ザ・グレート・展開予測ショー

傷ばかりの天使!!(その17)


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/10/24)

「この無礼モンがーーーーーーー!!!」

「いい!?今日、たった今から、アンタは私の下僕だからね!!」

「バ、バカなこと言うんじゃないわよ!私だって、悪かったと思ったら、ちゃんと謝るわよ。」

「横島ーーーーーーー!!」


「リナ王女!!」
横島は叫んだ。
しかし、リナ王女はいない。
目の前にあったのは、白い壁である。
「ここは・・・・、どこだ?」
横島はまず、自分の状況を確認した。
縞々模様の清潔そうなパジャマを着ており、ベッドの上にいる。
胸には包帯が巻かれており、少しだが痛みを感じる。
(確か、俺は・・・・・。)
その時、ドアが開く。
「横島さん!よかった、気がついたんですね!」
「おキヌちゃん?俺はいったい・・・・?」
「美神さーん!!横島さんが目を覚ましましたーーー!!」
横島の質問を遮るかのように、おキヌは大声を出しながら、走り去っていった。
「おキヌちゃん・・・・?」
横島はスリッパを履き、おキヌの後を追う。
しかし、痛みのせいで、走ることは出来なかった。
そして横島は、導かれるかのように、とある部屋に辿り着いた。
その部屋の中には、美神、おキヌ、シロ、タマモ、ひのめ。
そして、美神 美智恵。
「た、隊長!?」
「待ってたわ、横島クン。座りなさい。」
横島は、近くにあった椅子に座った。
「隊長・・・。どうしてこんなところに?」
「貴方に言いたいことがあって来たの。」
そう言って、美智恵は一回深呼吸した。
そして、静かに言い放った。
「貴方の任務は終了。明日、日本に帰国してもらうわ。」
「!? どっ・・・!!」





「どういうことですか、先生!!」
「!?」
全員が、ドアの方を見る。
そこには、驚きと怒りが入り混じったような表情をした西条が立っていた。
しかも、横島と同じように、縞々模様のパジャマを着、胸には包帯が巻かれている。
しかし、それを見ても、美智恵は表情を変えなかった。
「言ったとおりの意味よ。今回を持って、貴方たちの任務は終了。明日、日本に帰国してもらうわ。」
「何故です!!理由を聞かせてください!!」
西条は、怒りの混じった声で言った。
「オカルトGメン本部のあるICPO上層部からの命令です。貴方たちに拒否する権利はないわ。」
冷たく言い放つ美智恵。
彼女はテーブルの上に、2枚の紙を置いた。
それは、神界から出された指名手配状であった。
その指名手配状の片方にはマチュアのことが、もう片方には、ギルファのことが書かれてあった。
「メタリア王国が、魔族2匹によって滅ぼされたという情報が入り、現場の状況、死体の司法解剖などの結果、この2匹が出たわ。」
美智恵は、横島と西条を見ながら言う。
「この2匹、あのメドーサの十数倍もの力を持っているわ。とても、我々で対処出来ることではない・・・・。」
「だから、任務の終了というわけですか・・・・?」
「そうよ。」

「「ふざけるな!!!!!」」

美智恵の言葉に、横島と西条は、同時に怒りの声を上げる。
「王女たちは・・・、王女たちはどうなるんですか!?」
「リナ王女とアリス王女は、この2匹にさらわれたわ。もう助け出すのは不可能よ。」
「リナ王女と、アリス王女を見捨てろと言うんですかっ!?」
「そうよ。」
「バカなことを言わないでください!!」
横島は、大声で怒鳴った。
バシーン!!
「そっちこそ、バカなことを言ってるんじゃないわよ!!」
立ち上がった美智恵は、横島の頬を平手打ちした。
「いい!?アンタたちが戦おうとしているのは、魔界でもトップクラスに入るほどの危険分子なのよ!?
私だって何とかしたいわ!!でも、どうにも出来ないのよ!!
王女たちにも、悪霊や妖怪に苦しめられている人はたくさんいるのよ!!
その人たちを救う前に、貴方たちは死ぬっていうの!?」
怒声をあげる美智恵。
「・・・・分かってちょうだい。」
「・・・くっ!」
西条は、怒りに満ちた表情で、部屋から出て行った。
それに続くように、横島も部屋から出た。





「・・・・ねぇ、皆。しばらく、私とママと2人きりにしてくれない?」
横島と西条が去った後、美神はおキヌたちに言った。
「え?」
「お願い・・・。」
「わ、分かりました。」
おキヌたちは、部屋から出て行き、美神は、ドアを閉め、鍵をかける。
そして、椅子の上にいたひのめを抱き上げる。
「ママ・・・・。」
「・・・・・・酷い上司ね、私。」
哀しそうな表情で、美智恵は言った。
「辛い任務を横島クンと西条クンに任せて、自分は何もしない。」
「・・・・・。」
「そして今度は、2人に非情な命令を下す・・・・。」
美智恵の目から、大粒の涙が零れ落ちる。
「アリス王女とリナ王女には、1度会ったことがあったわ。とても可愛らしいいい娘だったわ。」
美智恵は、悔しそうに唇を噛んだ。
「私に、私に力があったら、今すぐにでも助けに行きたい・・・・・。」
「ママ・・・・。」
涙を流し続ける母の傍による美神。
「だー。」
ひのめの声が、何故か悲しく聞こえた。





「くそ!!くそ!!」
部屋の壁を殴り続ける横島。
「やめろ、横島クン!!」
西条が言った。
「これが殴られずにいられるか!!俺が、俺がもっとちゃんとしてたら、リナ王女をさらわれることが・・・・。くそーーーー!!!」
ドンッ!!
横島はもう一度、部屋の壁を殴った。
「何がエリートだ・・・。何がオカルトGメン一の実力者だ・・・。僕が護衛してたというのに、アリス王女さまは・・・・・・。」
西条は拳を振り上げ、
「・・・・・・クッソーーーーーーーーーーーー!!!」
思い切り、拳をテーブルの上に振り下ろした。
ドンッ!!
拳から全身に痛みが伝わってくる。
「・・・・・・・クソ。」
その時、ドアが開く。
「!?」
2人がドアの方を向いた。





「ん?どうしたあるか?生ニンニク食ったドラキュラみたいな顔をして。」
ドアの方には、荷物が入った大風呂敷を背負った厄珍の姿があった。
「どんな顔だよ・・・。」
横島は呟く。
「ったく、2人とも暗い顔してるあるね。お邪魔するあるよ。」
そう言って、厄珍は部屋の中に入る。
「何のようだ?」
西条が聞いた。
「ま、とりあえず、これを見てほしいある。よっと。」
厄珍はテーブルの上に大風呂敷を置き、それを広げた。
「「!!」」
大風呂敷の中には、アサルトライフルのM−16、サブマシンガンのスコーピオンにイングラム、グレネードランチャーにロケット砲、手榴弾・・・。
つまり、数多くの近代兵器が入っていた。
「これを売りたいあるね。」
厄珍は言った。
「・・・また、曰くつきのモンじゃねぇだろうな?」
「大丈夫ね。呪いのかかったものなんてないあるよ。」
「・・・・いくらだ。」
西条が聞く。
厄珍は、ニヤリと笑って言った。
「1円。」
「「!!!!!???」」
驚愕する2人。
「助けたくないあるか?王女サマを。」
笑みを浮かべたままの厄珍のサングラスが、怪しく光った。


続く

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