ザ・グレート・展開予測ショー

横島物語。


投稿者名:香夜月 蕗
投稿日時:(03/11/ 1)

第一話 自分の定め。




『横島、お前の定め…覚えているな?』


低い声だ。誰の声だったか、もう忘れた。
定め…何だったか全く覚えていない。

「定めって何すか?」

誰の姿も見えない暗闇に向かって聞く。
闇は、何も答えない。

「俺の定めって何だ?」

ふと、疑問に思う横島。

(ま、きっと空耳だろーな。)

そう思って、考えるのを止めた。


『まさか、知らなかったというのか?』


また、何処からともなく声が聞こえる。

「何の事だよ?」

聞き返す横島。
何を言っているのか、さっぱり分かっていない横島。


『お前の家、横島家と…美神家は敵同士だという事は知っているな?』


「は?」

耳を疑った。

(美神さんと俺が、敵同士?
いつも、俺をコキ使ってきた美神さんは
実は、敵だからとかいう理由だったりするのか?
というか、この声誰だよ?)

横島は、多々ある疑問を持ちつつ…次の闇の声を待つ。


『お前の定め、それは我が横島家の敵――美神家の子孫を殺す事だ。』


「み、美神さんを殺すっ!?」


いきなり言われた自分の定めに驚く横島。


『そうだ、横島…これは代々から言われ続けている事だ。

美神家を滅ぼせ。』


声が、一気に低くなった。
殺気が感じられる暗闇の中
ただ、声だけが響いている。



「はっ!!」

ベッドから、勢いよく起き上がる横島。
辺りを何度も見回す。
しかし、先程の暗闇とは正反対に
明るい日差しが、部屋を照らしていた。

「なぁんだ、夢か。」

先程まで見ていた夢を思い浮かばせる。

(美神さんが、敵なんて…ありえないよな。)

少し、夢で聞いた声の話を気にかけるが
あまり、気にしないでおこうと横島は決めた。
あくまであれは、夢であって現実ではそんな事はないだろう。
そう、横島は心中で呟いた。

(もし、美神さんに襲撃かけたとしても返り討ちにされるだけだしなぁ。)

はぁ、とため息をつく横島。
そして、目の前に見える急な坂道を登る為、足を前へと動かした。

(まぁ、美神さんに聞くのが手っ取り早い話だよな。)

見上げてみる空は、蒼かった。
しかし、その空がどうも虚しく思った横島だった。




「えぇ、そうよ。」




美神が表情を変えず答えた。

当然、質問した内容はこれだ。


「俺の家と美神さんの家って実は敵同士だったとかしますか?」


否定されるのを期待した横島だったが
簡単に美神は、肯定した。

「ま、マジですかー!!??」

嘘だ、とまだ信じられない顔をする横島だったが
美神は、いたって真面目に言った。

「しかし、誰がそんな事をあんたに言ったのよ?」

半分呆れた声だった。
だが、さすがに夢でとは言えない。

「親切なおじさんがですね、そうです!!親切なおじさんが教えてくれたんです!!!」

無理やり笑顔を作る横島。
しかし、美神は「ふーん。」と言って横島を横目で見る。

「しょうがない。横島、死になさい。」

普段どおりの笑顔で横島に向けて言う美神。

「冗談じゃないっすよーー!!!」

横島、前途多難なご様子。

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