ザ・グレート・展開予測ショー

シロの冒険


投稿者名:DIVINITY
投稿日時:(03/10/30)

拙者は、人狼のシロと申すもの。

ゴーストスイーパーとして天界・人間界・魔界、三界に渡って有名な美神殿の元に居候・・・・・・

えっ、存じていると・・・・

ならば話は早いでござる。

そんな境遇にある拙者でござるが、今唯一つ不満があるのでござる!!

拙者には尊敬すべき先生が居るのでござるが、その先生が最近散歩に連れて行ってくれないのでござる!!

しかもかれこれ、なんと三日も!!

重要なもはや、壊滅的(?)な問題でござる!!

もう耐えられないでござる・・・・・

直談判に行くでござる!!

ダアアアアアアアアァァァァァァーーーーーーーー(エコー)



・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・結果、また駄目でござった・・・・・・・・

_____________________________________________________________



そして、横島に断られショックの余り家を飛び出し闇雲に走った結果・・・・・

(ここはどこでござるか・・・・・・)

いつの間にか、なじみのない地域まで来ていた。
立ち止まって周囲を見渡すと、川が近かった。
もう夕方で、赤い夕日が川面にキラキラしている。

「はあ〜」

それを見ていると溜息が出ると言うものだ・・・・・

(・・・・・・どうして先生は散歩に連れて行ってくれないのでござろう?)

(・・・・・・嫌われてしまったのでござろうか)

そんな事を考え、すぐにそれを打ち消すようにブンブンと頭を振る。
そんな事はない。
・・・・・・無い筈だ。

(う〜、苛立つでござる)

今日は帰らないつもりだが、今のむしゃくしゃとした気分を抱えたままで夜を迎える事は出来ない。
・・・・・夜は長いのだ。

(何かストレスを発散できるものはないでござるか・・・・・)

獲物を狩る鷹のような鋭い眼光であちこちに気を配る。
っと、橋の向こう岸の電柱の陰から二頭の犬が姿を現した。
それを見てシロはある事を考え付いた。

犬(狼でござる!!)に変わって、その犬達に近づく。

「ワン、ワワワンワオーワオーワン(おい、ここは拙者の縄張りでござる)!!ワオワオワワワン!!(早々に立ち去られよ!!)」

シロがそう警告すると、その犬達がギンとシロを睨んだ。

「グルルガオギャイギャイギャオーン(何言うとんのや、我ー!!いてこますぞ、オッ!!)」

どうも関西出身の犬らしく、しかも年季の入ったドスだった。
シロは思わずたじろいでしまう。

(駄目、駄目でござる!!拙者は誇り高き狼。ワウワウワウ(こんな野良犬の一匹や二匹)」

「ガウガウ、ガウガ−ウガガウ(ホウホウ、野良犬の一匹や二匹・・・・ね)」

「アウ(えっ)?」

思っていたことをいつの間にか口に出していたらしい・・・・・
さすがは横島の弟子である。
・・・・・・・・こういうどうしようもないミスをするのは先生あっての弟子ゆえか。



「ガウガオーンギャイギャーーーーー(いっぺん死に晒せーーーーー)!!」





ズガッボゴッバキッグシャッ・・・・・・・


ポーーーン・・・・・・・ザブーン。




小さな水しぶきがあがった。
そして浮き上がってきたのはズタボロになったシロの姿・・・・・


チーン


ああ、無情・・・・・・







見知らぬ町の見知らぬ道を歩く。
あれから、気づいたときには犬どもはもういなくっていた。
シロは犬(だから、狼でござる!!)の姿のまま、あてどもなく傷ついた身体を庇いながら歩く。
町の喧騒が耳につく。
和気あいあいと飼い主を散歩する犬が癇に障る。

(先生の、馬鹿野郎ーーーーーーー!!)

・・・・・・そう何度叫びたくなる衝動に駆られたか。

でもそれも、ふと目に浮かんでしまう笑う横島の顔が、その気をすぐに萎えさせてしまう。

「はあ、先生・・・・・」

「なんで散歩に連れて行ってくれないのでござるか・・・・・」

もう何度目かになる疑問を口に出す。
そんな時である。
彼女の目に遠くで横断歩道を渡る一人の男性が映った。

(先生!?)

シロは駆けた。
今のシロには傷ついた身体など何処吹く風だ。
しかし、近づくにつれ速度も遅くなる。

・・・・・それは横島ではなかったのだ。

というか、全然似てない。
トレードマークのバンダナもしてなければ、背格好すら似つかわしい。

(ああっ、ついに先生の幻まで見えてしまったでござるか・・・・・)

(この状態を末期的状態というのでござろうな・・・・・)

・・・・・・・ある意味、当たっているかも・・・・・・





夜の公園でシロは人の姿に戻り、ブランコをこいでいた。
ブランコを漕いでいれば、この陰鬱とした気持ちも晴れると思ったのだ。

最初はまあ、ヤケクソぎみでやっていたのでそれでもよかったのだが、やっているうちに徐々にそんな自分が情けなくなり、今ではキーコキーコと小振りに揺らすだけ・・・・・・・

「・・・・・帰るでござるかな」


何か馬鹿馬鹿しくなってきた。
何で家出なんてしたんだろう。
ちゃんと横島に理由を聞いてその上で妥協するなり何なりすればよかったのではないか・・・・・


こんな事は冷静に少し考えれば、すぐに解る事だった。

(すぐ、カーッとなるのは拙者の悪いところでござるな・・・・・)

そんな事を反省し、しょんぼりとしながら公園の出口に向かう。





「・・・・いつまで、ブランコに乗ってるのかと思ったぞ。シロ」






そこには、待ちに待っていた人がいた。






「何度も言ったろう、俺は疲れていない日なら散歩に連れてってやるって・・・・・」






あの人懐っこい笑顔を浮かべながら・・・・・・・・





シロは笑った。





「それが、いつまで経ってもこないから拙者は怒るのでござる。」






かなり捜し歩いたのか、汗がかなり流れているその男は、シロにとって・・・・・・・・






「う〜ん、美神さんに頼んでみるか・・・・」





この上なく大切な・・・・・





「本当でござるか!!」






・・・・・・この上なく愛しい人だった。






「先生、大好きでござる♪」

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