ザ・グレート・展開予測ショー

巫女の癒し


投稿者名:誠
投稿日時:(03/11/ 8)




「横島さん?」

氷室キヌは夕焼けを眺めている少年をみてつぶやいた。





わたしの名前は氷室キヌ、六道女学院に通う女子高生です。
将来の夢は今、同じ職場で一緒に働いている男性のお嫁さんになることです!

わたしは今、学校が終わったので下宿させてもらってる美神令子さんの事務所に帰っているところです。

事務所のみんなのお食事はいつもわたしが作っているので今夜の献立は何にしようか考えながら帰っています。





「よしっ今日は肉じゃがにしよ!」

わたしはつぶやくとふと目の前にある河原を見ました。

そこには、わたしの大好きな横島さんが座っていました。

横島さんは夕焼けを寂しそうな顔で見ていました。



夕焼けは横島さんの恋人・・・ルシオラさんとの思い出の景色。



だから話し掛けづらくて、わたしはただ横島さんの顔を見ていました。



「あ、おキヌちゃん。いつからいたの?」

こっちに気づいた横島さんは、照れたような顔で微笑みながらわたしに話し掛けてくれました。

「さっきです。」

わたしも微笑んで横島さんに答えました。

横島さんはまた夕焼けを見上げてつぶやきました。

「夕焼け・・・綺麗だろ?」

「ええ。」

わたしは短く答えました。

「でも、夕焼けの美しさを教えてくれたあいつはもういない・・・。
なぁ、おキヌちゃん、あいつは本当に存在したんだよな!
みんなあいつのこといなかったように振舞って・・・。
おれ、少しづつあいつとのたわいない会話を忘れていく自分がいやで・・・。
 不安なんだ、あいつがいなかったんじゃないかって、
 怖いんだ、あいつのことを全部忘れてしまうんじゃないかって。」

わたしは横島さんの独白を聞いて気づきました。
わたしたちが横島さんのためだと思って触れなかったことが逆に彼を傷つけていたことを。
忘れることなんか救いにならないということを。
彼は周りが忘れることも自分が忘れることも望んでいないことを・・・。


「大丈夫ですよ。」

わたしの口が勝手にしゃべりだす。

「確かにみんな、覚えてますよ。きれいだった彼女を。やさしかった彼女を。
 でも、みんながそれを話題にするのが横島さんを傷つけると思ったから。
 横島さんはやさしいから、苦しまなくてもいいのに苦しむと思ったから。」

わたしはさらに言い募る。

「だから、みんな言えなかったんです。
 でも、それがあなたをさらに傷つけていたんなら、わたしに話してください。
 彼女のことを、彼女への想いを、横島さんと彼女の思い出を・・・。
 わたしに聞かせてください。
 横島さんの想いが知りたいから、横島さんの事を知りたいから・・・。
 わたしは・・・・・横島さんのことが、好きだから・・・。」

わたしは最後の言葉を真っ赤になって、うつむきながら言った。





横島さんがわたしを抱きしめた。
わたしの頬に涙が落ちる。
横島さんがつぶやいた。『ありがとう』

それは、とても小さい声だった、だけどわたしにはとても大きな一言だった。

横島さんの心を軽くできたと思ったから。
横島さんの役に立てたから・・・。





わたしは、彼にキスをした。
軽く、唇と唇をあわせるだけのようなキス・・・。

横島さんは少し驚いた顔をしたけど微笑んだ。

わたしも真っ赤な顔で微笑んだ。




わたしはもう一度上をむく、目を閉じて、胸をときめかせて。

今度は情熱的なキス、これがわたしのセカンドキス。



彼はわたしを抱きしめた。

わたしは背中に手をまわす、大きな背中にてをまわす。

わたしはゆっくり背中をなでる、彼の傷が癒えるように・・・。


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