ザ・グレート・展開予測ショー

彼氏が彼女になったとき!?〜前編〜


投稿者名:ヨコシマン
投稿日時:(03/10/22)


「アルバイトをしてみないアルか?」

真夏の暑い夜の事だった。今日一日の仕事を終え、家に帰る途中で厄珍堂に寄り道していた横島に対して厄珍が言った言葉だ。

「あ〜ん?厄珍さんよ、テメエのそういうお誘いに乗って今までなんか良い事一度でも有ったかよ?」

無理も無い。確かに今まで厄珍に関わっていい思いしたことは、殆どといって良いほど無いのだから。

「確かに今までのは、あくまでもワタシ個人の興味本位による実験だったヨ。でも今回は違うアルよ。名前を表に出せないアルが、とある超有名製薬会社からの依頼アル。だから今回はちゃんとアルバイト料も出るアル。話だけでも聞くアルよ。」

バイト料・・・いい響きだ。時給255円の横島にとって、この話を聞き逃すわけにはいかない。

「・・・話だけだぞ。」
(お!食いついたアル。)

厄珍は心の中でガッツポーズをしていたが、表面上は平静を保っていた。

「仕事内容はとても簡単、この薬を飲むだけアルよ。名前は霊的虚弱体質改善薬言うアル。簡単に言うと霊に対して生まれつき抵抗力の弱い人、取り付かれやすい人を体質から治しましょうって事アルな。」
「明日は休日だし、雪之丞も遊びに来るって言ってるから早く帰って寝るわ。」

危険だと判断したのか、横島はそそくさと店を出ようとした。

「あ!待つアルよ!この薬はすでに動物実験も臨床試験もクリアしてるアル。安全性は保障するアル。」
「だったら何で俺んとこにそんな話がくるんだよ!お前の言ってることは全然信用出来ねーんだよ!」
「まあ聞くアル。この薬、すでに動物実験も臨床試験もクリアしてはいるものの、霊波に何らかの影響を及ぼす可能性が有る、と役所から指摘されてるアルよ。そこで霊波の特に強いボウズに飲んでもらって、その影響をモニターしたい、そうゆうことアル。」

どーにも胡散臭い。筋が通っているような、通っていないような。判断しかねている横島を横目で見ながら厄珍は続けた。

「まあ、確かに10万程度のバイト料で引き受けて貰おうなんて虫が良すぎたアルよ。何処かに引き受けてくれるような漢(おとこ)はいないアルか?」
「目の前に居るじゃないですか!厄珍さん!どんな困難にも立ち向かう、タフ・ガイが此処に!!!」

横島は厄珍の手を取り、熱い眼差しを送る。

「おお!!やってくれるアルか!!流石はGS横島アル!」
(フィッシュオン!!!相変わらずチョロいアルな〜♪)

厄珍の黒い思惑はサングラスに阻まれて、横島に届くことは無かった。


横島が薬を飲み込んだのを確認した厄珍は確認事項を話し始めた。

「今、PM6:35アル。薬の効果は24時間。何か体や体調に変化があったら連絡するよろし。ボウズ、携帯もってるか?」

店内の時計を見ながら厄珍は訊ねた。

「そんなもん持てる訳ねーだろ。」

時給255円ってこと知ってんじゃねーか、と毒づく横島の文句を意に介さず、ワタシの携帯持っていくよろし、と厄珍はポケットから携帯を取り出し手渡した。

すべての説明と準備を終了し家路へと着いた横島は、正直厄珍に対する不信感で一杯ではあったものの、暫くすると報酬の10万円の使い道を考えることで頭の中は埋め尽くされていた。


カーテン越しに朝の光が強烈に差し込む。あまりの暑さに目が覚めた。何気なく目覚ましを手に取ると、時刻はAM11:00を指していた。
(そういえば雪之丞が来るって言ってたな・・・)
昨日厄珍の所で飲んだ薬のせいだろうか、一晩中寝つきが悪く、頭が重い。寝汗を吸い込んだシャツを脱ぎ捨てトランクス一枚になり、とりあえず冷蔵庫の中の牛乳を飲もうとコップを取ったそんなとき、階段を上がってくる音がした。

「おーい、横島?起きてっか〜?」

いつでも鍵など掛けないドアだ、雪之丞もそれを知っている。返事を待たずにドアをあけた。

「・・・!??」

暑さでおかしくなったのか?と横島が思うほど、雪之丞はボーゼンとこちらを見ている・・・いや、よく見ると目のやり場に困っているのか、キョロキョロと視線が落ち着かない。このままでは埒が開かないと思ったのだろう、横島はちょっとイラつきながら声を掛けた。

「おい、そんなとこに立ってないで入って来いよ、雪之・・・!???」

声を出したその瞬間、横島も異変を感じ取る。違うのだ。明らかに、声が。慌てて横島は辺りを見回す。何処かに女が居る?!ニ、三回あたりを見回し、再び雪之丞に視線を戻すと、雪之丞はおそるおそる口を開いた。

「ひょっとして・・・、よ、横島か?」

雪之丞の目の前に立っていたのは、上半身は裸で、下はトランクス一枚の・・・女だ。



「ああっ!!やっぱり!!!こんなこったろーとおもったよ!!ちくしょー!!!厄珍のヤロー!!」

自分の姿を鏡で確認した横島はたわわな胸を全開にして叫んだ。

「と、とりあえず、なんか服を着ろ。」

いくら横島だとわかっていても目の前に女の裸があるのだ、目のやり場に困る。雪之丞は顔を真っ赤にしながら顔を背ける。

これまでの経緯を雪之丞に説明し、さらに1時間に亘る調査の結果、大体以下のようなことが判った。
まず、体はエクトプラズムによる変身ではなく、完全に女性の体である、ということ。
身長 161センチ
体重 49キロ
B89・W49・H60
Dカップ
髪の色は変わらず黒。
もともと男の時から体脂肪など無いに等しい体だったゆえか贅肉の殆ど無い・・・ぶっちゃけナイスバディだ。

「おおー。俺ってすげーなー。」
「(緊迫感が無いのか?コイツは・・・)まあ、とりあえずよぉ、厄珍のヤツがどーせなんか知ってやがんだろ?とっとと行こうぜ。」

時計を見ると12:00をまわっていた。横島は雪之丞の意見に賛成ではあったものの、ひとつ気がかりなことがあった。

「雪之丞、ちょっと確かめたいことがあるんだ。少し時間をくれ。」

いつに無く真剣な横島(女)の表情に押され、雪之丞は了承の返事を返すのを忘れていたが、横島はそれを気にすることなくトイレへと入っていった。



「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!女体の神秘じゃーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
「お前はギネス級の大馬鹿野郎かぁ!!!」

俺にも見せろ!!と喉まで出掛かっている言葉を飲み込んで、雪之丞はトイレのドアを蹴り飛ばした。



                       <後編へ続く>

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