モンスタースイーパー (その5−3)
投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/ 1/10)
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モンスタースイーパー (その5−3)
「・・・・・・・。」
シロが、唖然とした表情を見せてから、1時間が経過した。
「ちょっと、何か言いなさいよ!」
「・・・・・・あり。」
「は?」
「・・・・義あり。」
「なんですって?」
「・・・・・意義あり。」
「もっと大きな声で言いなさいよ!」
私がそう言うと、シロは叫んだ。
「意義ありーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
キィーーーーーーン!!
み、耳が痛い。
鼓膜が破れると思うくらいに、シロは、大きな声を出した。
「そこまで大きな声で叫べとは言ってないでしょ!!で、なんで嫌なの?」
「なんで拙者でござるかーーーーーーー!!?」
涙をブシャーーッと出しながら、シロは言った。
「うるさいわねー。アンタ、あまり活躍していないんだから、ちっとはやってみせなさいよ!」
「そ、そんなーーーー!!」
「というわけでフレイさま。このバカ犬が、試練に挑戦しますので。」
「狼でござる!!」
「分かりました。では、こちらを・・・。」
そう言いながらフレイは、シロに、何かを渡した。
それは、紙と筆と墨汁が入った器だった。
「あ、あの〜。これは何でござるか?フレイどの。」
冷や汗を出しながら、シロはフレイに聞いた。
「試練を受ける方は、原則として、遺書を書いてもらうこととなっています。」
「い、遺書ーーーーーーーー!?」
「えぇ。何せ、この試練の生存率は10%以下ですから、遺書を書いてもらうんです。」
ニッコリと微笑むフレイ。
・・・・笑う場面ではないような気がするけど。
「無論、断った場合は、ピーなことや、ピーなこと、はたまたピーなことを、罰として与えますので、ちゃんと書いてくださいねv」
「ひぃぃーーーーーーー!!」
お、恐ろしい・・・・・。
外見は小竜姫さまだけど、中身は全然違うわ。
うわ、鳥肌が・・・・。
すでに横島クンたちは、遠くまで後ずさりしている。
思いっきし、フレイを警戒してるわね。
私も少し離れよう。
シロは、シクシク泣きながらも、なんとか遺書を書いた。
その内容はこう。
『長老殿、村の方々。先立つ不幸をお許しくだされ。
拙者犬塚シロは、これより、父上の処へ向かうでござる。
美神どの、今まで、お世話になり申した。
先生、拙者の我侭(わがまま)を聞いてくださって、ありがとうござりまする。
タマモ、お主と居た日々、楽しかったでござる。
おキヌどの、貴女様の御作りしただいた料理、まことに美味しかったでござる。
思えば、今まで、いろんな物を食べてきたでござる・・・・。
牛丼、美味しゅうございました。ドッグフード、美味しゅうございました。
ビーフジャッキー、美味しゅうございました。
ステーキ、美味しゅうございました。
(以下省略) 』
・・・・・・・・。
なんちゅう古いことを知ってるのよ、あなたは。
これって、今は亡き某マラソン選手の遺書じゃないの!
しかも、30年くらい前のことよ!?
アンタ、今何歳なのよ!!
・・・・・・え?そういうアンタこそ、何でそんな古いこと知ってるかって?
・・・・・・・・。
き、気にしない!気にしない!!
遺書を書き上げたシロは、魔法陣の中に入る。
「準備は出来たようですね。それでは、始め!!」
「でやーーーーーーーー!!」
右手から霊波刀を出し、ドゥムを斬りつけるシロ。
しかし、ドゥムは無傷であった。
グゥオンッ!!
ドゥムは、反撃とばかりに、拳を振るう。
ボンッ!
「がはっ!!」
ドゥムの拳は、シロの腹に命中し、シロは、胃液を吐き出した。
ブォンッ!!
バキッ!!
