ザ・グレート・展開予測ショー

魔女の理


投稿者名:NGK
投稿日時:(02/ 3/ 1)

以前あったこと
横島と西条は魔鈴の使い魔の些細ないたずらで
一ヶ月防護服(正式名称が分からないです。すいません)を
着けて生活しなければならないのであった。

「一ヶ月もこのまま・・・?」
西条は空を見ていた。
青い青い空である。
「本当に二人とも申し訳ありません!私のせいで・・・」
「そうね・・・すべてあんたのせいよねぇ・・・」
「み、美神さん・・・そう言う言い方は止めましょう・・・
西条はともかく俺は気にしてないですから」
横島は美神と魔鈴を交互に見ながら言った。
「良くないわよ!!」
美神は怒鳴った。
「丁稚がこんなじゃ仕事にも連れて行けないじゃない!
はぁ・・・しばらく大変ね・・・」
正直、横島が仕事から抜けるのは苦しい。
最近、横島のほか、おキヌも加わりこれまでおこなえなかった
仕事もこなすことが出来るようになった。
そのため、予約している依頼が実に多い。
「ぼ、僕だって・・・!仕事にこの格好で行くわけには・・・!」
魔鈴は頭を抱え込んだ。
どうすれば・・・いい?
中和剤は最低でも一ヶ月はかかる。
どんなにどんなに・・・
「・・・そうだ・・・」
三人の目が魔鈴を見る。
「一人分の中和剤は身につけていたんだった!」
・・・一人・・・?
男二人は目をぎらつかせた。
「当然俺ッスよね!」「僕にくれ!」
「え・・・と・・・」
「仕方ない・・・横島君!ここは男らしく決闘だ!」
「しゃあねぇな・・・俺も生活かかってるし・・・」
にや・・・
その時誰かが笑っているような気がした。

「さあ!始まりました、世紀の決戦イベント・・・横島対西条!
司会進行は魔鈴めぐみでお届けします!」
ステージに立つ魔鈴。やがて魔鈴が右方向に手を向けた。
「まず入場するのは・・・横島忠夫!」
ざわざわ
会場からどよめきが上がる。
横島はなんと防護服なしで来たのだ。
しかし、例の現象はおきない。
「ふふふふふ・・・」
横島は懐に”臭”の文珠を入れていた。
臭いが余りにもすごいため例の現象はおきていない。
が!もの凄くくさい・・・
「へぇ・・・やりますね・・・横島さん・・・」
魔鈴は小声で呟いた。
防護服を身にまとっていては動きが鈍る。
それよりは脱いでいたほうがいい。
「さて西条さんは・・・あれ?」
左の方向をさした魔鈴の手が止まる。
確かに何かが歩いているのはわかる。
それは騎士の格好をした何者かであった。
おそらく西条であろう。
これはまた・・・
「あなた・・・本当に・・・西条先輩・・・?」
「「もちろんこの決闘の場にふさわしい格好をしてきた!」」
「まあ・・・ともかく・・・はじめ!!」

美神は受付で入場料を取っていた。
「うーん!結構入ったわね♪」
入場料・・・一万円。
それでも、人は多く入る。
オカルトGメンのエリートと美神令子の弟子という
まぁ・・・極端な話、誰が勝っても美神には関係が無い。
横島が勝てばいつもの通り。
西条が勝っても、彼いわく、美神のために勝利をささげるのだそうだ。
つまり、西条は仕事を全面的に手伝うことになっている。
当然タダ。
「ふぅ・・・魔鈴も良くやるわね・・・」
会場のどよめきを聞きながら美神は呟いた。

「サイキック・・・ソーサー!!」
グガン!
「!!」
鎧には傷一つついた様子は無い・・・
「「ふふぁふぁあふぁふぁ!横島君!これまでかね!」」
ちっ・・・
まさか・・・重装備で来るとは・・・
霊波刀をかざしながらランス攻撃を横島は避けた。
がしーん がしーん
なんでもありのルールで戦っているが、横島の持ってきた武器はすべて効かなかった。
さすがに、ミサイルが効かなかったときは泣けてきたが・・・
「・・・文珠を使うか・・・?」
現在横島の霊力で出せる文珠は三個。
使い方しだいでは起死回生の手段となるが・・・
「ちっ・・・どうする?」

