横島忠夫奮闘記 16〜the movie goes on〜
投稿者名:ぽんた
投稿日時:(04/12/ 2)
俺の名は横島忠夫。ちょっぴり過労死しそうなあんまり普通じゃない高校生だ。
俺は今、高校生、GS,映画スタッフという3足のワラジを履いている。
今回は映画スタッフとしての話をしてみようと思う。
{某TV局}
俺は1週間ぶりにTV局を訪れていた。
事前に連絡しておいたので主なスタッフが全員集まっていた。全員不安と期待が半々の顔
をしている。何やらグダグダと言い出しそうな雰囲気だったので俺はGS協会から預かっ
てきた書類を一番偉そうな(威張っている)人に渡した。(プロデューサーらしい)
書類を読み進めていくうちに、”信じられない”というような表情が拡がっていく。
そりゃそうだろう、俺が請け負ったのはあくまで「調査」だ。それが条件付とはいえいき
なりGS協会の公認が取れるわ、更に六道グループのバックアップまでつくわで俺の事が
幸運の使者に見えてきたようだ。条件面で俺の監修役としての参加が明記されていたので
一応免許の提示を求められた。断る理由もないのでおとなしく見せると今度は下にも置
かぬような扱いに変わってしまった。
ランクSにはそれだけの霊験があるようだ。日本で三名しかいないというだけでなく世界
でも十名前後しかないランクSのスイーパーが監修につくというだけで十分な宣伝効果が
あるそうだ。たちまちのうちにオッサン連中の装飾過剰な感謝の言葉があふれだしたが
俺はそんなものより、
「助かったで横っち!みとれよ、礼の変わりに最高の映画にしたるからな!」
という銀ちゃんの言葉の方がよっぽど嬉しかった。
次の日からすぐに撮影が始まった。はっきり言おう、俺は監修役という仕事をなめていた
できあがった物に対して要所要所でチェックを入れるだけで良いと思っていたのだがそれ
はとんでもない間違いで、そんなことをしたら時間とフィルムが無駄になるというのだ。
言われてみればその通りで、ごもっともと言うしかなかった。ただでさえ開始が送れてる
ので正月映画として上映が予定されている為、二ヶ月で総てを完成させなければならない
らしい。映画というのは最短なら30日で創れるらしいがそんな短期間でつくれるような
ものは《ピンク○ディーの歌って踊って大活○》のような伝説の駄作ぐらいで、ある程度
のクオリティーを持たそうとすると二ヶ月というのはギリギリの線らしい。
不幸な偶然だが、俺のもう一つの仕事の方でもこの二ヶ月、かなり過密なスケジュールを
組んでいる。こちらの方もかなり切羽詰っていたからだが今更あとにはひけない。
そして俺の地獄の二ヶ月が始まった。
まずはシナリオすべてに目を通さなければならない。その上で演出会議の席で矛盾点等を
指摘しなければならない。本読みはほとんど学校ですませた。周りの連中はおかしなもの
を見るような目で俺の事を見ていたが放っておいた。撮影には局撮りとロケがあるそうで
まずは局撮りを集中的に行うそうだ。コンテまで煮詰めると実際の撮影中は暇になってし
まう。その間、ボケッとしてれば良いのだが根が貧乏性なせいか落ち着かない。やる事が
ないの大道具の所に行って以前のバイト仲間を手伝ったりしていた。
最初に行った時、皆の様子が変なので理由を聞いたみると俺は見逃したのだが例の銀ちゃ
ん幼馴染として出演した番組を全員見たらしい。最後の方は何を喋ったのか覚えていない
のだが、銀ちゃんともども動揺しまくってお互い相手のせいで失恋した(俺の場合は早ト
チリだったらしいのだが)といって最後は猛烈な口げんかだったらしい。人生どこで恥を
かくかわからない。早く忘れようっていうか皆も忘れて欲しい・・・
今後も暇な時は手伝いに来ると約束して撮影現場に戻ると、何やら目つきの悪いのが何人
か俺の方をチラチラと見ている。側にいた人に何者か聞いてみると、一応GS免許は持っ
ているものの、本業の方では食えなくて映画関係者やらマスコミやらにたかって食いつないでいる所謂”オカルトゴロ”という連中らしい。この手のオカルト関連の番組にチョイ
役で出る事も多く、今回も出番があるしい。俺の事を気にしてるのは多分俺のようなガキ
がランクSと聞いて信じられないんだろう。まあ相手にしない方が良さそうだ。
撮影は順調に進んでいた。俺は毎日撮影が終わった後でGSとしての仕事をこなしていた
しかも家に帰った後はタマモのゲーム特訓の相手というオマケ付きだ。俺は体力の限界に
挑戦するような毎日を過ごし、日に日に疲労と生傷と包帯が増えていった。
そんなある日、珍しくタマモが撮影現場を見学したいと言い出した。この頃は既に社宅扱
いのマンションに引っ越しており(もちろんらくらくパックだ)タマモが家に友達を連れてこようとしないのも気になっていたし、銀ちゃんにタマモを紹介したくあったのでTV
局まで一緒に行く事にした。早速銀ちゃんに紹介したら
「えらい可愛いコやないか横っち。なんぼ血ぃ繋がってへんいうたかて手ぇ出したらアカンで」
と小声で言われてしまった。そんなんやないって銀ちゃん、知ってて言うなや!
