ザ・グレート・展開予測ショー

不思議の国の横島 ―18後半―


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/11/ 5)


<中半からの続き>




「よーし、じゃあ最初のグループ!」

試験官の呼び声で、ステージの袖からゾロゾロと受験生が進み出る。
まったくもって年恰好が全くバラバラな集団だ。事情を知らない人間ではこの集団の共通点を見つけることは難しいだろう。
とはいえ、ここがGS試験会場であるからには、この集団の共通点とは霊能力者であること意外に無い。

「諸君の霊力を審査します。足元のラインにそって並んで霊波を放出してください。」

一次審査は基本的な霊力を審査する。審査員は霊波測定器(例波計)を使って各人の霊波量を見るのだ。
合格の最低ライン45マイト以上。
中止すべき点は、45マイト以上あれば合格なのではなくて、45マイトに届かなければ失格という点だ。

「では始めて!」

―― ゴオオオォォオオオオォォォッッツ!!! ――

合図と同時に、ステージの上には霊波が溢れる。
全員が一斉に霊力を解放し、それらが互いの霊波とせめぎ合いながらも天上に向かって勢い良く昇っていった。

―― ゴオオオォォオオオオォォォッッツ!!! ――

様々なタイプの霊波がひしめき合っている。

「3番、19番、20番、27番!失格だ、帰っていい!」
「くっ!」
「くそう…」

開始早々、霊力が足りないものには次々と容赦の無い言葉が投げられていく。

「よーし、そこまで!」

そして残った者の中でも、審査員にコレはと思わせる物が有った受験者に合格が告げられる。

「2番、13番、38番、45番、君達は合格だ!二次試験会場へ向かってくれ!」

最後に合格者の番号が告げられて試験は終了。これを50人一組で繰り返して合否の判定をしていく。
二次試験の定員は32名。
ちなみに、一時審査では32人よりも多めの合格者が発生するのが通例だ。だいたい50人くらいだろうか?
二次試験の前にそのメンバーから霊力の弱いものが選ばれて落とされることになる。

「よーし次のグループ!」

このように一次試験は進んでいく。
この先は少々つまらないので、ダイジェスト版でどうぞ。

………………

「なんだ、あのノホホンとした娘は?全然霊波を出していないぞ?失格にしましょう!」
「待ちたまえ!彼女は六道家の跡取りらしい。」

キョロキョロと周りを見回すだけの場違いな娘。とても霊能力者とは思えない態度に審査員の1人が失格を告げようとしたが、そこで別の審査員から声が掛かる。

「えっ!?あの六道家!?」
「ならばとにかく霊波の測定をしましょう!」

六道家と聞いて、審査員達の目の色が変わった。

「135番のお嬢さん。精神を集中させたまえ!」
「え〜〜と〜〜私ですか〜〜?」

マイクで声を掛けられ、キョロキョロとしていた冥子が審査員のほうを向く。

「精神を集中〜〜って〜〜良く分からないんだけど〜〜〜霊気を出せば良いんですよね〜〜?」
「そ、そうだ。思いっきりやってくれ。」

あくまでノホホンな冥子に調子を狂わされる審査員達。

「じゃ〜あ〜…思いっきり〜〜行きますね〜〜〜」

―― ゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオオオオオォォォォオオオォォォォォォッッッッ!!!!! ――

「ギャブッ!?」
「ウギャッ?!」
「ダバッ!?」

冥子が発した霊気は凄まじく、ステージ上の人間は冥子を残して皆吹っ飛んだ。

「こ、これはなんと…」
「れ、霊波計が針を振り切って…」

―― ボンッ! ――

気を失うもの多発。ステージに張ってある結界がギシギシと音を立てて歪んだり、霊波計がメーター振り切って爆発したり……
とりあえず、このグループの合格者は冥子だけだった。

