ザ・グレート・展開予測ショー

いつかOXOXする日―ザ・ダブルブッキング(11)


投稿者名:フル・サークル
投稿日時:(03/10/31)


「ククッ・・・お前の通って来た所はみんなこんな感じだねぇ。・・あたしのせいにするなよ?
全部、最初から、お前が始めた事さ。
お前やあたしと同じ様に何かを望んで、これから向こうへ生まれて行こうとするこいつらを
踏み躙ってでも通せるものなのかねえ?お前のワガママは?」

メドーサは更に笑い声を含ませて言葉を続けた。

「お前、自分の希望とあたしの希望とに善悪で上下付けてモノ言ってるけどねえ、
大体、お前の願いも“善”じゃないだろう?
・・・・本気で、奴と親子ゴッコしたがってるって言うつもりかい?」

「そうよ!・・・それに、ゴッコなんかじゃないわ。本当の親子に・・・」

「それは、ただの妥協だろ?違うね、そんな妥協を受け入れ、茶番を望んで、
申請が受理される程の強い願いになる筈がないんだよ!!」


「また会える」それを祈った・・
消えない絆  再生し  再びヨコシマと出会い
そして・・・・・



「・・・母親から父親を寝取る娘。向こうの価値観で見れば充分邪悪だねえ?」

「・・・・!!」

ルシオラの顔色が変わった。掌の上の霊力は消え、代わりに彼女の周囲の霊圧が上昇した。

「どうやら図星だね・・色恋で転生先選ぶのにそのくらいの気合がなければ審査はパス出来ないものなんだよ。
妥協したと思い込んで自分自身を誤魔化していても、どこかでそれ込みで希望していた訳さ。」

「黙れ・・・・・!」

「お前じゃなくたって、惚れた男と親子になりたいと“本気で”願う奴なんかいないさ。
惚れた男とは恋人になって結ばれたい、と願うもんだよ。それがあのアホだってのも信じ難いけどね。」

「もういい、黙れ・・!」

「人間界の善悪ってのも適当なもんでね、時代と場所によっては殺人以上の悪とされてるそうだね、
近親相姦ってのは・・・」

「黙れって言ってるのが、わかんないの!!?」

次の瞬間、ルシオラ本人が光球と化して、メドーサの立つ場所へ突っ込んで来た。
メドーサが躱すと、ルシオラはそのままドームの壁を直撃した。
近くにいた人々は再び悲鳴を上げて逃げ惑う。
向きを変えて再びメドーサを狙うルシオラ。

セキュリティの人数が更に増えていた。腕を何本も生やした者、腕だけでなく顔も3つある巨漢も混じっている。
ルシオラの直撃を避けながら、センター内では初めて行われる対上級魔族戦用のフォーメーションを組み始めていた。



ルシオラとメドーサから視線を外し、セキュリティ達の動きに注意を向けていたJ−0392Cは脇に微かな霊圧の高まりと放出を感じた。

「何だ、このガキ・・・バトルに混ざりてーのか?・・まさかな。」

そこにいたのは9〜10歳くらいの人間の女児で、彼女たちの戦いを食い入る様に見つめている。―特にルシオラを。
霊力の放出は無意識のものだろう。J−0392Cはその波長を容易に特定できた。
「怒り」と「憎しみ」のパターンだ。
少女の横には顔なじみの同僚J−3419Kが立っている。J−0392Cは彼に声を掛けた。

「よお」

「あっ、おぴさ」

「おぴさ。・・・何だよ?このやる気なガキは?」

「ああ、この子ね。生前、父ちゃんの不倫相手がトチ狂って家に乗り込んで来て、巻き添えで包丁で刺されたんだと。」

「ふうん、ああいう色恋沙汰で見境無しのねーちゃんとかは許せねえって訳だ。
・・・ところで、あっちのバトルはどう見る?」

「あれね・・・ダメだな。あっちのホタルみたいなねーちゃん。もう完全にヘビギャルのペースじゃん。
上手いんだよね、ヘビギャル。何か、誰かを殺すとか言ってるのはこっちで聞き取りにくい所で喋って、
皆の前ではホタルの方が色恋沙汰で暴れてるって話にするだろ?
形勢とかもこっちではやられ役っぽく動いて陰でボコってるし。」

「俺も同じ考え。あのヘビギャルよ、実は俺の担当。」

「え?マジ?・・いいなぁ」

「だろ?」


ルシオラが飛行中のメドーサを捕らえると、二人とももつれ合ったまま床へ墜落した。
舞い上がった煙が晴れると、メドーサを組み敷いているルシオラの姿。

「メドーサ・・あんたの言う通りかもね・・・私の中に、そういう事を望む部分が・・・あったかもしれないわ・・。」

息を切らしながらメドーサに語り掛けるルシオラ。

「あいつの事を想う時・・・“あの人”の事が引っかかったりもした・・嫉妬したり、対抗心を持ったり
・・きれいなものばかりじゃないわね・・・
でもね、それは、あんたなんかに何か言われるような事じゃないわよ・・・!!」

「あたしには、ね・・・フフフ・・・じゃあ、あいつらから何か言われたら?」

「あいつら・・・?」

ルシオラが聞き返そうとした時、甲高く幼い声がドームに響いた。

「消えろ!!悪魔め!!」

ルシオラの前方にJ−0392Cの隣にいた少女が周囲から二歩程踏み出して立っていた。
燃える様な目付きでルシオラを睨んでいる。

「いなくなれ!!出て行け!!死んじゃえ!!」

少女を中心に怒りが飛び火した。
人間・妖怪・その他様々の転生者がぽつぽつと前に出てきて、ルシオラに罵声を浴びせ始める。

「消えろ!」

「馬鹿野郎!もう一度死ね!」

「化け物!!」

「私たちを苦しめに来たのか!?」

「くたばれぇぇ!!」

呆然としてその光景を見渡すルシオラ。
その背後ではフォーメーションを組んだセキュリティが彼女を包囲し、展開を始めていた。

(続く)

――――――――――
長めの一話にするつもりでしたが長過ぎたのでやっぱり二話に区切りました。
メドーサの言動に計画性が出ているかどうか自分でも疑問です_(; )_

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