その後はスタジオの隅で面白そうに見学しいたがなにしろ制服姿のタマモは目立つ、何せ
最も可愛い女子中学生オブ・ザ・イヤーを受賞しそうな勢いだ。
心配になって横目で様子を見ていると例のオカルトゴロの連中がタマモにチョッカイをか
けだした。タマモは冷たくあしらっているようだが、そのうち狐火でもだしかねない。
俺は穏便にすまそうと慌てて割って入ったが相手は俺の包帯姿を見て侮ったのか俺を押し
のけてタマモの腕を掴もうとしやがった・・・
気がついたらソイツが大の字になってノビていた。どうやら俺が殴り倒したらしい。
しまた・・・なんとか穏便にすまさないと・・・
「あ〜今のは違うぞ?偶然腕を伸ばしたら偶々ソイツが突っ込んできただけの不幸な事故
だからな?気にすんなよ?」
という俺の誠心誠意の説得は
「「「ふざけんな!このガキャブッ殺す!」」」という罵声によって報われた。
残り全員に一発づつ丁寧に挨拶してやると、寝不足だったらしく全員がすぐに熟睡した。
だいたいこの時点で周りも気付いてプロデューサーがやってきた。事情を聞かれたので
詳しく話すとその場でオカルトゴロの連中はクビになった。”自分達抜きで完成すると思
うのか”とか捨てゼリフを言ってたらしいがチョイ役と監修役では監修役に軍配があがっ
たらしい。
これでようやく一件落着かと思ったらとんでもないオマケがついってきた。
あのゴロツキどもが腹いせにセットを叩き壊していったのだ。残り1シーンで終了なのに
その場であーでもない、こーでもないと意見が噴出したが俺はなんだか自分のせいのよう
な気がしていたたまれなくなってしまい、タマモを連れてスタジオを抜け出した。
二人でブラブラと歩いていると局の大道具のガクさんが声を掛けてきた。
「よお、何不景気なツラしてやがんだ?」
といわれて詳しい事情を話すといきなりスタッフに集合を掛けた。集まった全員に向かっ
て事情を説明したあとでこれから突貫工事でセットを修理する、と宣言した。俺が呆然と
しているうちに皆が「気にすんな」とか「困った時はお互い様だ」とか言いながらスタジオに移動していった。それは良いのだが何故みんな俺をいちいち小突いてからいくのだろ
う? それを見ていたタマモが
「愛されてるわねヨコシマ?」と言ってきたが多分違うと思うぞ・・・
皆の後を追ってスタジオに戻ると俺は時の氏神のような扱いだった。いや元はと言えば俺
のせいなんだが・・・
とにかく半日の遅れで撮影再開という事で俺達は一旦解散した。銀ちゃんに引っ越した事
を教えて「いっぺん遊びにきいや。」といってタマモと二人して家路についた。
その後ろを銀ちゃんが歩いている。それは良いのだが局を出た後もずっと同じ方向なので
「銀ちゃんどこまで行くねん?」と聞いてみると
「遊びに来い言うたん自分やんけ!」という返事が返ってきた。
レスポンス良すぎるぞ銀ちゃん!
