ザ・グレート・展開予測ショー

横島君が逆行するお話です。 第4.1話


投稿者名:目玉焼き
投稿日時:(02/10/13)

―ゴーストスイーパー資格取得試験 第一次試験会場―
 そう書かれた看板の取り付けられた、普段はごく普通の学生がキャンパスライフをエンジョイしているであろうどこかの大学は、この日、何とも奇妙な集団に占拠され、一種異様な雰囲気に包まれていた。
 そんな雰囲気の中、周りを漂う尋常でない気配など気にする風でもなく、隣にプカプカ浮いている幽霊の少女に、今日ここで何が行われるのかを説明している女性が居る。

「・・・まあ、要するに合格するのは32名だけ、例年2000人ぐらい集まるから合格率は1.5%って所ね。」

「はあ、・・・狭き門なんですねえ。」

 その女性、「美神令子」の言葉に相槌を打つのは、実に三百年もの間幽霊をやっている少女、おキヌである。
 そして、その二人と並んで歩いている横島が、辺りに居る「普通に街中を歩こう物なら問答無用で職務質問される事請け合いな連中」を横目に見ながら二人に対して話し掛ける。

「・・・それにしても・・・なんちゅうか随分個性的な連中が多いっすね。」

「・・・まあね、GSの仕事って言うのは、何だか分からないものを相手にする特殊な才能の要る仕事だからね、自分には特殊な才能があるって勘違いしてる連中も結構集まって来るのよ。」

「そ、それはつまり、・・・この中の何割かは、ただの変人だって言う事ですか。」

「そうよ・・・例えばあんたみたいなのとかね。」

「お・・・俺は、・・・あんたが出ろっちゅうから・・・。」

 冷たい目で見詰めて来る美神に対して、横島は至極もっともな事を言って反論しようと試みるが、

「・・・ナニか言ったかしら。」

「な、何でもないっす・・・。」

 美神の眼光の前に、あっさり降参した。


 横島をボロクソにこき下ろした後、美神は用があると言ってさっさと先に行ってしまった為、何をしたら良いのか分からない横島は、何の気無しに会場の周りを歩いている。
 しかし、意識している訳でもないのにふらふらと薄着のおねーちゃんのいる方に足が向かってしまうのは、男故なのか横島故なのか・・・・・・。
 そうして暫く時間を潰していると、突然誰かに背後から声を掛けられる。

「横島さんっ!。」

「ん?、ピート?、お前もGS試験に出るのか?。」

 その声に振り返ると、そこに居たのは横島の知り合いのバンパイアハーフ・・・つまり人間と吸血鬼その両方の血を引く青年、ピートこと「ピエトロ・ド・ブラド―」であった。

「ええ、そうなんですよ、・・・でも、・・・なんか皆さん凄そうな人達ばっかりで。」

「そんなに弱気になんなよ、お前だってれっきとした吸血鬼だろうが。」

 いきなり弱気になっているピートに、半ば呆れながらも一応そう激励するが、

「そうですけど・・・、僕はハーフですし、・・・・・・あああーっ!!一次審査で落ちるような事にでもなったら、僕はっ、ボクはーーーっ!!。」

「おわーっ!、しがみ付くんじゃねえ!!。」

 あまり効果は無かった様で、そのまま底の方まで落ち込んで行ったピートに泣き付かれる。
 ・・・・・・ちなみにその周りには、美形の青年であるピート目当ての女性出場者達が集まっており、そこかしこで「ホモ」だの「ゲイ」だの「やおい」だのと言った教育上よろしくない単語が飛び交っている。

「横島さーーんっ!!、来てくれたんじゃのーーっ。」

「げっ!、タイガー!?。」

 ピートにしがみ付かれ辟易している横島の背後で、横島のクラスメートであり横島を何故かやたらと慕っている「タイガー寅吉」が、唐突に雄叫びを上げ猛然と横島の方に爆走してくる。

「わっしは、わっしは・・・キンチョ―してもーてーっ。」

「お前もかー―!!。」

 叫びながら怒涛の勢いでしがみ付いてくるタイガーに、横島は心底「いい加減にしてくれ」と言う心境でそう叫んだ。

 ・・・・・・そんな大騒ぎの繰り広げられている横では。

「GS協会広報部ですけど、インタビュー宜しいですか。」

「ん、わしか?。」

 「GS協会公報部」のインタビュワーが、齢1500を超えるご老体、ドクターカオスに対してマイクを向けている。

「ええ、受験者中最年長者として意気込みを一つお願いします?。」

「良かろう・・・、んんっ、・・・・・・絶対に合格して、貧乏暮らしから脱出じゃーーー!!。」

 マイクを向けている男がそう聞くとドクターカオスは一つ咳払いをして、拳を振り上げながら高らかにそう叫んだ。

「・・・えーっ、以上、GS試験会場前からの中継でした。」


 その様子を、何時の間にやら正気に戻っていたらしい三人が眺めており、それぞれに感想を述べる。

「カオスのおっさんも出るのか、・・・・・・大丈夫なのか?。」

「・・・ドクターカオスさんはかつて「ヨーロッパの魔王」と異名を取った程ですからね、油断は出来ませんよ。」

「な、何か波瀾の予感がしますノー。」




・・・つづく。


・・・すみませんまたやってしまいました。・・・4.2話に続きます・・・。

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