ザ・グレート・展開予測ショー

彼氏が彼女になったとき!〜中編〜


投稿者名:ヨコシマン
投稿日時:(03/10/23)

雪之丞はドアの外で待っていた。
厄珍堂に行くために、横島が部屋の中で着替えをしているから。いくら横島だと解っていたって、着替えを堂々と見てる訳にはいかねえだろ、と自分から外に出たのだ。
待つこと数分、待ったか?という声とともに横島は姿を現した。

「ブッ!」

右手に持っていたペットボトルのお茶を口に含み、飲み込もうとしていた雪之丞はそれをすべて吹き出してしまった。

「なにすんじゃコラ!きたねーな!」

お茶をかけられそうになった横島は非難の声をあびせる。

「お、お前・・・、そのかっこうで街中歩くつもりか?」

いつものTシャツにいつものジーンズ、横島忠夫の一張羅。ただ、いつもと違うのは・・・

「お前は一昔前のプレイガールか!!何でノーブラなんだよ!!」
「あのなー、俺がブラジャーなんか持ってるわけねーだろ?変態じゃあるまいし。」

横島が変態かどうかはさておき、このままでは外に出れん、との雪之丞の主張に対し、別にいーじゃねーか減るもんでもなし、と主張する横島との対話は平行線をだどった。

(くそっ、横島だと解っているのに、ヤツの胸から目を離せん!!世間体云々よりも俺自身気になってしかたねぇ。まさかヤツの胸がママに似ているとでも!?)
この異常な事態に直面し、雪之丞の精神もだいぶ参ってきたようだ。最悪の事態(?)を避けるためにも早急に打開策を打たねばならん、と雪之丞はポケットから携帯を取り出した。
慣れた手つきでナンバーを押す。

―もしもし?― 女の声。

「弓か?俺だ。ああ、そう。昨日言ったと思うけど、今横島のアパート。そう。ちょっと面倒な事が起こってな、お前にすぐに来て欲しいんだけど・・・。」

今から弓がこっちに来るから、ちょっと部屋で待ってようぜ。雪之丞は勝手に部屋に戻ってしまった。
置いてけぼりを食った横島は怒りに震えていた。いつの間にそんな関係に・・・、いっそヤツに文殊でもぶち込んでやろうかと考えたが、思いとどまった。
横島にも分別がついたのだろうか。弓のことには特に触れずに雪之丞の後について部屋に戻った。


部屋に戻って40分ほど経っただろうか、窓の下から車の停止音、続いてドアの開閉音、さらに階段を軽やかに上がってくる音が二人の耳に入ってきた。

「来たみたいだな。これで一安心だぜ。」

雪之丞は安堵のため息をついた。女の事は女に任せるのが一番だ。
だが、横島は待っていた。この瞬間を。獲物を狙う肉食獣の如く。

「悪い、立たせてくれないか?足痺れちゃって。」

弓を出迎えようと立ち上がった雪之丞に、横島は手を差し出した。

「?しょーがねーな、ホレ」

雪之丞が横島の手を握ったその刹那、横島の邪眼の如き双眸は怪しい光を放った。


グイッ・・・ドシン!!!


なにが起こった?雪之丞はまったく理解できなかった。お判りだろうか?横島が自分の方向に手を引っ張ったのだ。どんな体勢かって?それは・・・




「雪之丞?横島君?居るの・・・・・・・!?!?!」

ドアを開けた弓の視界に飛び込んできた映像、それは床に寝ている胸のおっきな女の人とそれに覆いかぶさる雪之丞。間違いない。

「へ、へ〜え。面倒なことって、こういうことでしたの?雪之丞。」

ち、ちがっ、ちょっとまっ、必死に弁解をしようとする雪之丞の首に横島は腕を絡めて、胸元へと引き寄せた。胸の谷間に埋もれた雪之丞はもはや満足に発言することすら出来ない。そして横島(女)の口から、とどめの一撃が放たれた。

「も〜、雪之丞ったら〜、ちょっと強引すぎるぞ。」

凄まじい力で雪之丞を押さえつけながら、ちょっと年上のオネーさまを見事に演じる横島。鬼がそこに居た。

「も、もう男なんて、信じられませんわーーーーーー!!!!!」

猛スピードでアパートを飛び出した弓を、横島の腕をようやく振り解いた雪之丞が追いかける。

「ご、誤解だーーーー!!!ちょ、ちょっと待て!弓ぃーーーーー!!!」

階段を駆け下りる軽やかな足音、続いてドシドシと重い音が鳴り響く。横島が窓の外に目を向けると、
ヨ〜コ〜シ〜マ〜!テメエェェェェ!覚えてろよぉぉぉぉぉ!!!!!
遠ざかる雪之丞の悲痛な叫びを聞きながら、横島は満面の笑みで高らかに宣言した。

「わははははははは!ざまーミロ!!!!!正義(?)は勝ぁつ!!!!!」

すでに、厄珍堂に行くという当初の目的を忘れかけた悪魔の如き男が、そのことに気づいたのはそれから30分も後のことだった。



<続く>

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