ザ・グレート・展開予測ショー

悲劇に血塗られし魔王 3-A


投稿者名:DIVINITY
投稿日時:(03/10/24)




「待ってたわ。令子。」

美神は驚いていた。

別に美智恵やワルキューレや小竜姫の出現に驚いている訳ではない。

その三人の表情に驚いていた。

美智恵はやりきれないといった疲れ果てた顔をしている。

過去、彼女が仕事時にこんな顔をした事があっただろうか。

そして、ワルキューレと小竜姫はなんだろう。

無表情とは違う。

悲しみ?怒り?哀れみ?

どう言えば良いのか分からないが、あまりよろしい表情ではない。

それに二人の格好だ。

ワルキューレは美神も見たことのない無骨で醜悪な大型の銃を持っていた。

小竜姫はいつもの神剣ではない、長く鋭い澄んだ蒼色の刃を持ついかにも高位の神剣を携えていた。

美神はそれをどうして持ってきたのか、その意図を知らないのに何故か物凄く嫌な予感がした。

例えるなら、自分の何気ない面白く楽しい日常が奪われてしまう。

それ程の極悪な予感だった。

それに先程から気になっていたのだが、自分より先に出たおキヌちゃん、シロ、タマモの姿も見えない。

美神は先にその事を尋ねようと思った。

「ねえ、私より先に出たおキヌちゃん達はどうしたの?」

しかし、美神の問いは無視された。

重苦しい沈黙が流れる。

「ねえ、何が起こったの?」

その沈黙に耐え切れなくなった美神がなんとか会話の切り蓋をつくろうとする。

しかし、返ってくるのは沈黙。

いや、それどころか美智恵の顔はより深い苦渋に満ちた顔になる。

そして、ふと見ると目には涙までもが浮かんでいた。

「ちょっ、どうしたの。ママ!!」

「・・・・ぁぁぁぁ」

やっと、口が開いたかと思えば洩れてくる嗚咽のみ。

「ママ!!」

美神は取り乱していた。

自分が誇りとしている母親のこんな有様はみたことがなかったから。

どんなに絶望的でも最後まで挫けない不屈の自分が理想とする女性が、人の、しかも自分の前で泣いて
いる。

美神は混乱し、小竜姫達の方を見るとなんと、そこでは美智恵に手刀を下ろすワルキューレの姿があっ
た。

「な、なにしてっ・・・・」

言い終える前に美神もまた、意識を失い崩れ落ちた。








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