不思議の国の横島 ―11後半―
投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/10/19)
<中半からの続き>
「ま、いっか。」
「え?」
―― サラサラサラ ――
どっちつかずの宙ぶらりん状態が嫌いな横島は、本当はあまり褒められないくらいあっさりとサインをした。
中身を確認もせずに。
「ちょ!そんなアッサリで良いワケ!?」
だから、逆にエミのほうが焦る。もともと、了承してくれる確立は低いと思っていたからだ。
「ん?ああ、良いよ良いよ。どのみち勿体つけるほどの名前でもないし。それに…」
一方、行動を決めた横島は随分すっきりとした表情になる。
「…エミは良い娘だからな。」
「なっ?!」
そして、屈託の無い笑顔でそんな殺し文句を吐く。ちなみに本人にそんなつもりは無い。
「………………(ボッ)」
でもって、本人に自覚が無くても、相手にはバッチリと届いたみたいだ。エミは何も話せなくなり、ただうつむいて顔を赤く染める。
もともと、こういう下心の無い好意を向けられる事に免疫が無かったという理由も有った。
「ん?どうかしたか?」
「な、なんでもないっ!!」
―― ブンブンブンブン ――
エミは真っ赤な顔をぶんぶんと左右に振り答える。
「そう?ま、正直さ……ちょっと同情もしてるんだ。多分、エミはそんなのが嫌いだって言うだろう?」
「え?あ、ああ……そうさ。同情なんて真っ平なワケ!」
同情という単語に、エミが反応した。しかし、横島はその反応を初めから知っていたようにして言葉を続ける。
「でもさ、同情だけじゃ無いんだぜ?俺さ、なんて言ったら良いんだろう?多分、エミの事……そう、尊敬。尊敬してるんだと思う。」
「そ……尊敬?」
次に出てきた、尊敬という単語にエミは戸惑う。
「純粋にさ、エミの生き方……その力強さって凄いと思うよ。逆境を全部乗り越えてきたんだろう?今だって、乗り越えようとしてる。そういうのってさ……凄い尊敬できるな。」
「な、なによ?!アタシは別に……」
エミの頬がまた染まった。こんな言葉を掛けられたのも初めて。エミはさっきから、初めてのことがいくつも続いて、非常に調子が狂っている自分を理解している。
「アタシはただ……当たり前の事を……自分の思うとおりに…」
だから、なんとか紡ごうとする言葉にも全然力がこもらない。
そんなエミの様子を見た横島は、小さく1つ笑うと優しく言葉をかけた。
「俺は、そんなエミの力に……少しでも役に立てるなら嬉しいなって思うよ。」
「?!!!」
―― ボボボッ!! ――
横島は、ファミレスに入ってからずっとエミの様子を見続けている。
それでなんとなくだが分かった事があった。
それはエミが15歳だという事。それがどういう事かと言う事を。
最初はまだ、あっちのエミさんのイメージとダブらせて見ていた。態度や口調の節々に面影が見られたため、どうしてもエミさんのイメージが抜けていなかったのである。
だが、それが違う事に気が付いた。
しつこいようだが、このエミはまだ15歳の少女なのだ。
いくら大人びて見えても、やはり大人ではないのだ。
だから横島は、大人として……仕事相手としての大人ではなく、エミが無くして来てしまった、家族や友人としての大人として……接してみようと思った。
それが良い事かは正直自信が無いけど、なんとなくだけど……
それが良いような気がした。
「………………(カァ)」
そんな予想外の対応をしてくる横島に、エミはもう本日何度目か……顔を赤く染めて黙り込んでしまう。
それ以外の対応が取れなくなっていた。
………………
時刻は夜の8時をまわった頃。
1人の少女が古いビルが立ち並ぶ区画を歩いていた。
「あー本当にもう!」
その表情は、キリリと引き締まっている……と言うよりは、なにやら怒っている?
「完全に失敗だったわ!あの神父ったら……」
何か面白くない事を思い出したようで、その表情は更に険しさを増した。
「確かに実力は凄いけど……なんであんな…」
そこで、一気に感情が爆発する。
「あんな金銭感覚の無い奴の所で研修しなきゃいけないのよーーーぉぉっ!!!?」
その殺気のこもった叫び声に、近くに居た犬2匹と猫3匹が毛を逆立てて逃げ去った。
「ふふふ…あんなのの所で研修なんてやってられる訳無いわ!GS免許取ったら速攻で別の……もっと稼ぎの良いGS見つけなきゃ!!」
握りこぶしを作って気合のこもった独り言……
「とりあえず、当座は神父に内緒でガメてきた仕事をこっそり1人で片付けて……」
この少女の名前は……
「ふふふ…今回のはちょちょっと自縛霊退治するだけで500万………くく、ボロイ、ボロイわ!」
ま、言うまでもないと思うんだけど……
「自縛霊だろうが浮遊霊だろうが……この美神令子が極楽にっ!逝かせてあげるわっ!!」
ま、そう言う事です。
「そして見習い期間が終わって独立した暁にはっ!稼いで稼いで…そりゃあもう稼ぎまくってやるわよーーーーーぉぉっ!!!」
とっても燃えている彼女ですが…
無免許での除霊は犯罪です。
「とりあえず、待ってなさいよ!今日の500万っ!!!」
犯罪だよ?
