ザ・グレート・展開予測ショー

遠い世界の近い未来(幕間.裏)


投稿者名:よりみち
投稿日時:(03/10/23)

遠い世界の近い未来(幕間.裏)

 男−聞谷(もんたに)は、残ったセンサーから爆破された研究所から特殊部隊が引き上げたこと、入れ替わるように地元の消防と警察がその後始末に掛かっていることを確認する。

もう、上で起こっていることには興味はない。

 今日の出来事は、研究所の実体を知る者、研究所を攻撃した者など様々な思惑と情報操作が交差し、無難な説明がなされて終わりになるだろう。
 そして、一ヶ月も経てば、マスコミを含め、この廃墟に注意を払う者は居なくなるはずだ。

ここ十年前からの多忙さを考えるとしばらく骨休めをするのも悪くない。

 そう、十年前、聞谷にとっての最初の転機が訪れた。

 それまで、多少変人扱いされることはあっても、普通の医師であった彼に「天才」という超能力が目覚めのだ。
 理解力、洞察力、あるいは、記憶力などといった脳の働きが、飛躍的に高まった。
 以前でも自他共に認める優秀な頭脳の持ち主であったが、それに比べても大人と子どもほどの差がそこにはあった。
 その超能力で、この超能力研究施設の研究員に採用され、瞬く間に所長の地位を獲得した。

 表向きは、「超能力」の平和利用だが、裏では軍事目的への転用をさぐる研究も多いこの研究所は、彼の増大した能力とそれに比例し増大した欲望を生かすのにもってこいの場所であった。

 しかし、この段階では、多額の予算と優秀な研究者を自由に使えるとはいえ一研究所の所長という地位と権力しか持たなかった。

第二の転機は、三年前。

 研究対象としていたテレパスの口から漏れたメッセージにより訪れた。

 そのテレパスは、テレパスの能力によるストレスから精神に異常をきたしていた。従って、テレパスの口から漏れる言葉に意味はないはずだった。
 それが、異世界からのメッセージを伝え始めたのだ。

 異世界、そこは、「超能力」すらかすんで見える「霊力」が満ちた世界。
 「霊力」を操る者たちいることが日常であり、幽霊、妖怪、神や悪魔まで存在するという。

 彼はその重大な出来事を公表する道を選ばなかった。
それは、その異世界に存在する知識や産物が独占できれば、こちらとてつもない富と権力をもたらす可能性に気づいたからだ。

 異世界の知識と彼の知力により、超能力開発薬、霊力(超能力)封鎖システムなど、そのままでは何十年かけても得られない成果が次々とあがる。

 特に、大きな成果は、テレパスを介さない交信装置を開発したことだ。

 それを研究所の極秘シェルターに設置したことで、異世界の存在は、完全に彼の物となった。(ちなみに、最初の交信装置の役割を果たしたテレパスや装置の制作にかかわった助手たちは、失踪などの理由でいなくなっている)
 さらに、この装置にテレポート能力を組み合わせれば、”むこう”との行き来ができることもわかってきた。

 それらの(交信装置を除く)成果は、裏のルートで流され、彼の富と権勢を増やす一方、その存在を各方面に認めさせた。

そして、今日、第三の転機

 襲撃に参加したエスパーの中に超度 7 のテレポーターがいることを知った時、邪魔者の排除を兼ね、異世界との転移実験を実行することにした。

 ”むこう”と連絡を取り、しぶる相手に強引に実験をのませる。

 転移するのは、特務エスパーたち自身。

装置の前で彼の誘導に乗り、特務エスパーはテレポートを行ってくれた。

 非実体化した彼らは、”こちら”の装置と”むこう”の装置の間に成立したエネルギー流に巻き込まれ、”むこう”の世界に送られたはずだ。

特務エスパーたちが舞い戻ってこないこということは、実験が成功したということ。
 それは、同時に、あの特務エスパーたちの最期でもある。

 超度 7 のエスパーたちといえどもそれ以上の化け物が存在し、対処している世界である。子供たち(とオマケ)を始末することぐらい造作もないはずである。

 実験の成功により、”むこう”のものを直接入手できることになる。そうなれば、世界征服すら視野にはいる。

彼に無限の富と権力を約束させてくれる装置にもう一度、目を向けた。

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