ザ・グレート・展開予測ショー

遠い世界の近い未来(12.3)


投稿者名:よりみち
投稿日時:(03/11/ 8)

遠い世界の近い未来(12.3)

「そう? で、どんな奴らなの。」
 美神の形のよい眉がわずかに動くが、特に表情を変えず、先を促す。

「それは、斜め向かいの廃ビルの屋上にいるのね。霊的なものと光学的ものの両方の迷彩を備えた偽装シートで身を隠しているので詳しいことはわからないのね。でも、神族一の情報収集能力を持つ私なら存在ぐらいは、見つけるのは簡単なのねー オーホホホホ!」

‘ヒャクメには高笑いは、似合わんぞ。’と手を振る横島。

少し気分を損ねたような表情をするが、すぐに真顔になり
「そんな偽装アイテム、そうそう世の中に出回ってる物じゃないのね。そんじょそこらのストーカーとはわけが違うんだけど、大丈夫なのねー」

「それは、こっちがする心配で、あんたがする心配じゃないでしょ。」

‘まっ、大丈夫か。’という表情のヒャクメ。
 たとえ善意であっても、押しつけ押し売りが大嫌いな美神の性格はよく知っている。

その後、しばらく雑談した後、時間だと言うことでヒャクメが帰る。
 帰り際に、横島に何かを押しつけるように渡す。

「何、渡されたの。」
 美神は、ヒャクメを見送った横島が戻ってくると尋ねる。

 横島の手には、不思議な光彩を持つ珠のついたイヤリングがある。

「心眼ね。」

「おキヌちゃんにしばらく貸すそうだよ。」

「私に預けてもよかったのにね。あのへたれ神族、変な気をつかっちゃて。」

美神に渡さなかったのは、そのままうやむやにされるのを嫌ったためとは言えない横島。


さっそく、全員を集め、さっきの話をする。

「この件が、僕たちの件と関係があるんでしょうか。」
 水元が、質問と言うより、確認のために尋ねる。

「きっちりと同時刻かは、わからないけど、結界に反応がでた時にあんたたちがこちらに現れたこと、場所もだいたい同じこと、偶然のはずはないでしょう。」

「コスモプロセッサって何をするアイテムですか?」
 自分たちに関係がありそうだと言うことで、横島に説明を求めて質問する水元。

「さっき話した元始風水盤が、その辺のオモチャと同じに見えるって代物さ。」
とりあえず、それだけを答える横島。

「それが、異世界間の転移とどう関わるか‥‥ 水元くんたちのことを相談するにしても事前に、その辺りのことを掴んでおきたいわ。ヤドロク、押し倒す以外は、たいていのことは許すから、ヒャクメからコスモプロセッサの情報とそれが異世界にどんな関わり方をするのか聞き出しなさい。」

「わかった。」うなずく横島。

「ところで、監視されているって言ってましたげど。」
おキヌが、もう一つの問題に話を変える。

「心当たりといえば、一番が、脱税で税務署。二番目が、違法な除霊でオカルトGメン。普通の警察だって、暴力団との関係で監視したって不思議じゃないな。」
 思い当たるものを横島が挙げる。

「美神はんって、どんな生活おくっとんのや。」ジロリと睨む美神に首をすくめる葵。

「とりあえず、”心眼”の虫干しを兼ねて、おキヌちゃん、探ってみて。」

 おキヌは、イヤリングを付け、軽く目を閉じ精神を集中する。

「心眼って、なぁに〜」珍しそうにおキヌのようすを見ながら紫穂が尋ねる。

「まぁ、透視能力かな。」と横島。

「この世界の人って本当にすごいぜ!おキヌちゃんは、ヒーリングだろ、ええっと‥‥」
薫、しばらく考えるが言葉が出てこない。
「ネクロマンサーや。」フォローする葵。
「そのマンサーに、透視能力! これに比べたら、あたいらも形なしだな。」

「”こちら”は、霊力を必要な『力』の形に変換するって感じだから、けっこう応用範囲は、広いのよ。」
 美神が、説明する。
「その極端なのが、うちのヤドロクの”文珠”ね。」

「うちらも、『力』をいろいろに使えるんかな?」代表して葵が質問する。

「今まで、そんなことを考えずに『力』を使ってきたから、『力』の形が固まっていると思う。でも、暇があれば、『力』の使い方を教えてくれる所を紹介してやるよ。」
妙神山を念頭に横島が答える。この子たちが、効率が良く『力』を使いこなせるようになれば、即、一流GS並の実力が保障されたようなものである。

「たしかに、言われた場所に何かいます。」
 話している間に、おキヌがトランス状態から復帰する。
「対象は、視覚的にも霊的にも不可視ですね。ただ、こちらを監視するためにわずかにシートに隙間があって、そこから霊波がわずかに漏れるんで、いることがわかるんです。」
一息つき、
「霊波は、わずかすぎて”心眼”でも詳しいことはわかりませんが、かなり、高そうです。」

「おキヌちゃん、留守番お願い。私と亭主で厄珍堂に行ってくるわ。」
美神は、横島を促す、
「ちょっと、やっかいそうなことになってきたから装備の調達と情報の収集に本腰を入れようと思ってね。」

‘美神さんも本気になってくれたんだ’というまなざしのおキヌ。

 それに対して、美神は、
‘水元くんの件は赤字だと思ってたけど‥‥ 怪しい監視者は出てくるわ、神族や政府が動くわ。うまくやれば、がっぽりかせげるかもしれないわね。弱い雑魚霊をシバいて小金をかせぐのもいいけど、たまには、一攫千金ってのも悪くない‥‥ フッ、フッ、フ、フ、フ‥‥ 」

「もし、も〜し。美神さ〜ん、声に出てますよ〜 」
おキヌが、さっきのヒャクメと同じようなリアクションをする。

「いや、何、何よ! 冗談に決まってるでしょ。」
あたふたと手を振り、否定の仕草をする美神。
まだ、美神のことをよく知らない水元たちではあるが、横島とおキヌの表情からそれがかなり本音であることを理解する。

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