ザ・グレート・展開予測ショー

ルシオラ危機一髪!(下)


投稿者名:湖畔のスナフキン
投稿日時:(03/10/19)

※この話は、『ルシオラ危機一髪!(上)』から読んでください。そうしないと、たぶん後悔します。








































「な、何だ、お前は!」
「我こそは正義と愛の謎の宇宙人、ヨコシマン! うら若き女性に対する暴行を見逃すわけにはいかない。成敗してくれる!」
「き、貴様、横島忠夫か!」
「フッ、私は横島忠夫という人物ではない! 私は横島クンそっくりの人間が大勢住むヨコシマ星からやってきた宇宙人なのだ!」

 ここで解説をせねばなるまい。
 本人は否定しているが、ヨコシマンの正体は横島である。
 かつて横島には韋駄天・八兵衛が乗り移っていたが、今は八兵衛に退治された九兵衛が力を貸している。
 まずルシオラが、『召』『喚』の文珠で横島を強制転移して呼び出す。
 次にルシオラの合言葉で天界からやってきた九兵衛が、呼び出された横島と合体するのである。



「何をわけのわからんことを! 貴様もまとめて討ちとってくれるわ!」

 黒麒鉾は剣を振り上げ、ヨコシマンめがけて斬りかかった。

「気をつけて! その剣は霊力のシールドを切り裂くわ!」

 ルシオラがヨコシマンに向かって叫んだ。

「フッ。これしきの攻撃、シールドを張るまでもない!」

 ヨコシマンは左手で黒麒鉾の剣を払いのけると、そのまま右ストレートを繰り出した。

「ヨコシマン、メガトンパーーンチ!」
「ぶごっ!」

 ヨコシマンの右ストレートは、見事に相手の顔面に入った。
 黒麒鉾はそのまま空中を舞い、数メートル後ろまで弾き飛ばされてしまう。

 ズシーン

 黒麒鉾は音をたてて地面に落ちた。

「ゲホッ、ガホッ」

 黒麒鉾は咳き込みながら、立ちあがった。

「クッ! 私の崇高な使命を、脇から出てきた得体の知れないヤツに邪魔されるわけにはいかん。排除してくれるわ!」

 黒麒鉾は腰を落とした姿勢でかまえると、両手に霊力を集中した。

「ぬうううぅぅぅぅっ!」

 あまり近寄りたくないような掛け声で、気合を溜める黒麒鉾。
 やがて黒麒鉾の両手に巨大な霊力が集結し、高エネルギーの球が形成された。

「これでも食らえっ!」

 黒麒鉾がエネルギー球を、ヨコシマンめがけて発射した。

「ヨコシマン、ウルトラスペシャル・サイキックソーサー!」

 ヨコシマンは両手を突き出し、両手の間に霊力のシールドを張った。
 そこに黒麒鉾のエネルギー球が命中する。

 ズドーーーーン!

 大爆発が起こり、ヨコシマンは爆風と爆炎に飲み込まれていった。




「ハァハァ、ようやく片付いたか。手間をかけさせおって」

 黒麒鉾は肩で大きく息をしていた。

「次は、お前の番だな」
「いいえ! ヨコシマ……いえヨコシマンは、あれくらいのことで死にはしないわ!」
「私の全力の攻撃を受けたのだ。人間であの攻撃をしのげるわけがない。何を根拠にしているのだ」
「彼を支えるのは、愛の力。彼と私の愛は、そう簡単に破られはしないわ」
「何の戯言を……ハッ!?」

 もうもうと舞い上がる爆炎をバックにして、一人の男が近づいてきた。
 その足取りは力強く、少しも乱れがない。

「まっ、まさか……」
「愛と正義の使者、ヨコシマン! あれしきの攻撃でくたばりはしないわ!」
「ぬぬっ!」

 黒麒鉾はたじろいだ。
 その後ろでルシオラが、「ヨコシマーーン! ス・テ・キ♪」と飛び跳ねているのがご愛嬌である。

「今度はこちらの番だな。いくぞ、ヨコシマン、外道焼身霊波光線!」

 ヨコシマンは右手の指を二本立て、口元に指先をもってかまえた。
 するとヨコシマンの額から、光線が発射される。

「くそっ!」

 黒麒鉾は盾で防いだ。だが盾にどんどん圧力が加わり、表面に幾筋ものひび割れが生じる。

「バ、バカな! 天界でも有数の俺の盾が……」
「フッ、その盾が何であろうと、俺とルシオラの愛の力にかなうと思ってか! ハッ!」

 ズドーーン!

 とうとう盾が打ち破られ、黒麒鉾は光線をもろに浴びてしまった。

「グワアアアァァァッ!」

 全身に光線を浴びた黒麒鉾は、大きな悲鳴を上げた。

(何かが、何かが間違っている! 世間は不条理だ……)

 意識を失う前に、黒麒鉾はそう思った。




「ヨコシマーーン!」

 敵を倒したヨコシマンに、ルシオラが抱き着いてきた。

「もう、本当にス・テ・キ(はぁと)。さすが私のヒーローね!」
「あ、あのさ、ルシオラ。悪いんだけど……」

 すっかり元の横島の口調に戻ったヨコシマンが、ルシオラに話しかける。

「もう、こんな真似は止めにしないか?」
「えーっ、どうして?」
「だって……恥ずかしいよ、俺」

 やはり人前でランニングシャツと短パン姿をさらすのには、抵抗があった。
 さらに顔をスカーフで隠していても、分かる人にはすぐに正体がバレてしまう。

「そう……。美神さんやおキヌちゃんたちにはできても、私にはできないというのね!? もう私のことを、愛していないの?」

 ルシオラはすねた表情で、横島の目を見つめた。
 これには、さしものヨコシマン……いや横島もたじろいでしまう。

「そ、そんなことないさ! 愛しているよ、ルシオラ」
「じゃあ、次もよろしくね♪」

 ニッコリと笑うルシオラを前にして、横島は大きなため息をついた。

「そんなにガッカリしないでよ。今晩はたっぷりサービスしちゃうから♪」
「今晩って言っても、もう時間がなんだけれど……」

 既に夜の時間は終わろうとしていた。東の空がうっすらと明るくなっている。

「じゃあ、今日の仕事はお休み!」
「そんなこと言っても、仕事の予約が……ムゴッ!」

 話している途中の横島の唇を、ルシオラは自分の唇で強引にふさいだ。
 そのまま、三十秒ほど経過する。

「今日の仕事は、お休みね♪ 予約はキャンセルしておくから」
「……まぁ、たまにはこんなのもいいかな」

 こういうカップルのことを、世間では『バカップル』と呼ぶのであろう。


(お・わ・り♪)



《あとがき》

某チャットでの出来事です。

湖畔のスナフキン > 実はルシオラはパワーがあるだけで、技はかなり少ないです。
ハルカ > ルシオラが「助けてぇ〜!!ヨコシマン!!」と叫べばヨコシマンが現れて敵を一掃してくれますw>ルシの技
湖畔のスナフキン > うっ、ハルカさん、そのネタはもらいました!!! 今度チャレンジしてみます(核爆)

これがこの話の元ネタとなりました。
ハルカさん、サンクスです!

ちなみに、前作『ひのめ危機一発!』とこの話では、あんまり関係はありません。

なお黒麒鉾(こくきほう)についてですが、名前は適当に付けました。
マンガの封神演義に出てくる某キャラと名前が似ているのは、ただの偶然です。(笑)

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