ザ・グレート・展開予測ショー

彼氏が彼女になったとき!?〜後編最終幕〜


投稿者名:ヨコシマン
投稿日時:(03/10/26)

「ちょ、ちょっと待ってくれませんか!あの・・・、お名前を・・・聞いてもいいですか?」

何とか除霊に成功し、急いでるから、と立ち去ろうとする彼女に向かってピートは思わず声をかけた。
ピートは必死だった。今名前を聞いておかねば、もう二度と会えない気がした。

「え!?な、名前?」

横島は焦っていた。すでに残り時間は1時間を切っている。
(今ここでいちいち説明している時間がねぇ!急いでんだよ、コッチは!大体、コイツなんで名前なんか聞きやがるんだ?)
二人の間には、竜巻が発生しかねない程のとてつもない温度差が生じていた。

「(とりあえず、適当に言っとくか。)・・・百合子、・・・百合、・・・ユリ!ユリでいいや!」
「ユリさん・・・ですか。(素敵な名前だな・・・)」
「そーそー、ユリ!(無駄な時間とらせんな!)じゃ、急いでるんで。またな!ピート。」

横島は全力で走りつつ、土愚羅をも上回る演算能力で残り時間を計算する。
(いける!到着予定時刻はPM6:20。15分あれば、なんとか見られる“作品”が作れるぜ。)
やはりピートを見捨てるべきだったか・・・。横島は心の底から後悔した。




PM6:21 横島忠夫(ユリ)『小江戸温泉』到着。

「うおおおおおっ・・・。」

まにあったー!!!と叫ぼうとして、思いとどまる。入り口の前でそんなことしてる間に受付を済ませたほうがいい。
横島は、―普段事務所でそういう所を見せれば殴られなくてすむのに―、と突っ込みたくなるほど冷静だ。
クール&スピーディーに料金を支払い、脱衣場に進入。手早く服を脱ぎ、下着姿になってカメラを構えた。
何故下着姿になったのかは解らないが、しいて言うなら、本人がなりたかったからだろう。

荒くなる息を整え、横島はカメラの液晶を覗き込む、そこには―――――――――

[警告:本作品にふさわしくない表現がありましたので、当局の判断により割愛させて頂きました(笑)] ―――が映し出された!

「ヨォッシャヤァ!!!!!いける!アカデミーいただきやぁーーーー!!!!」

あふれ出す涙を拭こうともせず、続けてカメラを右手方向に向けた・・・つもりだった・・・が。

「イテッ!イテテテテテテ!?」

右手関節から鈍い痛み。
(なんだ?右手が・・・、いや、体中・・・全身の関節が・・・)「いってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

思わず大声で叫んだ。その声を聞いて、周りの女性たちはいっせいにこちらを見る。近くにいた人たちが大丈夫?と心配そうに声をかけてきた。
だ、大丈夫です。と無理やり笑顔を作ってその場を取り繕うとしたそのとき、厄珍から預かっていた携帯が横島のロッカーの中でなり始めた。
痛みに顔をしかめながら電話に出る横島。

―もしもし、コゾウアルか?―
「厄珍か?!どーなってんだ?体中が痛くて死にそうだぞ!!」

横島は顔を引きつらせながら厄珍に訴えた。

―・・・?おー!そーか!つまり変身前にダメージを受けるのではなくて、変身解除のときに体に激痛が走るアルか!新発見アル!―
「変身解除?!」

横島は脱衣所の時計をチラリと睨む。PM6:25。

「まだ10分あるじゃねーか!どういうことだオイ?!」
―そーそー、その事でコゾウに電話したアル。実は店の時計・・・昨日から10分進んでたアルよ。だから実際コゾウが薬を飲んだのはPM6:25だったアル。そろそろ変身解ける頃アルおもってなー。まぁ、変身解けたら7時にバイト料取りに来るアルよろし。―

「お、おいちょっと待て!!厄・・・」
プッ・・・ツーツー・・・

電話は切れた。恐る恐る視線を自分の体に向けた横島の目に映ったものは・・・女性のランジェリーを上下完全装備した・・・男。

「そういうことは早く言えやぁーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!ヤーークーーチーーン!!!!!!!」




―七時のニュースです。本日午後6時30分頃、『小江戸温泉』女性更衣室に女物の下着を身に着けた若い男・・・17歳の男子高校生・・・暴行を受けており・・・取調べは回復を待って・・・なお、少年は容疑を否認・・・―

「全く、あのボウズの行動はワタシの想像を遥かに超えてるアルなー。まぁ、バイト代払わずにすんで儲かったアル。それにしても女湯とは良いアイデアアルな。まだサンプルも残ってるアルから、ボウズの無念はワタシが晴らすアル!うひゃひゃひゃひゃ。」

店内で横島を待っていた厄珍は、ニュースを見ながら上機嫌で商品の手入れをしていた。そんな時、ふと厄珍の視界にキラリと輝く水晶玉が飛び込んできた。

「はて?商品を落としてしまたアルか?」

何気なくそれを拾い上げて、中を覗き込む。水晶の中に浮かんでいるのは・・・

「爆」

「アイヤーーーー!?!?!?!コゾウの奴、文殊置いてったアルかーーーーーー!!!!!!」




―十時のニュースです。本日午後7時30分頃、有名呪術アイテム専門店『厄珍堂』で原因不明の爆発事故が・・・オーナーの厄珍さんは軽症・・・―

「アイヤー!!店が!サンプルがー!!赤字アル!大赤字アルーーーーー!!」

ブラウン管には、燃え上がる厄珍堂の店先で両膝を地に付いて叫ぶ厄珍が、鮮明に映し出されていた・・・。

      〜FIN〜

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