ザ・グレート・展開予測ショー

知ってるようで知らない世界―7―


投稿者名:誠
投稿日時:(03/11/ 9)





「こんちわー。」

今日も横島は美神除霊事務所にやってきた。

「あ、こんにちは。横島さん。」

「しょ、小竜姫様!いらしてたんですか!あいかわらずお美しい。」

「あ、ありがとうございます。」

鼻息荒く詰め寄る横島に小竜姫は少々引きながら礼を言う。

「ボカァ〜もう!小竜姫様、今こそ人と神との禁断の恋を〜〜〜!」

横島は暴走をはじめたがやはり令子に止められる。

「いいかげんにせんか〜!今仕事の話しをしてんのよ〜!」

「へ、仕事っすか?神様から人間に依頼が?」

横島は地面に倒れ、血を流しながらたずねる。

「そうよ、来月あるゴーストスイーパー試験のことでね・・・。」

そこで令子は、ニヤリと笑った。
その笑いは横島がいつのまにかもっともおそれるようになった顔だった。

「横島くん、あんたにも手伝ってもらうつもりだったんだけどこの際ちょうどいいわ。あんたもゴーストスイーパー試験にでなさい。」

「えっ、おれがですか?」

「もともとあんたには文珠があるから特別枠で受けさせる予定だったのよ。」

「特別枠?なんですかそれ?」

横島は首をかしげる。

「特別枠は、あんたの文珠やおキヌちゃんのネクロマンシーみたいな世界的にめずらしい能力を持つ人をゴーストスイーパー試験で優遇して免許を簡単にとらせようって制度よ。」

美神は簡単に特別枠について横島に教え、さらに続ける。

「おキヌちゃんは予定通り特別枠での参加よ。でも、小竜姫の話ではこんどのゴーストスイーパー試験はかなりきな臭いものになりそうなのよ。」

「きな臭い・・・?なにがですか?」

横島の疑問に今度は小竜姫が答える。

「こんどのゴーストスイーパー試験にメドーサという魔族が部下を送り込もうとしているらしいんです。」

「魔族が部下を?そ、それって魔物が試験受けるってことっすかー!」

横島のびびりっぷりに小竜姫は苦笑する。

「あんたねー、そんなバカなことあるわけないでしょ。いくら協会のじじいどもが無能でもさすがに霊力出さず、魔力や妖気を出されて気づかないわけないじゃない!」

「み、美神さん・・・。協会の人たちを無能呼ばわりするのはどうかと・・・。」

横島が冷や汗を流しながら令子の暴言をたしなめる。

「そ、それでですね、メドーサは目をつけた人間を部下にしてその人間達にゴーストスイーパー免許をとらせようとしているらしいんです。」

小竜姫の言葉に横島は納得した。
GSと妖怪、魔物は敵同士だ。しかし、GSのなかに裏切り者またはスパイがいるとするならば大変なことになだろう。

「そこで、メドーサだけでなくほかにも魔族が来る可能性があります。神界の上層部からの、情報なんですが・・・人界を支配しようとする者がいるそうなんです。くわしいことを知っているのは神魔界の上層部だけらしいですが・・・。」

小竜姫は一瞬悔しそうな顔をした。人界の支配をたくらむもの、それだけしか教えてもらえなかった。それが悔しかったようだ。
そして、詳しいことなど自分も知らないのに人界に強力を要請しないといけない・・・。それが人界に対して失礼だと思っているようだ。

令子はそんな小竜姫の気持ちを悟り、人間を対等に見てくれるやさしい神がいることを改めて実感して、わざと明るく言った。

「大丈夫よ!金さえもらえるのなら仕事はきっちりするわ!だから横島くんあんたは一般参加してなにかあったらいつでも動けるようにしておくのよ!」

「美神さん・・・。もしおれが優勝したら一晩おれのものに〜〜〜!」

「そうね、考えてあげてもいいわよ。」

「ま、まじっすか!」

横島は令子の言葉に驚き、妄想をはじめる・・・が。

「わたしの写真、一晩だけ貸してあげるわ。」

令子の言葉に盛大にずっこける。

「写真なんか何枚も持ってますよーーー!それより・・・ってしまったー!」

横島は自分の失言を後悔することになる。
目の前に鬼がいた、すっごい笑顔の鬼が・・・・・。

「よーこーしーまーくぅ〜ん。なんであなたがわたしの写真もってるのかしら?怒らないからいってごらん?」

令子は怖いほどの笑顔を崩さずに横島にたずねる。

「ほんとっすか・・・?ほんとに怒りませんか?約束っすよ?」

令子はこっくりとうなずいた。

「あのですね、厄珍が美神さんの写真を撮ってくれば高く買ってくれるっていったんっすよ・・・。」

横島はおびえながら写真の秘密をしゃべる。しかもさりげなく厄珍に罪をおしつけて・・・とっさにしてはなかなかの作戦だ。
しかし、横島の作戦を全て無にする存在が現れる。

