悲劇に血塗られし魔王 4-美神編
投稿者名:DIVINITY
投稿日時:(03/10/25)
〈美神編〉
暗い暗い闇の底。
周りは何も見えず、何も感じない。
人もいなければ、何もない。
空虚な世界。
ここはどこなの。
適当に辺りをさまようが、何も感じない。
ただ同じ光景が続くのみ・・・・
もしかしたら、私は歩いていないのかもしれない。
ただ足踏みしているだけで、その場を動いていないのかもしれない。
いえ、そんなはずはない。
ちゃんと足は前へと動いている。
まるでここは無限地獄。
歩いても歩いても終わりが見えない。
次第に私は歩く気力さえ失う。
そして、歩くのを止めようとしたその時、遠くで青い光がぼおっとともっているのを見た。
私は駆けた。
それが本能は危険なものだと告げたが、構わなかった。
今はどんなものにでも良いから会いたかった。
遠くに見えていたはずなのに、案外と早くその場に着いた。
そこには、見知った三人がいた。
小竜姫、ワルキューレ、そして横島君。
そこでは、三人が仲良く談笑していた。
私も参加しようと思い、皆に駆け寄ろうとした時・・・・
皆の雰囲気が激変した。
穏やかな表情から戦闘へのそれへ。
さっきまで持ってなかったはずのそれぞれの愛用の武器がいつの間にか手元にあった。
小竜姫は神剣を・・・
ワルキューレは銃を・・・
横島君は何故か仮面とマントを装着し、手には物々しい槍を持っていた。
一体何が起こったのか、理解できない。
横島君が笑っている。
声は聞こえないが笑っている。
笑いながら、二人に対して槍を振るった。
二人は武器を持ちながらも何の抵抗もせず真横に両断された。
理解できない。
横島君は笑っている。
崩れ落ちる二人を見ながら笑っている。
やがて、笑いが止まるとくるりと私の方に向き直り、こちらに向かって歩いてくる。
彼が近づいてくる。
私はそれをただ見ている。
彼は手を伸ばせば届く範囲まで近づくと、立ち止まって仮面をとり私に向かって優雅に腰を折る。
それが私に向かっての挨拶だったとは気づいていたが、何の反応も返せなかった。
でも彼は私が何の反応を示さなくても気にしないようで、そのまま私と彼は正対した。
彼はニコニコと笑っている。
それは、いつもどおりの魅力溢れる笑顔だった。
だからなおさら・・・・
理解できない。
私は不意に彼が怖くなった。
なんで小竜姫様達を殺しておいて、笑ってられるの!!
なんでそんなに自然体なの!!
理解できない。
理解できない!!
理解できないっ!!!
ふっと私は思った。
私もまた、彼に殺されるのだろうか。
はっ、ありえない。
なんで丁稚ごときに殺されなきゃならないのよ。
百万年早いっての!!
そんな度胸、彼に無いっての!!
・・・・・でも今、目の前にいる彼ならやりかねない。
それこそ、平然と虫を殺すようにやってのけるだろう。
理解できない。
彼はどうしたのだろう。
今も彼は笑いながら私を見ている。
えっ、違う。彼は私を見ていない。
彼は私の後ろを見ている。
私は慌てて後ろを見る。
そこには一人の女性がいた。
私は驚いた。
だってそこには・・・・
ズン!!
何かがめり込む音がした。
それは私の下腹部からだと直感的に分かった。
槍が私を貫いていた。
ああ、私も殺すのね。横島・・・・
私は薄れ行く意識の中、目の前にいる女性の名が口に出る。
「ル、ルシオラ・・・・」
がばっと、勢いをつけて跳ね起きる。
そこは、見覚えの無い白い壁に包まれた部屋だった。
「ったく、なんだってのよ」
異常な程の寝汗に気づきそれを慌てて袖で拭う。
一拭きするだけで、袖が十分に湿ってしまうのに内心驚きを隠せない。
「はあ、でも無理も無いか。あんな夢を見たんだから・・・」
夢の中の横島君は一体どうしたんだろう。
人を躊躇いも無く殺すなんて・・・・
「なんて、考えても所詮夢だから答えはでないんだけどねー」
再びベッドにうつ伏せになって寝る。
「横島君、あれからどうなったのかしら・・・」
ママが初めて私の前で泣いたのを覚えている。
ワルキューレがママを気絶させたのを覚えている。
私がなんで気絶したのかは覚えていないが、きっと小竜姫に気絶させられたのだろう。
私を気絶させるなんて許すまじ!!
