悲劇に血塗られし魔王 5-おキヌ編
投稿者名:DIVINITY
投稿日時:(03/10/25)
〈おキヌ編〉
私と横島さんは長年の夢がかなって、晴れて恋人同士♪
そして今、甲斐甲斐しくも私は彼氏のためにお料理を作りに行く途中なのです。
ああ、未来の旦那様の為なら私、粉骨砕身誠意を持って世話してあげます。
妻となる身として当然のことです。
・・・・婚約はまだしてません。
でもでも、キスだってしたし、手だって繋いだし、デートだってしました。
これで同棲なんかしちゃえば、それは婚約したも同然。
そうです。
今の私達の関係は婚約一歩手前なんです。
ええ、そうなんです。
婚約も時間の問題なんです。
ん〜、幸せだな〜。
横島さんに告白して、付き合いだしてもうどれだけの月日がたったでしょう。
その間、私は幸福の絶頂でした。
何をやっても楽しくて、何をやっても上手くいって・・・
でも、やっぱり告白してOKをもらった時の幸せ感は格別だったなぁ。
幸福すぎて気絶しちゃいましたもん、私。
テヘッ♪
あっと、幸福感に浸ってたらいつの間にか横島さんのアパートに着いちゃいました。
もう、最近こんなのばっかし。
はあ、こんなに幸せでよいんでしょうか。
いつか、その幸せが奪われてしまうんじゃないかって不安です。
ううん、いけないわ、おキヌ。
せっかくその幸せを与えてくれてる横島さんに申し訳ないわ。
ファイトよ、おキヌ。
この幸せをいかに持続させるかは、あなたにかかってるわ!!
はいっ、頑張ります。
よし、その意気込みをかけごえにだすのよ。
せーの
えいえいえおー!!
私は掛声と共に横島さんの部屋に入りました。
どうやら、横島さんはまだ寝ているようです。
仕事で疲れているのでしょう。
横島さんは何に対しても一生懸命ですから・・・
そんな疲れている横島さんにいかにして活気を与えるか。
それは、朝食にかかっているのです。
彼女として、未来の妻として、彼が満足のしうる朝食を私の誇りにかけて作って見せましょう!!
っと、その前に目覚めのキスをしなくては。
どういう反応をするかな。
驚くかな?
喜ぶかな?
それとも・・・・
襲ってくるのかな?
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
きゃーーーーーー!!横島さんのエッチーーーー!!!
・・・・・・
はっ、いけないいけない。
やだわ、私としたことが。
良妻たることを自負する私が、妄想なんて・・・
と、ともかく横島さんを起こさなくちゃ。
私は寝ている横島さんに近づきました。
どうやら、熟睡のようです。
私に気づいていません。
私は彼の頬にキスをし、布団を剥がすべく、手をかけました。
そのとき、初めて気づいたのです。
彼、裸だったんです。
全裸だったんです。
私は思いました。
昨日の夜ってそんなに暑かったっけ?
答えは違いました。
いつの間にいたのでしょう。
私の横に全裸の女性が座っていたんです。
私には一瞬、何が起こったのか分かりませんでした。
いや、分かっていたのかもしれません・・・
横島さんが浮気したんだってことが・・・
でも、それが分かっていても感情がそれを全力で否定するのです。
もう、私の頭の中はパニック状態。
そんな私のこと等、はなから眼中に無いのか隣の女性は彼の頬にキスをします。
ああーーー!!それは、私の頬よーーー!!
私は絶叫しました。
しかし、それも無視されました。
しかも最悪なことに、彼女のキスで横島さんが起きたんです。
私のキスじゃ、起きなかったのに・・・・
横島さんは目を擦りながら彼女の姿を認めると笑い、そしてキスをしました。
頬じゃありません。
唇です。
ブッチュです!!
衝撃の連続でした。
余りの衝撃の強さに脳が弾き出した答えは・・・
『理解不能』
横島さんたちは二人仲良くいつの間にか服を着て台所に向かってしまいました。
最後の最後まで無視された私。
今の出来事はなんだったのでしょう。
やっぱり浮気だったのでしょうか?
私との関係は横島さんにとって遊びだったとそういうことでしょうか。
涙が溢れます。
挫けてしまいそうです。
でも、まだです。
横島さんに事の次第を聞くまでは終われません!!
