誰がために5
投稿者名:遊び歌
投稿日時:(02/ 2/18)
「状況はどうだ?カイン」
ジュダがコスモプロセッサーに向かっているカインに尋ねる。
「まずまずだ。あの伊達とかいう小僧に壊された部分がかなり痛い。このままでは修理は大変だな」
「あれを使ってみてはどうだ?一瞬で済むだろう?」
「いや、できればこの状況を楽しみたい。もしかしたらあの人間達が再び我らの前に現れるかもしれない。所詮、私の望みは強い者との戦いだ」
「横島忠夫か?」
「かつてはアシュタロスをも倒した男だ。さぞかし私を楽しませてくれるのだろうな」
嬉しそうに話すカインを尻目に、
『まあ、その辺りはどうでもいい。奴と違い私の目的は強い者との戦いでも、神族との全面戦争でもない。そう。私は全ての王になるのだ』
不敵な笑みを浮かべながらジュダはコスモプロセッサーを眺める。
「で、あんた達がコスモプロセッサーを魔族に奪われたのね?」
美神の事務所に伊達と横島は呼ばれている。事件の経緯はGメンの人たちから取り調べは終わっている。
「それにしても解せないはGメンの連中だな。コスモプロセッサーを使うには、かなりの量の霊力がいるはず。それをどうするつもりだったんだ?」
「これは、あくまで推測だけど」
美神が口を開く、
「最初からグルだったのかもね。魔族と」
「なるほど。それなら何処からか霊力を仕入れられる」
「まあそんな事より、これからどうするかね。盗まれたコスモプロセッサーは今何処にあるかね」
と、その時、
「それには心配いらん」
どこからか声が響く。そして、空中に金髪の魔族・カインが姿を現す。
「その地図に示すポイントに今夜九時に来てもらおう。人数は何人でも構わないが、無駄死にするくらいなら少ないほうがいいかも知れんな」
と、地図が美神たちの前に落ちる。
「この要求を呑むかね?」
「一つ聞かせて。貴方達の目的は何?コスモプロセッサーを壊して欲しいの?それともアシュタロスと同じく自からの滅び?」
「残念ながら両方とも違う。私の目的は神族と魔族の全面戦争だ。そのためにコスモプロセッサーを使いたい。
あえて、君達を呼び出す理由だが、単純に横島忠夫と戦いたいのだ。あのアシュタロスをも倒したお前とな・・・」
そこで、カインの姿が消える。
「へへへ、そう来なくちゃな。俺も奴の考えに同感だ。俺も強い奴と戦いたい。横島、行くぜ。あの馬鹿の鼻をへし折りにな」
自身満々に伊達が立ち上がる。
「横島クン。今回の事件は元はといえば我々Gメンが原因だ。僕にも手伝わせてくれ。自分のミスは自分で償う」
「・・・まあ、暇つぶしにはいいかもね」
美神がいやいや手を上げる。
「金には成らないけど・・・」
少し悔しそうだ。
「そうですか。彼らから接触がありましたか」
横島の家に小竜姫が来ている。二人してベランダに立ち夕日を眺めている。
「できれば、私も手伝いに行きたいのですが、さすがに・・・」
と、残念そうに呟く。
「そうだ、念のために」
と、懐から玉を取り出す。
「もし、命に危険が及ぶようなことがあれば、この宝玉を割ってください」
横島に渡す。
「もうすぐですね」
「え?」
横島が横を見ると小竜姫が夕日の方を見つめている。
「昼と夜の一瞬の隙間。きれいですね」
「ええ」
二人は黙ったまま、やがては沈み消えていく夕日を眺めていた。
「あいつと、もう一度見たかったな」
「え?」
横島の呟きが小竜姫にも聞こえたらしい。
「いや、ルシオラと」
「・・・・・」
小竜姫は何故かその時の横島の顔が見れなかった。
「でも、過去を見るよりも未来を見たほうがいいですよ。ルシオラのためにも」
小竜姫は笑顔で横島に振り返る。
横島はその笑顔に何かが惹きつけられていった。そして、
「小竜姫様。もしかしたら俺、貴方のことが・・・」
「はい?」
どうやら聞こえなかったようだ。
「いや、いいです」
横島は慌てて視線を逸らす。
『俺は何を考えているんだ!!仮にも相手は神様だぞ』
「横島さん、だんだんと強くなっていますね。最初に会った時とは大違いです。
こと、貴方の成長に関しては私は誰よりも知っています。それこそ、美神さんや、ルシオラより」
意外な発言に横島は驚く。
「ですから、今回の件も貴方ならどうにかできると信じています。ですから帰ってきて下さい。帰って・・・」
と、飛び上がる。
「それじゃあ、くれぐれもお気をつけて」
その時にはいつもの小竜姫の表情に戻っていた。
「???」
横島はわけがわからなかった。
『また、一緒に夕日を見ましょう』
その言葉を小竜姫は空を飛びながら飲み込んだ
「あちゃー。もう少しだったのに。残念!まあ、この続きはまた次回にでも見させてもらいましょう。だから、がんばってね横島クン!!」
隣のマンションの屋上からヒャクメがエールを送っていたことなど横島は知るよしも無かった。
今までの
コメント:
- 横島君も小竜姫様も素敵です!カッコいいです!
でも、どんどん美神さんが脇役に〜。 (猫姫)
- アシュタロスは別に横島が一人で倒したわけでもないのに、評価がメチャクチャ高いですねえ。今は霊力が上がりその通りかもしれませんが……(^^;
それにしても、ルシオラの思い出を語りながら小竜姫にもモーションかけようとする横島はやはり煩悩男ですな(笑) (JIANG)
- 本当にヒャクメは、楽しそうですね〜。 (3A)
- もうこの調子でドンドン突っ走っちゃってください!
(西○は出てこなくて良いです・・・・・) (SRK)
- 肝心の、横島が小竜姫に惹かれていく部分が少し唐突な印象もありますね。
美神やキヌに対する感情との違いがハッキリしませんし……まあ色恋沙汰は理屈じゃあないとは申しますけど、ね。 (Iholi)
- しかし、この恋が結果としてルシオラ転生の可能性を潰す事になるんだから、やるせないですねぇ。 (黒犬)
- ジュダがイイです。理屈じゃない支配欲が。
金にもならないのに美神さんが協力するのは成長の証? (斑駒)
- 暇…天下の美神さんが暇だってさ、笑っちまうよな、あは、あはは…(半狂乱)
どうしちまったんだよ…みんな…(号泣)
もうあの頃には戻れないんでしょうか… (魚高)
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