約束(?)
投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 8/24)
霧雨のなか
淡いブロンドの髪が揺れる。
制服の襟足に届くくらいのすこし長めの髪。
たいした手入れもしてないだろうに、艶があり美しい。きっとさわり心地もよいのであろう。
瞳は、地中海の海の青さを連想される、深くそして澄んだ瞳。
すっと通った鼻。
形の良い唇。それが、小さめの顔に全てバランスよく乗っている。
さらには、細身だが均整の取れた体つきに、物腰の優雅さ
どっからどうみても、完璧だといえよう。
十人中半数以上は振り返ること間違い無しの、美貌の持ち主である
それに、ここまで容姿に恵まれていれば、多少なりとも天狗になるのが普通である。
だが、性格は、優しくフェミニストで誰にでも平等で優しい。
正義感が強く一本気である。
─なにやら、聞くだけで胡散臭くなりそーな人物像である。
そして、この人物像が当てはまる人物、それこそピートであったりするが
ちなみに、ピートは良くもてる。
それこそ、横島や、タイガーから日常的に嫌がらせを受けるくらいに。
手紙や、贈り物など毎日のように貰う。
それこそ、貰っている本人が、戸惑うほどに。
そしてこの日も、例に漏れず─下駄箱をあけると数通の手紙があった。
いわゆるラブレターというものである。
(どうやら、最近手書きの、ラブレターというものが流行っているらしい)
ピートは、苦笑しつつそっと鞄の中に、手紙をしまいこんだ。
(好意を貰う事は嬉しい事だけど─)
我知らず、つくため息は、苦い。
しとしとと音を吸い込むように、雨が降る。
教室の中は、じめじめと湿気の高い時独特の不快感で溢れている。
朝から降りつづける雨は、やむ気配が、無い。
放課後になってもまだ降りつづけている。
「傘忘れたの?」
悪戯っぽい口調で、机妖怪の愛子が言う。
いつものごとく、机に腰をおろして笑っている。
「─うん。まあ今日は依頼も無いし急いでかえる用事もないからいいけど」
窓に流れ落ちる水滴を眺めながらピート。
その口調は穏やかだが、どこかやるせない響きがある。
憂いを含んだその表情は、綺麗だ。
くるりと、自分の髪を一房指に巻きつけながら愛子は、そんなピートを見る。
ある意味自分と同じである彼を。
「─雨」
ぽつりと、ピート
「うん?」
「故郷でも、雨が降るんだこんな風に─」
霧のように柔らかくそして、しとやかに。
故郷を思っていうその言葉は、柔らかい思いに満ちている。
そして呟かれた言葉
「なんで、同じなのに、違うのかなあ?」
純粋に、問い掛けるような口調である。
それは、この雨のことを差しているわけではない。
─自分のことを差しているのだ。
「なんでかな…?」
ゆっくりと微笑み愛子。
そんなことは愛子も考えたのだろう。
何故自分は、人間ではないのか?
何故…ひとりだけ歳を取らずにいくのか、時間の流れは同じなのに。
死なないわけではない。
だけども、犬の寿命と人間の寿命が違うように、自分たちと『彼ら』の寿命は、違いすぎるのだ。
ならば、そう割り切ればいいのだが。
簡単にできる訳ではない。
姿かたちは一緒なのに、こころも、あるのに─
それでも、置いていかれるのだ。
置いていかれると分かってて、好意を寄せられる。
そのこころは、とても嬉しいものだけれども─
分かっているのだろうか?
自分は、『人間ではない』ということを、本当に。
「でも、さ─」
わかってなくてもと愛子は笑う。
「でも、私は会えたんだ、友達に」
確かに、短いけれども青春できるもん!
と
たとえ自分が長くいきるものだとしても、出会えることが出来た。
話せた。
分かり合えた。
長い時間のなかで。
はっと愛子の顔をみる
そして、二人で顔を見合わせ、くすりと笑った。
「ねぇ」
「はい」
「いつか、すっごく時間がたって誰もいなくなったとして…さ」
「…はい」
「話そうか?」
「…何を」
「うん、今の時間を、いままで出会った人たちを、その時誰もいなくてもさ…話し合えたら、思い出話できたら、いいと思わない?」
「………はい」
「約束…ね」
「………はい」
時間の流れがみんないっしょならいいのにね?
おわり
今までの
コメント:
- 訳分かりません!!(自爆)
いや眠り猫さんの展開きて一周年記念なんですけど……
変!!しかも遅いっ!!!
ああすいませんすいません(涙)怒らないで下さい!
悪気はあんましなかったかと…つーか馬酔木さんのお話読み返して書いたからもうなんだかなあ… (hazuki)
- あっそれと忘れてましたけど、眠り猫さんおめでとー♪
お話は…あれだけど、気持ちだけはっ(ありません (hazuki)
- モテすぎるのも大変みたいですね(冷たい目で←爆)。人間に比べると殆ど永久とも言えるような寿命を持つピートと愛子;何気にこの2人はそういう点では胸中工が多いですね。そして2人に共通しているのは、人よりも相当長く生きるのに、ちゃんとその時その時を人間と同じように必死に生きようとする点です。周りとは違う時間の流れの中にある2人が「孤独」から多少は脱したようすがよかったと思います。お疲れ様でした♪ そして眠り猫さん1周年おめでとうございます♪ (kitchensink)
- たとえ、出会いが明日の別れに繋がっていたとしても。出会えたことは、一緒に過ごせたことは、きっと生きていくための糧になる。そう、信じてます。
一緒に歩けるのが一瞬のことだとしても、その一瞬にはちゃんと意味があって、それが思い出を永遠に変えるんじゃないかと、猫頭は考えるです、まる(=^w^=) (猫姫)
- 時の流れは永遠であり、終わりが無い。今約束を交わしたこの二人が何時どこで其の障害を終えるのかも既に御仏は、神は分かっておられる。どちらかがそれ程立たずにこの世を去ることも在る。しかし、それ自体はまだ分からない。だからこそ、二人は遠い未来への希望を篭めて、この約束を交わすのだと思います(詩的!←爆)。 (マサ)
- ↑「障害」→「生涯」です。 (マサ)
- 有難う御座いますっ!!!
うっわぁ、もう本当嬉しいですよー!本当に有難うです、こんな素敵な小説読めて祝って頂けて幸せ者すぎます自分!うわあああい(ハイテンション)
ピートと愛子ちゃん、このコンビ好きです。
一見同じように見えるけれど時がたてば確実にあらわれる人間との時間差。
だけど、それでも触れ合うことを選んだ2人。決して後悔はしないよ、時間がたっても思い出を語り合って、共にいられた時間を大切にしようじゃないか。
あー、嬉しいっす。本当に有難うございましたっ!!
kitchensinkさんもありがとです〜♪ (眠り猫)
- 眠り猫さんは一周年なんですね。おめでとうございます♪
こんないいお話をプレゼントしてもらえるとは・・・幸せ者ですね〜(笑)
さて、僕たちはペットを飼ったりしたとき、その寿命の差から死に別れると辛い思いをするわけですが、妖怪たちも人間より長生きな分同じような思いをするわけですね。なんだか切なくなってきました・・・。 (ヨハン・リーヴァ)
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