ザ・グレート・展開予測ショー

悲劇に血塗られし魔王 2


投稿者名:DIVINITY
投稿日時:(03/10/23)



魔界のとある宮殿。

その宮殿の主がいなくなり、もはや何回太陽が巡っただろうか。

宮殿の中は、誰もいずガランとしている。

ついこの前までのここでの喧騒がなつかしい。

玉座に通じる広々とした廊下を歩くとカツーンカツーンと寂寥の念とともに響く。

そしてより一層広い大広間にでる。

自分の対極側に玉座があり、そして男と玉座を結ぶラインの中央には鎖でガチガチに固定された丸い球体があった。

その球体はそれ事体が小さいが内に秘める力は凄まじい。

「アシュタロス、主は何を見たというのや。わては、一体何を知らんというのや」

その球体を見つめながら一人ごちる。そして、一体どれだけの時間が過ぎたろうか。

男は目を伏せ、再び話し出した。

「主の代わりとなる者が現れたんや。皮肉やな、そいつは主を倒したやつやったんや。今、そいつは魔族の因子の暴走で死にかけとるのやが・・・・・・わては、悲劇が嫌いなのは主がよく知っとるやろ。主はよく「それでも魔族の頂点に立つものか!!」と怒鳴っておったが嫌なもんはしゃーないやんか」

ここで一息つき、また話を続ける。

その顔はまさに無表情。

しかしその身に纏う雰囲気には弱冠の変化があった。

それは、憤りか、はたまた、後悔か。

それとも、これからだろう事への抑えきれぬ恐怖故か。

「まぁ、矛盾しているのは良く分かってるんやがな。魔族ってのは単純に極端にいえば、悲劇をどれだけ作って何ぼの存在やからな。だがよ、わかるやろ。主の『魔王の核』を手に入れたものの進む道を。お前が一番それを知ってるんや。だからこそ、正直に言うんや。わてはそいつにこれを与えてよいのかとな。直感が叫ぶんや。そいつが魔王になれば、魔族ですら恐怖するであろう、悲しむであろう、惨事
を生み続け、やがては神・人・魔、全てを巻き込んでのものになるって!!」

「・・・・・・・」

「分かってはいるんや。だとしたって与えなくてはならないことぐらいはな・・・・分かってるんやよ。すまんかったな。くだらない愚痴に付き合わせて。しかしわてが愚痴をこぼしたのは長いこと生きてきて初めてのことやな。それ程、警戒してるってことかいな」

男は話しながら無造作に手を『魔王の核』に向かって振るった。

ガシャーンという音と共に鎖が砕け散る。

そして男の手には『魔王の核』が握られていた。

玉座に再度目を向ける。

「これは予言や。そいつは魔王になったらこう呼ばれるやろ」

「『悲劇に血塗られし魔王』」

「史上最も過酷な戦争の開幕は近い」



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「これは一体どういうこと!!」

悲鳴ともつかぬ声を上げたのはもはや世界的にも有名になった、かの「アシュタロス戦役」の英雄達の一翼、美神令子だった。

異変に気づいたのは、おキヌちゃんに横島が遅刻していることについて何か知っていないかということを話していたときだ。

何もなかった空間に突然ふっと、得体の知れないものが現れたかのごとく、つい先ほどまで感じていなかった魔力を突如感じ取ったのだ。

強さにすれば、中級魔族の頭角レベルである。

これは、大事件であった。

それを感じてからの美神の行動は速かった。

必要最低限の道具を持つと朝食の最中のシロとタマモの首根っこを掴んでおキヌとともに現場へと急行した。

気が気でない状態の中で、皆の心の中では一つの疑問が浮かんでいたが、誰も口にすることはなかった。

そして着いた先は、横島の住むアパート。

そこでは、検問が敷かれ、アパートに住む人たちも退去させられていた。

美神は検問に立つ警官に身分を提示し、皆と中に入り一目散に魔力の出所場所へ向かう。

そしてある一つのドアの前に立った。

皆、予測していたようだ。

息を飲む音がしても驚く声はない。

(横島君・・・・)