「うそはいけないのね〜。そこの本の間、それからこの棚の裏・・・。横島さん用の盗撮写真があるのね〜。」

「ああ〜、僕の宝物!」

突然現れた神族の調査官、ヒャクメによって横島の専用写真が令子の手に渡る・・・。
横島は涙を流して、写真に手を伸ばした。

―ガシッ―

横島の伸ばした手が令子によって握られた。

令子はまだ笑顔を浮かべている。その表情はとても魅力的だった・・・額に浮かんでいる青筋を無視すればだが・・・。

「怒らんって・・・怒らんってゆったやないですか〜〜〜!」

横島は逃げようとするが腕をつかまれているため逃げれない。



「ぎぃぃぃやぁーーーーーーーーーーーーーーー!!」


横島の断末魔の叫び声が事務所に響いた・・・。












「ただいま、人工幽霊壱号。」

学校から帰ってきたおキヌが家を管理する人工霊にあいさつする。

『お帰りなさい、おキヌさん。あなたが帰ってくるのがもう少し早かったら・・・。』

人工幽霊壱号のつぶやきに少し首をかしげるが、おキヌは居間へと入っていった。

「ただいま、美神さん・・・ってなにがあったんですか。」

そこにはいつもよりボロボロになったぼろ雑巾・・・もとい横島がなにやら血を流してピクピクしていた。

「よ、横島さん。しっかりしてください。なにがあったんですか?誰にやられたんですか?」

おキヌは横島のそばに近寄りたずねる。どうでもいいが神族二人にはまったく気づいた様子はない・・・。
横島は震える指で令子を指差した。

「えっ、美神さん・・・ですか?・・・・・美神さん、なにがあったか知らないけどいつもよりひどいんじゃ・・・。」

おキヌの言葉に令子はそっぽを向いて言う。

「いつもはおキヌちゃんが止めてくれるから、期待しちゃう癖がついちゃったよね・・・。それに、そいつわたしの生写真厄珍に売ったのよ。しかも隠し撮りした写真を事務所に隠してたし。」

おキヌは、ちょっとつまづいちゃった♪といった感じで倒れこみつつ、横島の首筋に高速で手刀を打ち込んだ。

「「「・・・・・・・・・(汗)」」」

小竜姫、ヒャクメ、そして令子はおキヌの流れるような攻撃に沈黙し、冷や汗を流した・・・。

「で、小竜姫様、ヒャクメ様?今日はどうされたんですか?」

おキヌはものすっごい顔で微笑んだ・・・。

「え、ええ実は・・・・・。」

小竜姫は少しびびりながら令子と横島に話したことを繰り返した・・・。








「へー。じゃあ、あの天竜童子さんがきた時のメドーサさんが来るんですか。」

おキヌの言葉に小竜姫はうなずいた。


実は令子とおキヌはメドーサと一度戦ったことがあった。
まだ横島がいない時、神界の竜神王の皇子、天竜童子が人間界にやってきたときだ・・・。
天竜童子の命を狙ってきたのが、メドーサだった。
幸い令子と小竜姫が戦い、何とか追いかえしたが、二人を相手に小竜姫クラスの実力と令子に匹敵する悪知恵、そして豊富な実戦経験で互角に戦ったほどの強さを持っていた。



「GS試験、学校の人たちもうけるけど大丈夫でしょうか?」

おキヌは心配そうにつぶやく。

「大丈夫よ。あっちだって目的のためには試験のルールを破ったりはできないでしょうし・・・。それよりおキヌちゃん、六道では試験の前にクラス対抗戦があるんでしょ?わたし六道のおばさまに来てくれって頼まれちゃって・・・。」

最後に苦笑いしながら言う令子。

「あ、それわたし代表に選ばれたんですよ。他に弓さんと一文字さんって人も選ばれました。三人で出るんです。」

「へー、じゃあわたしも見に行かなくっちゃね。」

令子がうれしそうに言った、その時・・・。

「おれも・・・おれも行きたいっす!じょ〜し〜こ〜ほぉ〜〜〜〜!!!!」

復活した横島が血の涙を流しながらこぶしを握り締め、魂の叫びをあげた。

「わ、わかったわよ、連れてってあげるからその気持ち悪いオーバーリアクションをやめなさい!」

令子はかなり引きながら許可を出した・・・。
するとこんどは小竜姫が衝撃的発言をした。

「横島さん、GS試験までの一ヶ月間、妙神山で修行をしませんか?」

小竜姫はさらに続ける。

「あなたはきっともっと強くなれるはずです。それにあなたがたまに何気なくする動きには何か武道をしていたんじゃないかと思わせるものがありますし・・・って聞いてますか?」

(妙神山で修行ってことは小竜姫様とずっと一つ屋根の下。おれ達は朝から一緒に汗をかき、夜には二人で風呂に入り、そして、そしてーーーーー!」

「全部声に出とるわこのバカたれーーーーー!!」

令子は神通棍で横島をぶん殴り、沈黙させる。



「だ、大丈夫なんですか?本当に・・・。」

おキヌの不安げな顔をみて小竜姫はニコリと微笑むと、

「大丈夫です。わたしに無礼を働くと仏罰が下りますから。」

神剣を手にしてそういった。



こうして横島は一ヶ月後のGS試験に向けて修行をすることになった・・・。



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