ザ・グレート・展開予測ショー

秋さがし  その5


投稿者名:BOM
投稿日時:(03/10/30)

前回のお話
見事松茸・・・らしきものを見つけたシロタマ。横島とおキヌと雪之丞はまだなんも見つけておらず・・・
さっさと見つけた方がいいんじゃないか!?

今回のみサブタイトル付きでお送りします。サブタイトル「ラブ・コメ、してますか?」



「そーいや、松茸ってさっき言ったアレでいいのか?なんか今頃になって不安が・・・」

自分の言ったことに対して不安になる雪之丞。
なにしろ昔の話、完全に覚えているほうがスゴイというものである。

「まぁいーか。どっちにしろ、松茸が食えんでもメシにはありつけるハズだし。」

う〜む、ポジティブというかなんというか・・・とにかく強い男である。何気に目的が松茸探しから食事へと変わっている。さすがは横島のライバル(自称)。だが・・・

「・・・ふぅ・・・」

雪之丞、深いため息を1つつく。

いいかげん疲れた。いくらこの俺でもこんなに飲まず食わずではそろそろ限界だ。
早くメシ食って横島のトコに行かなきゃならんのに・・・そうだ、一刻も早く、横島のトコへ・・・というよりは山を下りなければ。

そんなことを考えていると遠くから、

「雪之丞殿!雪之丞殿!“松茸”が見つかったでござるよ〜」 という声が。

何っ、見つかったのか?よしっ、これでようやくメシにありつける!

ガサガサガサガサ・・・

おっ?シロがきたか・・・・・・・・・・・って!

「なんじゃそのカゴは〜!?」
「え?何がでござるか?」

雪之丞之見たそれは、それはそれは大きなカゴ。
カゴ一杯に溢れている栗とか竹の子とかワラビとか銀杏・・・それがたくさんあったそな。
なんか尾ひれがビチビチいってる魚もいるよーな気がするのは気のせいだろうか?
いや、気のせいではない。だって尾ひれから水がかかってるんだから。

「・・・それは一体どーしたんだ?それは?」

顔にかかる水しぶきは気にせず、というか無視してシロに聞く雪之丞。
シロは答える。

「え?これでござるか?美味しそうな匂いのするものを集めてたら・・・」
「こうなったと?」

こくりと頷くシロ。
全く疑念のない、晴れ晴れとした顔である。輝いている。

もうダメだ。これ以上何を言ってもムダだ。
『その魚はなんなんだ?』と聞いたって、『美味しそうだったから』でお終いだ。
喉元まで出かけてきていた疑問を飲み込んで聞いてみる。

「そのさか・・・いや、松茸は見つけたのか?」
「見つけたでござる!これでござるよ」

そういって先ほど見つけたキノコを差し出すシロ。
うん、相変わらず毒々しい、赤くて青い斑点のキノコ。・・・が、

「・・・ん?・・・おぉ!おお!?これだ!思い出したぜ!これが“松茸”なんだ!」
「そうでござるか!?やっぱりこれが“松茸”なんでござるな!?」
「あぁそーだ!よし、でかしたぜシロ!早速横島んトコ行くぜ!」
「ハイでござる!」

・・・とてつもない勘違いな、それでいてハイテンションな者達が、ここに約2名。
山頂に向かって出発したのであった。


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「おキヌちゃん、そっちあった?」
「ないです、横島さん」
「どーする?もう少し探してみる?それともあきらめる?」
「そーですね、もうちょっとだけ探してみましょうか」
「わかった、じゃあ何かあったら教えてね」
「わかりましたぁ」

俺とおキヌちゃんは松茸をあきらめて他のものを探すことにした。理由はおキヌちゃんが、

「あ、そういえば私、松茸は中腹に生えるって聞いたことあります。」って言ったからで。

さすがにいまから中腹に行ってたんじゃ時間がなさ過ぎる。
それよりなら他の秋の味覚でも見つけた方がお得だろう、ということになった。

・・・さっきのことは・・・うん、なんとか許してもらった。
数十秒間にらまれたあとで、

「もういいですよ、松茸、探しにいきませんか?横島さん?」って言って。

でもその後なんか嬉しそうだったのは何でだろ?う〜ん、まぁいいか。とにかく今は一刻も早く・・・
秋、見つけないとな。美神さんに殺される・・・



「う〜ん、ないですかね?別に松茸じゃなくてもいいんですけどね」

さっきからずっと探してますけど、全然見つからないんです。秋の旬なものが。
でも、全然辛くはないです。だって、さっき横島さんが・・・

「よっし、これからはおキヌちゃん一本で行こう!」って、言ってくれたんですもの。

あれがホントだったら、これ以上嬉しいことはありません。
ずっと横島さんのことが好きで、今まで・・・それなりにアピールしてきました。
それでも横島さんったら、全然気づいてくれないんですもの。・・まったく、鈍感なんだから。
でも今、それが実ろうとしているんです!2人でずっと一緒にいれるんです!2人の愛の巣の第一歩なんです!
これからお付き合いすることになっちゃって、そしたら手なんかつないで、一緒にデートしたりして、買い物したりして・・・
それで、それで、その・・・ぼっ!!
あうあう、また暴走しちゃいました。それはまだ先のお話ですよね?