(横島さん・・・・)

(先生・・・・)

(ヨコシマ・・・・)

一体中で何が起きているのか。

なぜ、横島の霊力が感じられないのか。

疑問と疑問が交錯する。そして一つの最悪な可能性が導かれる。

『魔族が横島を殺したのではないか』

いや、そんなまさか。横島に限って。

でも、違うとしたら、ほかにどう説明するのか・・・・・

皆はどうしても浮かんでしまう最悪な推測を打ち消し、やがて中へと入る決意を固め中へと入った。




中は瘴気の霧が充満し、視界が晴れない。

それでも、何とか見える程度にはなっている。

「横島君、いたら返事して」

美神の掛け声に返る返事はなかった。

魔族の声もなかった。

皆は顔を見合わせ同時に頷くと部屋の奥へと進んだ。

横島はすぐに見つかった。

さして広くない部屋の真ん中で寝ている。

どうやら無事のようだが、安堵のため息は誰からも吐かれなかった。

むしろ、驚愕の表情を顔に表していた。

「これは一体どういうこと!!」

横島の身体は青い光に包まれていた。

そして青い光の正体はこの場の誰もがすぐ解った。

それは魔力。

そしてそれを放っているのが横島自身であることも明白であった。

「よ、横島さんっ!」

おキヌちゃんが横島に駆け寄ろうとするが、その青い燐光に触れる直前にビクッと動かなくなった。

「どうしたでござるか。おキヌ殿」

シロがおキヌちゃんに声をかけるが反応がない。

訝しげに思い、おキヌちゃんに近づき、顔を覗き込むとおキヌちゃんの顔は蒼白で、よく見れば体中が震えている。

「おキヌ殿!!どうしたでござるっ」

「どうしたの、おキヌちゃん」

美神もいつの間にか近づいていた。

二人でおキヌちゃんの身を案じる。

「・・・・・ぁ」

「・・ん、何か言った。おキヌちゃん」

「・・・ゃぁ、ぃゃぁ、」

「何が嫌なのでござるか!おキヌ殿」

シロが大声で問いかけるが、全く聞こえている素振りがない。

「一体どうしたの、しっかりして、おキヌちゃん」

「・・・・無理よ」

「えっ!!」

いままで黙っていたタマモが口を開く。

目は横島に向いているため、それが独り言だったのかと錯覚を覚える。

「おキヌちゃんはいま、錯乱状態よ。なにがあったのか解らないけど落ち着くまで、そっとしておくのがベストね」

淡々と語るタマモの姿は何か違和感を感じさせた。

しかし、それにシロは気づいていないのか憤慨した様子でタマモを睨む。

「おい、クソ狐。それは白状ってもんでござろう。おキヌ殿は・・・・」

と、何か言いかけてから口をつぐむ。その顔には怯えという感情が浮かんでいた。

シロは動かぬおキヌちゃんを抱え、部屋の外へとダッシュした。

「ちょ、ちょっとシロ!!」

突然のその行動にどうにも対応できず、声で呼び止めるのみ。

しかし、止まるわけもなくシロはすぐに部屋から出てしまった。

「な、何なの」

「美神、一旦出ましょう。」

「何で?」

タマモは全く気づいていない様子の美神をすこし侮蔑し、哀れみ、羨ましく思った。

「ここにいれば、あなたも私もあの娘のようになるからよ」

そう言い放って踵を返した。

「ちょっ、んもう、一体なんだってのよ!!!」



部屋の外に出るとそこには美神令子の母、美智恵と小竜姫とワルキューレが待っていた。

「待ってたわ。令子。」



DIVINITY

おわー、駄文っす。下手です。文才ないっす。恥ずかしい限りです。

でも、なんとか皆さんに読んでいただけるようなSSにしたいと思ってます。

頑張りますんでよろしく。コメントあると嬉しいです。

P.S.上記には関西弁の台詞がありますが、あまり関西弁らしくないことをお詫びします。

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