温かい想い(その16(裏)・A)
投稿者名:ユタ
投稿日時:(02/11/26)
このお話は「温かい想い(その16)」をお読みになってからのほうが楽しめると思いますm(__)m
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ドゴオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォンンンンンンンっ!!!!!!!!!!!!!
凄まじい爆炎、爆音、爆煙が彼女を襲う、常人ならば回避できるはずもない状況を彼女はその強靭な身体能力でかわす。
だが、・・・彼女・・人狼・・・犬塚シロは、爆風に流され少し宙を舞い、大地を転がる。
「あいててて、いきなり何でござるか・・・!」
転がるように受身を取った体をさすりながら、シロは周囲を見渡した。
一番初めに視界に入ったもの・・・それは粉々に砕けた結界水晶玉だった、おそらく今の爆発で粉砕したのだろう。
シロは取り合えず、美神に連絡を取ろうとトランシーバーを探すが・・・
その姿はまさに木っ端微塵という言葉がお似合いのモノになってしまっていた。
「これでは連絡するのは無理でござるな・・・・」
シロは一つ思案顔を浮かべるとやがて、最期にトランシーバーから聞えた美神の声を思い出した
『シロ!タマモ!もう結界はいいから一度こっち戻ってきて!』
パっと明るい表情を浮かべるシロ
「よし!とにかく先生達のところに向かうでござるよ!」
ダっと駆け出すシロ。例え樹海といえど500m程の距離なら相手の位置を匂いで測ることができる。
シロの足の速さと、少し不調だがその超感覚があれば横島達の元へ5分もせずに到着することができるであろう・・・・・・・・・・・・そう・・・
何事もなければ・・・・
「やれやれ・・・・・そうは簡単に通してくれないようでござるな・・・・」
シロはその足を止め呟いた。シロの前に立ちはだかる者・・・・
それは先程もシロが担当していた水晶玉に突っ込んできた爆発物・・・・・・人型残留思念の大群だった。
「邪魔をするなら容赦しないでござるよ・・・」
ソウトに操られた人型残留思念に意思などない。ただ、「邪魔者は消せ」という一つの命令に従うだけだ。
それでも、一言警告するのは彼女の純心なやさしさだろうか・・・
だが、そんなやさしさが通用する相手ではなかった・・・
次の瞬間!三十体の人型残留思念のうち、6体程が飛び掛ってくる
「しゅっ!」
シロは避けるどころか、逆にその人型残留思念達の間合い入り霊波刀を浴びせる。
2秒後には真っ二つの体となって爆発する3体の残留思念。
シロは振り向きざまに残りの残留思念を斬り裂く。
爆発がやむと仲間の仇討ちとばかりに残りの人型残留思念が襲いかかってくる。
シロは舞を舞うように、その大群の間をぬって反撃する。
一つ、二つ、三つ・・・次々と霊波刀によって一刀両断となる人型残留思念。
そのまま全てが片付くか・・・・といえばそうは上手くいかないの世の常。
(はぁ・・・はぁ・・・少しキツくなってきったでござるな)
明らかにシロの呼吸が乱れてきている・・・そしてそれと呼応するかのように霊波刀の収束がブレる。
ドゴオオオオオオオオオオオン!!!
シロの近くで地面に突っ込んだ一体の残留思念が爆発を起こす。
先程までなら軽く避けていたはずが、今では直撃を何とか受けないという状態になっていた。
(結界に霊力を使い過ぎたでござる・・・・・・・・・・美神殿・・・もっと『省えね』な結界を用意して欲しかったでござるよぉ〜)
今更、後の祭りなのだが心で呟かずにはいられなかった。
その呟きなど知らぬ人型残留思念が6方向から向かってくる・・・霊波刀で一気に一刀両断されないように。
確かに今のシロの動きで6方向同時に迎撃するのは難しい・・・だが、シロにも隠し玉というべき攻撃方法があった。
「くらえっ!!」
シロは六角形の霊力の塊り・・・サイキック・ソーサーを6方向に炸裂させた。
ズガズガズガズガとサイキックソーサーが残留思念を穿(うが)つ、そして爆発。
「先生に習ったかいがあったてござる♪」
満面の笑みを浮かべるシロだが・・・
その煙の中から3体の残留思念が一斉に飛び出してくる!
若干油断したシロはその対応に遅れる霊力の集中が間に合わない!やられる!と思った瞬間
ブオオオオオオオオオオオオオオオっ!!!!!
