傷ばかりの天使!!(その16)
投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/10/21)
「フンッ。」
ギルファは、掴み揚げていた魔鈴を投げ捨てた。
ドサッ!
「うぐっ!!」
魔鈴の体に、激痛と衝撃が走る。
「くっ!!」
西条は、地面の上に倒れている魔鈴のもとへ向かうが、歩く度に激痛が走ってくる。
(・・・・・強い。)
西条は、心の中でそう思った。
西条たちが、ギルファと戦闘に入ったのは、ギルファが高笑いしているのを、アリスが見つけた時から始まる。
「あら?」
「どうしたんですか?アリス王女。」
「いえ、あそこに薔薇を手に持って、高笑いしている男の方がいらっしゃるんですけど。」
「え?まさか・・・。」
ハハハと笑いながら、西条は向こうを見る。
「・・・・・・いた。」
向こうの木の近くで高笑いしているギルファがいた。
「・・・・変人・・・ですかね?」
「さ、さぁ?」
「それじゃ、聞いてきます。」
「分かりました・・・・って、えぇ!?」
トコトコとギルファの所へと向かうアリス。
「フハハハハハハハハハハ!!」
アリスが近付いているのも気づかず、ギルファは高笑いしている。
ギルファの前に立つアリス。
そして、大声で叫んだ。
「わっ!!」
「ぬるぉわっ!!」
変な驚き声を上げるギルファ。
「こんにちは。」
ニコリと笑い、挨拶をするアリス。
「む!貴女は、アリス王女!!」
「あら、私の名前をご存知ですの?」
「もちろんです。」
ギルファは、ニヤリと笑みを浮かべ、言った。
「何故なら、この私が、貴女を連れ去るのですから。」
「!!」
西条と魔鈴は、瞬時に戦闘体勢に入る。
「あら、この私をですか?」
「えぇ、さぁ王女、行きましょうか。」
「イヤだと言ったら?」
「あまり手荒なマネはしたくありませんが、無理矢理にでも連れて行きます。」
「そうですか。」
アリスは、その場で深呼吸する。
「スー、ハー・・・・・。」
「? 何をしているのです?」
ギルファが聞く。
アリスは、ギルファを見てニコリと笑い、
「はっ!!」
ドゴォッ!!
中国拳法の技の1つ、"崩拳"を喰らわした。
「うごぉっ!!??」
吹っ飛ばされるギルファ。
それを呆然と見る、西条と魔鈴。
アリスは、服についた埃を払うと、西条たちの傍へと移動する。
「西条さん、あの人、誘拐犯でしょうか?」
「い、いえ、凄まじい霊気が出ているので、魔族かと思われますが・・・・。」
「まぁ、やはりそうでしたか。」
「え?」
アリスは、向こうで倒れている、ギルファの方を向き、言った。
「いつまで寝ているつもりですか?」
「・・・まいりましたね。こんな簡単にバレてしまうとは・・・・。」
ギルファは、何事も無かったかのようにスッと起き上がった。
「普通の人間なら、起き上がれないほどの威力。いやいや、貴女は素晴らしい。」
パチパチと拍手をするギルファ。
「今まで、いろいろな美女と会ってきましたが、貴女ほど美しく、そして、強い女性はいませんでしたよ。」
「・・・・本当に、魔族なんですか?西条先輩。」
ピクッ
「あ、あぁ・・・・。」
「なんだか、ただのプレイボーイにしか感じないんですけど・・・・。」
ピクピク
「そこの君、この私を侮辱しているのか?」
ギルファは、魔鈴を指差して言う。
「だって、凄まじい霊気は感じますけど、本当に強いのかなって思っちゃいますし。」
ギルファの片眉が、ピクピクと動く。
「・・・・・フンッ。」
ヒュッ!
「え?」
ガシッ!!
ズバァッ!!
「グァッ!?」
「!?」
「うぐっ!」
空を切る音と同時に、西条とアリスの体に、無数の切り傷が現れ、血が出始める。
そして魔鈴は、ギルファに首を掴まれていた。
「あ、あ・・・・・・。」
首を掴まれ、高々と持ち上げられる魔鈴。
「あまり、私を嘗めないでほしいものだ。」
怒りに満ちた表情で、持ち上げた魔鈴を見るギルファ。
ギルファの目は、怒りの目へと変わっていた。
「さて、三つ編みの女性は片付いた。残るはそこの男。お前だ。」
「くっ!」
西条は、ベレッタM93Rを抜き、引き金を引く。
バララララッ!
