ザ・グレート・展開予測ショー

知ってるようで知らない世界―6(前半)―


投稿者名:誠
投稿日時:(03/11/ 7)







「横島君、おキヌちゃんいくわよ。今日の依頼は病院からよ。国連からも賞金がかけられている悪魔、ナイトメアが相手らしいわ!」

美神はそういうと横島、おキヌとともに車に乗り込み病院へとむかった。





病室の中はなんというか・・・異常だった。浮かんでいる子供、その周りを激しくまわる家具や最新の医療機器そしてなぜか一緒になって回転している、熱く現代医学について語っていた医者。

本当にこの状態は異常としかいいようがないだろう。しかし回っている医者はまだ原因不明の発作だなどと叫んでいる。
あそこまで自分を信じきれるとは・・・あきれるを通り越して尊敬してしまう。

「まあ、あの医者はいいとしてさっさと終わらせたほうがいいようね。」

美神さんはそういうとなにやら呪文を唱え始めた。
突然家具、そして医者が落ちてきた。
最後に美神さんが念を送ると子供はビクッと震えると地面に向かって落ちてきた。

「おっと。」

おれは考えるより先に体が動いていた。子供をキャッチするとベッドに横たえる。

「う、う〜〜〜ん。」

「大丈夫か?」

子供が目を覚ましたようなので驚かさないようにやさしくたずねる。
その瞬間子供は目を大きく見開くと一目で人のものではないとわかる凶悪なまなざしでおれの目を見る。

「がっ!!!」

短い苦しみの声とともに俺の意識は暗いどこかわからないところへと落ちていくようだった。
不思議と心地よい感覚を感じながら眠りについた。






「ちょっと、横島君?横島!だめだわ、出て行ったと思ったけどまさか横島君に乗り移るとは・・・やられた。」

「美神さん!どうすればいいんですか?早くしないと横島さんが!」

「今はまだ大丈夫よ。でも助っ人を呼ばないとね勝てそうにないわ。」

「えっ、でも美神さんナイトメアはたいしたことないっていってたじゃないですか。」

「乗り移ってる相手が一般人ならね。でもやつは横島君に乗り移ったわ。横島君は小竜姫が作ったトレーニングを似合わないことに毎日まじめにこなしてるのよ。いまや霊力だけなら私と互角かそれ以上だわ。そんな体を手に入れたあいつを体外から除霊するのは不可能よ。」

「そうですか。で、助っ人って誰を呼ぶんですか?」

「それは来てのお楽しみよ。私は道具を取ってくるからおキヌちゃんはここで横島君を見といて。」

「はい、分かりました。」





美神が出て行った病室、おキヌは横島の安らかな寝顔を見ていた。
自分の中でこの少年が大きな存在になったのはいつからだろうか。

最近どんどん強くなる彼をそばで見てきたから? 違う!
命を助けられたから? 違う!
時折見せる本当の彼の顔それがあまりに儚げでしかしそのとき不思議とひきつけられる表情と雰囲気にひかれた? たぶんそれだ。

強くなる彼への憧れ、見をていして自分を守ってくれたことへの感謝たしかにそれもある。
彼が普段明るくつくろっている表情。しかしたまに悲しそうな、とてもつらそうな寂しい表情をする。

それは決まって夕焼けが沈むころ、何でそんな顔をするのか?彼に聞いても分からないという。

でもやはりその表情はいつも明るくみんなを楽しい気分にしてくれる太陽のような彼とは正反対の儚げでいまにも消え入りそうな月のような表情。

女性の自分が美しいと嫉妬してしまうほどの顔。
覚えていないはずなのにかれの心を痛めるものそれほどまでに彼の心を捕らえれるものそれが自分であったら・・・。





「おキヌちゃん。」

令子に呼ばれておキヌは自分の思考から抜け出してふりむいた。

「おキヌちゃん〜、横島君が大変なんですって〜私も〜手伝うわ〜。」

六道冥子と、

「横島君の様子はどうだい?早くしないと霊力をすべて吸い取られてしまうかもしれない。」

唐巣神父と、

「友達が大変なのにほっとくことなんてできませんよ。」

ピートそして、

「冥子の式神ハイラで横島君の精神世界に入り込んで直接ナイトメアを倒すわ!冥子用意して。」

美神令子がいた。
冥子は影の中から毛玉のような式神・ハイラを出すと一人づつ横島の精神世界に送り始めた。
冥子は最後に自分の頭の上にハイラをのせると自分も精神世界に入っていった。
後には寝ている六人と生物図鑑で人の影から出てくる生き物について調べている中年の医者が残されていた。







「ここが横島君の精神世界・・・。」

全員いろいろな意味でためらっていた。横島の精神世界ならもっと明るいものだと思ったのだがなんといっていいのか、はっきりいって当てが外れた。

月明かりで照らされた城は古くなにやら近寄りがたい雰囲気を持っている。城へと続くガラスでできた道、そして閉ざされた城門は自分達を受け入れてくれるのか不安になる。
しかし、なんといってもおかしいのは城に巻きついている鎖だった。城を封じるように覆っている鎖は血のような真っ赤な色をしていた。

「行くわよ。」

令子は自分を奮い立たせるように全員を鼓舞し、ガラスの道を通って城門の前にたどり着くとおもむろに叫んだ。

「コラ!横島〜〜〜あんた丁稚の癖に引きこもりとはなに考えてんだ〜〜〜。」

しかし何の返事もない。

「横島く〜ん私達お友達じゃな〜〜〜い。い〜れ〜て〜。」

しかしまたノーリアクション。
城に向かって怒鳴っている令子と思わずなきそうになっている冥子。このふたりを見る三人の常識人の額には冷や汗が光っていた。

その時、五人の周りを光が点滅しながら回り始めた。

「なにこれ、蛍?」

「き〜れ〜い〜。」

令子は攻撃を、冥子は涙をストップさせて確認する。

二人が落ち着いたのを見た残りの三人も近づいてくる。すると蛍はまばゆい光を放ちはじめる。

―ゴゴゴゴゴゴ・・・ガタンッ―

門が開き、蛍はまるでついてこいというようにゆっくり進み始める。

五人はとまどいながらも後をついて薄暗い廊下をあるいていった。




たくさんの扉がある。それは綺麗に輝いている扉、しかしすべて鍵がかかっている。

廊下の突き当たりに、

―――――関係者以外絶対立ち入り禁止―――――

とかかれたドアがあった。なぜかこれには鍵がかかっていない。

「横島君のくせに生意気ね!」

おキヌ達が止める間もなく美神は容赦なくドアを開けた。



しかし、この扉がなぜ立ち入り禁止なのか・・・令子たちは知ることになる。









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