でも、変な雰囲気だったな・・・・
なんか嫌な予感がする。
横島君関係なのは、間違いないわ。
でも、一体何が・・・
あの横島君の異変に関係があるのかしら・・・・
「はぁ、横島君に会いたいわ・・・」
会って、この不安を解消したい。
そして、いつもの楽しい日常に戻りたい。
「・・・・横島君」
今までの
コメント:
ここから美神・おキヌ・シロ・タマモの夢の中でのお話になります。読んでいただければ分かるかと思
いますが、四人は夢の中でそれぞれの異なった形で「絶望」を味わいます。色々試行錯誤して、やって
いますが、なかなか難しいです。
もし感想を頂けるのでしたら、それぞれのキャラクターの話のコメントに書いてください。お願いします。
俺は、タマモを推挙。 (DIVINITY)
- コメント読ませていただきました。
どうやら、概ね楽しんでいただけているようで自分としては、本当に喜ばしいことです。これからも頑張っていきますので、面倒でしょうがコメントのほうよろしくお願いします。
さて、コメントの中に「このような長編物は最後まで行かなくて困るがあなたはどうなんですか」というものがありましたが、それについてはそんなことはないといいたいところです。どうか信用してください。
また、行を詰めたほうがよいという意見は・・・・
わかりました。読みにくくなると思い、行をあけたのですがこれからは少し詰めていきたいと思います。 (DIVINITY)
- 後、GS美神を買ったほうがよいという話。
お金が・・・・・
自分は一人暮らしの上、家にノートパソコンはあってもインターネットに繋いでいないという有様で(お金が無くて)
近くのパソコンショップのパソコンを無断使用して投稿しています。
(たまに友達のパソコン借りたり・・・)
ということで、買いたいのはやまやまですが買うのは金が溜まったらということで
勘弁を・・・・
すいません。
P.S.斑駒さん、前のメッセージで呼び捨てにするという無礼を働いたこと本当にすみませんでした。マリクラさん、指摘有難うございました。 (DIVINITY)
- ↑↑ 斑駒さんとマリクラさんが指摘なされた「詰めた方が好い」と云うのは、「なるべく文章を分割せずに、一度の投稿で済ます」事です。分割投稿するよりもサーヴァへの負担が軽くなりますし、他の方の投稿が先頭頁から流れずに済みます。
詳しい事は「展開予想」トップの下側からリンクされている斑駒さん主催の「マリアのあんてな」内の「メインメモリ」か「サブメモリ」(どっちだったか失念)に、メモ帳機能を活用した投稿方法が有りますので、参考になされては如何でしょうか?
行の空け方は、読み易さに配慮したと云うならば、このままで可いと想います。 (Iholi)
- それと、原作の単行本は新古書店ならば一冊 \100〜200 程度でそこそこの良品が入手できます。オンラインでも購入可能ですので、例えばこのサイトのリンク頁から往けるブックオフのサイトなどを利用されてみては如何でしょうか。
さて、手短に今回の感想をば。
「横島君に会いたいわ…」とのセリフに少々ドキリとしてしまいました(笑)。そー云う夢を観た直後とは謂え彼女の口からそうした言葉が上るとは、原作の終了時からは幾分進展なりが在っての事なのでしょうか。 (Iholi)
- Iholiさん、とても参考になりました。有難うござます。
これからもよろしくお願いします。 (DIVINITY)
- 美神さんは優秀なGSですから、原作でも予知夢を見てましたね。
この展開には納得がいきます。
嫌な予感があって、それから現実という手法は、とても効果的に使えます。
美神さんの絶望は、横島くんに拒絶される事でしょうか?
そのように感じました。 (KAZ23)
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