「どうするのかしら・・・?」
魔鈴は空飛ぶほうきでステージ上空に浮かびながら呟いた。
西条の戦闘力は大体分かるが、横島はわからない・・・
評判もまちまちである。
彼の実力が知りたい。
「機転はきくという話だけど・・・」
このままだと消耗戦になる。そのときには霊力の消費が激しい横島の負けとなるだろう。

「「ふぅ・・・それにしても・・・臭いな・・・なんなんだ・・・その臭いは・・・」」
あたりに臭いが充満している。
魔鈴はどこからか取り出したガスマスクを身につけており、
会場でも美神がガスマスクを販売していた。
「しゃあねえだろ・・・このやり方が一番いい・・・!?」
横島は何かに気づいた。
西条は防護服を着ているはずである。
そしてその上から鎧を着ている。
はずである。
だが・・・
「(こいつは・・・西条じゃない・・・?)」
声だけならどうにでもなる。
たとえば、懐に発声器を忍ばせておくとかでなんとかなる。
がしゃん がしゃん
どこだ・・・?
横島はそれとなく会場を見回した。
人が余りにも多いためかわからない・・・
「(かならず・・・目立つ格好をしているはずだ・・・)」
防護服なくして臭いを当たりに撒き散らせないことは出来ない。
「・・・!!(あれか!?)」
フードつきのコートを着ている長身の男がいる。
顔が見えないぐらい深くかぶっている。
だぶだぶっとした格好をしており、となりにはよぼよぼのジジイが・・・
よぼよぼのジジイが・・・!?
「(あれは・・・!)」
となるとこいつは・・・
横島は一気に間合いを詰めると文珠を地面にたたきつけた。
”閃”
その場を見ていたすべての人間が目をくらませた。
それは対戦していた相手も例外ではない。
むしろ、感度が人よりいいためかなり効いたはずである。
その隙に横島は会場へと走る。
西条と思わしきものは会場の一番内側にいる。
皆の目がだいぶ回復してきた。
西条は会場を見た。
横島の姿は無い。
「!?どこだ!?」
突如、影がかぶさってきた。
「これで・・・チェックメイトだ!」
「!!!」
ガン!
そして横島は高らかに勝利宣言をした。

「はい、これが中和剤です」
魔鈴は横島に小さなビンを渡した。
すると横島は一気に飲み干す。
「ふぅ・・・これで大丈夫・・・ですよね?」
「ええ!心配しないでください!」
その脇で西条が見た目は二十代前半の女性を連れた黒服のジジイに金を渡していた。
「・・・これは礼金だ・・・約束の金はすべて入っている」
金を受け取るとジジイと若い娘は去っていった。
がっくりと肩を落とす西条。
「西条先輩・・・すいません・・・」
「慰めは・・・よしてくれ・・・」
「いえ、そうじゃなくて、実は・・・もう一つ懐に入っていたんですけど・・・」
そう言うと西条の手のひらに小さなビンを渡した。
西条は迷い無くそれを飲み干す。
魔鈴は申し訳ないような顔をしてあやまった。

横島は去り、西条も去り、いるのは二人、魔鈴と美神。
「あんた・・・最初から分かっていたんでしょ。ビンが二つあることを・・・」
美神はわりと普通の顔で言った。
損はしていないし得をした。
それが原因だろうか。
「・・・何のことです?」
魔鈴はそ知らぬ顔で言った。
そして・・・去った。
「魔鈴めぐみ・・・いつかあんたとは決着つけないといけないようね・・・」
美神の目は決意に満ちていた。

魔鈴は家に着くとノートを取り出した。
そこには、「横島忠夫について」と書かれている。
「まさか・・・西条先輩が偽者だったなんてね・・・」
まったく気づかなかった。
西条のあの言葉を聞いても。
それにしても西条はあんなことをする人間ではなかった。
おそらく、横島に出会ってからだろう。
なら、横島には、人を変えさせる力がある?
わからないことだらけだ・・・
「まだ、研究の余地あり・・・と」
魔鈴は筆を置いた。


魔女とはすべての理(ことわり)を知るものである・・・・・・魔鈴めぐみ

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