剣を構えている。
「出て来ないなら・・・」
「ちぇ・・・せっかくやり過ごそうと思ったのに」
影から出てきたのは少年だった。
「見た目は子供だけど・・・西条君、油断しちゃ駄目よ」
「・・・はい。分かってます・・・先生・・・」
そう言いながらも西条の声は震えていた。
今まで西条が戦ってきたモノの中に人の姿をし、人語を発するモノは無かった。
実力はある。
でなければ美智恵はここまで西条を連れてはこない。
西条だけではない。
美智恵のほかの弟子すべてがだ。
人の姿をしたモノ、人語を発するモノは得てして”力”が強い。
神族、魔族、高等妖怪。
神族、魔族と戦って命あったものは限りなく少ない。
高等妖怪にしても見習いを脱却したばかりの新米GSが戦うには荷が重い。
潜在能力の高い西条なら―――と思うが我が子同然とも思う西条(を含めた弟子全員)を危険に向かわすことは出来なかった。
そのツケがここにでてきている。
地道に経験を積ませることで成長させようとしたことがである。
「おや?逃げないのかい・・・つまらないなぁ」
少年の爪が長く伸びる。
「まぁいいや。・・・楽しませてもらおうかな」
そう言うと少年の姿は消えた。
「!?どこだ」
「上よ!西条君!!!」
「遅いよ!!」
ばさっ ばさっ
スチャ
「ぐあぁぁぁぁぁ」
痛い。
痛い。
痛い。
少年が行った攻撃は俗に言う引っかきという奴である。
西条の顔に線が走っている。
もっともそれだけの効果ではないが。
「ぐあぁぁぁぁ・・・・・・」
西条は身もだえして動けない。
「・・・毒を塗ったわね・・・」
西条のもだえ方は普通でない。
地面を這いずり回っている。
「くすくす・・・別に大したことは無いさ。死にはしないよ。アレだけさ」
少年は西条を指差した。
「もだえるだけ。でもこれはボクのお気に入りのモノなのさ。だって―――楽しいだろう?」
「・・・・・・」
「安心してよ。殺しはしないよ。だって・・・殺すよりもいたぶったほうが楽しいからね」
「・・・・・・」
「あはははは・・・恐怖で何も言えないんだ?まぁしょうがないけどね」
「・・・言いたい事はそれだけ?」
ゾクリ・・・・・・
美智恵の目を見た少年は言い知れぬ何かを感じた。
「(なに・・・?なんなのさ・・・?何であんなオバサンなんか・・・)」
「・・・悪いことをした”子”にはお仕置きをしてあげないとねぇ・・・」
美智恵の目が―――光った。

「うわわわあわわわわわわああわ!!」
気がつくと少年はその場を逃げ出していた。
怖い。
ただ怖かった。
「あ、青い爪の魔女に言いつけてやる・・・言いつけてやる・・・」
しばらく走った後、
「馬鹿猫よ・・・何を叫んでいるのだ?」
「う゛・・・い、今まで何処に行ってたのさ!?こっちはお前を探していたのに!!」
あれだけならとっくに終っているはずなのに。
「食事だ。幸いここは都会だ。死肉には事欠かないのでな」
そう言うと口から骨を吐き出した。
「それよりも・・・」
男は少年の後ろに指を指した。
「つけられたな」
「・・・青い爪の魔女の手がかりを探していたけど・・・こんなに早く見つかるとはね」
漆黒の帽子に漆黒の服。
そして―――闇の目。
「こちらにとっても好都合だが・・・」
男は短く言葉を切った。
その場に現れたのは―――”魔女”魔鈴めぐみ

「・・・大丈夫?西条君?」
美智恵は西条の顔に薬を塗りながら問い掛けた。
「は、はい・・・だ、大丈夫です」
「そう・・・よかった」
美智恵は笑みを浮かべた。
「先生・・・すいませんでした・・・僕の所為で・・・」
足手まといになってしまった・・・
「何言ってるの!これぐらいどうってこと無いわ!」
「・・・そうですね・・・」
西条は薄く笑った。
「さぁ、元気を出しなさい!」
美智恵は立ち上がると西条の腕を引っ張った。


――――――続く――――――

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