#GS美神 告白大作戦 「もしもあの時、あの場所で。」
投稿者名:ハルカ
投稿日時:(03/ 9/25)
(このままで………いいのか?
美智恵クンの幸せを思うなら……このまま身を引くべきなのか………?)
―――――その日は照りつけるような太陽の陽射しと、
蒸しかえすような暑さだったことを憶えている―――――
『ちょっと、そんなコトより先に言うことがあるでしょ!?』
『…………愛してるよ。その独特な考え方も含めて。』
航空機の上でのプロポーズ。
唐巣和宏はその航空機のすぐ下でそれを見上げていた。
(………その方がいい。
―――――もう、すべては遅すぎたんだ。)
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
〜ある教会の懺悔室にて〜
「悩める子羊たちよ、全ての罪を告白しなさい。
偉大なる主は全てを受け入れてくれます。きっとあなたの魂も救われることでしょう。
それとも何か相談事ですかな?」
キリスト教を破門されてから教会になんて
立ち寄ったこともなかった唐巣和宏であるが
心の中にあるモヤモヤした感じ、そしてイライラするこの感じを
解決するために頼れるところに他の場所が思いつかなかったのだ。
「………はい。私は教会に破門された身です。
そのことから神への信心に疑問を持ち、心は信仰から離れていきました。
ですが先日、ある出来事から神への信仰を取り戻すことができたのです。
――――――――――と、同時に自分の中である迷いも生まれました。」
(いや、ほんとは迷ってるわけじゃあない。自分の中で結論は出てるんだ。
でもそれを認めてしまったら自分がひどく醜いイキモノのような気がして………)
懺悔室の中は静寂に包まれていた。
教会の外で遊ぶ子供達の声がいやにまぶしく聞こえる。
「…………………女性のことですかな?」
「―――――――――――――――っ!!??」
驚いて椅子から飛び上がる唐巣和宏。
その教会の老いた神父はゆっくりと話を進めた。
「…………私も伊達に何年も神父として
いろんな方の相談事を聞いてる訳じゃありませんよ。
若い男の方が道を見失ったり―――――
あるいは逆に一度見失った道を再び見つける場合、
運命の女性に出会うことがきっかけになる事がほとんどなのです。」
狭い懺悔室に唯一ある小さな窓の向こう側から
年老いた神父の静かで穏やかな声が伝わってきた。
「なにも特別な事ではありません。
あなたはあなたの思うままに行動すればいい。
『どうすればいいか』ではなく、『どうしたいか』を一番に考えなさい。
きっとあなたの中では結論が出てるのでしょう?」
(しかし……しかしっ!!
美智恵クンには公彦君という相手がいるんだ!!
二人の幸せを自分一人のエゴで引き裂くことなんて…………………っっ!!!!)
「…………きっと、あなたの前には様々な試練が立ちふさがっているのでしょう。
ですが、結果のみを追い求めてはいけない。
あなたの本当の気持ちを相手に伝える事がたいせつなのです。
本当に彼女のことを愛しているのならば。」
(本当の……気持ち………)
先ほどから唐巣和宏は一言も言葉を発していない。
しかし、その頭の中は色々なことがグルグルと渦巻いていた。
嫉妬。
自分の気持ち。
愛。
公彦君との友情。
今までの自分。
信仰。
美智恵クンの笑った顔。
色々な言葉や様々な映像が
頭の中をよぎっては消え、よぎっては消えを繰り返している。
そして考えれば考えるほど自分の気持ちが分からなくなる。
悩んで、悩んで、悩み抜いている時に
窓の向こう側から再び神父の声が聞こえた。
「若造ぉ!!
何に対してそんなに怯えてるんだ!?
走れ!!ただ想いを伝えるためだけに走れっ!!!!」
それは年老いた神父の怒号。
確かに聖職者にあるまじき言葉ではあるが
迷いの霧がかかっている唐巣和宏の心にはこの言葉が芯までとどいたのも事実だ。
頭の中が真っ白になった。走ることしか思い浮かばなかった。
神父への礼も忘れ、美智恵クンからの手紙を握りしめ
成田空港への道をコブラで疾走していた事は憶えている。
「やれやれ……若さとは不器用であることなのですねぇ…………」
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
『止まりなさい!そこの暴走車っ!!』
パトカーのサイレンが五月蠅い。
おそらく先にはバリケードと検問が敷かれているんだろう。
ちょっと前、
美智恵クンがこのコブラで成田空港に突撃してから警備体制が数倍に強化されている。
さすがに突破は難しいか………?
「だからって………諦めきれるかよぉぉぉぉぉっっ!!!!」
強引に検問を突破し、成田空港のロビーをひた走る。
たくさんの警備員が追ってくるが気にしてる場合じゃない。
南米行きの搭乗ゲートの前で美智恵クンを見つけた。
(美智恵クン!美智恵クンっ!!美智恵クンっ!!!!
想いを伝えるのは今しかない……………っ!!)
