ザ・グレート・展開予測ショー

アシュタロス〜そのたどった道筋と末路(涙)〜ルシオラとべスパの死等


投稿者名:♪♪♪
投稿日時:(03/10/29)



 このSSは、多少設定をいじくってあります。
 アシュタロスが横島のコピーのように退化(あえてこう記す)してますので、アシュタロスファンの方はご用心。




 ぶらーんぶらーんぶらーん。


 夜は、寒い。


『…………』


 いや、別にこの場所が特別寒いというのではなく、彼らの心が寒く感じてるのだが。


 ぶらーんぶらーんぶらーん。


 アパートの軒先にぶら下げられる、人間大の簀巻き2つ。
 ほかならぬ、アシュタロスと横島の二人だ。


「なあ、アシュ」
「なんだタダオ」
「俺たち……いつまでぶら下げられるんや??」
「……朝日が出る前に取り込んでもらえると、ええなあ」


 その顔は、最早人間とは思えぬほど腫上がっていた。
 加害者は――


「べスパちゃん、ルシオラちゃん……アシュ様とポチそろそろ許してあげたほうが――」
『なあに?(いい笑顔青筋つき)』
「なんでもないでちゅ!」


 横島の恋人であるルシオラと、アシュタロスの恋人であるべスパの二人である。







 アシュタロス〜そのたどった道筋と末路(涙)〜ルシオラとべスパの死闘








 多くの部下に見捨てられた変態アシュタロスだが、なにも天涯孤独で温かみの無い生活を送っていたわけではない。
 横島から500メートル以上はなれると消滅してしまうという、中々情けない寄生虫に成り下がったアシュタロスにも、ついていこうとする物好きはいた。


 まず、ドグラマグラ。
 こいつは元々アシュタロスに忠実であるように作られた存在だから、当然ともいえる。元々生まれて数日という短い時間しか元々のシリアスアシュタロスを知らないため、こんなになってしまったアシュタロスに失望することもない。


 次に、横島夫妻。
 この二人には、息子の体から生えるいい年こいたおっさんを家事にこき使うという、トンでも夫婦であった。ひっくり返せば、舵にこき使う以外は同等の存在として、同居人として扱っていたから、まあ人格者と褒め称えるべきだろう。


 最後に、ルシオラ、パピリオ、べスパの三人娘。
 この三人はアシュタロスが横島に寄生してから作り出した存在なのだ。見限るも何も、ちょっとアレなアシュタロスしか彼女たちは知らない。
 アシュタロス曰く『多くの部下に見限られて、一寸寂しくなったから作った』だそーな。全員女性ってあたりが、完全に思考が横島化している証拠だろう。
 本編のように、最初からこの姿だったと言うわけではなく、きちんと成長するように作ってある。


 勿論、育てたのは横島夫妻である。
 三人は横島家に養女として引き取られ、蝶よ花よと育てられた……息子以上に溺愛して育てるあたりが、この夫婦らしいとゆーか。


 夫妻のナルニア行きに際し、ドグラマグラはその演算能力を変われて同行。ルシオラ達も同行する筈だったのだが……


「――ついてきて正解だったわね」


 眼前で風に揺られて『漢の本能なんやー』だの、『堪忍やー』だのみぐるしい言い訳をし続ける二人を見て、嘆息するルシオラ。


 そう。この三人が日本に残留した理由は、他ならぬ変態コンビにあるのだ。


「放って置いたら、子供の1ダース2ダース量産しそうな気がするんです!」
 とは、ルシオラが三人を連れて行こうとする横島夫妻を説得するのに使った論法である。諭された夫婦が即座に説得をやめたのだから、説得力の程は推して知るべし!


 ただでさえ、ルシオラは胸が無い(本人の前で言うとしゃれにならないので注意)から、巨乳の女が現れたら本能とやらの赴くままに飛びつくだろう。生粋の魔族であるアシュタロスに関しては、貞操観念うんぬん語るほうが間違っている。


「そうでちゅねー。ポチもアシュ様も目を放すとすぐナンパでちゅから」
 パピリオがうんうんと同意。さっきから彼女が呼んでいるポチというのは、横島のことである。
 子供の頃にやったおままごとにて、横島の犬っぷりが余りに見事だったことからそのまま定着してしまったのだ。


「そうよね。ポチはともかく、アシュ様は子供ダースで作れそうよね」


 ぴしっ


「タダちゃんはともかく――?」
 ルシオラの額に青筋。タダちゃんとは、ルシオラの横島に対する呼称。


 ベスパのつぶやきは、パピリオの顔色を変えさせ、窓の外の二人に死を覚悟させた。
 恋人として、横島を遠まわしにもてないと断言するこの発言は看過できなかった。
 ルシオラさん、わざとらしい声で、


「そうよねー。女の趣味の悪いどっかの誰かさんなら、ゆりかごから墓場まではらませそうよねー」
 ルシオラさん、あんた仮にも自分の創造主に対して……


 ぴししっ!


 ベスパの額にも青筋。


「どういう意味かしら……」
「だって、アシュ様は私たちを子供の頃から知ってるのよね? その頃からあなたに目をつけてたとしたら、ロリコン以外の何物でもないんじゃない?」
「――ふふふふふ。私は元からスタイルがよかったからね。どこかの終わった胸の小娘と一緒にしないでほしいね」
「垂れちゃ、せっかくの胸も台無しじゃない?」
「ふふふふふふふふふふ」
「うふふふふふふふふふ」


 二人とも、表情は終始笑顔である。それも、漢なら一発でほれるような魅力的な奴だ。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!


 なのに――気配は『憎しみで人が殺せたら首都圏全滅!』のレヴェルで黒かった。


 パピリオ、ちゃっかり押入れに非難。
 アシュタロスと横島、人生をあきらめて走馬灯に突入。






 史上最強の姉妹喧嘩、勃発。














































 内容は以下の通り。






「あんたらの事だからポッキーゲームなんてしたこと無いでしょ!? 私とタダちゃんは毎日やってんだからね!」
「はんっ! そういう事は、弁当の一つも作れるようになってから言うんだね!」



































 余りに痒い惚けの嵐なので以上でカットするが……つまり、そういう事。
 形式上は口げんかなのだが、実態は単なる惚け自慢なのだ。それも、ルシオラーなら悶えて狂った挙句踊りだすようなすごい奴。
 ある意味最強。


 そんな者を目の前で、大声でぶちまけられる相手方としてはたまったものではない。


『ぬおあああああああああああああああああああっ!!!!』


 簀巻きのまま体を右に左にくねらせ、悶絶する横島とアシュタロス。こいつらにも、イッチョ前に羞恥心はあるらしい。


 姉妹のパピリオですら、押入れに閉じこもって耳押さえて耐えなければならないのだからまあなんというか。


 ――拝啓パパ、ママ、ドグラ様。


 パピリオ、脳裏で遠くにいる養父母と家政婦代わりの兵鬼にメッセージを送る。


 ――パピは、いま真剣に二人についてきたことを公開してまちゅ。


 何気に字が違う。
 ほろりと流れ落ちる涙。その事を攻め立てるような冷血名人間は、読者諸氏にはいないだろう。


 こうして。変態二人の悶え声をなびかせて、ぼろアパートの夜はふけて行く。



 あとがき。
 さっそく第二弾投函。
 ルシオラと横島がちょっとだけ進展してます(ニヤソ)

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