「がっ!!」
もう片方の拳が、シロの顔に命中する。
吹っ飛ばされるシロ。
よろよろと立ち上がったシロは、口元から、血を流しだしていた。
「シロ!!」
横島クンが叫ぶ。
「だ、大丈夫でござるよ、先生・・・・・。」
横島クンの顔を見て、シロはニッコリと笑った。
しかし、その瞬間、ドゥムが拳を振り上げた。
ブオンッ!!
「シロ!!危ない!!」
ガキンッ!!
・・・・・・・信じられなかった。
シロは、右手からサイキックソーサーを出し、ドゥムの攻撃を防いだ。
「拙者は、拙者は・・・・・。」
体をブルブルと震わすシロ。
「先生と楽しいときを過ごすんでござるよーーーーー!!!!!!!!!!」
ビュンッ!!
「!! 消えた!?」
私がそう叫んだとき、ドゥムの体に、一本の縦線が通った。
バキッ!!
その音と同時に、ドゥムの体は二つに分かれた。
何があったか、全然分からなかった。
フッ!
「!!」
ドゥムが倒れた瞬間、シロが姿を現した。
ボロボロだった体は、いつの間にか、治っていた。
「な、何が起きたんでござるか?」
自分が何をやったのかが分からないシロは、その場で右往左往していた。
「おめでとうございます。第2の試練クリアです。」
ニコニコしながら、フレイが、そう告げた。
「ふ、フレイどの。拙者は一体、何をしたんでござるか?」
「ウルフ・スピリットをしたのですよ、あなたは。」
「う、ウルフ・スピリットでござるか?」
「えぇ。ウルフ・スピリットは、生命力や、獣特有の反射神経や攻撃本能などを向上させ、強力なパワーを自らの体で発生発生させる魔法なんです。」
「ほぉ・・・・・。」
「このウルフ・スピリットは、上級の攻撃補助魔法です。あなたは、それを習得したのです。」
「ほ、本当でござるか!!」
大喜びするシロ。
「けど、これには欠点があるのです。」
「へ?」
その場ではしゃぎ回っていたシロは、動きを止めた。
「生命力の上昇によって代謝機能が高まり、受けた傷は全快するのですが、それにより、新陳代謝が高まり・・・・・・。」
そ、それってもしかして・・・・。
「シロさんでしたよね・・・・。早くお風呂場に行ってください。今すぐに。」
「へ?は、はぁ・・・・。」
異界空間から出て行くシロ。
「美神さん。何でフレイさまは、シロちゃんをお風呂に行かせたんですか?」
おキヌちゃんがそう聞いてきた。
「あのね・・・・・。私たち人間が、何故、お風呂で体を洗うか知ってる?」
「え?汚くなった体を洗うためじゃないんですか?」
「そう、皮膚についている垢を落とすためにね・・・・。」
「?」
「まだ分からない?その垢は、体の新陳代謝によってできるのよ!」
「え!?ということは・・・・・・。」
その時だった。
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーー!!??」
シロの叫び声が聞こえた。
・・・・・第2の試練クリア、私たちは、次の試練に進む。
続く・・・・。
今までの
コメント:
- せっかくシロにも活躍の場が巡ってきたと思いましたのも束の間、随分と可哀想な結果になってしまいましたね(笑)。自分の先生への一途な思いでドゥムを倒せはしましたが、ウルフ・スピリットはさすがに彼女でも使うのはためらうでしょう(泣)。今回は何事にも真っ向勝負を挑むシロ「らしさ」が目立っていたと思います。第3の試練は果たしてどんなものなのでしょうか? 次回も楽しみにしております♪ (kitchensink)
- むぅ、この魔法をまた使う機会があるんでしょうか・・・いやない(反語)多分。RPGの世界だけに特殊能力も多くあるのかもしれないですね・・・、ある意味では結構いいとこかも。
亡くなられたマラソン選手のものとは知りませんでした。俺はてっきり、某美人未亡人の管理人さんのいる安アパートの覗きが趣味のある住人の台詞とばかり・・・。 (veld)
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