ザ・グレート・展開予測ショー

悲劇に血塗られし魔王 15


投稿者名:DIVINITY
投稿日時:(03/11/ 3)


ワルキューレから弾丸が放たれた。
しかし、それはいつの間にか展開された魔力の壁に阻まれる。
小竜姫が静かに背後に忍び寄り斬撃を繰り出す。
それは、槍に防がれる。

「ちいっ!!」

「くっ!!」

不意打ちからの必殺の一撃。
それは、いともたやすく破られてしまった。
二人は焦る。
せめて、慌てるくらいはして欲しかった・・・・・
二人は考える。
どうやったら、こいつを倒す事ができるのか・・・・・
しかし、その思考は笑い声によって妨げられる。

「キャハハハハッ、何、おばさんたちもこの遊びに参加するの?」

「な、なんだと!!」

「おっ、おばっ!!」

どこぞの光景を思い出させそうなやりとり。
その時、小竜姫は初めてワルキューレに気づいた。
かなり驚いた。
ワルキューレはそんな小竜姫の様子に気づき、「話は後だ」と目で合図する。
小竜姫は頷いて、目下の敵に視線を戻す。

「そこのお二人方。」

背後から野太い声が話しかけてくる。
二人が振り返るとそこには先程まで恐怖で臆していたズルベニアスがいた。

「何者だ、とは聞かないがせめてこれだけは聞いておこう。お二人方は敵か否か?」

「愚問だな」

「愚問ですね」

もう言葉はいらなかった。
三人は目の前の敵に向かって立ちはだかる。

「いいねぇ、いいねぇ〜。面白くなってきたよ。さあ、僕を楽しませてくれ!!」

ただならぬ雰囲気を察したのだろう。
いつの間にか、村の人たちは各々の家へと引き込んでいた。



・・・・・

・・・・・

・・・・・

まず、ズルベニアスが動いた。

「轟っ」

咆哮と共に、戦斧が立ち続けに敵目掛けて振るわれる。
その全てを片腕で槍を操りことごとく打ち払う。
・・・・・一撃一撃が武器ごとその身を叩き割ってもおかしくないというのに。
しかし、ズルベニアスは焦らない。
あくまでこれは陽動。
視界を阻める事ができればそれで十分。
遅れざまに再び背後に忍び寄った小竜姫の裂帛の斬撃が放たれる。

ギインッ!!

ズルベニアスと小竜姫は瞠目する。
受け止めたのは敵の余った手から発された霊波刀。
だが、驚いたのはそんな事ではない。
後ろに目があるというのか、敵は小竜姫の斬撃を見る事も無く受け止めていた。
とはいえ、ここで流れを止めてはいけない。
驚くのもつかの間、二人の苛烈な猛襲は続く。
しかもそれは回を重ねるごとに激しく鋭くなっていくのだが、敵は別段焦りもせず正確に打ち払っていく。
ワルキューレはその様子をじっと見つめる。
どこかに隙はないか。
だが言ってしまえば、敵は隙だらけだといえる。
二人の苛烈な攻撃を余裕を持って受けてはいるが、注意力は二人に集中しているだろうし、なにより両腕がふさがっている。
普通ならどこもかしこも隙放題と言えるのだが、如何せん相手が相手。
決定的な隙が欲しかった。
魔力の壁は今は張られていないがいつまた張られてしまうか。
ワルキューレは冷静に焦る。


状況が動いた。
敵は防御に徹するのが飽きたのか徐々に攻撃を始めた。
逆に二人が防御に徹し始める。
劣勢に追い込まれそうなそんな時だった。
振るわれる斬撃を小竜姫は紙一重に避けた。
敵は体制を崩す。

((勝機!!))

ズルベニアスと小竜姫の思考が重なる。

「があああああっ!!」

「はあああああっ!!」

いままでで特に重く鋭い一撃を振るう。
乾坤一擲の斬撃。
しかしそれを無情にも槍を回すことで打ち払われる。

「ひゅー、危ない危ない。」

・・・・・・これでも駄目か。

二人に悲愴感が漂う。
それを敵は嘲笑う。

ダガンッ!!

突然敵は横から殴られたような衝撃を与えられ、そのまま横倒しに崩れ落ちた。

「私を忘れてもらっては困るな」

「ワルキューレ!!」

小竜姫はワルキューレに飛びつかんばかりに駆け寄る。

「さすがですねっ!!いつもその銃の腕前には驚かされましたが、今日ほど輝かしく見えた日はありません!!」

「・・・・そんなに褒めるな」

褒めに褒めたてる小竜姫にまんざらでもなさそうなワルキューレ。
実に仲睦まじい姿をズルベニアスは穏やかな顔で見ながら、敵の生死を確認するために近づく。













ズムッ!!











何かが貫く音。
そして、誰かが倒れる。
小竜姫とワルキューレは先程の笑顔等どこへやら、すぐに真剣な表情に戻る。
音のした方に視線をやるとそこには倒れるズルベニアスと、敵が・・・・・・

((!?))

二人は凍りつく。
これ以上ないというほどに・・・・・・
確かに敵がそこにいた。
残酷なまでに無邪気に笑うその笑顔も変わらない。
今はズルベニアスを貫いて、その血で滴っているが槍だって持っている。
背格好だって同じだ。
違うのは、唯一つ。















仮面が外れていたのだ。















「・・・・横島さん」

「・・・・横島」




















運命の岐路にたつ。




二人が選ぶ道はなんだろう。





絶望?





現実からの逃避?






・・・・・救いの選択肢等ありはしない。










・・・・・・・・少なくともその時はなかったのだ・・・・・・・・・








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