………………

「ピートお兄様、大丈夫ですか?」
「だ、だだだだ、大丈夫だ!ア、ア、ア、ア、アンこそ、緊張してない、ないか?!」

こちらは、アンとピート。ピートがガチガチに緊張しているのをアンが心配そうに覗き込んでいた。

「ふん、情けないのう。この程度の事で緊張しおって……」
「え?」

と、そこに黒マントに身を包んだ、大柄な老人が声を掛けてくる。

「あ、貴方はドクター=カオス?!」
「うむ。いかにもカオスである。」

その老人は、ヨーロッパの魔王としてこの世界ではあまりにも有名な男、不老不死の錬金術師ドクター=カオスだった。

「ワシの見たところ、貴様はただの人間ではなかろう?どうやらバンパイア……バンパイアハーフといった所かの?それだけの霊力を持っておれば、間違いなく合格じゃよ。」
「す、すみません……それは、一応自分でも霊力の大きさにはそれなりの自負があるのですが……それでもこの緊張だけはどうしても…」

カオスは一目でピートの正体を看過する。その上で、霊力の大きさまでも読み取り、ピートに声を掛けにきたらしい。
そしてピート自身にも自分の霊力が人間に比べて大きいということは分かっていたのだが、この緊張は結局の所それとは又無関係なようで…

「もう、ピートおにいさまったらこういう大舞台に弱いんですもの。」
「なに……それでも試験が始まればなんとでもなるじゃろう。所詮は、ただ霊波を放出するだけじゃからな。」

カオスはまるで、長年の知り合いのように2人に優しく語りかける。
アンとピートは伝説の錬金術師の意外な一面に触れ、彼に対して好感を持った。

「おっと……すまんな。歳を取るとつい口を出したくなってのう。」
「い、いえ!有難う御座います。なんだか緊張が解けてきました。」

照れ笑いを浮かべるカオスに、ピートは頭を下げて礼を述べる。
これが良かったのかどうか、ピート、アン、そしてカオスも揃って一次審査を突破した。
なんだか、ちょっと良い話だ…

………………

「ったく!なんでアンタなんかと一緒の組で試験受けなきゃいけないワケ?!」
「こっちの台詞なのよ。あーヤダヤダ。」

一方こちらは、先程最悪の初対面を果たした令子とエミ。
隣同士になってしまったからもう大変。
ステージの袖にいたときから、ずっとこんな感じである。

「そういえば、さっき主席合格がどうのって言ってたわね?アレって本気なワケ?」
「当然でしょう。私が一番強いもの。まあ、さっきの式神使いの娘はちょっと厄介だけど、やり様はいくらでもあるわ。」

ちなみに今は既に試験中だ。お互いにあさっての方向を向きながらも適当に霊力を放出し、尚且つ器用に罵り合いを続けている。

「気の毒だったわね。今年の主席合格はアタシなワケ。アンタも運が悪かったわね。」
「はぁ?ぷっ!何それ?ちょっと面白いギャグね。GS試験なんか受けてないでお笑い登竜門にでも行けば?」

―― バチバチバチバチ! ――

2人の視線が交わり、激しい火花が飛び散った。ちなみに比喩ではない。ステージは今霊力の溜まり場となっており、そこでは強い念は時として形を成す。
ま、つまりは視線と一緒に飛ばした霊波がぶつかり合って放電してるんだけど。

「それ以上言ったら、命の保障は無いけど?」
「アラ、奇遇ね。私も同じ事を思ってたわ。」

一触即発。周りにいる他の受験生も気が気ではない。

「あ〜…どうでも良いが、もう審査は終わったんで引き上げてくれんかね?君達2人とも合格だから…」

審査委員長が恐る恐る声を掛けたりしていた。

………………

以上、ダイジェストでお送りしました。










「どう、雪之丞?あたしたちの敵になりそうなのはいた?」
「まあな。女が3人とバンパイアハーフ、それに変な坊主モドキ……なかなか粒が揃ってるぜ、今年のGS試験は。」

黒い胴着を着た男が2人、茶を啜ったりおにぎりにパクついたりしてなにやら話をしている。

「だが、いずれにせよ主席合格は俺達がいただく!ゴーストスイーパーのエース!おいしい…!おいしすぎるぜっ!!」
「ほっぺにごはんつぶついてるわよ、雪之丞。」

胴着の胸の部分には白龍の文字。
彼らは一体何者なのか?!そしてその目的は!?

―― まあ、とりあえず ――

存在感で娘さん達に負けてるぞ!
彼らの活躍に期待しつつ、以下次回。



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