もしかしたら、彼女に脅されて已む無く付き合ってるのかもしれません。
私は勇み足で台所へ向かいました。
そして、台所で横島さんと女性を認めるや否や意識を失いかけました。
二人は仲良くご飯を食べていました。
それは良くはありませんが、まあ無視します。
問題は女性でした。
今、ここで初めて彼女が誰なのか気づいたのです。
なんでここに!!という思いと共に、悲しくも合点がいきました。
彼女にはかないっこありません。
だって、彼女は横島さんの心を奪ったままこの世を去った人なのですから・・・・・・
それでも、かなわなくても、私は横島さんを・・・・
彼女はそんな私を嘲笑うかのように横島さんに何か合図します。
横島さんはしょうがないなといったように肩をすくめると、彼女の頬に手をのせ、余った手で彼女の髪
をなでました。
そして・・・
やめて!私に見せないでっ!!お願い、横島さーん!!!
彼が私からその女性に乗り換えたのはもう決定的でした。
だって・・・・・
長い長いキスを私の目の前で交わしたのですから・・・・
それを見たとき、頭の何かが切れた感じがし、それと共にふっと、目の前が暗くなったんです。
そしてどれくらいの時間が経ったのでしょう。
私の髪から何かが垂れています。
それはどうにも不快なものでしたが、今の私には関係ありません。
だって、その不快さを超える幸せが私を包んでるんですもの。
でも、それは私が壊れているが故・・・・
あのキスを見せられ私は、壊れたんですよ。
横島さんを愛しているが故に壊れたんです。
でも、壊れるのも案外悪くありませんね。
だって、ほら・・・
血溜まりに沈む女性の上に座る私に、倒れるようにして身を預ける横島さんを優しく包む今の私は・・・
とっても幸せなんですから・・・・
「ふふっ、ずっと一緒にいましょうね。横島君。」
パチッと目を覚ます。
自分の手を見る。
その手は普通の何の変わり映えの無い手だったが、今は何にもましておぞましい。
不意にあの血みどろの光景を思い出す。
「うっ、うおぇぇぇぇぇっ!!」
胃液が口から出る。
白い布団が私の胃液で穢れる。
それを見てると、ふと笑いの衝動がこみ上げる。
どうしてしまったのかしら、私は・・・・
あの光景。
今も鮮明に第三者のになったかのごとく思い出せる。
冷たくなる横島君。
それを、甘美な思いと共に抱きしめる私。
床で眠るのは・・・
「ルシオラさん・・・」
慌てて頭を振るう。
あれは夢よ!!
ルシオラさんがでてくることがその証明でしょ。
自棄になっちゃ駄目!!
あんなのは・・・
あんなのは・・・
「あんなのは私じゃない・・・」
呟くと同時に涙が出る。
うううっという嗚咽がもれる。
・・・・横島さん
・・・・横島さん
「会いたいです、横島さん。」
今までの
コメント:
- ルシオラの呼びかけ方は「ヨコシマ」です。(ツッコミ)
さて……夢の中の彼女はずいぶんと大胆と謂うかはっちゃけてると謂うか(勿論モノロウグの主体の事ですよ)、若干妄想系な部分が不安定な状態のまま全面に出ていたのが危険で面白いと想いました(おいおい)。
令子の場合と同じく、アシュタロス編で明確にお子様宣言をしたキヌがここまで思い詰めるとは、やはり原作終了から色々と進展があった事を感じさせますね。その辺りはこれから描かれるのかもしれませんが、ちょっと見当がつけにくいので、今回も中立で。 (Iholi)
- ↑ あ、よく観たら上のツッコミ、全然的外れだ!(ボケ)
う〜ん、それでは「横島君」と呼んでいた主体は誰だろう?
……ひょっとして、キヌの闇人格かっ!(多分的外れ) (Iholi)
- 幸せな未来の夢想ってやつですね。
妄想おキヌは好きです。
で、結構生々しく裏切られて絶望を感じると・・・
良かったと思います。
そうそう。おキヌちゃんが自分の事をおキヌと言うのは微妙な表現だと感じます。
ファイトよ、おキヌ。→ファイトよ、わたし!
の方が自然ではないでしょうか?
勿論、あえてそちらを選んだのなら話は別です。
ではでは。 (KAZ23)
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