「いや、でも俺タマモ送ってった後GSの仕事入ってんねんで?」
といって日を改めてもらおうと思っていたら
「待っててもらったら良いんじゃない?私もいるんだし。」
というタマモの声がすべりこんできた。どうやらゲームの相手を見つけたらしい。
結局三人で一旦帰ってから俺だけ除霊と訓練の為に出かけて行った。結構遅くなってしま
ったので急いで帰ると、タマモにボコボコに負けてフテ寝している銀ちゃんと一人で技本
を見ながら練習しているタマモが迎えてくれた。
翌朝、俺は学校をサボッて銀ちゃんと一緒に局へと出勤した。昨日の一件の影響が気にな
ったのだ。やはり色々問題になっているようでまずクビにしたゴロツキどもの代わりの件
だった。実際のGS能力を持った人間がどうしても必要らしい。当然というかそのおハチ
は俺にまわってきた。ギャラの事を確認すると下手な除霊より条件が良い。こんなボロい
条件ならあんなゴロツキがはびこる訳だよな〜。幸い俺には実力はあるが金のないヤツの
心当たりがたくさんある。取り敢えず割りの良いバイトがあるからと言って誘ってみた。
雪之丞とタイガーは二つ返事でOKだったがピートは授業に支障が出ない範囲なら大丈夫
という事だった。さすがピート真面目なやつだ。確かタイガーも同じ学校だったはずなんだがな・・・ああ、それを言うなら俺もか・・・放課後TV局に集合という事にして俺は
プロデューサーに人材確保の報告にいった。他にも問題が山積みになっているらしく殺気
だっていたが俺の件を報告するとほんの少し憂いが晴れたようだった。
夕方になって三人が集まった。そこで初めて俺が映画製作に関わっている事を説明すると
皆一様に驚いていたがタイガーとピートは納得がいったような顔をしていた。学校での俺
の様子に思い当たるフシがあるのだろう。次に条件を説明すると更に驚いた顔をしていた
何せ拘束料が一日三万でその他実働時給が一万円だもんな〜。こんな好条件ならあんなゴ
ロツキ連中なんか雇わんでGS協会に斡旋を頼んだ方がよっぽど良い人材が来るだろう。
あとでプロデューサーに提案してみよう。まあ三人にとっては渡りに船だろう。ピートで
すら「学業は確かに大切ですが教会の助けになるんなら少しくらい・・・」とか言ってた
もんな〜
三人を撮影現場に連れていって監督に紹介するとやたらと喜んでいた。前の連中よりはる
かに若い分絵柄が良いという事らしい。(いや一人700歳越えてますけどね)理想を言
えばあと一人女性スイーパーが欲しかったらしいがそのへんは役者で代用して欲しい。
本格的に入ってもらうのは明日のロケからだけど今日の顔見世分だといって拘束料を日当
を支払ってもらった。三人とも顔つきは平然としていたが生唾を飲み込む音が聞こえたの
は俺の気のせいか?明日は局に集合してからロケバス移動だと伝えて解散すると、雪之丞
とタイガーは牛丼屋に突進していった。久しぶりのタンパク質なんだろう。ピートは先生
に報告をとつぶやきながら足早に帰っていった。違いの際立つ連中だ。
次の日、集合場所にいくと、おや?一人多い?近寄っててみると・・・
「エミさん?」
「話は聞いたワケ横島、優秀で美しい女性スイーパーを探してるんだって?あのイケイケ
バカ女じゃなくて最初にこの小笠原エミにタイガーを通じて声をかけてくるなんてアンタ
もだいぶん物事がわかってきたってワケ。」
・・・タイガー何故俺から目を逸らす?その大量の汗はなんだ?一文字さんにチクッたる
からな。それから雪之丞、俺を哀れみの目で見るのはヤメロ。ピートは警戒しすぎだろ?
・・・にしても妙だな?いくらタイガーが上手くエミさんのプライドをついたにしてもだ
あのヒトみたいなランクAの超一流のGSからすればこんな報酬は雀の涙のはずだよな?
ってことはやっぱピート目当てか?まあ良い、取り敢えず監督に紹介しとこう、どうか
監督がOKしますように。 だって身の安全は大事だろ?
結局監督は大喜びだった。またひとつ問題が解決したと言ってプロデューサーもホッとし
た顔をしている。どうでも良いが他にもなんか問題があんのか?
エミさんは更に上機嫌になっている。なんせ監督からの反応が
「素晴らしい!まさかこれ程美しい女性スイーパーが協力してくれるとは!正にイメージ
通り、いやそれ以上だ!!」
あの監督は確実に”ランクAのGS小笠原エミ”は知らないはずだからアレは純粋な女性
に対する賛美だよな〜エミさんもそれがわかったのか喜んでたもんな〜
あぁそっか、エミさんは優秀すぎるから普段はGSとしての誉め言葉しかきいてないんだ
だから能力と関係なく美貌をベタ誉めされたのが嬉しかった。これが女心ってやつかな?
エミさんって可愛いヒトなんだ・・・ピート、早く気付けよ!
全員でロケバスに乗り込むとGS連中は前の方の席にかたまっていたので俺もそこに座ろうとしたら、監督に腕をつかまれて一番後ろの席まで引きずっていかれた。周りをみると
プロデューサーやら各部門スタッフの責任者が勢ぞろいしている。そしてロケ地につくま
で喧喧囂囂の話し合いだ。なんかセットが破損した事件以来俺に相談事やら頼み事やらと
面倒を持ってくるやつがやたら増えてないか?そもそもこれは責任者会議のはずなのに、
何故俺が参加してるんだ?しかも座る位置がド真中で・・・
俺の仕事って監修役だったはずだよな?それって要するに外部監査みたいなもんだよな?