でも、もしあれがウソだったら・・・本心じゃなかったのなら・・・私は・・・
こんなこと考えちゃいけないハズなのに・・・何でなんでしょう?
やっぱり、横島さんだけじゃなく、私の心のどこかにも、ルシオラさんのことが気にかかってるんでしょうか?
突然現れて、見事横島さんを射止めたあなた。正直、恨めしく思いました。
でもその反面、羨ましくも思ってたんです。
私も、あなたみたいに勇気があれば・・・そう思ったことが一体何度あったことでしょう?
夜も眠れないで、そう思ったことが、一体・・・
ルシオラさん?もし、今、こんな私を見てたら・・・あなたのその勇気、少しだけ、ほんの少しだけでいいんです。
どうか私に・・・譲ってもらえませんか?横島さんに、告白する勇気を・・・
“あなたのことが・・・好きです”と、面と向かって言える勇気を・・・



「お〜い、おキヌちゃん?どこ〜?」

そんなことを考えてると、横島の声で現実に引き戻される。

「は、はいぃ!?こ、ここですぅ!」

あわてて裏声になってしまうおキヌ。

「あ、いたいた。おキヌちゃん、さっき見つけたんだけどさ、これ」
「あ、これって松茸じゃないですか?」
「え?そーなの?あっちにたくさんあっただけど」
「じゃあもっと持って行きましょうよ。美神さん、喜びますよきっと」

2人は先ほど横島がいたところに移動。するとそこには、

「わぁ、すごいじゃないですか。いっぱいありますよ」
「じゃあ全部持ってこうか?」
「全部じゃ多すぎですよ。でも持って行ける分は持って行きましょう?」
「そーしよっか」

しゃがみ込んで松茸を集める2人。もう手に入りきらないほどになってしまった。

「そろそろいいんじゃない?おキヌちゃん」
「そうですね、じゃあ行きましょうか」

立ちあがる2人。だが・・・

「キャッ!?」

おキヌがバランスを崩して倒れそうになる。どうやら足下に石があったようだ。それを横島、

「危ない!!」

がしぃっ

おキヌちゃんの頭と背中あたりを押さえ込む。
力一杯押さえたおかげで倒れるのを防いだが、力をいれすぎたせいで・・・

ぎゅっ・・・・・・

おキヌちゃんを抱きしめる形になってしまった。

「大丈夫?おキヌちゃ・・・え??」
「あ、ありがとうございます。横島さ・・・よ、横島さん!?」

今の状況に気づく2人。
どっくん、どっくん。まるでお互いの心臓の鼓動が聞こえるような、そんな気がする。

(ま、また怒られる!?)
「ゴ、ゴメンおキヌちゃん!」

そう言って離れようとする横島。だが、

ぎゅう・・・

おキヌが横島の服を掴む。驚く横島。

(お、おキヌちゃん!?)
「・・・横島さん?」
「はっ、はいっ!?」

今度は横島の声が裏返る。

「1つだけ・・・聞いてもいいですか?」
「な、何を?」
「さっき言ってくれましたよね、“これからはおキヌちゃん一本で行こう!”って。あれ・・・本気ですか?」
(さっきのって・・・それだったのか。何で迷ってるかな?そんなの・・・)
「・・・そんなの、決まってるじゃないか。ホントだよ・・・本気に決まってんじゃないか」
「でも横島さんは、ルシオラさんのこと・・・今はどう思ってます?やっぱり、忘れられませんよね?」

“ルシオラ”という言葉を聞いたとき、横島の表情が確実に変わった。
それは焦りが混じったような、それでいて決意がうかがえる表情で。

「・・・うん。ルシオラは、心から俺が惚れた女だ。決して忘れることなんてできない。
 絶対に守る、そう思っていた。俺にとって、アイツは“必ず守るべき女性”なんだ。」
「やっぱり・・・」
「でも、それはおキヌちゃんも同じ。おキヌちゃんはルシオラと同じ、いやそれ以上かもしれない、
 “守らなきゃならない、一番そばにいて欲しい女性”俺にとってはそんな存在なんだ」
「!」
「だから俺は、精一杯おキヌちゃんを守る!こんな風に言うとおキヌちゃんがルシオラの代わりのように
 聞こえるかもしれないけれど、ルシオラの分まで、絶対におキヌちゃんを愛してみせる!」

その眼には偽りはない。純粋な決意が溢れてきている。この人は、全然ウソを言ってない。そう確信したおキヌ。

「じゃあ私からも言わせてもらいます。すうーっ、はあーっ・・・」

深い深呼吸をするおキヌ。そして、

「私は・・・あなたのことが・・・好きです。ずっと、一緒にいてくれませんか?」
「もちろん、喜んで受け入れましょう」
「ふふふ・・・」
「はははははは・・・」

なぜだか笑ってしまう2人。そして、時が止まる・・・

「おキヌちゃん・・・」
「横島さん・・・」

2人が見つめ合う。おキヌちゃんが目を閉じる。もう言葉なんていらない。
横島がそっとおキヌちゃんの顔に近づいて・・・

2人の唇が触れあう・・・




その瞬間、「「「あーーーーーーーーーっ!!」」」と、両方向から声が。
驚いて見てみると、雪之丞、シロ、タマモがそこに。びくぅっとなって離れる2人。
ラブコメのお約束『とてもいいシーンで邪魔が入る』の図であった。

続く

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