ザ・グレート・展開予測ショー

いつかどこかで?


投稿者名:与作
投稿日時:(02/ 7/13)

夕日の沈むのが大分遅くなってきた初夏のある日、横島は都会の街の中をゆっくりと
歩いていた。

横島「ふーあちー・・・。」

都会とは言えども、季節によって独特の雰囲気(匂い)を感じさせる。
たとえ排気ガスの臭いしか感じなくても。

半袖に短パン、スリッパの人が溢れる人ごみの中で、上着はTシャツだけど暑そうな
ジーンズ、帽子のように頭を覆い被さっているほどのぼさぼさの髪。横島はある意味
目立っていたのかもしれない。

横島「も、もうダメだ!」

そう言って小銭を取り出し、自動販売機で飲み物を買う。以前より給料がほんのちょっと
上がったので、思いっきりフンパツが少しフンパツに変わることが出来た。
その場で一気に一缶飲み干し、落ち着く。しかし落ち着いた所為か、
都会の中で孤独を感じた。

楽しげに歩いている人たちを見て、よこしまな妄想が横島を襲う。

横島「はぁ〜 いいな〜 これから海行ったり川行ったり、バカップルは二人で
   花火見に行って、そのまま・・・。」

立ち止まったまま勝手な妄想で自己嫌悪になったりと・・・ある意味充実している横島。
そんな彼の背後から、ある一人の女性が近づいて来た。・・・といっても、ただ
通り過ぎて行っただけではあるが、そんな彼女を横島のレーダーがキャッチする。

横島「・・・ん? あれっ?」

スーツを来た、OLさんの様な姿。平然と前を向いて歩いている。横島は何か
不思議な感じがした。

横島「あ、あれはもしかして!?」

横島は彼女の後姿を見て、まさか!と思った。そして自分の目を疑った。

横島「ひ、人違いだよな。 ・・・でも  ・・・・あ、あのー。」

思い切って呼び止めようとしたが、人ごみの中で横島の声は彼女に届かなかった。
その間にも彼女はどんどん先に進む。

横島「ちょ、ちょっと待って・・・」

追い着こうとするものの、人ごみが邪魔をしてなかなか前に進めない。
やがて彼女はスクランブル交差点の真中へと、少し早足で進んだ。
横島はやっと交差点の入り口に辿り着き、あたりを見回した。すると交差点の
真中から少し先に歩いている彼女を見つけた。

横島「待って! お〜い!!」

急いで追いつこうとする。しかし、

”ビッビー!!” ”こらっ! 危ねえぞ!! 信号赤だろっ!”

夢中だったので信号が赤に変わっていた事に気付かなかった。
やっと青に変わり、走って彼女を追いかける。
反対側に着いた頃には、彼女はもう居なかった。さらに横島は走って彼女を探す。
そしてやっと、交差点の少し先で歩いている彼女を見つけた。

横島「あ、あのっ!!」
彼女「はい?」

振り向いた彼女の顔を見て、横島はさらに驚いた!!

横島「あ、あのっ! どこかで会いませんでしたっけ?」
彼女「え?」
横島「え、いや、あのいつか・・・というか去年あたりで・・・。」
彼女「去年? いえ、憶えが無いのですが・・・。」
横島「え、あ、そ、そうですか。人違いだったみたいで・・・どうもすんません。」
彼女「はぁ〜。       ・・・あ、ちょうど良かった。」
横島「は、はい?」
彼女「ちょっと道を教えて欲しいんですけど。」
横島「は、はぁ〜。」



人違いであった。だけどかなり似ていた。でも・・・


それからゆっくりと歩き出し、事務所へと向かった。また暑さでクタクタになりながら、
ようやく事務所に辿り着いた。

横島「ただいま〜。」
おキヌ「おかえりなさい。」
小竜姫「こんにちは。」
横島「あ、どうも〜。久しぶりっすね。」
小竜姫「そうですね。お元気でしたか?」
横島「え、ええ、一応〜。 今日はどうしてまた?」
小竜姫「特に用事は無いのですけどね。ほら、今日はあれから丁度一年経ちますし。」
横島「え? 何すか?」
おキヌ「アシュ戦から丁度一年くらい経ったんですよ。」
横島「え!?」

横島はつい先ほどの彼女を思い出した。まさか? 

おキヌ「横島さん?」
小竜姫「横島さん?」

横島「・・・え、は、はい?」
おキヌ「どうしたんですか? ボーっとして」
横島「え、いや実は・・・さっき街中で・・・」
小竜姫「?」
横島「似た様な人に会ったんです。・・・・ルシオラみたいな人に。」
おキヌ「え!?」
小竜姫「本当ですか?」
横島「ええ、でも彼女は大学生で、就職活動中みたいで。でも似てたんです。」
おキヌ「偶然・・・ですかね?」
小竜姫「多分、でも横島さんがそう感じるなら、本人かも。」
おキヌ「転生ですか? だけどそれは横島さんの子供にという話じゃ・・・。」
小竜姫「それは一つの可能性だから、確率は低いけど他人にもなりうる場合もあるかも
    しれません。」

一息ついた後、

横島「いや、あれは人違いですよ。」
おキヌ「何故ですか?」
横島「だって、転生っていってもいきなり僕より年取ってる大学生には
   ならないでしょう?」
小竜姫「え、ええ、多分。」
横島「確かにルシオラであって欲しいとは思ったけど・・・。」
おキヌ・小竜姫「・・・・・。」




美神「あーさっぱりした! ん〜美味い。風呂上りのビールは最高ね。」
横島「いきなりの登場で、しかも昼間っからビールっすか!」
美神「何よ! 今日は仕事終わったんだし。飲んで飯食って寝るだけよ。」
おキヌ「ははは・・・。」

そう言って美神は自分の部屋に行ってしまった。

横島「さっきの話、聞かなかった事にしてください。」
小竜姫「そ、そうね。美神さんの前では言えないわね。」
おキヌ「そ、そうですね。」


でも何か嬉しさを感じる横島であった。


――――終わり――――

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