「言ったはずだ!あまり私を嘗めないでもらいたいと!!」
ギルファがそう叫ぶと、ギルファの手から、霊気の爪が出現する。
ヒュッ!!
ギルファが、霊気の爪を一振りすると、全ての銃弾が、真っ二つに割れた。
「なっ!?」
驚愕する西条。
ヒュッ!
ズバァッ!!
「ぐあぁぁっ!!」
再び、ギルファによって引き裂かれる西条。
西条は、その場に倒れる。
「貴様みたいな汚物は、この世から消してやる!!」
ギルファは、西条の喉仏を引き裂こうとする。
「おやめなさい!!」
「!?」
ギルファに向かって、アリスが叫ぶ。
「もう、西条さんには戦える気力はありません。もうやめなさい。」
「・・・・・。」
「貴方は、この私を連れて行くのが目的でしょう?もう、それ以上2人を傷つけるようであれば・・・・。」
アリスは、ギルファを睨んで言った。
「私は、死ぬまで貴方と戦います。」
「・・・・これは失礼。つい、頭に血がのぼってしまって。さぁ、行きましょうか?」
「えぇ・・・・。」
アリスは、倒れている西条を見る。
(さようなら、西条さん。貴方に会えて、貴方と一緒にいられて、本当に良かった・・・・。)
ヒュッ
また、空を切る音。
その音が止んだ時、ギルファとアリス王女の姿はもう無かった。
地面の上には、西条と魔鈴が倒れていた・・・・。
続く
今までの
コメント:
- のほほんとしているように見えて芯の強い女性ですね、アリス王女。
これからどうなってしまうんでしょう。ドキドキです。 (U. Woodfield)
- アリス王女つえぇぇ────Σ(゚ロ゚)(いろんな意味でw)
崩拳使える王女・・・つーか少女なんて世界で何人いるのか!?
そして・・・・
西条ーーー!!もっとしっかりしろぉぉ!!(笑) (ユタ)
- >U. Woodfieldさんへ
こういう女性なんです、アリス王女は。
決して、天然キャラになりかけてはいません!!(爆(オイ))
これから先は、ギャグ少なめのシリアス路線に入ろうと思います。
>ユタさんへ
>崩拳使える王女・・・つーか少女なんて世界で何人いるのか!?
1人挙げるならば、ドラ○エのア○ーナ姫ぐらいでしょうか。(オイ)
今回、西条はボコボコにやられていただきました。(邪笑) (TAITAN)
- こんにちわ。お久しぶりです。
西条ヘタレ・・・・・・
しっかりして、お願いだから。今は君しかいないんだ!w
でも、崩拳は・・・・・・すげぇ!(>д<)
王女、良い味です。 (KAZ23)
- 中国拳法かよお!w つい叫んだのはここだけの話・・・
こんにちは〜 えび団子です〜
お久しぶりです〜 元気でしたか?私はもちろん元気?です。w
ところで西条と魔鈴が呆気無く、最初ギルファってギャグキャラかと思ってた・・・(汗)むっちゃ強いですよ(><)続きに期待します〜 ふぁいと♪ (えび団子)
- どうもはじめまして、TAITANさん。ヒロというものです。
ギルファ、って聞いてギルファーデーモンを思い浮かべたのは僕だけでしょうか?
内容はよく伝わってきますし、会話の運びの中によく情景が伺えます。新参者である僕とは実力の違いが伺えます。ですがもう少し人物の動きや周囲の情報を描けばもっと素晴らしい作品になると思います。ですぎたまねでしたか、申し訳ございません。(僕よりは確実にうまいっすよ!こんな節操のない僕ですが、許してくださいませ)
であであ、今後とも期待しております。
ではでは〜♪ (ヒロ)
- >KAZ23さんへ
すいません、西条を弱くしてしまって。(オイ)
どうやら、KAZ23さんも、アリス王女の崩拳を気に入ってくれたようで。
本当は、正拳突きにしようと思ったんですけどね。(笑)
>えび団子さんへ
お久しぶりです、えび団子さん。
ギルファが、このままギャグキャラになるのは可哀そうなので(オイ)、強くしました。
これでやっと、天使喰いのギルファになったと思います。(笑)
>ヒロさんへ
初めまして、ヒロさん。
様々なご指摘ありがとうございます。
ヒロさんの期待に応えられるよう、頑張りたいと思います。(深礼) (TAITAN)
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