つまりは外部スタッフだよな?なのに何故?俺の席はド真中?俺が真剣に苦悩してる間に
バスがロケ地についたようだ。
バスから降りると役者さん達は別ルートで先に着いてたようだった。
え〜っと銀ちゃんはどこにいんのかな〜?・と・あ〜いたいた、お〜い銀ちゃ・・・
「キャ〜ッ!近畿クゥ〜ンッ!サインお願いするワケ!」
「あっ!ホラホラ何してんの?タイガー?早く写すワケ!」
・・・ぎ・銀ちゃんが目当てだったのか・・・そういや前に美神さんがエミさんの事年下
の美形シュミって言ってたな〜。まぁこれはこれで可愛いっちゃ可愛いか〜
あ〜なんかデジカメ構えてるタイガーの背中が薄くなったような気がするな。それはそれとして、淋しそうだな、ピート・・・アンタ・・背中が煤けてるぜ・・・・・
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(あとがき)
映画編一回でおわりませんでした。何とか次回で・・・
実際の映画製作に関しては大した知識がありませんので明らかな
矛盾等ございましたらどうぞご指摘を・・・
今までの
コメント:
- 今回は独白形式か〜。
読み難い所もあったけど、結構楽しめました。
それはそうと、横島が集団の中心になってますね。
ルシオラの事もあり、修行した事もあって徳が上がったんでしょうかw
個人的には横島は爪弾きされる方が好きです。
冥子の修行メインの話が読んでみたいこの頃。
彼女の口調も変えてもいいと思うし、私はそういう理由有る改変は好きだけど、
反発する人もいるだろうから、難しい問題ですね〜。
色々楽しめたけど、今回は全体としては×ということで。
次回期待してます。 (オラン)
- 横島の人脈はやっぱ伊達じゃねー(w
行く末はGS業界と芸能界を結ぶ大物フィクサーか?
出世、成り上がりといったサクセスストーリーは好きですね。
やっぱ自己投影してしまうし。
映画の完成まで、まだ一波瀾ありそうです。 (アラストル)
- アラストル様、大物フィクサーというより「困った時の横島頼み」的な
存在になりそうな気が・・・んで根本的にヒトが良いんで頼み事をきいて
あげてる内に両業界の掛け橋みたいな感じに・・ってあれ?やっぱ行く末
は大物フィクサーかな? (ぽんた)
- 横島中心の独白が進みますが、内容が分かりますので良いです。
ただ、気になる点ですが、雪之丞のたかりがないのが気になりますね。 (マー君)
- 内容的にはいいです。次の話に期待しています。
う〜む、エリさんが出てきたのですか。次は魔鈴さんが出てくるのでしょうか?次に魔鈴さんが出てくるの楽しみです。 (はにゃフニャ)
- この奮闘記シリーズの感想書いている人たちのIP、同じ人がたくさんいますよ?
一人で何個も感想書くのは良くないと。。 (IP見たら)
- 久しぶりに「展開予測ショー」を見たら楽しそうなのが連載してるな、
と思い今読み終わりました、最初はありがちな修行からスタートかぁ
と思って見ていましたが、修行が終わってから今までにない展開で
大変楽しめました、これからもがんばってください。
そういえば横島の知り合いは金は無いが能力が高いヤツらばっかですな。 (コウ)
- 1から16までざっと読んでみました。
悪くない作品だな、というのが雑感になります。
展開はがんばっているしそこそこ面白い作品である、とは思うのですが、全体的に急ぎすぎるきらいがあるように見受けられました。
主観(文章の視点)もかなり飛びますし、読み難いのと、良いプロットなのにうすっぺらくなってしまう全体像。
面白い展開、興味もそれなりに湧きます。
ただ、文章が中途なのと状況説明が大雑把すぎるので、もう少し落ちついて書いてみてはいかがでしょうか?
今後への期待、ということで評価は賛成にしますので頑張って下さいませ。 (Alice)
- 《ピンク○ディーの歌って踊って大活○》などと言う40代か30代後半にしか判らんネタを(w (フライ)
- Alice様、文章の視点はやはり全体を通して統一した方が良いのでしょうか?
すいません、多分書き易い方に流されてたんだと重います。
フライ様、ピンク○ディーの映画は、たの○んトリオの初映画の時にゴミ箱から
引きずりだされるようにして”映画史上に残る駄作の双璧”として一部で脚光を
浴びてましたので、その某地域にいた人でしたらもうちょっと若くても知ってる
んではないかと・・・ (ぽんた)
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