シロに衝突するはずの残留思念が凄まじい炎に包まれる。
見覚えのある炎の主の名をシロは叫んだ。
「タマモ!!?」
「全く見てられないわね」
炎の主タマモはやれやれと一言呟くと狐火をさらに拡大させる。
人型残留思念達は次々とその断罪の炎に飲み込まれ最期を迎えていく。
シロはその光景にただただ呆然とするだけだった
「ま、借りイチにしておくわよ」
「ふん!今から拙者の大反撃が始まるとこだったでござるよ!」
「はいはい・・・・」
「タマモも美神殿のとこへ向かう途中でござるか?」
「そうよ」
「でも、それならこちら側に来る必要はないでござろう?」
「あんたがドジやってると思って見学に来ただけよ・・・予想通りの展開ありがとう」
「なに!それはケンカを売ってるとみないしていいでござるな・・・」
「だったら・・・?」
一気に険悪な雰囲気が周囲に流れる・・・まさに一触即発
「「!!?」」
シロとタマモは何かに気付きバっと周囲を見渡す・・・その二人にいたのは・・・
先程とは比べ物にならない数の人型残留思念の大群だった・・・ゆうに100体はいるだろうか・・
「取り合えず一時休戦ね・・・」
「右に同じでござる」
霊波刀、狐火をそれぞれ構え、二人は迎撃態勢をとった・・・・・・・・・・
・
・
・
・
2分後・・・・
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「ぜぇ・・・ぜっ・・ぜぇ・」
そこには激しく息切れをする二人の姿があった・・・
特に身体能力がシロより劣るタマモは肩で息をしている。
普段ならシロとタマモがこんな短時間で消耗するはずはない。
しかし、今回は超感覚の若干の欠落、結界発動による霊力の消耗、
それに加えて次々と襲ってくる終わりの無い人型残留思念の攻撃・・・
二人の体力、霊力を奪うには十分な条件が揃っていた
「タマモ・・・・まだいけるでござるか・・・」
「・・・・・・・・・」
シロの問いかけにタマモは答えない、ただ敵を見つめるだけだった。
「タマモ?」
「・・・・・・・私はもう駄目みたいね」
「!!!?」
タマモの意外な答えに目を大きく開くシロ。
それはそうだろう、タマモはいつだってシロの前では対抗意識からか弱音を吐いたことは無い
「な、何を言ってるでござるか!」
ライバルの一言に激昂するシロ。それとは対照的に静かな口調でタマモは言う
「私は今の状況を客観的に見ただけ・・・戦場では冷静に物事を判断しなければ死ぬわよ」
「こんな時まで!!」
どうしてそんなに冷静にいられる!と言葉を続けようとシロがタマモの肩をグっと掴む。
「・・・あつっ!」
「え?」
それと同時に苦痛の表情で顔を歪めるタマモ。軽く・・・とまではいかないが、シロはそんなに力を込めたつもりはなかった。
よく見ればタマモの額には脂汗が浮かんでいる・・・その原因を確かめるようにタマモの体を見るシロ。
そしてその背中には・・・・
「タマモ・・・!その背中のヤケドは!?」
さっきからタマモの背中など見ることはなかったので気付かなかったが、
その背中は服が破れ、円形状に13cm程のヤケドの後があった・・・
「別に・・・・水晶玉に突っ込んできた思念爆弾にカスっただけよ・・・
これは私のミス・・・あんたには関係ないわ」
「な!!?」
一瞬カーとなるシロだが、タマモの身体を改めて見る。
よく見れば服はところどころ破れ、ヤケドやスリ傷のあとが素肌にいくつもあった。
(そういえば・・・・タマモはここまで)
一度血の昇った頭を冷静に働かせる。シロが美神達の元へ向かうのにも現在のような妨害があるのだ・・・
当然タマモのほうにもそれがあっておかしくない・・・なのに・・・
(なのに・・・・タマモは拙者を助けるため・・・)
全てが理解できたシロの目頭がカーと熱くなる。
義理人情に厚いシロだ・・・普段ならそんなことをされたのでは大泣きしていただろ。
ただ・・・タマモの前では素直になれない自分が、かろうじてそれを抑えていた。
「何黙ってんの?」
「な、何でもないでござる!」
タマモに気付かれないように、薄っすらと浮かんだ涙をそっと拭った。
「あ、後は拙者がやるでござるから、タマモは休んでればいいでござる!」
「そんなことできるわけないでしょ・・・」
「弱音を吐いてる奴がいても足手まといでござるよ!」
心でそんなことが言いたいんじゃないと後悔するシロ
「誰が弱音吐いたって?言ったでしょ、物事は客観的に見なさいって!」
「何が言いたいでござるか!!?」
売り言葉に買い言葉・・・更にヒートアップする口調にシロはもう頭が混乱してきた
「私『だけ』じゃもう駄目なのよ・・・・でもね、あんたと私『なら』勝てるわ」
「え?」
「ふ〜、あんたと力合わせるなんてあんま気が進まないけど・・・・ちょっと耳貸して」
シロの耳をぎゅっと引っ張るとボソボソっと耳打ちした
その16(裏B)に続く
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あとがき
その17のはずが・・・・(汗)
いえ、シリーズを改めてみるとシロとタマモの出番がどう考えても少なくて・・・
実はこんなことがあったんだよな〜・・・って妄想したら完成しました(笑)・・・・続く
票は「(裏)・B」へお願いしますm(__)m
ところで皆さんは戦闘で霊力が減ると体力も減ると思いますか?
僕は「霊力=体力」とは思いませんが、
同じ肉体にある以上霊力が減れば、少なからず体力にも影響が出るという設定にしてみたんですが・・・
う〜ん・・・難しいです(汗)
今までの
コメント:
- なにー、シロがサイキックソーサーを!!!シロが霊刃刀以外を使うことと(刀を使う戦いに誇りを持っていると思うし、いろいろな武器を使う器用なタイプでないと考えていたから)横島が師匠らしいことをやってることダブルでびっくりです。
「霊力=体力か」については私はつぎのような考えをもっています。
霊力は生命を支えるエネルギーのひとつであり、生命を持続するのに必要な一定ライン(普通のひとが生命する持続のために必要とする霊力+常人に比べての身体能力の高さ、その他の要因による消耗量の多さをまかなえる量)以下にならなければ特に疲れない。ただし、急激に消耗した場合部分的に足らなくなるため疲れを感じる。また、精神的に疲れた気になることはある。 (柿の種)
- 柿の種さんへ
>横島が師匠らしいことをやってることダブルでびっくりです。
横島・・・原作では師匠らしいとこホント少ないですからね(笑)
>急激に消耗した場合部分的に足らなくなるため疲れを感じる。また、精神的に疲れた気になることはある
それでいきましょう!!!(←相変わらず自分に都合のいい事が大好きな男ユタ) (ユタ)
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