ザ・グレート・展開予測ショー

知ってるようで知らない世界―5(後半)―


投稿者名:誠
投稿日時:(03/11/ 7)





ある日、俺が事務所への道を歩いていると身長二メートルはあるだろう大男が自動販売機を持ち上げようとしていた。

「こらー。おまえは何をやっとんじゃー!」

俺が勇敢にも大男に注意すると男はこっちを向いていった。

「この機械の下にわっしの500円が落ちたんでとらなあかんのですジャー。あれがないと給料日まであと一週間生きられんのですジャー。」

「なんだ、そんなもん俺が取ってやるよ。だいたい両手で持ち上げたらとれねえだろ?」

涙ながらに金問題を力説する男に俺は多少の親近感を覚え、自動販売機の下に手を突っ込み500円玉をとってやった。

「ありがとうございますジャー。あなたはやさしい人ですノー。いつか恩返しをしたいですジャー。名前を教えてくれませんかノー。わっしはタイガー寅吉という名前ですジャー。」

「んなたいしたことはしてねえよ。俺の名前は横島忠夫だ。じゃあな。」

俺はかっこよく去っていった。
ちなみに自動販売機の下に千円が落ちていたのだ!俺としては大男に感謝したい。



事務所につくと、玄関の前に褐色の肌をした美しい女性がいた。

「こんにちわ!僕、横島!ご依頼ですか?そうですね。では近くの店でお茶でも飲みながらお話しを・・・。」

一気にまくし立てる俺に女性は一瞬引いたようだが何かをたくらむような目になっていった。

「あんたが横島ね・・・。わたしは小笠原エミ。小笠原ゴーストスイーパーオフィスの所長をしているワケ。依頼なんかじゃないわ・・・わたし、おたくがほしいの。」

「ど、どうぞ・・・。」

俺は上着を脱ぎエミさんに口を突き出して次の行動を待った。

「ちがうワケ。あんたにうちで働く気はないかって言ってるワケ。」

そのときドアが開き美神さんが怒鳴った。

「コラーーーッエミー!あんたなに人のところの丁稚を勧誘してんのよ!」

「あら、あんたんとこが250円なんて非常識な給料で雇ってるからよ。」

二人がいきなり言い争いをはじめたので俺は少し戸惑ったが、

「すみません、エミさん。おれこの事務所を離れる気はありません。」

俺の言葉にエミさんだけでなく美神さんも驚いている。

「記憶をなくしていた俺を美神さんは拾って、雇ってくれました。それにここはなんか懐かしい場所なんです。記憶のない俺がここに何の不安もなくいれるんです・・・。」

エミさんはなにやら残念そうだったが帰っていった。

「でも変ね、あんたの文珠のこととかあいつが知ってるわけないのになんであんたを勧誘したのかしら・・・。」

しかし、美神さんの疑問はたずねてきた冥子ちゃんによって解明された。

「エミちゃんに〜わたしが〜横島くんが〜霊波刀で〜私を守ってくれたって〜教えてあげたの〜。」

「なんで人のとこの丁稚の能力をエミに教えるのよ!」

「ふ、ふえ〜〜〜ん!令子ちゃんが怒った〜〜〜〜!」

冥子ちゃんが泣き出し、式神が暴れだした・・・。俺には、止めることなどできなかった・・・。」





エミさんの訪問から一週間後、俺が道を歩いていると前であった大男、タイガーが道端でなにやらしゃがみ込んでいた。

「なにやってんだ、そっそれはエミさんの生写真・・・!」

「あっ横島さん、この間はありがとうございましたジャー。それよりエミさんをしっとられるんですかノー?」

「ああ、一度いっしょに働かないかと誘われたこともある!」

「おお、それじゃあワッシの同志みたいなものですノー。どうぞ、写真を見てつかーさい。」

「これいいな、焼き増ししてくれ。こっちはこの辺引き伸ばしで頼む。」




一通り二人で写真を堪能した後、俺はタイガーにたずねる。

「エミさんの助手ってどんなことをするんだ?」

「エミさんが必殺技の霊体撃滅波を撃つとき霊力をためる時間が必要なんですジャー。そのあいだワッシと先輩達はエミさんに霊の攻撃がいかんようにガードするんジャー。あとワッシの能力、精神感応で敵に幻を見せたりするんジャー。」

タイガーが一通り説明を終えたとき、なぜかエミさんがやってきた。

「コラ―ッ、タイガーなにしてんのよ!今日こそ令子のGS生命を終わらせるワケ!ってあんた横島!?」

「はい?」

「タイガー!捕らえるのよ!」

「ううっ友達なのにすまんですノー。」

タイガーはそういいつつもしっかりとおれに手錠をかけてそばの車にほおりこむ。

「うるさい、おまえなんか友達じゃないわい。」

俺のつぶやきも虚しく二人は俺をおいて去っていった。



「くっ何とかしないと本当に美神さんのGS生命が終わってしまう。」

俺は右手に文珠を出すと―『開』―の文字を刻み発動する。

文珠の効果で手錠をはずすと俺は車を降り、走り始める。

「急がねば!二人の女性が俺の到着を待っている!」




俺が部屋に入るとそこはジャングルだった。

おキヌちゃんがネクロマンサーの笛を吹いているが音が出ていない。
美神さんが神通棍に霊波を送っているようだが霊波がでていない。

実はこれはタイガーがつくりだした幻だ。

本当はネクロマンサーの笛からは音が出ているし、神通棍からは霊波が出ている。

どちらも出ていないと思っているだけだ。


俺は文珠『解』をつくり発動させる。



部屋が光で包まれ幻が解ける。

「あ、あれ?横島くん。なんで?」

美神さんが何が起こったのかわからないといった目で俺を見る。

「あそこにいるタイガーの術にかかってたんですよ。」

「ありがとうございます、横島さん。助かりました。」

俺に礼を言うおキヌちゃんと早速俺から取り上げてた文珠『縛』でタイガーを動けなくしてしばきはじめる美神さん。

「ふっふっふ、さあエミこれであんたには呪いの仕事はもうこないわよ。」

美神さんの言葉にガックリとうなだれるエミさん。そのとき、

「わしが、わしがやりましたー。なんでもいいます、もう何でもしゃべりますから許してくださいーーー!」

変なおっさんが電話に向かって叫び始めた。

「ちょっ組長!まちなさいよ!そんなことしたら私の負けになっちゃうじゃないのよ!」

「うるさい!わしはもうこんな生活いやなんじゃ!金は倍払う!刑務所には悪霊なんかいない!ジャングルもない!」

泣きながら叫んでるおっさんを見て俺はおキヌちゃんにたずねる。

「おキヌちゃん?何がおこっているのかわかる?」

「あの人が依頼人なんですけど・・・。私にもよくわかんないです。」

おキヌちゃんが冷や汗を流しながら答えた。

「ということは私の勝ち!?自首させたんだし私の勝ちよね!」

「ちっ違うわよ!負けたのは組長で私じゃないわ!」

喜んで踊りだすエミさん、真っ赤になって怒りながら自分の負けを否定する美神さん。

部屋の隅には血まみれになっているタイガーが転がっていた。




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