今までの
コメント:
- さて、今回のはあれです。
最近なんだか、ギャグ作家なんじゃないか?
って認識があるような気がして・・・・・・
私、シリアス作家ですよ?
は置いておいて、久しぶりに3人称で書いて見たら、凄く書き方忘れてた(汗)
今回、こんなわやくちゃな文で済みません。 (KAZ23)
- エミが可愛すぎ!!!!
でも美神は親が近くに居ても居なくてもガメツイ性格になっちゃうんだな・・・・ (D,)
- えっ!? KAZ23さんは、シリアス作家だったのか。今まで私は勘違いしていたようです。(笑)
それはさておき、冥子に続いてエミフラグも立ちましたね。(^^)
つーか、年下の女性に対して保護欲全開というのは、横島らしいと思います。 (湖畔のスナフキン)
- それから、今更ですが第一話の質問です。
美神が一日前に時間移動した時、横島もあとから来ましたよね?
この横島は、パラレルワールドに移動した横島とどういう関係にあるのでしょうか? (湖畔のスナフキン)
- エミがかわいくなっとる・・・これもヨシ!(握掌!)
横島の鈍感さがまた女たぶらかしてますね(笑)
あぁ!煩悩と鈍感は偉大なり!ってことでBOMでした
次も楽しみにしてるです。 (BOM)
- きっとエミさんなら横島クンにそんなに迷惑はかけないでしょう。
美神さんだったらヤバイだろうと思いますが……というか既にヤバイことやってるし。
え、シリアス作家だったんですか? (U. Woodfield)
- >本当はあまり褒められないくらいあっさりとサインをした
人間としてはでかいんでしょうが、これから経営者をしようとする人としてはそれでいいのか?とつっこみたくなりますねー。
ところでこういう場合保護者ってどういう立場になるんでしょう?養子縁組みたくなるんでしょうか? (柿の種)
- はじめまして。ダイノガッツというものです。
今日初めて最初から読ませていただきました。
おもしろかったです。
これからもがんばってください。
で、多分エミさんが持ってきた書類は、彼女の後見人についてだと思います。
いや、だって養子縁組をしたら民法上結婚できないですよ(笑)
だから、後見人に関する書類なんでしょう。
がんばれ横島!なんか、見えない鎖がまだまだ増えそうだが(苦笑) (ダイノガッツ)
- 横島が、横島がぁっ!(悶絶)
エミ嬢のハートにクリティカルヒットを連発させる天然女殺し振りに
一瞬、脳が現実の受け入れを拒否しかけました。
優しさは兎も角、この「巧みさ」は本当に横島なのか?
一体南米で何の修行をして来たんだ・・と戦慄している次第で御座います。
賛否に関してはグーですが、予想外の角度からの衝撃にダメージがしばらく残りそうです。
・・・フッ、見事・・・。ぐふっ(吐血) (kurage)
- どうも、ヒロでございます。
もうKAZ23様には頭が上がらない思いで一杯です。いや〜笑み・・・いやいや、エミ嬢(ッていうとどこぞのホステスみたいやね)の再登場と、美神の思惑があって、たぶん美神さんは横島君のあれになってエミさんとあんな感じになるんでしょう!!(意味無し)
ではでは〜、ご苦労様でした。(えっ、シリアス作家でしたのですか!!) (ヒロ)
- むぅ・・・15歳・戸籍が無い・2ヶ月待つのキーワードから婚姻届と予想していたのに・・・ま、フラグは立ったし楽しみにしてます (凸)
- 横島君カッコイイですねー。なんか大人です^^
その魅力でエミさんを虜?にしたのかな(笑)
それにしても・・・美神さんは相変わらずお金に拘りますね^^;
美神さんに冥子ちゃんにエミさんが揃った訳ですが,この三人が横島君を挟んでどういう関係を築くのか・・・なんにしろ横島君は相当苦労しそうですね(滝汗) (ROM男)
- エミさんが可愛らしいですね〜( ̄▽ ̄)
しかし横島って…いや、何でも無いです
次回あたりに守銭…もとい美神さんの登場ですね
次回も楽しみにしてます♪(≧w≦) (緑風)
- 美神さんがやっぱ変わらんなあ〜 いいっす!
こんにちは〜 えび団子です〜
エミさんが何だかいつも違う様子ですね、こういうことやったんですか(^^:
けど、今までの境遇から横島の素直な心にぼっとなるのは分かる気がしますね〜 (えび団子)
- 今回のはしっとりとしたお話でしたね。
こんなお話も好きです。
エミがとっても可愛い!
それに最後の美神さんもやっぱり美神さんって感じで良かったです。
P.S.
先ほどは、チャットでお相手していただいて有難うございました。 (あずさ)
- D,さんこんちゃっす!
エミが可愛すぎ!?
やたよーーーぉっ!!それだけで今回は成功だー!
湖畔のスナフキンさんどうもです!
なんですと!?何処をどう勘違いしていたのか、今度詳しく聞かせれ!w
立ったよエミフラグ♪着々と進行中じじゃよ・・・ふふふ。
第1話の横島と、この横島の関係は・・・
ん〜・・・詳しく説明するとネタバレしちゃうんですが・・・
ま、良いか。たいしたネタでも無いし。w
横島の残留思念ってやつですよ。何に残留していた思念かは秘密。
ま、大筋的には大した問題にしないつもりなんで・・・
簡単に理解するなら「同一人物の意識が全く同じ2つに分割した」で「そのうちの1つが別次元の横島に取り付いた」程度に思っていて下さいませ。
そのへんはぼちぼち行きます。 (KAZ23)
- BOMさんこんにちわ〜♪
横島は鈍感なのさ!
鈍感じゃない横島は18禁サイトに行くしかないのさ!(←え?)
だから、横島はいつまでも鈍感で!w
エミさんを可愛くってのが今回のテーマでした。
U. Woodfieldさんどうもです〜☆
あなたも!?いったい私をなんだと思っていたのやら!ぷんぷん。w
そうっすね、エミは常識を守る度で言えば美神さんよりも上だと思うので。
結構甲斐甲斐しくなるやもしれませぬ・・・w
柿の種さんこんにちわ!
ほんと、危険ですので真似しないで下さいってレベルです。w
養子縁組はしないです。ダイノガッツさんの予想が正解です。
後見人ってやつですね。実は義兄と義妹って関係もちょっとだけ頭にあったんですが・・・ (KAZ23)
- ダイノガッツさんこんにちわ、はじめまして!
コメント有難うございます。
こちらこそ、これからも宜しくお願いしますね。
良い読みですね♪そのとおり、後見人ってやつになります。
でも、お気をつけ下さい。私は・・・
『近親相姦くらい屁でもない』
人間ですから。(←マテ)
ではでは、どんな鎖が増えるだろうかと想像しつつ、次回以降へ〜♪
kurageさんこんにちわ〜♪
ふふふ・・・どうやら悶絶地獄乱舞が想像以上のダメージを与えたようですな。w
でもほんと・・・何の修行してきたんだろ?(←作者もわかんないw)
ま、こんな横島でした〜♪
ヒロさんどうもです。
ああ、本当に・・・・・・みんな酷いなあ。こんなにシリアスなのに。w
これから、あれです。取り合いがはじまる・・・・・・かもよ?(←どっちや) (KAZ23)
- 凸さんこんにちわ、はじめまして〜♪
コメントありがとうです。
いやあ、婚姻届まで予想とは・・・・・・
かなり剛の者ですな。w
それは又、今後に期待してやってくだされい。
ROM男さんこんにちわ。
横島が苦労するのは確定ですな。w
でもでも、それ以上に美味しい思いもするかもよ?w
一応、横島に対する感情以外の部分は原作を尊重してまする〜
緑風さんこんにちわ〜☆
横島ってなんです?たらし?こまし?じごろ?てんねん?
ふふふ・・・何とでも言ってやって。w
次回はついに美神さんとの出会いが!
お楽しみに。 (KAZ23)
- えび団子さんこんにちわ!
賛成有難う〜☆
素直なエミさんどうっすか!?よかったっすか?!
ま、それでもひねくれてる所もありますよね?
でもでも、そこが又可愛いっていうか〜♪
あずささんどうもです♪
こちらこそ。チャット出来て楽しかったですよ☆
また、是非来てくださいね〜♪マリアンで待ってます。
今回はしっとり・・・
そうですね。ギャグも押さえたし、2人の心情にスポット当ててますしね。
良かったって言ってもらえるのが凄い嬉しいです〜♪
良ければ次も見てくださいね。 (KAZ23)
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