ザ・グレート・展開予測ショー

UNOPENED 〜第2話〜


投稿者名:ヨハン・リーヴァ
投稿日時:(02/ 7/ 5)

「六道女学院は、式神使いの家系として知られる六道家が運営してる学校やねん」
「ふんふん、なるほど」
「この六道家の人間はやたらと強い霊力を持っててな、一人娘の冥子がGS資格試験を受けた時にはなんと三位合格という結果を残したんや」
「ふんふん、なるほど」
「テケレッツのペー、ハッパフミフミ」
「ふんふん、なるほど」
「真面目にきかんかい!」
聡の頭に筑紫のチョップが炸裂した。
「いてえ!なにすんだよ!?」
「当然の報いじゃ。・・・ところでさっきからなにをぼーっとしとんねん?」
「い、いや別に?学園祭楽しみだなーって、さ?」
「・・・そのことやねんけどな」
啓介の目が鋭く光った。
「お前、あの学校の誰かに惚れたやろ?」
バスがいきなり揺れ、聡は座っていた椅子の背もたれに頭をぶつけた。
「な、ななななーにを根拠にソンナコト!?」
「・・・この反応だけでも状況証拠としては十分やねんけどな。まず今までそれなりに真面目やったお前が急に授業中ぼーっとしだした。しかも飯をほとんど食わん。さらに学園祭にいくとワシがゆうた時のお前の反応。これらのことから導き出される結論はただひとつ。・・・『恋』や!」
「む、むむむむむ・・・」
「ほれ、話してみい。どういう馴れ初めや?」
聡は仕方なくいままでのいきさつを話した。
「へええ、おまえめっちゃ純粋やったんやなあ!」
「だってよお・・・可愛すぎるんだよお・・・」
「でもクラスや名前まで調べてるってことは、なんか行動に移るつもりなんやろ?」
聡は黙って懐から便箋を取り出した。
「おい、それまさか・・・」
聡は黙ってうなずいた。
学園祭に行くと決めてから、何日も何日も考えに考え抜いてこの手紙を書き上げたのだ。想いが伝わるように、願いを込めながら。
「ラブレターなんかお前、乙女チックな漫画でもまず見当たらんで!?」
「だってよお・・・直接言うなんてできねえよお・・・」
いつでも聡はそうだった。想いを伝えるのが悲しいほど下手なのだ。中学校の時同じクラスの女の子に恋をしたが、ついに伝えられず野球部のキャプテンにその子をとられてしまったという苦い思い出もある。
『次は六道女学院前、六道女学院前』
「あ、つ・・・着いちゃった・・・筑紫ぃ、どうしよう?」
「よーし、こうなったら当たって砕けろ・・・やなくて前進あるのみや!」
「お、おう!」
学校に一歩入ると、そこは女の子で一杯だった。あちこちに沢山の屋台が並んでいて、この上なく賑わっている。
「うひゃ〜、ぺっぴんさんで一杯やなあ。こら目の保養になるなあ〜」
興奮する筑紫を無視し、聡は彼女を探した。しかし、これだけ人がいると見つけようがない。
「うーん、みつからねえなあ」
「それやったら、クラスで出し物してるはずやからそっちから探してみたらどないや?ほれ、あそこに看板が並んでるで」
筑紫が校舎の横を指差した。
「おう、わかった!」
聡は駆け出した。
(『1年G組びっくり雷獣変化』・・・違うなあ・・・『一年D組来来キョンシーズ』・・・これも違う・・・『1年B組どきどき恋占い』・・・これだ!)
「おい筑紫見つかったぞ!」
聡が筑紫のところに戻ると、筑紫は初老の女性が得体の知れない化け物を十二匹も連れている像に見入っていた。
「そんな事よりこれ見ろや!今の六道家の当主と式神の像やで!?アジラやアンチラまで再現されとる!えっ?わからんか?アジラはあのとかげみたいな奴で、火を吹いて相手を石化するのが得意技や。アンチラは・・・」
「アンチラでもパンチラでもいいから早く行くぞ!」
聡は筑紫のウンチクを途中でさえぎった。
「えっ、ワシもいくんか?」
「あたりめーだろ!・・・一人じゃ無理だよお」
「なっさけないなあ〜」


1年B組は校舎の二階にあった。入り口に「三つのコースから一つを選んでください」と張り紙がしてある。
「一番、トランプ占い。二番、水晶占い。三番、サイコロ占い・・・どれにするんや?まあその子がいなくても、おるのは同じクラスの子やねんから情報収集はできるやろうな」
「んーと、まてよ・・・」
聡は記憶の糸をたどった。確か、確かあの子がバスで読んでた本が・・・
「二番で行くよ」
やさしい水晶占い。あの本は、学園祭のための勉強だったのだろう。だとすれば、これしかない。
「じゃあ、ワシは外で待ってるで」
「えっ、ついてきてくれないの?」
「当たり前や、ワシがおる前でわたすんかい?」
「それもそうか・・・じゃ、行ってくる」
「おう・・・ってこれじゃやっぱりついてきた意味ないやん」
聡はおそるおそる教室の中に足を踏み入れた。
占い館という演出だろうか、教室には暗幕が張り巡らされていて薄暗い。そして、机を積み上げ上から暗幕をかぶせるという方法で、部屋は三つに区切られていた。その区切り一つ一つに番号札が付けてある。
(よ、よーし)
聡は二番の暗幕に手をかけた。しかしどうしても引き開けられない。
(どうしよう・・・確かに違う子だったら情報を集めるチャンスだけど・・・変なやつと思われたらまずいし・・・第一もしあの子がいたら・・・俺、ほんとに手紙渡せられんのかよ!?)
胸がバスの時とは比べ物にならないほど速いペースで脈打っている。
(あああ、もうどうにでもなれ!!!)
聡は腹を決め、勢いよく暗幕を引き開けた。

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