「美智恵クンっ!!ボクは君のことが――――――――――っ!!!!」
今までの
コメント:
- 話が暗いΣ(゚ロ゚)
………続きがどうなるのか、
美智恵さんが告白を受け取って歴史が変わるのか
それともやっぱり美智恵さんは公彦君と結婚して思い出話に終わるのかは
読者さんの心次第です♪ (ハルカ)
- あうあう。ネタとういか、とにかく被ったよぉ(謎涙)
と言うわけで、読みました。そんなに暗いかな?と思いましたけどもどうなんでございましょうか?(核爆)懺悔室での会話が良かったです。なんか、吹っ切れた感じの神父がなかなか良さげで(^^:。という訳でラストの後を妄想してみましたw (ライス)
「神父………、ゴメンなさい。」
「なんでだ!?この僕のドコが悪いというんだい!?」
「そんなことはないわ……、神父はいい人だと思うし、尊敬もしているわ。
でも、駄目なの……。」
「何故?何が駄目なんだ!?」
「……これよ。(そう言って、お腹をさする美智恵)」
「エ゛ッ……?」
「三ヶ月ですって……。そういうわけなの。
アッ、じゃあ、もう時間だからいくわね?それじゃ!!」
「ウ、ソ………?そ、そんな馬鹿なぁぁぁ!?」
その日、真っ白に燃え尽きた男が航空警備員に連行される姿が見られたのは言うまでも無い……。
以上、あの日から三ヶ月経った空港という勝手な自己妄想から思いついた続きでした。失礼いたしましたm(_ _)m (ライス)
- 告白を懺悔に置き換えたわけですね。
結末をあえて書かずに読者に補完してもらう、というのもなかなかいいかもしれませんね。
でも、原作準拠だと神父の暴走は徒労に終わることに・・・。
というわけで、ライスさんにも賛成票を(謎) (マリクラ)
- 続くんかっ!?こっからオチまでもってくの大変だぞ!
……頑張って下さい。期待してます。 (MAGIふぁ)
- 悩んだ末、迷った末、隠し続けた己の胸の内を相手に打ち明ける。
結果は判りきっているかもしれないけれど、それでも伝える事で相手も自分も何かが変わるはずだから。
告白に至るまでの心の葛藤を描き、敢えて結果は描かないことにより、企画のテーマである『告白の瞬間』が見事にクローズアップされていたと思います。
三枚目に徹しきらなかった唐巣神父のこの後は、結果の如何によらず原作とはまた違ったものになったかもしれませんね。
企画への参加ありがとうございました。熱血な唐巣神父、かっこよかったです。 (斑駒)
- この後唐巣は思いっきり失恋して、ヨーロッパ修行に行ったんだと思いますw(←姑息な挨拶)
てことでして、美智恵と唐巣の子供が令子という家庭は、ある意味で面白いだろうなぁと思ってしまいました。が、しかし、もし運命が変わっていたとしたら公彦さんは鉄仮面の独身貴族なんですよねぇ……つ、つらすぎる! それに唐巣が父親だったら、娘の心労で死んじゃうじゃねぇかって心配してしまいます(笑)
でも、運命が変わってたら令子ももうちょっと素直だったカナ?(^^) (矢塚)
- 唐巣神父。信心深く、おそらく二人を大切な友人として、きっちり線を引いた神父が告白に踏み切ることができるかどうか、複雑に思うところもありますが、続きがすごく楽しみです。 (AS)
- これは……大人の男女の危険な香り(?)が何とも……(謎
……是非とも続けて欲しいと願ってはいけませんか?振られても受けいれられても良いですから(ぇ
(……ルシオラ投稿はいつになるかなぁ?) (紫)
- 老神父がなかなか良い味してますね。いろんな人の相談を受けてそこまでわかるんなら、マジメな兄ちゃんにそんな事言うとど−なるかも知っていそうだけどね!
とゆ−わけで老神父に一票!唐巣兄さん、たとえ歴史が変わろうとも僕は貴方を応援します!! (なかんだかり)
- まさか唐巣がこんな思い切った行動を!?Σ(゚ロ゚)
この先の結果はどうなるかわかりませんが、失恋したから唐巣の髪の毛があんなになったのかも(滅)
投稿、お疲れさまでした(^^) (NGK)
- 先輩GSとしてではなく、悩める聖職者としてでもなく、一人の男としての告白。
結果の如何に関わらずこの経験を糧としたからこそ、現在の唐巣神父がいるのでしょうね。
人生の春は遠そうだなあ(ノД`)。(←既に失恋は決定事項(笑))
投稿お疲れ様でした。 (dry)
- ど、どうなってしまうの!!
ねぇ!!この後はどうなるの!?
脳内補完ですか!?そんな殺生なぁ〜 (ノД`)
唐巣を励ました神父がいい味だしてますね♪ (ユタ)
- 老若両神父のやりとりが、いかにもあの時代らしい感じです。
若さ故に突っ走ることの大切さを、失って初めて人は気がつくのでしょう。 (赤蛇)
- 若き日の唐巣神父が熱いですね(笑)
しかし熱さと髪と引き換えに、今現在の思慮深さを手に入れたと思えば・・・っ!(ひどい(笑))
青春の一ページを描き出したハルカさんに賛成の一票を! (ロックハウンド)
[ 前の展開予想へ ] [ 次の展開予想へ ]
[ 戻る ]
管理運営:GTY有志
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa