ザ・グレート・展開予測ショー

悲劇に血塗られし魔王 9


投稿者名:DIVINITY
投稿日時:(03/10/27)

・・・・・・

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_________________________________________________「魂の覚醒 第二段階に移行」________________________________________________


・・・・・・

・・・・・・

一体、何回目だろう。

ああ、まただ。

ドゴォォオオオン

蒼い稲妻が俺を貫く。

それと同時に頭の中に処理しきれない情報が頭の中に無理やり詰め込まれる。

そしてそれと同時に襲い掛かる神経が焼ききれるかと思うほどの耐え難い苦痛。

一体何回目だろう。

気づくと俺はここにいた。

何も無い空間の中で俺は全裸の状態で四肢を鎖で繋ぎとめられ、ただただ蒼い稲妻の劫火にさらされる。

・・・・つらい。

・・・・つらい。

・・・・つらい。

俺はここから逃げる為なんとか鎖を外そうと抵抗する。

でも無理だった。

俺の力ではビクともしない。

ドゴォォオオオン

直後、また俺に蒼い稲妻が襲い掛かる。

くぅああああああああ!!

俺は、激痛にのた打ち回る。

四肢の鎖で繋がれた部分から血がでるが、そんなことは今の俺には関係ない。

ただ、この痛みから逃れたい。

それだけだった。

ポタッポタッ

頬から何かが流れ落ちる。

それは顎を伝い、首を伝い、やがて腹部へと伝ってきた。

・・・何だ?

俺は、目を凝らしそれに注視する。

それは、血だった。

悟った瞬間、視界が赤く染まる。

俺は血の涙を流していた。

________________________「魂の覚醒 第三段階に移行」________________________

うわあああああああああああああ!!!

頭をぶんぶんと振るう。

しかし、視界は赤いままだ。

視界が赤い。

それは、恐怖だった。

いつもと違う世界。

まるで、自分が血で血を洗う殺戮の世界に迷い込んだかのようだった。

ふと目の前にボヤーっと何かの映像が現れる。

それは、俺の大好きな人たちの映像だった。

でも、その映像の中身は・・・・

「み、美神さん・・・」

映像には神族に囲まれながら、必死に逃げる美神の姿があった。

必死に逃げ、時には攻撃し、また逃げる。

そんなことを繰り返し、そして追い詰められる。

なっ、何をやってるんすか!!美神さん。

それから、後の光景は凄絶極まりないものだった。

腕を切り、足を切り、じわじわと苦しめる。

神族らしからぬ残酷な所業。

俺は目を背ける。

だが、そこでは違う映像が・・・

「おキヌちゃん・・・」

そこでは、おキヌちゃんは俺の知るおキヌちゃんではなかった。

おキヌちゃんは部屋の中で、兎の人形に御飯をあげていた。

もちろん、人形は食事を食べられるはずも無くただただ、こぼすだけ。

それを怒るでもなく、優しく拭き取りまた御飯を食べさせる。

俺は思わず涙が出そうになる。

何があったっていうんだよ。おキヌちゃん・・・・

おキヌちゃんは物狂いになっていた。

俺は、また目を背ける。

そこにもまた、映像が・・・・

「シロ、タマモ・・・・」

二人は対峙していた。

なんだ、修行かなんかか?

と思ったが、どうも違う。

雰囲気が違う。

二人は、敵意むき出しだった。

特にシロが凄かった。

フウー、フウーと鼻息が聞こえてきそうだ。

対して、タマモは確かに敵意は出していたが、それは悲しみに満ちた敵意だった。

お、お前たちまで・・・・仲の良いおまえらがどうして・・・・

二人は激突する。

激しい攻防が繰り広げられているみたいだが、俺はそんなものは見たくなかった。

何がどうしたって言うんだ!!

目を反らしたした先には、西条が。

そらした先は、ピートが。

雪之丞が。

タイガーが。

エミさんが。

冥子ちゃんが。

・・・・・・・

皆の映像が俺の周りを埋め尽くす。

・・・・・・やめてくれ。

・・・やめてくれ。

やめてくれ!!

俺は頭上を見上げる。

俺が見上げるのを待っていたのだろうか。

また、あの蒼い稲妻が・・・・

ドゴォォオオオン

顔から思いっきり蒼い稲妻を浴びる。

いままでにない灼熱感を感じる。

それはもう、脳の神経が焼ききれて当然なほどの・・・・

でも、それは。

今の俺にとっては・・・

ああ、痛みが・・・・・

なんて心地よい痛みなんだ・・・

痛みが嫌なものを見せなくする。

全てを白く塗りつぶす。

ああ、赤くない。

白い。

ただ白い。

いい気持ちだ。

まどろみにも似た穏やかで温かな充実感が俺を満たす。

思えば、アシュタロス戦役が終わったこの約5年間はまさにこの充実感に近いものを与えてくれた日々だった。

・・・・・早く皆の元に戻りたい

・・・・・あの日常に戻りたい

この心地よさにたゆたっていたそんな時、俺は感じた。

遠いのか近いのか分からなかったが確かに感じたのだ。

一度たりと忘れはしなかった。
心の奥底から待っていた。

あの感触だ・・・・・

「・・・・・ルシオラ」

その感触に包まれながら、それに呼応するかのように頭の中が光で満ちる。

そして知る。

もはや、皆の元に戻る事は叶わぬことを・・・

自分が何者であるかを・・・

だから願う。

これ以上望まぬ悲劇が起こるなら・・・・


「俺は・・・・・・・・・
 俺は、悲劇に愛されし者。
 俺は、悲劇の中に安息と幸福を求めし者。
 俺は・・・・・・・・・『悲劇に血塗られし魔王』」

________________________「魂の覚醒 第四段階に移行」________________________


・・・・

・・・・

・・・・

・・・・

目を覚ます。

周りには何も無い。

俺の動きを封じる鎖も無い。

俺は首をコキコキっと鳴らし、振り返る。

そこで、ずっと佇んでいる男に対して。

「ひさしぶりだな。アシュタロス。」

______________________________________________________________


「ふむ、そろそろアシュタロスとの感動の再開の頃かね・・・・」

男は、ワインを片手に優雅に覚醒を待つ。
目の前には横島と呼ばれていた男のの肢体が机に寝そべっている。
胸に穴が開いているがその穴の中央に「魔王の核」がはまっており、そこを中心に凄い速さで再生が始
まっている。

「殺〜す〜なら〜今の〜うち〜♪ってやつやなー」

こうやってただ眺めているだけでも・・・・
こいつは危険だ。
感覚と言う感覚がそれを警告してくる。
今なら、「魔王の核」を取り出すだけでなかったことにできる。
しかし・・・・

「それができるなら、最初っからこんな事せーへんわい」

男はワインを掲げる。

「魔族の未来が平和でありますように・・・・」

どだいそれは魔族には無理な願いだった。

__________________________「魂の覚醒 完了」___________________________

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