モンスタースイーパー (その5−5)
投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/ 1/13)
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モンスタースイーパー (その5−5)
「さてと、最後の試練と行きましょうか。」
そう言うと、フレイは、魔法陣から、大きな箱を出した。
その箱から、彼女は、長剣と鎧、それに鱗で出来た髪飾りを取り出した。
多分、あれが神の武具ね。
「最後の試練は、この私を倒すことです。誰が戦いますか?」
「私が行くに決まってるじゃないの。」
そう言って、私は、神通棍を片手に、魔法陣の中に入った。
その時には、フレイは、防具の装備を終わらせていた。
「さてと、真剣勝負ですから、油断しないでください。」
口元は笑っているが、目は本気だわ。
私も、神経を集中させ、フレイを見た。
・・・・・・。
時間だけが流れていく。
「では・・・・・、いきます!!」
駆け出してきたフレイは、私に向かって、剣を振り下ろす。
ガキンッ!!
なんとかそれを防いだ私は、剣をはじき、神通棍を払う。
「はっ!」
フレイは、後ろに向かいステップし、それを避けた。
「甘いわよっ!!」
私は、神通棍を鞭状にして、フレイに攻撃した。
「なんのっ!」
フレイは、それを易々と剣で防いだ。
「一筋縄ではいかないようねっ!!」
ツゥッと、頬に一筋の汗が流れる。
一瞬でも、隙をつくった方の負けだった。
しかし、この戦いは、私の方が不利だった。
神通棍で戦うことはあっても、それは、一瞬で敵を倒してしまうため、長期戦で神通棍を使用したことは、あまりなかった。
そのため、剣術に長けている(と思われる)フレイにとっては、一対一の真剣勝負は、とても慣れているはずだわ。
(こんなときは、一気に勝負を決めるのみっ!!)
私は、ポケットに手を突っ込んだ。
ポケットの中には、ビー玉ぐらいの球体が3つほどあった。
勿論、くすねて来た文殊だ。
私は、その内の1つに、念を込める。
『煙』
それを地面に叩きつける。
その瞬間、文殊から、白い煙があがった。
「え、煙幕!?」
フレイが、慌てたような声で、そう叫んだ。
今がチャンスだわ!
「ていっ!!」
私は、神通棍を思いっきり振るった。
決まった!
私はそう思った。
ズバンッ!!
「!!」
その音と同時に、両手で握っていた神通棍が軽くなっていた。
目の前に戻すと、斬られた神通棍が、視線の前に入った。
ゾクッ!
その時、冷たい感覚が、私を襲った。
その場から、右に避ける。
ズバッ!!
剣で何かを斬った音がし、先ほど、私がいた場所が、大きく割れた。
「私は、卑怯者が嫌いでしてね・・・・。」
青筋をたてながら、フレイは言った。
・・・・・目がマジだわ。
「真剣勝負というのに、煙幕などを使うとは、私を馬鹿にしているとしか思えませんね!!」
うわ、目がギラギラ光っている。
「竜神の名において、貴女を抹殺します!!」
ダッ!!
怒りを露わにしながら、私に向かって襲い掛かってくるフレイ。
行動パターンは読むことは出来、避けることは簡単だけど、一回でも、攻撃を受けたら、間違いなく、私は死ぬ・・・・!
私は、『爆』の文殊を投げつける。
チュドーーーーーン!!
巨大な爆発が起こる。
しかし、フレイは無傷の状態だった。
ブンッブンッ!!
何回も、長剣を振り下ろすフレイ。
どんどん、その剣さばきは早くなり、避けるだけで精一杯になってきた。
「くっ!」
私は、『縛』の文殊をフレイに投げつけた。
それが命中し、フレイは、金縛り状態になる。
しかし、それでも、たいした時間稼ぎにはならない。
私に残された武器はもう無かった。
神通棍は斬られ、文殊はもう使い果たした。
・・・・・そうだ、呪文よ!!
この世界は、RPGの世界だ。
呪文の1つや2つあっても、おかしくない。
とりあえず私は、RPGにあるような呪文を唱えた。
「ファイヤーボール!!」
・・・・・・。
何も出なかった。
何よ!!何で出ないのよ!!
すでにフレイは、金縛りを解こうとしている。
このままだと、あと十数秒で金縛りは解かれてしまう。
あぁ、どうすればいいのよ!!
その時、昔読んだファンタジー小説を思い出した。
その小説では、呪文を使うには、その呪文の詠唱をしなければならない。
・・・・・・これだわ!!
・・・・けど、呪文の詠唱って、どういうの?
えぇ〜い!!悩んでいるヒマは無いわ!!
私は、ヤケになって、デタラメな詠唱を始めた。
海の人魚より美しきもの
天の女神よりも可憐なもの
すべての男を魅了せし
素晴しき貴女に 私は願う
「!! そ、それは!!」
驚愕するフレイ。その瞬間、フレイは金縛りを解いて、私に襲い掛かってきた。
その美と魔の力に刃向かいし
すべての醜きものに
貴女と私の力により
美を汚すものを今消し去らん!
ギュインッ!!
「へっ?」
私の両手の間に、野球ボールぐらいの光球が出来る。
「やらせはしません!!」
フレイは高く飛び上がり、私に向かって、長剣を振り下ろしてくる。
「きゃーーーーーーーー!!」
叫びながら、私は光球を投げつける。
カッ!!
「「!!」」
チュドーーーーーーーーーーン!!
一瞬、閃光がおき、次の瞬間、巨大な爆発が起こった。
そして、爆煙の中から、フレイが落下し、地面に倒れた。
・・・・・・勝ったの?
私は、今、自分が何をしたのかが、全然分からなかった。
「私の負けです。この神の武具を、貴方達にお貸しします。」
そう言ってフレイは、神の武具の入った箱を渡した。
「しかし驚きました。まさかあなたが、"美醜爆(ビューティ・フレア)"を使うとは・・・・。」
「へ?」
私は、呆気にとられた表情をした。
「え?まさか知らないんですか?」
「知らないも何も、聞いたこともないわよ。」
「じゃ、何で唱えることが出来たんですか!?」
驚いた表情をしながら、フレイは言った。
「そもそも、"美醜爆"って何!?」
「"美醜爆"は、その昔、この世界の男を虜にしたと言われる絶世の美女であった魔女メフィストが創り上げた究極の黒魔法です。」
「!! メフィスト!?」
「し、知ってるんですか!?」
「え、い、いえ・・・・・。」
「そうですよね。魔女メフィストは、すでに数百年前に亡くなってしまったのですから。」
「・・・・・・・。」
「? どうしました?」
「い、いえ・・・・。じゃ、私たちはこれで・・・・。」
そう言って、私たちは神の家を後にした。
私たちに、新たな事実を教えて・・・・・。
続く・・・・。
今までの
コメント:
- 最後の試練はやはりフレイ本人が出てきましたか...それも令子の反則技と、土壇場での一発逆転を狙った(ヤケクソ?)攻撃にやられてしまいましたが(笑)。ヒキョーな技を躊躇無く使うあたりが何とも令子「らしい」ですね。さて、このゲームの世界にはメフィストの存在すら入り込んでいるみたいですが、そうすると他の中級以上のタチの悪い魔族たちはいるのでしょうか?(汗) 次回も楽しみにしております♪ (kitchensink)
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