ザ・グレート・展開予測ショー

傷ばかりの天使!!(その18)


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/10/28)

「1円・・・?」
「そうある。」
「本気か?」
「本気の本気あるよ。」
笑みを浮かべたまま、そう答える厄珍。
「・・・・何で、何でそんな値段で売るんだ?」
「・・・・。」
厄珍は何も言わず、ポケットの中から、弾丸が入ったケースを幾つか出す。
「銀の弾丸に、厄珍堂特製の精霊石弾。これはタダでいいあるよ。」
そう言う厄珍に、西条は聞いた。
「何故だ?何故自分が損をするだけのことをするんだ?」
厄珍は、横島と西条の顔を見て言った。
そして、何かを期待するような、ニヤリとした笑みを浮かべる。
「な〜に、ボウズたちが何かトンデモないことをしてくれると思ったからあるよ。」
「・・・それだけか?」
「それだけある。」
厄珍は、そのままドアの方へ向かう。
「お、おい、厄珍。」
「ボウズたちの活躍、遠くから見物させてもらうあるよ。」
厄珍は、横島と西条がいる部屋から出て行った。
「GOOD LUCK(健闘を祈る)!!」
そう言い残して・・・・。





その日の夜・・・。
横島は、自分の部屋で仮眠をとっていた。
そして、夢の中に1人の女性が現れた。
後ろ姿しか見えないが、横島には分かった。
(リナ王女だ。)
「ったく、何ボケっとしてるのよ!バカ横島!!」
リナは言った。
「とっとと、助けに来なさいよ!!この私が危険な目に遭おうとしているのよ!!」
怒声をあげるリナ。
「・・・・・・・・横島。」
リナの声のトーンが変わる。
「私、待ってるから。アンタが助けに来てくれるのを、待ってるから・・・・・。」






「・・・・・・。」
ゆっくりと体を起こす横島。
そして、部屋の真ん中にあるテーブルの前に移動する。
テーブルの上には、美神が拾ってきてくれた、横島がリナに渡した、自分のバンダナが置いてあった。
「・・・・・・分かってますよ、リナ王女。」
横島は、"全"、"治"の文珠で、怪我を完治させ、体に巻かれていた包帯を解く。
ジーンズを穿き、ワイシャツを着、Gジャンを羽織る。
そして、テーブルの上に置いてあるバンダナを巻く。
「白馬の王子とは行きませんけど、リナ王女・・・・。」
横島の目が、決意に満ちた目になる。
「絶対助け出してみせます。絶対に。」
横島は、厄珍が持ってきた武器を入れたリュックを背負い、部屋を後にした。






カチャカチャ・・・
椅子に座り、机の上で銃の手入れをする西条。
カチャッ
銃の手入れが終わった西条は、マガジンの中に、銀の弾丸を入れていく。
西条は、壁に掛けられた時計を見る。
(午前2時か・・・・。)
その時、後ろから声がした。
「やっぱり、行くんですね。」
西条は、後ろを振り向かなかった。
その声の主が分かっていたからだ。
「何か用かい?魔鈴くん。」
「いえ。ここから物音がしたので、多分西条先輩が出かける準備をしていると思って、見に来たんです。」
魔鈴はニコリと微笑んで言うが、首にはギプスがついていた。
魔鈴の言葉を聞き、苦笑する西条。
「あの魔族とは決着をつけないといけない。どっちが美しいかね。」
「ふふっ、先輩らしいですね。」
クスリと笑う魔鈴。
西条はマガジンを、銃の中に入れ、その銃をホルスターへと入れる。
そして、ハンガーに掛けてあったジャケットを羽織る。
「先輩はいつもそう。女性のためなら、命を投げ出してもかまわない・・・・。」
「レディの前では、紳士と同時に騎士(ナイト)でいたいからな。」
「それで何人の女性を虜にしたんですか?」
再び苦笑する西条。
そして、西条は部屋を出ようとする。
その時だった。
西条に、魔鈴は優しく抱きついた。
西条は、魔鈴の体温を感じ取る。
「死なないで下さい。」
魔鈴は言った。
「大丈夫だよ、魔鈴くん。」
西条はニコリと微笑む。
「僕はただ、騎士としての役目を果たしに行くだけさ。」
「・・・・はい。」
魔鈴は、ニコリと微笑み、西条との抱き合いを止める。
「それじゃ、行って来るよ。」
「・・・・気をつけて。」
西条は、部屋から出て行った。
「・・・・・先輩。」
部屋に1人きりとなった魔鈴は、静かにそう呟いた。





朝が来た。
ドタドタドタ!!
「た、大変です!!美神さん!!」
美神の部屋に駆け込んできたおキヌ。
「ん〜?どうしたの、おキヌちゃん?」
頭をポリポリ掻きながら、ベッドから体を起こす美神。
「よ、横島さんと西条さんの姿がどこにもないんです!!」
「・・・・・なんですって!!」
おキヌの報告を聞いた美神は、すぐさま着替え、横島の部屋と西条の部屋を見る。
しかし、部屋には誰もいなかった。
「どこへ行ったの!?」
その時だった。
ブオォォォォォォォォォォォォ!!!!!
聞き覚えのあるエンジン音が聞こえた。
それに気づいた美神とおキヌは、窓を開け外を見る。
ブォーーーーーーン!!
美神の愛用のコブラが走り去って行く。
「わ、私の車!!」
「み、美神さん!!の、乗っている人!!」
おキヌは、走り去って行くコブラの運転席と助手席を指差した。
美神は、双眼鏡で乗っている人物を確認する。
そして、乗っていた2人の人物の名前を叫んだ。
「横島クン!?西条さん!?」





「さーて、行くとするか!王女様を助けにさ!」
「あぁ!」
コブラに乗った2人の騎士。
果たして、リナ王女とアリス王女を助け出せるのか。


続く

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